プロローグ2 「結果」
お魚食いたい
その後、自己流だがなんとか面接を乗り越えてきた。
相手に自分の良いところを見せ続けた。
変な質問もされた。わけがわからなくなったりもした。でも、それでも乗り越えた。
そして、その結果が出た。
ブー!と振動しながら音を出す何かがポケットに
入っていた。ここは駅、地下鉄の駅である。
自分の立っている場所の前には巨大な空間があり、そこは都心を縦横無尽に走る鉄塊が通る道だ。
そこに響き、反射する音は携帯電話の着信音。どうやら電源を入れっぱなしにしていたらしい。周りから冷たい視線を浴びながら携帯を出す。
その番号は知らない番号、と思いきや、見覚えのある番号だった。
「はい、熊谷です。」
「こんにちは、こちら株式会社リーリエ人事課の山口と申します。」
株式会社リーリエ。それは、俺がエントリーした会社だ。
そこは主に業務用の機械製品を売っている会社で、
一部上場、倍率がぐんぐんと上がっている。
「あなたは御社に内定しました。おめでとうございます。」
とたんに喜びの表情が浮かび上がり、
「あ、はい!。ありがとうございます!。」
と大声で言った。
また視線が向けられたが、気づけなかった。
その山口という人は気にもせず、
「では内定式の日程を説明します。えー、会場は...」
と説明しだした。
俺は、ここからの人生をどうしたら良いのかわからなかった。
ゲームやアニメを見るだけの人生でもいいが、それをするためにはお金が必要だ。
なにをするにもお金が必要なこの現代だ。良い会社に入った方がいいに決まってる、だからこの会社を選んだ。
そもそも、「普通の幸せな生活」というのは誰もが憧れるものであり、手を伸ばして手に入れようとしているものだ。だから現代の場合、良い会社、つまりは「普通の幸せな生活」をおくれる会社には人が集まる。
しかし、世界には「定員」というものがある。一つの会社が養える人数には限りがあり、さらにその中でも優秀な人が選ばれる。
そりゃあみんな必死になっていく。そして、必死になればなるほどみんな優秀になっていくのでハードルは上がっていく。
10年前は優秀だった人が、会社が成長すると役立たずになるかもしれない。
そうやって社会はもっと成長していく。誰しもが抱く「憧れ」によって、それによって生まれた影を隠して、成長していく。
「以上が予定となっております。内定を辞退する場合は、お早めに。」
「はい、ありがとうございました。」
今度はちゃんと音量は抑えていた。
周りの態度に気づいたのだ。ずいぶんと恥ずかしいことをしたもんだと、自分でも反省した。
ともかく、俺はやった。「結果」を出せた。
ただそのことが嬉しかった。高校、大学ともに失敗し、微妙なところに収まっていた自分にとって、これは人生で最大の喜びだった。
その「過程」が、どんなものだったかも、相手が知らなくても。
その後の人生は、自分にとって幸せなのかわからなかった。
入社してから2ヶ月ほど研修を受け、1年程は営業をした。
そして2年目からは事務を担当し、3年目からは企画を考えることとなった。
いかにも順当な人生だがその過程は凄まじいものだった。
上司にへつらい、取引先におべっか。毎日残業もした。さらに、俺は朝に弱くて、毎日の満員電車で体をシェイクされて気分が悪くなっていく。
なぜ自分がそんなことを努力できたのかわからないが、ただ一つ言えることは、俺たちは結局は外面、つまりは結果しか見られていないということだ。
例えば、泥沼の中に金槐が埋まっていて、それを取ってこいと言われたとする。
その中で皆を圧倒的に出し抜いて金塊を取ってきた人がいた。
その人は周りから「天才」、「真似できない」などと言われた。しかし、その人はその周りの誰よりも泥まみれになっていて、怪我もしていた。
そう、その人は、周りと同じ様な人であり、違いがあるとしたら、意識が違っていた。
ただそれだけだったのだ。周りは結果だけを見て、その人がどんなに苦しいなんて知らないのだ。
だって、結果だけを見たほうがわかりやすいから。
その人がどんなに苦しい思いをしても金塊が取れれば良い。
犠牲者が出ても社会全体が育つから良い。
個人が苦しくても会社が育つなら良い。
そう、その全体としての意見は「結果」に固執している。それをおぞましいと心のそこから思える人は、きっと人の内面、物事の内面を見ている人なのだろう。
が、そんな人は多くない。
多かったら、それこそこんなおぞましいシステムは消えている。
俺は、頭ではわかっていても、心ではおぞましいと思えない。だから、何をすれば良いかわからない。何が自分なのかわからない。
だって、こんなに苦しい思いをしても会社を辞めるなんてことができないのだから。全体に頼っているから。
生きるとは、本当にこれで良いのか?。
ドーモ。手の様なヒレのある水生類のUMAデス。
投稿が遅くてすいません...。
本当に小説を書くのって難しいのがよく分かります...。なんか、他の小説を書いている作家さんに申し訳ない気分です。
それと、少しでもこれを読んでくださっている方もいて、すごく励みになりました。
これからも見て行ってくださると嬉しいです。
次回、長いプロローグがやっと終了(多分)します。お楽しみに!




