プロローグ1「嘘」
生きるとは、何なのだろうか。
自分に問いかけ続け4年経つ。そう、4年だ。大人になるにつれ、時間の感覚が早くなっているのを感じつつ、また思考は戻ってくる。
このことを思い始めたきっかけは仕事にあった。これから思い返すのは4年前の冬のこと…
まったく、就職活動というものはいやなものだ。
冬の寒さに耐えながら都心を歩くその姿は黒いスーツ姿で、固めて黒く染めた髪(少し違和感がある)はで太陽の光を少し反射している。
がっちりとした右腕、その先の手のひらにはビジネスバッグが握られており、視線はきっちりと前に向けている。
まさに仕事場にいそうな男。が、まだ仕事はしていない。この後、第1志望の企業へと自分をアピールしに行くのだ。
(と、言ってもなあ。)
就職活動とは基本的に多くの業界、多くの企業について調べる。なぜなら自分の人生がかかっているからだ。
全ての企業がダメになったら自分はニートになってしまう。そんな恐怖から人が自分を守るなら、いくら保険をかけても良いだろう。だから出来るだけ多くの企業に行き、内定をもらおうとする。
だが、必然多くの業界の企業に行くのだから自分をどのようにアピールするか方法は変わってくる。
しかし、多少形を変えても企業にはどこか穴のあるような聞こえ方にしかならない。だから、少し補足のように違和感のない嘘をつく。もちろん、嘘が極端なものならバレてしまうし、慎重になりすぎても効果がない。だから難しいのだ。
けれども、問題はそこじゃない。自分は、嘘をつくこと自体がいやなのだ。
自分をアピールするというのは自分を売りに行くのとほぼ同義だ。だから、嘘をつくというのは自分という商品を詐欺によって買わせるとも思うこともできる。
それと、自分は中学生ごろから嘘をつくことがいやだった。だから、「話題になる」という理由で嘘の話を作ったりはしなかった。しかし、自分は話題になるようなことを人より多くしていなかったため、当然、友達は少なかった。ただ、嘘をついていなくとも友達ができる人はできるということは知っていた。
世の中というのは残酷だ。才能と努力を合わせた結果を天秤にかけ公平に裁き、位が高い者に恩恵を、低い者に無慈悲の鉄槌を喰らわせる。そして、天秤が狂えば人の欲と正義という人に組み込まれたある種のシステムによって正される。
つまり、世界が我々に言いたいことは、
『才能もなく、努力もできない者はこの世に不必要』
と、いうことらしい。まったく、とことん素晴らしい話であるよ。なぜなら、このまま行くと、才能を持つ者と努力ができる者が正しく評価され、世界を進化させてくれるのだから。
だが、ここまで来て、相変わらず人が正しく評価されないのは、人の情のおかげと言えるだろう。それは、乗り越えられる人は乗り越えられるのだろう。
しかし、人は同族を救っている。才能がなく、努力もできない弱者達を。それこそが、人の優しさが生み出したものではないだろうか。
だが、それも最後だろう。今現在、自分は日本のことしかわからないが、確実に強者だけが生きれない世界になってきている。
(だから、嘘もつかなければいけない。)
自分は今、面接する部屋の前に立っている。
…もう到着してしまった。
さあ、正念場だ。これによって人生のすべてが決まる。ここまでの時間はほとんどがこのための時間、
だからこそ過去の自分からプレッシャーが降りかかる。
(落ち着け、集中しろ。いいか、自分の長所をアピールするんだ。)
自分に言い聞かせる———なぜ?
(相手に疑問を浮かばせないように慎重に)
そうすることで、相手に伝える情報を整理して、的確な言葉選びが出来るからだ———違うね。
(形を変え、嘘をつき、短所を隠す。それでも疑問が出てきたら、被害を最小限にしながらそれを説明すれば良い。)
これで、完璧だ。———お前はただ
(......やっぱり、俺は)
『嘘をつくということの言い訳を作っているだけ』
そう、こうやって「嘘をつくこと」の行為を正当化して、誰も悪くないかのように振る舞っているだけなのだ。
自分は生きて歩くだけでメリットを振りまくような優等生ではない。そのため、嘘をつくという汚い行為をしないと、崩れる棘の生えた橋の上のような社会を歩くことすら出来ない人間だということを、隠して、見ないふりをするために。
(...もう、行かなきゃ。)
前の人から面接室に入って行く。自分もその中に入っていた。
面接室には三人の面接官がパイプ椅子に座り、テーブルの上に一人一つずつバインダーをのせている。二人は四十代ほどの男性で、どちらも巌しい顔をしている。もう一人は三十代後半ぐらいで少し痩せて頬骨がみえていて、シワが周りより深い印象だった。おそらく二人よりもストレスがたまっているのだろう。
...自分もそうなるのだろうか。
そんなことを考えているうちに、自分はパイプ椅子に座って、挨拶を済ませていた。
「...えーと君は、んーと、熊谷、で合ってる?」
自分は、何回も鏡で練習した笑顔で言った。
「はい!熊谷和人と申します!。今回はよろしくお願いします!」
生きるとは、本当にこれでいいのか?
ドーモ
喋る霊長類のUMAデス。
私は初めて小説を書いて見ました。理由はただ
単純にファンタジーが好きで、自分でも書いてみようと思って書きました。まだ文章が拙いと思いますが、これからどんどん書いていき、精進していきます。また、いろんな諸事情により不定期更新になると思いますが、読み続けてくれると幸いです。では、これからもよろしくお願いします。




