第31話 ドラゴン娘とフィロメナ先生。
「本当に、マグっち?」
「ああ、ダンジョン探索から今戻った」
「ダンジョンから?」
「うむ」
「ドラゴンに乗って?」
「うむ。ただいまだ」
『キュイ!』
『ガゥ!』
俺に習って、ピーちゃんとハム太もただいま?をする。
「・・・・・・」
フィロメナの目が点になってる。
まあ、当然の反応ですね。
「まあ、言いたいことは分からんでもないが、無事に戻った」
「ドラゴンに乗って?」
繰り返された。
「う、うむ。新しい従魔のクロだ。クロ」
挨拶するようにクロに促す。
『我は〝穿つ大地の迷宮〟が主、地の竜種、ファフニール氏族のクロティルドだ。小さき者よ』
あっ、あのダンジョンってそんな名前だったんだ。
そういやクロって地竜なんだったっけ。
空飛んでたけど。
フィロメナが口をぱくぱくしてる。
気持ちは分かりますともさ。
「あー、フィロメナ師匠?」
「・・・・・・」
こりゃしばらくはダメかな?
『なんと! マスターの師匠ですか! これは失礼しました。私のことは気軽にクロと呼んでください。フィロメナ師匠殿』
「フィロメナ、師匠、マグっち、弟子・・・はっ!」
正気に戻った?
想像以上に師匠効果高いな。
「ふぃ、フィロメナ、です。クロ、さん?」
流石のフィロメナ先生も緊張しているのか、心持ち言葉が丁寧だ。
「マグっち、説明、求む」
何となくいつもより言葉が短い気もするな。
「うむ、説明と言ってもな。師匠も知っての通り昨日ダンジョンに潜った」
「ん、知ってる」
「で、第三十階層まで攻略したら、迷宮主のクロが仲間になった」
「説明になってない!!」
あっ、キレた!
でも、それ以上どう言えばいい?
「と言ってもな。階層主を倒しながら、順調にダンジョンを攻略して、最下層に辿りついたらドラゴンがいた。としか説明しようがない」
だよね?
「ああ、そうだ。戦う前にクロが降参したので、従魔にして乗って帰って来た」
「伝説のドラゴンが、従魔。カルっちみたいな
子どもじゃなく、成竜が・・・」
「して、フィロメナ師匠は何故ここにいたのだ?」
「この場所の、調査。長老に、頼まれた」
「それはすまんな」
「いい。師匠の、務め」
いい先生だな。
また食事でも奢るか。
『マスター、お話し中すみませんが、人型になってもよろしいか? もし他に人種が来たら面倒になるでしょうし』
「うむ」
・・・・・・
何か忘れてるような?
クロの巨体がぼぅと光りに包まれる。
あ!!
「クロ、待て! ストップ! ストップ!!」
遅かったーーー!
三度全裸美少女、降臨!
†
ごそごそ
がさがさ
後ろの方で衣擦れの音がします。
音だけって、なんかどきどきしますよね?
「お待たせしました。マスター。もう大丈夫です」
「そうか」
努めて冷静に振り向く。
フィロメナは目をぱちくりしている。
なんか可愛いですね。
「ドラゴン、喋るだけじゃ、なく、人に、変身出来る? 発表したら、すごい?」
フィロメナ先生がちょっと興奮気味?
「それは難しいのではないのかな、フィロメナ師匠殿」
「む?」
「人種に竜人族と称する者たちがいますよね?」
「いる。数は少ない、けど」
「あれは私の同胞が過去に人型に化けて、人族と子を成した混血種ですからね」
「それ、本当? ただのお伽噺、かと」
「真実ですね。あれは天竜族の--今は長老のひとりになってる竜の話のはずです。かなりのご高齢だったと思いますが、確かまだ存命してますよ?」
「で、伝説が、今ここに!」
魔石商の狐耳っ娘が乗り移ってないか?
「まあ、話はその辺にして、町に戻って長老殿に報告したいのだが」
「むう、残念。また、聞かせて、欲しい」
「マスターにお許し頂けるなら、構いませんが」
「まあ、構わんが。一応、クロが成竜だということは内緒にしてくれ」
「ん、分かった。内緒に、する」
「では、町に戻ろう。フィロメナ師匠も一緒に戻るか?」
「ん」
「カルマ、ガリア、町に戻るぞ」
『キュ!』
『ガウ!』
うむ。
元気でよろしい。
†
その後のことを語ると、長老は話をすると第三十階層にドラゴンがいた事を告げた時点で引っくり返ってしまったので、報告は後日に改めてすることになった。
いや、もう安心していいんですけどね?
目を丸くした妙齢のお孫さんに後は任せて、宿に帰った。
クロを連れて宿に泊まる手続きをする。
別々の部屋にしようと思ったんだけど、何故か一緒の部屋でいいと譲らなかった。
部屋で一息付くと、によによ顔の宿のおばちゃんの顔が目に浮かぶ。
ああ、きっと明日の朝は、あのセリフを言われるに違いない。
そんなテンプレはいらねぇ。
ぐぅ
ブクマ、評価ありがとうございます。
増えてると執筆のモチベーションが上がります!




