第30話 クリア時のショートカットは基本です。
美少女竜娘がドジっ子であるという可能性はひとまず置いておいて、第十階層にいたゴーレムや第二十階層にいたキメラはクロが魔素を集めて作っていたらしい。
それ以外の魔物は、魔素が濃い場所では自然に湧き出てくるとのことだ。
何でダンジョンの階層毎に魔物の強さが決まっているのか聞いてみたら、魔素の濃さで魔物が発生するので、大体似たような強さになるそうだ。
たまに魔素を吸い過ぎた個体がレアモンスターになったりする。
それが探索初日に三人娘を襲っていたヒュージ・スライムで、アレはただのスライムが魔素溜まりみたいな所にいて変異したっぽい。
なるほど。
不可思議現象って事ですね!
「そうか。本来ならあのゴーレムが第三十階層の主か。でも、ピーちゃんが一撃だったな」
「それは、カルマ様ですからね」
「まあ、ピーちゃんだからな」
こくこく
こくこく
うん。
なんか意気投合しました。
「では、帰るとするか。ピーちゃんとハム太は--聞くまでもないか。クロの準備はいいか? 可能であれば今日中に町まで戻りたい。難しいようなら第二十階層か第十階層でキャンプだな」
あっ、魔導師ロールプレイは復活させました。
まだまだ探索者の三人娘や町の人に普通に接することが出来るか自信ないからね。
初対面なら尚更だね!
「マスターは歩いて戻るつもりなのですか?」
「そうだが?」
他に方法なんかないでしょう?
「いえ、私がドラゴンに戻って翔べば、十分も掛からず地上に出れますが?」
おおぅ、マジで!?
ドラゴンの背に乗って帰還なんて、まさに憧れそのもの!
俺は迷う事なく賛同し、竜騎士になった自分を想像して悦に入っていた。
直後に起こる〝想定出来た事態〟には、まったく対応出来ませんでした。
はなぢぶぅ(二度目)
†
二度目でも美少女の裸体には慣れてはいなかった。
当然か。
今度はピーちゃんに回復魔法を掛けて貰って、すぐ復帰した。
竜形態に戻っていたクロに乗り、宝物庫とは違う横穴に入ると、地上に向けて斜めにでかい空洞があった。
クロはいつもここから出入りしているらしい。
そりゃそうだね!
迷宮主が一々一階層毎に上ったり下ったりするわきゃないや!
ということで、クロに乗って飛んで迷宮を脱出する。
背に乗り込んで感動している俺に、クロが「風魔法で結界張りますね~」と軽く言うので反射で頷いた。
直後、翼をばさぁっと広げたクロが、地上行きの斜めの空洞に向かって、ひと声鳴くと飛び立ちました。
まるでカタパルトで射出されるかのように、一直線に。
羽ばたくとか飛び立つんじゃなくて、真っ直ぐにすっ飛んでった。
死ぬかと思いましたとです。
クロの風魔法で護られていて風圧とか衝撃は感じなかったけど、空洞の岩肌が流れて行く様は、ジェットコースターの感覚を通り越してライフル銃から飛び出す弾丸でした。
はぁ。
物理法則無視は今更か。
んん?
なんかこの感想、前にも似たこと言った気がする。
あっ、クラウディアさん助けた時、ピーちゃんが肩から飛んでったやつか!
あの時はオークの頭ぶち抜いたんだっけ。
うっ、グロいの思いだしちゃった。
俺は頭を振って記憶を吹き飛ばし、再び忘れることにする。
でも、弾丸然としたそんな恐怖体験はすぐに終わる。
迷宮やウィンテンの町から少し離れた山の中腹にあった穴から飛び出したクロは、ばさっと翼をはためかせて空に舞い上がり、高度を取って滞空する。
わあああああぁぁぁ!
すっげぇ!!
俺は思わず感嘆する。
だってすげぇって!
飛行機に乗って上昇して、初めて空からから地上を眺めた時にもちょっと感動したけど、そんなもんじゃなかった。
なんか、これだけでも異世界来て良かったって思った。
ピーちゃんとハム太もはしゃいでる。
あっちで小鳥だったピーちゃんだって、この高さにまで飛んだことはないだろう。
「マスター、何処に降りましょうか?」
しばらく感動して壮大な光景を見ていたら、クロが声を掛けてきた。
「ん、ああ」
気を確かに持とう、じゃなくて、気を取り直そう。
「そうだな。町に直接降りると流石に大騒ぎになりかねんからな。近くの--半壊させてしまったが、林にあまり町から見えないように降りて貰えるか?」
よし。
これくらいの判断が出来るくらいの正気は残ってた。
「はい。マスター」
クロは翼を翻し、林に向かう。
「マスター、あの山に食い込んだ大きな岩はなんですか? あと、林から岩まで地面が抉れてるように見えるのですが気のせいでしょうか? 先に見た時まではあの様にはなっていなかったと思うのですが・・・」
「う、うむ。先日魔法の実験をしたのだが、少しやり過ぎてしまったのだ」
「はあ、流石はカルマ様のマスターですね。戦略級魔法まで使われるのですか。いや、早々に降参して正解でしたね」
そう、クロが呆れたように言った。
「戦略級?」
「あっ、それの説明はまた。もう林ですが、えっと、人がいますね」
速いな、おい。
「む? 人?」
林に視線を向けると、何故かフィロメナ先生がいた。
茫然としている。
あっ、目が点になってる。
†
ばさっ
ばさぁっ
クロは低空飛行になり、岩で抉れた地面を滑走路みたいにして地面に降り立った。
あー、フィロメナ先生から見たら、さぞかし大迫力だろうな。
なんでこんなんが近付いてんのに逃げないのかと思ったら、腰抜かしてらっしゃる。
チビってないといいけど。
俺なら、前触れもなくでかいドラゴンが現れたら自慢じゃないがチビる自信あるぞ。
ピーちゃんを成体のドラゴンと間違えた時には死を覚悟したし、今だから言うけど、ちょっぴりチビってた。
いや、情けないとか言うなや。
実物見たら仕方ないってば!
キャラクターとかの〝目が点〟な状態が好きです。
メガテンが好きです。
ダンジョンゲームったらメガテンですよね!
もちろんウィズも好きですよ?




