プロローグ3 「人生」
なんか違う
4年目、
今、自分は会社の重要なプロジェクトに参加している。毎日出張をして、日帰りで帰ってくるという激務だが。
けれど、
『今後の会社の展開に携わっていくのだから、成功したら必ずリターンが戻ってくる。』
そうやって、会社を信じているからこそ思うことが出来る妄想を抱いているから、俺はそれでも良いと思っていた。
そして、今日も朝がやってくる。
「...」
身体がだるい。重くて持ち上げられない。(とは言っても、鉄球をぶら下げるという感じではなく、だれかに引っ張られる様な柔らかい感じだった。)
さらにはまぶたまで重く、そのままで居ると1分もしないうちに眠りに引き込まれそうだ。
(今日もまた、最悪な目覚めだ)
そう思いながら体を持ち上げる。
途端に身体の全ての部位が下に引っ張られる。
その力は強力であり、さらにはそのまま倒れると逆に心地よくなるという。
今日が暇であれば良いのだが、あいにく、毎日戦場にいるため、これは悪魔の誘惑になる。
すぐにそこから脱出する。そして、カーテンを開け、眩しい朝日を浴びる。そうして悪魔が弱まったところに、窓を開け、冬の寒い空気を当てる。
すると、身体と脳に冷たい刺激が来て、一気に嫌な気分になってくる。
だが、それも一瞬、1分くらいすると気分はシャキッとして今日の元気の源になっていく。そのうちに悪魔は消え去り、スッキリとした朝を迎えている。
これが自分の最近の日課である。正直、あの企画が始まったのが冬で良かったと思っていたりもする。
俺は朝に弱いが、大体は暑さや寒さによって眠気は消えるものなのだ。
「さて、と」
ベランダから部屋に戻ってくる。
朝日の光が当たる我が家は、床に敷かれた茶色のカーペットの上に真っ白なベッドと、小学生から使っている古い机、実家から持ってきた少し傷がついたテレビ、その隣にはホームセンターで買った格安のカラーボックスが置いてある。
その中は主に漫画、ラノベ、アニメ、ゲームと言った男子高校生の様な内容であり、ここの住人が「超」がつくほどのインドア派ということを示している。
それらが詰まった狭い一部屋の我が家を歩き、居間と繋がっているキッチンに向かう。
ステンレスで作られた銀の流しに、黄ばんだ古いデザインの水道から水を落とす。
その水は少し大きめの手に入れられ、ぴちゃぴちゃとこぼれながら自分の顔に襲いかかって来て、顔の汚れを削りながら流しに落ちる。
その顔を洗うという作業を2、3回繰り返した後、流しに落ちる水に、柔らか目のプラスチックのブラシを当てる。またそのブラシにねっとりした水色の液体を付けて、口の中に入れる。
そのブラシを歯の上で暴れさせ、寝ている間に口に入った臭いと汚れを削ぎ落とす。そうするうちに口の中が冷たくなった感じがしてきて、爽快な気分を味わえる。
歯磨きをそのまま終わらせ、口から自分の唾液と歯垢が混ざった歯磨き粉を出し、下の棚からフライパンを出す。
それは黒い焦げがこびり付いたガスコンロに置かれ、火によって炙られる。
そこに卵を落とし、水分が蒸発するジューという音を聞きながら蓋を閉め、火を強火にする。
その間にトースターに食パンを突っ込んで焼き、とりあえずテレビを付ける。
「...今日は朝から晴れますが、午後から雲が出てきて、気温が下がって行く見込みです。では、次のニュースです。えー、最近東京を中心に起こっている連続無差別殺人事件ですが...」
画面に映し出されたのは特になんでもないいつものニュース。いつもこの天気予報を見て仕事に行っているのだ。
まぁお気に入りというわけでもないが、なんとなくこのニュースを見ていた。いつも通りに、特に変化もなく。
...キッチンから焦げ臭い匂いがしてきた。
(お、出来たな)
すぐさまキッチンに向かい、フライパンの蓋を開く。
その中には少し膨らんだ目玉焼きがあり、それを上の戸棚から出した皿に移す。(フライパンだけ少し新しく、跡が残らなかった。)
その目玉焼きは半熟で、少し揺らしただけでぷるんと黄身が崩れそうになるほど半熟だ。
そして、ちょうどトースターから焼けた食パンが出てきたのでその皿に移す。
トーストに冷蔵庫にあったマーガリンを塗り、目玉焼きを乗せる。
これが我が家の朝食である。
早くてうまい。なんと理想的な食事であろうか。
忙しい毎日だからこそ生まれた超高度な料理技術である。これがあるから、頑張れるとも言っていい。
超高度な料理を食べたところで、まずは着慣れて少し柔らかくなったYシャツを着て、下には黒く、ストライプの模様が目立たない様に入れられたズボンを履く。
柔らかくなった、とは言ってもYシャツはYシャツで、首が少しきつくなっているが、さらにその上に首を締めるために付ける物がある。
「...」
そう、ネクタイだ。
なぜこの様な物を付けたのか500年程前に行って聞きたいと自分は思っている。
なぜって?
まるで首輪みたいだからさ。
首を絶対に締め付ける構造になっていて、なおかつ、引っ張るための「ひも」まで付いている。
...まるで、自分達が飼われているみたいじゃないか。
そう思いながらネクタイを締め、最後に黒い上着を着る。
その黒い鎧は会社において最も重要な役割を果たすため、社会から絶対に着るように言われているものであり、名を「スーツ」と呼ぶ。
(準備完了だ。)
今日も一日を頑張って過ごそう。
そう思いながら玄関のドアを開け、乾燥した空気に触れる。
アパートの向かいには居住者専用の駐車場があり、その先に道路が横に伸びていた。
道路を歩き、最寄りのバス停へと向かう。
このアパートは2階建の家賃月5万5千という格安アパートだが、近くの駅からバスで25分もかかり、さらに築20年と古い。納得の値段だった。
バス停「露伴公園前」に着き、スマホをいじろうと思った矢先、
「ねぇ聞いた?例の事件の犯人、ここの近くに来てるらしいよ。」
と、やけに演技口調っぽい声が聞こえた。
「あら!、それ本当?。やぁねぇ、最近物騒で。子供遊ばせるだけでもなんか心配しちゃって。もお大変なの〜」
UMAです。
途中まで書いていたのですが、自分の書きたい
ものと違っていってしまったので、勝手ながら、これを失敗作として残します。
このことについて怒りを感じてしまったなら、
誠に申し訳ない、と深くお詫びします。
しかし、これと同じストーリーのものを書いていくつもりなので、もし、興味を示したのなら読んで頂けると嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。