第60話 大樹海の大氾濫です。
あー、その、ですね。
えー、異世界での生活も半月を過ぎ、なんとか慣れてきたのかな?
という感じの今日この頃。
孤高にして万象の大魔導師アルス・マグナです。
元の世界では厨二病を拗らせていた、ただの目立たない学校の飼育係です。
みなさん、ちゃんとこの設定覚えてますか?
勇者として召喚されたと思ったら、導化師というよく分からない職業が設定され、孤高の魔導師という称号を持っているにも関わらず、最初は魔法が使えませんでした。
迷い込んだ大樹海ではオークとゴブリンに襲われてたエルフの姫騎士を助け、迷宮の町では三人組の女性探索者を助けたりもしましたが、むふむふなフラグはまったく立っておりません。
無双系ハーレム主人公?
なにそれ美味しいの?
探索者たちと仲良くなったり、襲撃してきた荒くれ者の冒険者たちを配下に加えたりもしました。
屋敷を買ったので、メイドさん(暫定)もひとり雇っています。
迷宮攻略中に魔法が使えるようにはなりましたが、召喚した聖竜のピーちゃん、白虎のハム太、不死鳥のモコちーと、現地で従魔にした地竜王のクロが無双しまくり、俺の戦闘中の出番はあまりありませんでした。
あっ、でもエルフの姫騎士さんが拐われた時には、魔法を駆使して事件を解決して名探偵の名を欲しいままにしました。
本当ですよ?
まあ、異世界でのあらすじはこんなところでしょうか?
そして今、主人公大魔導師マグナの伝説が、ここから始まります。
遥か彼方、とはいえ目視できる距離に、万を超える魔物の大群が押し寄せています。
街の守備隊や防衛に参加する冒険者や探索者たちは、東門の街壁の上から街道にひとり立つ人物に期待と不安の眼差しを向けています。
はい。
その不幸な人物とは、まさに俺ですね。
俺しかいないよね?
どうしてこうなった!
いやね?
昨日の仲間内の会議で、俺への期待と信頼が大暴走して、魔物の大群にひとり相対する流れにはなっちゃったんですけどね?
正直言って、領主のルドルフさんや守備隊の従騎士のクラウディアさんにその案を伝えたら、「そんな無謀な!」とか、「マグナ殿だけにさせる訳には参りません! 私たちも共に戦います!」とか言って、改めて対策を考えましょう、的な流れになると思ってたんですよ。
普通はそう考えますよね?
俺、別に変じゃないですよね?
なのに、領主館に行ってルドルフさんやクラウディアさんに、たった一人で魔物に挑みますって伝えたら、「まあ、マグナなら大丈夫だろう」、「ええ、心配するだけ無駄ですわね」だってさ。
・・・・・・
何それ!?
期待なんだか諦めなんだか、はたまた裏を返して信頼なんだか知らないけどさ!
万を超える魔物の大群にひとりってのはありえないよね?
ないよね!?
そんな訳で、魔物の大群に俺ひとりで対峙しています。
そう、一人法師です。
いい得て妙ですね。
期待を寄せるみなさんは、街壁の上から揃ってご見学です。
この状況を作ったクロ!
そしてピーちゃんたち従魔!
せめてキミたちはこっちにいろや!!
「期待しています、マスター」
『キュ!』
『ガゥ!』
『ピュ!』
じゃねぇって!
はぁ
まあ、今更言っても仕方ないか。
やれるだけやって、後は野となれ山となれ。
よし!
覚悟完了!(シャキーン)
魔物の大群どんとこい!
新しい極大の攻撃魔法でも今から作っちゃる!(ヤケ)
かなりの威力の土魔法は前に試してるし、いきなりでもイメージさえあれば成功しちゃうのがこの世界の魔法の真髄!
いやさご都合主義!
さあ、大魔導師マグナの伝説が、今、まさにここから始まるんだ!!
主人公の無双が、初めて炸裂しちゃうゾ!
物語りも佳境!!




