第37話 グロニゲンの街へ。
第四回異世界でどうする会議は、どうするもこうするも、ぶっちゃけどうしようもなかったので、すぐにお開きになりました。
クラウディアさんの救援要請に答えるべく、夜に酒場に行って三人娘や一緒に宴会した探索者さんたちに声を掛けておきました。
結構な人数が前向きな返事くれたのはありがたいけど、君たち、行きつけっていっても大概ここにいるよね?
ちゃんと探索してますか?
で、翌日。
行き掛かり上、面倒を見ることになった冒険者たちをクジマに指示して迷宮で鍛え直させるつもりだったんだけど、彼には妹さんのことがあったので一緒にグロニゲンの街に連れてくことにした。
街に詳しい人がいると便利そうだし。
代わりにクロを訓練教官に指名した。
ただ、人の常識的な部分には不安があったので、三人娘に補佐を依頼しておいた。
もちろん報酬ありですよ?
鍛え直させる期間は正味一週間だ。
クロには昨日の夜にあちらの世界の定番の新兵訓練課程を教えておいた。
有名なあのビデオは見たことなかったので、知識の元は某名作映画と神アニメだ。
ガンホー! ガンホー! ガンホー!
ってやつね?
まあ、一週間くらいじゃ大した効果は見込めないけど、襲撃に加わるくらいだから精神的の鍛え直しが主目的だ。
いざとなったらクロなら街までひとっ飛びなので、そんなに心配はいらないだろう。
さて、それじゃあ一週間ぶりにグロニゲンに戻りますか!
そういやたった一週間かよ!
濃いな!
†
荷ー馬ー車ーが、ごーとごーと♪
マーグーナーを、乗ーせーてー♪
はい。
またしても仔牛のように荷馬車に揺られている大魔導師のアルス・マグナ、高一の15才です。
わーすーれーてーたーーー!!
グロニゲンに着く頃には、足腰ダメだな。
こりゃよう。
しくしく
「おうっ、あんちゃん! また使ってくれてありがとよ! しっかし、たったの一週間でとんぼ返りたぁ、探索者は諦めたのか? 根性ねぇなぁ! がははははっ!」
と、行きと同じ馭者のおっちゃんが笑う。
安っぽい荷馬車には、俺、ピーちゃん、ハム太、そしてクジマが同乗してる。
グロニゲンへの帰りだからか、行きと違って荷馬車に載ってる荷物は少ない。
ウォッカさん(仮)も一緒に着いて来たがったけど、鍛えてからにしろと突っぱねた。
あんながたいのいいのがアニキ!とか言いながら一緒じゃ、暑苦しいからな。
前にも言ったけど、薔薇の趣味はありません。
「いや、第三十階層まで攻略して迷宮踏破を成し遂げたぞ?」
諦めてもないし、逃げてもないですよ?
「馬鹿言っちゃいけねぇや! あそこの迷宮がいくら小さめっても難易度は高めで、十年以上前に有名な上位探索者が第二十階層で攻略を断念してからは誰もそこまで到達してねぇって曰く付きだぜ? その下に下層があるかも分かっちゃいねぇんだ。一週間やそこらで踏破したなんざぁ、法螺吹くにしても大概だぜ! なぁ、そっちの兄ちゃん!」
俺の喋り方が違うのでちょっと訝しんだけど、そこはそのままスルーしてくれた。
流石プロだね。
話の内容は信じてはくれてないけど。
「真実だぞ?」
話を振ったクジマの肯定の言葉に、目が点になるおっちゃん。
「はっ! こりゃいいや! それじゃあ、遠くないうちあんちゃんがいい話のネタになるな! 期待してるぞ! がははははっ!」
あー、これは信じてないね。
そりゃそうだよね。
俺だって人に言われたら信じられんわ。
後になって事実だと知った馭者のおっちゃんは、武勇伝を聞いておけば良かったと酒場で愚痴ってたそうです。
まる。
†
しばらく荷馬車に揺られた俺は、気になっていた案件について聞いてみることにした。
「クジマ、件の妹御の病とは、薬を処方すればすぐに完治するものなのか?」
もし薬で治る病気なら、資金はあるから多分問題ない。
厨二病みたいに薬じゃ治らない病気もあるしな!
おいっ!(セルフツッコミ)
「いえ。病状を抑えて進行を遅らせることは出来るのですが、完治するには上位の治療士でも使える者は少ない、更に上位クラスの魔法でしか難しいと聞いています」
クジマは眉間に深い皺を刻む。
きっと、妹さんが心配なのだろう。
いい兄貴ですね。
「この帝国全土を探しても、習得している者はひとりふたりしかいないでしょう。ですが薬を飲ませてさえいれば進行をかなり止めていられますから、その間に治療士を雇える金を工面しようと考えておりました」
それって、かなりキツイんじゃ?
病気の進行を止める薬を買うためだけで、俺を襲うような危ない依頼を受けたんだよな?
それで効果がどれくらいもつのか分からないけど、飲み続ければってことは一度で何年もってことは考えづらいし。
「ふむ、それは難儀だな。だが、金については心配することはない。問題はその治療士を見つけることと、引き受けて貰えるかだな」
「は? かなりの金額ですぞ? しかも治るまでの期間となると一財産にもなります」
いや、それじゃあクジマが稼ぐのに何年かかんだよ。
お前、実力は三人娘と同じ中位くらいだろ?
「クロがあの迷宮の最下層にいたドラゴンだと言う事は告げたな?」
「はあ。まあ、お聞きしました」
クロのことはまだちょっと信じられないみたいだな。
実物見ないと無理か。
「流石は何百年も生きているドラゴンと云うべきか、山ほどの財宝を溜め込んでいたのだ。そのすべての権利は、我にあるらしい」
「は? いや、ドラゴンの財宝ですか・・・」
あっ、またキャラ崩壊モード?
「伝説の類いとしてしか想像が付きませぬが、それならばなんとでもなる、のですかな?」
あっ、違った。
少しは非常識に慣れてきたか?
「まあ、他にも少し考えがある。あまり気を張らずにいろ」
「はい、感謝致します。我が主よ」
確かめてみないと分かんないけど、妹さんの病気はピーちゃんの魔法でぱっと治るかも知れないしな。
他にも方法はいくつか考えてはいるけど。
まあ、初めての家臣だ。
やれるだけのことはやるさ。
ごとごとごとごと
それよりも、腰が痛い。
クジマの妹さんの事もあるけど、バネとサスペンションの開発はしなきゃな!
あと、座布団も欲しいよな!
はい、ブートキャンプのフラグ立ちました!(悪ノリ)




