第4話 エロフの「くっころ」を見損ねました。
『キュイ!』
圧倒的な力を見せたピーちゃんは、現在俺の腕に抱かれて自慢気だ。
「よくやったぞ、ピーちゃん」
きっと「褒めて!」とでも言っているのだろう。
俺は要望通りに頭を撫でて労ってあげると、ピーちゃんは気持ち良さげだ。
オークたちに襲われていた女騎士が、兜を脱ぎながら近づいて来た。
「礼を言いますわ。貴公のお陰で助かりました。私はデスヴォルクス継承帝国、ネデル辺境伯領の森人族の騎士、クラウディア・エル・ベイレフェルトですわ」
おおっ!
想像通りでやっぱり美形!
遠目に見た感じとは違い、美人と言うよりは美少女という感じだ。
金髪碧眼と、まんまヨーロッパ風の容貌だな。
これでこそファンタジー!
背は女性としてもそんなに高くない。
鎧を着ていてはっきりとは分からないが、全体的に引き締まった体つきをしている。
ぶっちゃけるとスレンダーだな。
きっと、騎士として日々鍛えているのだろう。
って、いや待て。
髪に隠れて気付かなかったけど、よく見たら耳長い!?
もしかしなくてもエルフですかー!?
エルフ様が、オーク様とゴブリン様に襲われてたのですか!?
もし助けてなかったら、マジで女騎士エロフのエロゲ展開に!?
おおぅ。
想像(妄想)したら鼻の辺りが・・・自重自重。
「ところで、その、正直信じられないのですが、私の見間違いでなければ貴公の腕に抱かれてるのは--竜種の幼体に見えるのですが、貴方は・・・一体?」
とりあえずテンションおかしくなるのでエロフは置いておこう。
気を取り直して、と。
「ああ。我の名はアルス・マグナ。、孤高の大魔導師だ。この小さき竜は我が友カルマである」
あっ、まずい。
厨二スイッチ入っちゃった。
クラスの可愛い娘でもいっぱいいっぱいなのに、初対面の外国人?美少女との会話なんてハードル高過ぎるわ!
うわぁ、魔導師はともかく孤高とか言っちゃったよ。
俺はただのぼっちですよ?
ぼっちちゃうわ!(セルフツッコミ)
あれ?
そう言えばなんで言葉分かるんだ?
「魔導師アルス・マグナ殿、改めてご助力に感謝いたしますわ」
「いや、礼は不要だ。我が朋友であるカルマの功であるしな。怪我は大事ないか?」
当のカルマ--ピーちゃんは俺に喉を掻かれてご満悦だから多分聞いてないけどね?
「怪我は幸いかすり傷でしたわね。それよりも、従魔の功は主の功でもありますわ。礼は受け取って下さいな」
この女騎士--クラウディアさんはお嬢様口調だけど、真面目系っぽいな。
委員長属性とかか?
異世界に委員長がいるかは別として。
「ふむ。まあ、よい。我が友にとってはあの程度の魔物の群れの討伐など、造作もないことだ」
「魔物? 何を言ってるのですか?」
あれ?
「ああ、マグナ殿は少し離れていましたわね。魔物と見間違えたのですか」
「う、うむ」
ど、どういうこと!?
どう見てもファンタジーの魔物の代名詞、オークとゴブリンだったよね?
「彼らはクルメール商協同盟の鬼人族の兵士たちですわ。我が国とは長らく戦争状態にありますわ」
はっ?
あいつら魔物じゃないの!?
人間系!?
悲鳴しか聞いてないけど、もしかして喋んの!?
「ゴブぅ!」ってまさか語尾?
ゴブリン語とかじゃねーの?
やっちまったか!?
いや、直接殺した訳じゃないから、殺人教唆ってやつか!?
待て待て。
さっき、〝従魔の功は主の功〟とかクラウディアさん言ってたよな。
ということは、つまり理屈じゃ〝従魔の罪は主の罪〟となる!?
ガーン!
この若さで、さ、殺人者?
お父さんお母さん、俺、異世界で牢屋に行くことになるかも知れません。
親不孝な愚息を赦して下さい。
とか言ってる場合じゃない!
「私の小隊は哨戒任務中だったのですが、運悪く敵の大部隊と遭遇してしまって。私以外は、もう・・・」
ショックを受けてる俺には気付かず、悲痛な表情を浮かべるクラウディアさん。
多分、ただひとり生き残ったのだろう。
あのままだと彼女も殺されていただろうから、俺に感謝するのも頷ける。
まあ、彼女が助かったんだもんな。
後悔してても仕方ないか。
こっちの法律分かんないし、戦争中っぽいしな。
一人殺せば犯罪者、万人殺せば英雄って言うしな。
ははっ、気休めにもならねぇ。
けど、ぶっちゃけると、ヴァーチャルゲームでオークとゴブリン倒したくらいの感覚しかねーや。
結果オーライだ。
とりあえず、エルフの女騎士登場。
予定通り進めば重要人物です。




