第47話 獣耳っ娘が仲間になりました。
「そんな! では、イヴの病は!」
「お兄、様・・・」
愕然とするクジマと、それを見て哀しむイヴさん。
嗚呼、美しき哉、兄妹愛。
落ち込むのは仕方ない。
けど、ここで諦める必要もない。
その理由は--
「モコ--アルミラ!」
念のため、イヴさんの部屋の隣に待機させていたモコちゃんを呼ぶ。
とてとてとて
『ピッ!』
来た来た。
ピーちゃんとハム太もやっぱり背に乗せていた。
こっちはこっちで仲いいね。
「アルミラよ。昨夜、厩舎でした話は覚えているか?」
『ピィ!』
よし。
いい返事だ。
「なら、任せていいか?」
『ピュイ!』
びしぃ
と、右の翼を頭に当てて俺に敬礼する。
いや、昨日はこれを教えた訳じゃないですよ?
というか、いつどこでそんなん覚えた?
そして、いきなり登場した三匹に目をぱちくりするイヴさん。
「イヴ殿、しばらく目を閉じて楽にしてくれ」
「あの、何が・・・いえ、承知しました」
イヴさんが静かに目を閉じる。
素直な娘さんだ。
「アルミラ」
『ピィ、ピュイー、ピュイ』
モコちーの言葉で、仄かな赤い光の粒子が現れ、きらきらと神秘的に煌めく。
『ピュイー!』
ぱああっ
「あたた、かい・・・」
イヴさんの部屋を暖かな光が包み、そして溢れた輝きが次第に終息していく。
「い、イヴ?」
目を閉じたまま、ぼうっとするイヴさんと、おたおたするクジマ。
ある意味レアな光景だな。
「ふむ。アルミラ、ご苦労であった」
なでなで
『ピュゥゥ』
ごろごろ
うんうん。
至福だね。
「イヴ殿、身体の調子はどうだ?」
「あっ、はい。えっ? 身体が、軽い? 痛みが・・・ない? えっ、嘘っ!?」
イヴさんはベッドから起き出して、身体の各所を動かす。
おおっ、耳をぴくぴくしていらっしゃる!
尻尾もふりふりですか!
「あら、あら?」
ぴょんぴょん
その場で軽く跳ねる。
「まあまあまあ」
ぶんぶん
腕をぐるぐると回す。
きゃっ! きゃっ!
その場で独楽みたいに回転してはしゃぎ出す。
そして、大きく伸びをして--
深く深呼吸。
「完全復活ですわ!」
あれ?
いや、いきなり元気良すぎじゃね?
さっきまでの病弱な美少女は?
儚げな深窓の令嬢どこ行った?
ワッツ?
†
実は、昨日の夜に「第五回異世界でどうする会議」をモコちーのいる厩舎で開催しました。
最初はピーちゃんの神聖魔法の治癒でどうかなと思ったんだけど、それを言ったら、
『キュイ、キュ、キュ?』
『ガウ、グゥ、ガゥ!?』
『ピュイ、ピュー、ピュ!』
と従魔同士で会議が始まった。
ひとり言葉が理解できず、ちょっと寂しかったとです。
『キュ!』
『ガゥ!』
しばらくするとピーちゃんとハム太が、モコちーの方を翼と前足で指して鳴いた。
「あー、もしかしてどうにかなる?」
『ピュ!』
指名されたモコちーは自信気に胸を張った。
と、こんな感じで会議は終了した。
「我が主。何とお礼を言えばいいのか、ぐずっ」
なんかクジマが感極まって泣いてますよ?
感激屋さんなのは薄々感じてたけど、意外に涙脆かったりもする?
「ご主君さま、お願いがありますの」
イヴが片膝をついて頭を下げる。
んっと、くノ一?
いつかのお兄様そっくりですね?
「む、どうした?」
「聞くところによりますと、ご主君さまは過日、新しくお屋敷を構えたとのこと。私は病に掛かる前はとあるお屋敷で働いていた事もあります。是非ともお兄様と同じく私も配下にお加え下さいませ。一所懸命にご奉公させて頂きます。何卒、お側に侍るご許可を」
「あ、ああ。よろしく頼む。イヴど--イヴ」
なんか勢いに負けて、頷いてしまいました。
当のイヴは、ぱあぁと、輝くような笑顔です。
「はい! ご主君さま!」
予想とは真逆の、可憐な外見の元気な狼耳っ娘が最初のメイドになりました。
まる。
クジマ兄妹は予定外(苦笑)




