第70話 えっ?
そんな訳で、樹海の大迷宮とやらに挑む前に、新しく発見された迷宮に挑むことになった俺と従魔たちです。
オストエントの領主と守備隊に出した条件は、俺個人にではなく、クランとして依頼を出して貰うこと。
なので、【遠話】を使ってクジマたちに連絡し、領主の脳筋--もといルドルフさんとクラウディアさんにも話を通してもらいました。
クロにはドラゴン形態でひとっ飛びしてもらって、グロニゲンから来る守備隊の騎士たちと俺のクランに同行してもらうことになった。
そういや、クランの名前決めてなかったな。
どうしよう。
とまあ、それは迷宮で合流してから皆で話し合えばいいか。
今、俺はオストエントの面倒な二つの騎士団と一緒に樹海に踏み込んだところです。
オストエントの守備隊は万が一の為に町に残留してます。
ほわああぁぁぁ
〝樹海線〟には異世界に来たばかりの頃やグロニゲンの守備隊と一緒に入ったけど、樹海はそのまんま樹海でした。
えっ、意味が分からないって?
いやね?
俺は元の世界のイメージで、富士の樹海--つまり、樹の海を想像してた訳なんですが、いや、樹の海でもあるんですが、海なんですよ。
樹海線は完全な陸地で、あっちの樹海のイメージだったんです。
富士の樹海や屋久島みたいな?
けど、奥の〝大樹海〟は、まあ、樹のイメージはそのまま、根っ子は水の中と上に這ってます。
なんと言うか、小動物を連れた谷の女の子が落ちた、腐った海みたいな?
ちょっと違うかも知んないですが、あんな巨大な木々の根っ子が、大地がないところで網目状に直接水に浸かってる感じです。
根っ子が地面みたいになってますが、そりゃあ、でこぼこしていて馬車とか無理ですよね?
そしてその時、俺の直感が囁きました。
ああ、ここが運命かぁ。
呼べと?
新しい従魔を呼んじゃえと?
竜、虎、鳥と来たら、もうお分かりですよね?
ファンタジーの定番、青竜、白虎、鳳凰ですよ。
そういやピーちゃん青くないけど?
四霊の方の応竜なのかな?
まあ、あの辺りは結構地域で違ってたり適当みたいだけど。
次は玄武さんのご登場ですよね?
水陸両用の亀さんにはうってつけのシチュエーションですもんね?
分かります。
ここは厨二としては当然お約束は守りますよ。
まあ、次は何呼んでも強制的に玄武になりそうだし。
異世界では諦めも肝心だと学んだアルス・マグナ、高一15才です。
という訳で、今までと違って騎士団の皆さんがいますが、四度目でそうそう失敗もしないだろうから召喚の儀式をします。
大魔導師アルス・マグナの凄さをちゃんとアピールせねば!
どうせ迷宮では活躍出来ないだろうしねー。
俺だって学習するのですよ。
ちょっと姑息な気もしなくはないですが。
でも、ちょっとギャラリーにどきどきです。
よし!
厨二は度胸!
「開け異世界の扉!召喚、クールマ!!(たまっち)」
結局この呪文が必要なのかは分かってないけど、ギャラリーがいるので唱えることにした。
ぶっちゃけ今回はパフォーマンスです。
ピーちゃんたちはいつも愛称で喚んでたから、念のため「たまっち」と、皆さんには聞こえないようにボソッと付け加えました。
俺が天に片手を掲げると光の粒が集まる。
次第に魔法陣が浮かび上がり、「ほぅ」とギャラリーから声が上がる。
光りが辺りを満たし、眩い閃光が樹海に広がる。
よし、来い!
教室の水槽で飼ってたミドリガメのたまっち!
でも、玄武ってどんな大きさかな?
黒くてでかい亀で尻尾が蛇だったよな。
乗れたら樹海では便利そうだけど、あんまりでかいと普段は困りそう。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
『ミュー!』
おお、可愛らしい鳴き声!
意表を突いてこれは小型かな?
光が収まり、目を開けると、何かの影が見える。
でかい?
当初の予想通りの乗用系が来たか?
『ミュ、ミュー!』
久々の俺との再会に、嬉しそうな鳴き声を上げるたまっ--
「・・・・・・」
いやね?
確かにファンタジー系の作品で、鉄亀とか言われたりもしますよ?
でもね?
俺は異世界でエルフは狩らないよ?
問答無用で服を脱がして回ったりはしないですよ?
なんで戦車が召喚されんじゃー!
しかも『ミュー』って可愛く鳴いてるよ!
たまっちなの?
目の前の戦車がたまっちなのか!?
まさかの無機物ですか?
最悪としては空飛ぶ火吹き亀くらいまでは想像してましたが、まさかまさかの戦う乗り物きましたか!
あっ、空は飛ばないだろうけど、火は吹くか?
砲弾付きですがね!
「た、たまっち?」
『ミュ!』
きゅるきゅる
キャタピラが唸る!
「ストーーップ!!」
『ミュ?』
危ねー!
モコちーでもかなりキツかったんだから、戦車に飛び付かれたら死ぬわ!
普通に人身事故です!
「どうどうどう」
なでなで
『ミュウ、ミュー』
ごろごろ
くっ
亀にもふもふは期待してなかったけど、肌触りはまさに金属ですね。
ミリオタなら喜びそうだけど。
まあ、俺もそっち系もそれなりに好きですけどね。
何か愛嬌のある戦車が召喚されました。
これは異世界モノとしてどうなんでしょう?
ねぇ?
〝たまっち〟の名前と鳴き声はラヴなひなの温泉ガメから頂きました。




