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厨二系飼育係の成り上がり -異世界で厨二病が最強だった件-  作者: どらぬこ
第一部 大騒動な大氾濫編 第五章 樹海大氾濫
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第59話 俺、大変です!

結論から言うと、クラウディアさんの救出は危なげもなく終了した。


領主直々に率いる守備隊のほぼ全員と俺の率いる冒険者と探索者で約五十人と従魔の四匹(三匹と一人?)で、十人弱を取り囲んだのだから当然だ。


因みに、クラウディアさんが人質になったりしない様に、俺が【隠密】スキルで最初に確保しておいた。


数倍の人数に囲まれ、人質も取り返された誘拐犯たちは早々に降伏した。


手紙の奪取が目的だったクジマたちの時とは違って、完全に誘拐という犯罪なのだから恩情はなしだ。


ルドルフさんの怒髪どはつが天を突きそうな怒り方からすると、悪けりゃ即斬首、良くても犯罪奴隷かな。


首謀者のクソエルフは、翌日に専門の尋問官(時に拷問官)が事情聴取する事になった。


ルドルフさんやクラウディアさんと一緒に、俺も聴取には同席させてもらった。

解決に協力したし、襲われた当事者でもあるしな。


すぐに使用人もお縄になって観念したのか、クソエルフはあることないことべらべらと喋ってくれました。


愚痴ぐちのように長々と喋ってたので要点だけ言うと、あいつは、高貴なエルフに混じってドワーフや獣人がいることが許せなかったんだと。


差別主義を通り越して、選民主義者アールヴ・マンセーだったみたいだ。


なら、何故ゴブリンやオークと組んだんだ?


と思ったら、「組んでなどいない! 魔物と変わらぬ小汚いあの連中を利用していただけだ!」とキレていた。


何故クラウディアさんを狙ったか?


という問いには、種族の融和を進めている領主の娘だから、アールヴ貴族の風上にも置けない、同列に置くなんて許せない、娘を失えば領主も堪えるだろう、と。


根っ子は一緒だね。


で、クルメール商協同盟が、事実上大迷宮の利権を有するここネデル辺境伯領を虎視眈々(こしたんたん)と狙っているのを利用したらしい。


ついでに魔物の大氾濫(モンスター・パレード)の事を俺が聞いてみたら、グロニゲン近郊の樹海でこいつの手の者が未公開の中規模迷宮を見つけ出したらしく、ヤツの貴族家に伝わっていた古代の秘宝(アーティファクト)を使って意図的に氾濫させたみたいだ。


クソエルフは、「くくくっ、どうせお前らもすぐに魔物に街(もろ)とも蹂躙されるのだ!」と負け惜しみを言っていた。


なんだかなぁ。


ふうっ


と、俺がため息をついたところで、「あっ」と、ご領主様がつぶやいた。


「どうかしたのですか、おじさま?」

「どうしたのだ、ルドルフ殿?」


「あっ、そのだな。クラウの事でその、忘れておったのだがな・・・」


なんか言いづらそうだな。

何だろう?


「あー、実はだな。昨夜、魔物の大氾濫(モンスター・パレード)が起こったと、哨戒中の部隊から報告があったのだ。明日中には樹海から出て来るだろう距離まで迫っているとな」


・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・


辺りが静寂に包まれる。


クラウディアさんは目が点になっている。

多分、俺もだな。


何やってんだこのおっさん!


ぜってぇ領主に向いてねーーー!!



「あー、何か色々あったけど、第六回異世界でどうする会議~」


『キュイ!』

『ガウ!』

『ピュイ!』


いつも通り元気な従魔たち。


ルドルフさんの衝撃的な言葉を聞いた後、俺たちは屋敷に戻って恒例の会議の時間にした。


「前も仰っていましたが、異世界とはなんですか?」


とクロ。


「あー、まあ、我の故郷から見たこの地域のこと?」


「はあ、マスターの故郷から見た、ですか」


「まあ、そのようなものと思ってくれ」


「イエス・マイマスター」


無理矢理に納得してもらった。


「我が主の故郷か。いつかは行ってみたいものだな」


「そうですわね。お兄様」


クジマ、イヴ。

多分それは無理かな?


文字通り、異なる世界だし。


「まあ、我の故郷のことはよい。今日話し合いたいことは、大氾濫のことだ。先ほどルドルフ殿から、明日か、遅くとも明後日には樹海から魔物の大群がこの街に押し寄せてくるだろうとの話があった」


「なんと!」

「間違いないのですか、ご当主さま?」


「うむ。ルドルフ殿が哨戒させていた兵からの報だ。まずは間違いないだろう。数は一万から二万。発見されたのは北東方面だが、グロニゲンの東側の街道に向かっているそうだ」


「い、一万から二万ですと!」

「そんな!」


クジマ兄妹が目を見開いて驚く。


まあ、そうだよね。


「マスターと私たちなら、特に問題ないかと」


『キュ!』

『ガゥ!』

『ピュ!』


「カルマ様たちも同意されております」


いや、同意されてもね?

キミたちは落ち着き過ぎじゃない?


「いや、しかしクロ殿。いくら我が主や貴女が規格外おかしいと言っても、これは帝国軍全軍を召集する規模の大群ですぞ!」


「だから何なのです? その程度の雑魚ざこの集まり、マスターであればひとりでも軽く一蹴いっしゅうして下さいます。クジマ殿、マスターの家臣として、主を信じられないとは未熟ですよ」


「ぐっ」


あっ、クジマが崩れ落ちた。


「お兄様・・・」


イヴがその肩を抱く。


えっと、いや、ね?

信頼してくれるのは嬉しいんだけどね?


ちょっと信頼が重いかな?


かな?



「我が主、失礼致しました。それがしはまだまだ家臣として未熟であると理解しました。クロ殿に比べてなんと不甲斐ふがいないことか」


いや、クジマの反応の方が普通だよね?

おかしいのはそのクロですよ?


「まあ、構わぬ。気にするな。して、対策を練ろうと思ってな。皆の意見が聞きたい」


「前に聞き及んだ例から考えますと、規模に関係なく魔物共には戦略も戦術もないらしいですからな。東側の大樹海から来るのであれば、ただただ雲霞うんかごとく押し寄せてくるかと」


と、なんとか立て直したクジマ。


「うむ。我もそう聞いているな」


「ならば簡単です。マスターが正面から迎え打てば良いだけです。大魔導師たるマスターの魔法だけで、魔物共は蹂躙され、地に伏すことでしょう!」


簡単に言ってくれますね!

地竜王のクロさんや!


『キュ!』

『ガゥ!』

『ピュ!』


そこで同意しないで、ピーちゃんたち!

お願いだから!


「我が主の大魔法ですか。まだ見たことは御座いませぬが、心躍こころおどりますな!」


「はい! 私もですわ、お兄様!」


「そう言えば、私も未だ直接は見ておりません。ふふっ、楽しみです。マイマスター」


そういやクロも見たことなかったよね!

ここまであおっておいて、何とも無責任タイラーだね!


何、このみんなの期待の眼差しは?

無理とか言える雰囲気じゃなくなってるじゃん!


いくら無双に憧れてたって、魔物の大群の前にひとりで立てと!?


こんなムリゲーな活躍の場面は望んでないよ!?


もしかして、ゴー・トゥー・ヘヴン、俺?


明日は俺の命日ですか?


死んだら復活の呪文(あああああ)で生き返れたりしますか?


あっちの世界に戻れたり、する?


しません。(ばっさり)

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