表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
厨二系飼育係の成り上がり -異世界で厨二病が最強だった件-  作者: どらぬこ
第一部 大騒動な大氾濫編 第四章 辺境都市行
53/116

第46話 異世界ではじめてキレました。

「ここがそれがしの家です」


翌朝。

宿に迎えに来たクジマに案内されて赴いたのは、貧民街スラムにほど近い江戸時代の長屋みたいな集合住宅だった。


ある程度予想はしてたけど、病人には衛生的にも精神的にもあんまり良くはなさそうだ。

多分、治安もあまり良くはないだろう。


二人暮らしだって言ってたけど、クジマがウィンテンに行ってる間、妹さんは大丈夫だったのかな。


「しばらくすると治癒士ヒーラーも参りますので、我が主をおもてなしすることも出来ませぬがそれまでお待ち下さい」


「うむ。気にすることはない」


薄い扉を開けてクジマが家に入り、俺もそれに続く。


「イヴ、戻ったぞ」

「邪魔をする」


狭い廊下を進み部屋に入ると、ベッドに寝ていたひとりの可愛らしい女の子が身体を起こした。


「はい。お帰りなさいませ、お兄様。それと、お兄様が仰っていた新しいご主君さま、ですね。ようこそおいでくださいました。私はクジマの妹でイヴァンナと申します。どうぞイヴとお呼び下さい。このような病床の姿で申し訳なく思いますが、ご遠慮なくおくつろぎ下さい」


時代がかった物言いは一緒だけど、忍っぽいクジマと違ってお姫様っぽい。

イメージは深窓の令嬢ってやつだ。


俺より少し下くらいの年齢かな?

銀髪に生える頭の耳がぴくぴくしてて可愛い。


ん?

あれっ?


銀髪の犬耳っ娘?


えっ?


「あー、その、クジマ? 彼女は義理の妹、なのか?」


「いえ、イヴは実の妹ですが?」


じーー


俺はクジマを見る。


そういえば、クジマっていつも帽子みたいにして布を巻いてたから、まともに頭を見たことなかった?


「二人は犬人族カニス、なのか?」


「いえ、某とイヴは狼人族リュコス鬼人族ラルヴァ双種ドゥオゲヌスになります。言ってはおりませんでしたかな?」


あっ、家臣になった時になんか言ってた気がする!

すっかり忘れてました!


「すまぬな。もしかしたら最初に聞いたかも知れん。失念していた。生国しょうこくはクーイウ、大公国だったか? 狼人族の国なのか? それとも鬼人族か?」


「ああ、そういえば我が主は遠方の出自しゅつじのお方でしたな。旧帝国語が達者でしたので、某こそ失念しておりました。クーイウ大公国は継承帝国より南東にある狼人族の国になります。鬼人族の血は更に東になります」


「お兄様ったら、ご主君さまにそんな基本的なことを伝え忘れるなんて。不敬ですよ」


「むうぅ。我が主よ、申し訳ございませぬ」


あっ、しゅん、と項垂うなだれた。

俺からするとしっかりしているクジマだけど、妹さんには弱いみたいだね。


「耳はその布で覆っているのは分かるが、尻尾はどうしているのだ?」


「ああ、尻尾は腰に巻いております」


巻いたりしてバランスは大丈夫なのか?


「そうか。余計な事を聞いたな」


「いえ--」


とんとん


「イヴさん、クジマさん、いますか? あっ、お邪魔しますね。おはようございます」


と、部屋の扉を開けて治癒士っぽい服装をした壮年の男性が扉を開けて入って来た。


「おお、先生殿! いつもご足労頂き、申し訳ない」

「いらっしゃいませ。アルデルト先生」


「いえいえ、治癒士が患者の下に足を運ぶのは当然のことです。気にする必要はないですよ」


気さくでいいお医者さんなのかな。

にこにこしていて好印象だ。


「それで、今日は薬を持って来て欲しいとの事ですが、薬代が工面くめん出来たのですか? 本当なら安く譲りたいところなのですが、この薬は元が高くてそうもいかないのですよ。不甲斐ふがいない治癒士で情けないことですが・・・」


そう言って目を細め、すまなそうにしながら手にしていた鞄から小瓶を取り出す。


「そんなことはありませぬ! なかなか病状を見に来てくれる治癒士はそうはおりませぬ! 某もイヴも、先生殿には頭が上がらぬ思いです!」


「はい。私もアルデルト先生には感謝しております」


・・・・・・


「先生殿、こちらの御仁ごじんは某の新しいあるじのマグナ殿です。今回は我が主のご助力で薬を買うことが出来る事になったのです」


「ほほう。それはそれは。クジマさんは良い主君を見つけられたのですね。おめでとうございます!」


・・・・・・


「ご主君様?」

「我が、主?」


「ん、どうかなされましたかな?」


・・・・・・


「治癒士殿、つかぬことを伺うが・・・」


「はあ、なんでしょうか?」


「その薬は、イヴ殿の病の進行を和らげる効果があるもので間違いないか?」


「はい、そうですよ。イヴさんの病状を見て、私が知り合いのつてで取り寄せたものですが、何か?」


「ふむ。クジマは我が第一の家臣である。そして、イヴ殿はその大事な妹御いもうとごである」


「はあ」


むかむか


まだとぼけるか。


「ご主君さま?」

「我が主? 一体?」


いい加減、付き合ってられないな。

久々にぶちギレそうだ。


「治癒士殿・・・いや、詐欺師さぎし殿と言った方が良いかな?」


「なっ!」


「あ、あるじ?」

「ご主君さま!?」


「そのような紛い物で我が家臣をたばかり 、貧しい兄妹から金をむしり取ろうというのか!」


「えっ?」

「はっ?」


スキル【威圧】、発動!


「この恥知らずの極悪人が! 直ぐに立ち去れ! この兄妹だけでなく、もし二度とこの様な事をすれば我が魔法で消し炭にしてくれるぞ!」


がたん!


「ひっ、ひい!」


腰を抜かした詐欺師が、這いずって部屋を出て行く。


・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・


あー、危なかった。


マジで火炎の強化版、フィロメナが自信をなくしたあの火炎弾を容赦なくぶちこむとこだったよ。


「わ、我が主?」


「聞いての通りだ。我は【鑑定】のスキルを持っていてな。あの小瓶に入っていたのは、ただのよく効く栄養剤だ。精々、銀貨数枚の価値しかない」


プラシーボ効果はあるかも知れないけどな。

安く売るってことならそれも医療行為だけど、それで金貨を何枚も請求するなんて詐欺でしかない。


まったく。


そういえば、父親が言ってたな。


いつも笑顔のヤツには気を付けろ、って。


ブクマ・評価、大歓迎です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ