第54話 冒険者たちが来ました。
ちゅんちゅん
あっ、朝、だ。
ひとりだけど朝ちゅんだ。
異世界にも雀いるんだ。
眠い。
なんか途中で楽しくなっちゃって、マジで徹夜しちゃった。
ああ、でも守備隊の詰め所には行かないとな。
異世界の朝は早いけど、まだ一時間くらいなら寝れるかな。
どんな魔法が出来たかの披露はまたのお楽しみだ。
とにかく眠いから。
おやすみな、さい。
ぐぅ
†
まだ眠いけど、仮眠したので少しはマシになった。
さてと。
守備隊の詰め所に行かなきゃな。
勤め人はツライやね!
まだ高校一年生ですけどね!
あっ、学生でも朝は似たようなもんか。
予定通りなら、今日はウィンテンの町から冒険者や探索者が来るはずだ。
なんだかんだと、グロニゲンに戻ってからもう一週間か。
異世界に来てから二週間くらい経ったことになるな。
はあっ
思い返してみると、濃かった。
非常に濃かった。
なんとなく日々を過ごしてたあっちの世界では考えられないな。
これって、充実した毎日なんだろうな。
まあ、毎日学校行って勉強して飼育して、マンガやラノベ読んだりアニメ観たりネトゲしたりも、あれはあれで充実してたと思うけどな。
寝不足なせいか、何となく無聊な気分なアルス・マグナでした。
まる。
†
「マスター!」
守備隊の詰め所で午前中は待機した後、昼過ぎになるとウィンテンからクロ率いる冒険者たちと、三人娘が率いる探索者たちが現れた。
クロの後ろでフィロメナが手を振ってる。
ドワーフで小柄だから子どもに見えるね。
微笑ましい。
「うむ。ご苦労だったな、クロ。ユスティナ、エマニュエル、フィロメナ師匠も一週間ぶりだな。よく来てくれた」
「ああ、一週間ぶりだ」
「こんにちはー」
「ん、師匠、来た」
三人娘は今日も変わらず平常運転のようだ。
「探索者もかなりの人数が集まったのだな」
「せっかくの稼ぎ時だからな。これでもウィンテンの防衛を考えて希望者の半数だ」
二十人くらいいる。
もしかして俺の人徳ってやつか?
酒場で散財した甲斐があったのかな?
「あの町より、グロニゲンの方が依頼の報酬がいいですからねぇ」
あっ、そうですか。
そうですよね。
納得です。
「ん、選抜、した」
「うむ。有難い。それでクロ、冒険者の訓練はどうだった?」
「はい。短期間としては上々の成果だと思います。マスターからご教示頂いたやり方は、素晴らしく効果的でした」
そういえば、悪ノリして新兵訓練課程を教えておいたんだっけ?
「そうか。それは良かった。守備隊の訓練場の使用許可は得ているから、後で見せてもらおうか」
「イエス、マイマスター」
それ、定着させる気なの?
「クラウディア殿、彼女が我の従者のひとりでクロと言う」
「お初にお目にかかります。ベイレフェルト様。マスターからお話は伺っております。クロティルド・ファフニールと申します。以後、マスター共々よろしくお願いいたします」
「そして、こちらの三人がウィンテンの探索者パーティー、三美姫だ」
「その呼び方はやめてくれ。私は剣士のユスティナです」
「そうして欲しいですわね。狩人のエマニュエルですわ」
「ん、パーティー名は、黒銀紅。フィロメナ、です」
いや、ウィンテンの探索者でそのパーティー名知ってる人ほとんどいなかったからね?
マッチョマスターの酒場で言った時、みなさん「は?」って感じでしたからね?
もちろん、マスター含めて。
「はじめまして、みなさん。私はネデル辺境伯領の騎士、クラウディア・エル・ベイレフェルトですわ。この度は私たちの要請に答えて下さり、感謝いたしますわ」
「マスターの命なれば」
「ああ、精々《せいぜい》稼がせて貰おう」
「美味しいごはんはあるかしらぁ」
「ん、弟子の、マグっちのため」
四人がそれぞれに答える。
うん、性格出てるね。
でも、エマニュエルって腹ぺこキャラだっけか?
「では、我は早速冒険者たちの訓練の成果を見せて貰おう。クラウディア殿はどうする?」
「よろしければ私にも見学させて頂けますか? いつ大氾濫があるかわかりませんもの。出来れば早めに戦力の把握はしておきたいですの」
「分かった。クロ、頼む」
「イエス、マイマスター。ウォッカ!」
あっ、ウィンテンの町を出る前に、冒険者たちは名前が覚えづらかったからでコードネームを付けておいたんだっけ。
横文字の名前って日本人には覚えづらいですよね?
クジマがジン、戦斧使いがウォッカ、以下略。
まあ、クジマについてはコードネームを呼ぶ機会あるか分かんないけど。
なお、黒ずくめの某秘密組織とは一切関係ありません。
俺を襲ってきた時と違って、今は黒ずくめじゃなく冒険者っぽい格好だしね。
念のため。
「イエス、マム!!」
がっしりとした小肥りの男が、クロのから少し離れた後方で整列した冒険者たちの前に出て敬礼する。
・・・あの、誰でしたっけ?
朝ちゅん、確認でググってワロタw
次回、第37話の伏線回収その一。




