第81話 マグナの謎?その一です。
「お主たち、大義なのじゃ。これからも妾を崇め奉るがよいのじゃ! もう頭を上げるがよいぞ。ぬはははっ!」
「はいっ!」
ざざざっ
おー、一糸乱れぬ動きだ。
この人たちの精鋭騎士団っぽいとこはじめて見た気がする。
「白百合の団長殿、信仰の対象ということは、その聖女リンの説話とやらも知っているのか?」
「もちろんです。先ほど聖女様も仰られていましたが、第七代勇者クーガ様に付き従い、聖女として各地に奇跡を齎したリン様には、聖獣であるとの噂がありました。それが真実であることは今、証明されました! ああ、この場に居合わせたことの何と僥倖なことか!」
いや、説明は欲しいんですが、そのテンションは出来れば止めてくれませんかね?
「聖女リン様は数々の奇跡にて国や多くの民衆を助けられましたが、勇者様の死後しばらくして何処かへとお隠れになられたのです。しかし、聖女様は時の指導者たちに言い遺したそうです。いつしか勇者様にも比する自らに相応しき者が現れた時、再びご顕現なされて世界に奇跡を齎すと!」
目で訴えてみたけど、団長さんのきらきら目にはまったく効果がなかった。
「この逸話は旧帝国にも引き継がれ、後世に描かれた第七代の勇者様と聖女様の大壁画がアナトゥリア正統帝国の都ニャスタンティの宮殿に今もありますわ。私はその写し絵を見ただけですが。えっと、聖女様は、その、もう少しご成長された姿でしたが・・・」
白百合の副団長さんが補足する。
後半はぼそぼそと小声だったけど、近くにいたので俺には聞こえました。
あー、うん。
伝説の聖女様がこんな幼女じゃ様にならないだろうしな。
話はともかく容姿については盛ったんだろうな。
あと、その壁画になっちゃう凄い勇者に比肩するの?
誰が?
俺がですか?
「ほう! 妾の素晴らしき活躍が帝都とやらの壁画にか! ぬははははっ! ・・・ん? アナトゥリア? ニャスタンティ? 都はミャウマではないのか?」
「聖女様のご活躍されていた時代からですと--ミャウマは元老院が最高府として君臨していた共和制でしたね。ええと、ミャウマは後に帝国となり広大な領土を支配しまして、これが旧帝国と呼ばれています。ですが、数百年の後に南北の二つに分裂しています。その直接の帝室の流れを組むのが南のアナトゥリア正統帝国で、北に位置するこの国--デスヴォルクス継承帝国は、帝室の流れこそ直接は引いてはいませんが、ミャウマを領有していて一応は帝都としていますから、その名の通り旧帝国を継承しているとしています」
白百合の団長さん、もうクラウディアさん並みに説明キャラ化してますね?
歴史にも詳しいとは、流石は帝国精鋭騎士団の団長さんです。
「ぬうぅ、流石に千年も経っておると色々と変わっておるのじゃな」
そりゃそうだ。
まあ、創作作品では千年とか一万年とかの扱いは軽いけどな。
ある作品で、千年続いた王国の国王が十数代目とかあって、在位期間の平均長げぇなって思ったことある。
あれって寿命で計算してないですかね?
「千年前の勇者が七代目ということは、エルメ殿は何代目なのだ?」
勇者ったら基本的に戦闘職だろうから、長くても十年か二十年くらいかな?
だとすると、百人いかないくらいか?
「はっ、ひぇい!? わ、私ですか?」
急に話を振ったからって「ひぇい」って、お嬢さん。
まあ、外野は完全に聞き役になってますけどね?
「私は三百二十六代目ですね。まだ日は浅いですが」
なんか勇者多くね?
何か急にありがたみがなくなったよ。
つーか、三年くらいで代替わりってどんだけ勇者って死んでんだ?
いや、この話題は危険な気がする。
フラグ立ったら不味いな。
話を戻そう。
「しかし、リンよ。その相応しき者とやらが現れたとしても、この迷宮に訪れるとは限らないのではないか? 我が来たのも偶然であるぞ?」
「ふむ、それじゃがな。主殿、四聖獣を従えているということは、もしや【運命確変】というスキルを持っておらんかの?」
えっ?
何で知ってんの?
あのスキルってそう読むんだね。
「・・・持っているな。どんなスキルなのか分からんのだが」
「やはりか。そのスキルはじゃな、運命を引き寄せ確率を変化させるという超々レアなスキルなのじゃ!」
「運命を引き寄せる? 確率を変える? どういう事だ?」
「うむ。簡単に言うとじゃな。巻き込まれ体質で、人生が博打という事じゃな! 前の主殿もそうだったのじゃが、豪気なことよなぁ! ぬははははっ!」
はいっ!?
トラブルメイカーで更にギャンブル要素付き!?
それって詰んでませんか?
ラッキースケベがインフレってる、toでLOVEな方じゃないっすよね?
ああいうのだったらウェルカムですよ?
しかも結果がギャンブルなの?
確変って確率変動のことなの?
パチンコかっ!
友情、努力、根性で成長していく少年誌の王道とか、伝説的なアイテムで切り抜ける御都合主義のファンタジーみたいな定番の流れじゃなくて?
某白と黒の熊さんが出てくるアニメ化もしたゲームに出てくる超幸運な学生さんって、デスゲームに巻き込まれてる時点で絶対に幸運じゃなかったよね?
ピーちゃんたちの無双にばっかり目がいってたけど、そういやこの世界来てからピンチだらけだった気も・・・。
俺、常に大ピンチな異世界人生が確定ですか!?
召喚した責任者、マジで出て来いやぁ!
やぁやぁやぁ(エコー)
まあ、今更ですね?
因みに、マグナは確率変動という言葉は知っていても、確変と略すのが分かんなかったようです。
一応高校生ですしね。




