第3話 テンプレヒャッハー!(ハイテンション)
ピーちゃんのある意味ファンタジーっぽくないブレス--超有名な某ロボットアニメっぽいので名前は【波動砲(仮)】にした--が炸裂した後、第一回異世界でどうする会議(次回未定)を中止して、俺たちはそそくさと遺跡を離れた。
遺跡を壊しちゃった罪悪感からじゃないよ?
町でも村でもいいから、人のいる所を探さないと情報収集が出来ないからね!
†
ぐぐぅ~
遺跡の丘から周囲の草原を眺めて、遠くに見つけた街道らしき道を進むと、街道は森の中に続いていた。
かなり大きい森なので、迂回する選択肢は却下してそのまま森に入る。
少し歩いた頃、俺のお腹の音が盛大に木々の間に響いた。
あー、そういや転移してから何も食べてないや。
一体どれくらい経ったのだろうか?
既に何時間も歩いた気がするけど、まだ数十分かも知れない。
町や村らしきものは見えない。
木立の合間に見える陽は中天に差し掛かっているから、多分時間はお昼頃だろうか。
そりゃ、お腹もすくよな。
「ピーちゃんもお腹空いたか? せっかく森の中だし、食べられそうな物ないか探してみるか」
『キュイ!』
ピーちゃんも賛成のようだ。
†
『キュ、キュイー!』
森で迷ったらまずいので、街道から外れないように注意しつつ食料になりそうな物を探しつつ進む。
木に果実でも生っていないかと飛行しながら見てもらっていたピーちゃんが、慌てた様に戻ってきた。
『キュ! キュイー、キュ!』
すまないピーちゃん。
ぶっちゃけ何言ってるか分かんない。
『キュ!』
俺の右肩にとまったピーちゃんは、翼で街道の先を指し示す。
「あっちで何かあったのか?」
『キュイ!』
どうやらそうらしい。
よくわからないが行ってみよう。
木々に挟まれた街道を数分くらい歩いた所で、人の声と金属音が聞こえて来た。
まさか、これって・・・
注意しつつ声の方に向かうと、やっぱりと言うか戦闘が起こっていた。
俺は木の幹に隠れて様子を見る。
うおっ!
「おおっ、あれこそは王道イベント! ビバ、テンプレ! 女騎士VSオーク!!」
やべっ、超燃える!
主にエロい方向で!
あっ、ゴブリンもいる。やっぱりエロゲ的「くっころ」展開ですか!?
当然の如く、俺の声に襲ってるオークたちと襲われている女騎士が同時にこちらを向いた。
「あっ!」
しまった!
せっかく隠れてたのに!
女騎士の痴態を妄想してドキドキなんかしてる場合じゃない!
「ここは危ないですわ! すぐに離れ-- くぅ」
叫ぶ女騎士の隙を突いて、一匹のゴブリンが脇腹に石器のナイフをかすらせた。
えっ、あれってやっぱり俺のせい、だよな?
罪悪感に固まっていると、ゴブリンが何匹かこっちに向かって来る。
ヤバい!
俺、武器とか持ってないよ!
初期装備ゼロでいきなり戦闘とか勘弁してくれ!
どうしよう!
どうしろと!
どうしたら!
神様仏様女神様精霊様守護霊様この世界に召喚した誰か様!
チート、チートを下さい!
俺は生涯で初めて神様に祈った。
根拠はないけど、ファンタジー世界ならいるはずだ!
『キュイ?』
「ん?」
肩に乗ったままのピーちゃんと目が合う。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
チートキター!
†
あー、テステス。
ただいまマイクのテスト中。
こほん
えー、実況席の厨二名アルス・マグナです。
本名は--まあ、今はいいでしょう。
目の前で起こっている事を、どう表現すればいいでしょうか?
オークとゴブリンに囲まれ、(主に俺のせいで)劣勢に陥った美貌(兜でイマイチ分かんないけど)の女騎士でした。
ですが、黄色い小動物が参戦すると優勢どころか圧倒--いや、今行われているのはもう虐殺か蹂躙という表現が適切ですね。
流石というか何と言うか、小さくてもドラゴンはやっぱりパネェです。
俺がピーちゃんに「助けて!」とうるうる目で訴えると、まずは向かって来ていたゴブリンたちに容赦なくブレスを浴びせました。
【波動砲(仮)】で横に凪ぎ払う感じです。
ゴブリンたちは一瞬でほとんど跡形もなく消滅しました。
いやー、びっくりです。
向かって来たゴブリンを殲滅したピーちゃんは、ひと声鳴くと俺の肩から飛び立ちました。
まるでカタパルトで射出されるかのように、一直線に。
えっ、何言ってるんだって?
だって、そうとしか表現出来ないんだから仕方ないですよね?
羽ばたくとか飛び立つんじゃなくて、真っ直ぐにすっ飛んでったんだから。
物理法則無視は今更だけど。
まあそれで、指揮官っぽかったオークの頭が文字通り吹っ飛びました。
正直、グロかったです。
後は残ったゴブリンを弱ブレス?で掃討してます。
「グギャ!」
「ゴブぅ!」
あっ、今、最後のゴブリンが倒れたみたいです。
試合、じゃないな。
死合い終了です。
女騎士は呆然としています。
そりゃまあ、当然ですよね!




