第45話 クランを作ろうと思います。
勢いで貴族の屋敷を購入しました。
反省はしてます。
でも、後悔はしていません。
勇者として呼ばれた異世界で、勇者じゃなかったアルス・マグナ、元普通の高校一年生です。
今、俺の頭の中はメイドさんへの期待で絶賛妄想中です。
しっかり妄想厨です。
今回ばかりは「妄想乙!」で終わりません。
現在、ハシム商会の応接室です。
屋敷は既に買いました。
手続きもクジマがやってくれてます。
俺は次元鞄から購入資金を出しただけです。
手持ちの帝国金貨だけでは流石に貴族のお屋敷を買うには足りなかったので、旧帝国金貨を数枚出して両替出来ないかハシム商会長に聞いてみました。
商会長は猫耳をピンと立ててかなり驚いてましたが、そこは商売人です。
オークションに出して換金して、屋敷の代金分を引いてお返ししますとのことです。
騙して着服とかしない感じが好感持てたので、更に数枚だして、手数料は払うからとついでに換金を頼みました。
丸投げがやっぱり楽でいいですね。
屋敷のことも家令か執事を雇ったら丸投げしようと思います。
信用出来る人が見つかるといいですね。
そんなことよりメイドです。
メイドさんです。
妄想が膨らみます。
二、三人か。
ひとりは人族だな。
やっぱり普通はいないとね。
もうひとりは獣耳っ娘。
これは絶対に外せないな。
三人目もありなら、どうしよう。
いや、あの屋敷なら三人目は必要だ。
きっと必要だ!
いや、絶対必要だ!
小柄なドワーフメイドがちょこちょこと歩き回って仕事をしてるのは、見ていて和みそうだよなぁ。
エルフメイドもいいなぁ。
クラウディアさんみたいなキリッとしたエルフメイドさんが、キャ!とか言ってドジったりしたら萌えるなぁ。
この世界は獣人の種族が色々いるんだよなぁ。
ウィンテンの魔石商にいた狐耳っ娘みたいな子もいいなぁ。
耳をもふもふ、尻尾をふぉっくすしたかったしなぁ。
今度こそおっさんじゃない可愛い猫耳っ娘ってのもいいなぁ。
猫娘は「ニャ」って語尾あんのかな?
あっ、犬耳っ娘も捨てがたい。
頭なでなでして、「くぅん」とか甘えられたい!
狼娘で蓮っ葉なんだけど、ツンデレってパターンとかもありだな。
ああ、そうだ!
牛娘とか羊娘とか、兎耳っ娘もいるんだった!
やっぱりこの辺りは巨乳かな?
巨乳なのかな? かな?
巨乳メイドさんに甘々で癒されちゃったりするのかな?
くぅ、夢が膨らみますね!
この気持ち、分かる人!
はいっ!
ぶんぶん
いやいや。
妄想もいい加減にしとこう。
後の楽しみもあるし、クジマに話さなきゃなんない事もある。
ちょっと思考の遥か彼方までうっちゃってたけど。
†
ということで、宿に帰って来ました。
流石に今日から屋敷に住む訳にもいかないので、ハシムさんが明日中には準備を終わらせて、夕方には引き渡してくれるそうだ。
モコちゃんには今晩までは厩舎で我慢してもらおう。
明日の夜には、俺もモコちーのもふもふベッドでご就寝出来るので楽しみだ。
獣娘のもふもふと動物のもふもふは別腹です!(力説)
「クジマ」
「はっ、我が主!」
「今日はご苦労だった。あの商会長も信用出来る人物のようだったしな。まだ手続きや些事があるのだろうが、よろしく頼む」
「勿体無いお言葉です。このクジマ、我が主に助けられたご恩は、某の生涯を掛けて返す所存です」
「うむ。それでふたつほど話がある。楽にして構わん」
「は!」
商会でもそうだったけど、なんか基本俺の後ろで立ってるんだよね、この人。
家臣って立場なら、そんなもんなのかな?
「お前たち冒険者を配下としたのも、今日、屋敷に棲み家を用意したのも、実は理由があってな」
ちょっとだけ重々しい感じを出して言う。
「ただ面倒を見るだけとは思っていませんでしたが、一体?」
「うむ。屋敷の離れを使って、冒険者や探索者の派閥を創設したいと考えている」
「クラン、とは何でしょうか?」
「我の故郷では元は氏族を指す言葉なのだが、この場合は意味が異なってな。依頼を受けて仕事をする集団の事だ」
「傭兵団のようなものですか?」
「うむ。その理解で間違ってはいない。ただ、我は自衛以外で人種同士の戦争に加担する気はないのでな。あくまで魔物や魔獣の討伐などを依頼として受けるつもりだ。奇しくも、領主殿からの依頼が最初となるな」
「ほぉ、面白い! それは某らにとっても利がありそうですな」
まあ、ゲームじゃ普通だしな。
「我の故郷には組合という冒険者を纏める組織もあるのだがな。まあ、そちらは今はいいだろう。聞くところによると冒険者は一攫千金の夢はある職業のようだが、大成する者は稀で、ほとんどの者はかなり生活が不安定ではないのか?」
「はい。その通りです。某のように母国を出た者や、はみ出し者、親を亡くした孤児などが冒険者や探索者として危険な魔物や魔獣を討伐し、遺跡や迷宮で命を対価に稼いでいます」
「うむ。それ自体は我の故郷でも大して変わらないのだが、ギルドが冒険者や魔物の階級を規定し、彼らがソロやパーティーとして個別に依頼を受けたり、大規模な案件になる依頼は冒険者を纏めるクランが引き受けたりするのだ」
「それは・・・」
「ギルドはそう簡単に組織として作ることは出来ないが、クランならば先ほどクジマが言ったように傭兵団のようなものだからな。我にも作ることは可能であろう」
「そこまでの事をお考えになって、某たちを・・・」
「うむ」
「・・・・・・」
あれ?
反応無し?
ざっ!
クジマが椅子から立ち上がったかと思うと、床に膝をつく。
主従の契約をした時の再現だ。
「我が主よ。貴方様に出会えた幸運を、神に感謝します。そして、より一層の忠義を尽くすと誓います」
「そのように大仰にせずともよい。これから色々とやることもある。お前も手伝ってくれるか?」
「はっ! 御意に!」
うん。
なんかこー、自分で言っててむず痒いよね!
時代劇かっ!
「まあ、子細はまた改めて相談させてくれ。そしてもうひとつの用件であるが、お前の妹御の事だ」
「は、はい!」
あっ、目が期待できらきらしてる。
口には出さなかったけど、気を揉んでたんだろうなぁ。
「明日はクジマの家に案内してくれ。妹御の容態を知っておきたい」
「はっ! 有り難き幸せ!」
クジマ、東の国の出身って言ってたけど、日本風のとこじゃないよね?
黒髪黒目とは似つかない銀髪碧眼で、彫りも深いしね。
さてと、人の命がかかってるんだ。
明日は気合い入れなきゃな!
クジマは東国、日本風の国の出身ではありません。
遠いので地図には入ってないですが、彼の出身のクーイウ大公国は帝国から南東にあり、人族共和国の東部地域や協商同盟の南東地域と隣接する国です。




