第26話 自重しないダンジョン攻略。
もうね!
後悔も反省もしないですよ?
自重?
なにそれ美味しいの?
あはははははははっ!(自棄)
第二十階層の階層主も笑うしかないくらいの勢いで、ハム太の一方的な蹂躙劇で終止したよ。
階層主はキメラだった。
いわゆる合成生物ってやつね。
キメラって色々なパターンがあるから、キマイラって言ったらいいのかな?
獅子の頭と山羊の胴体に蛇の尻尾を持ってるセオリー通りのやつだ。
魔石が変化したんだから、誰かが合成した訳じゃないと思うけど。
入っていきなり火炎のブレスでお出迎え。
尻尾の蛇は近付くと毒牙で噛みついてくるし、巨体に釣り合わない素早い動きと岩をも砕く前足の一撃は脅威だ。
普通なら。
ハム太はブレスをかすらせることもなく、蛇尻尾は難なく食い千切り、キマイラの速度以上のスピードで翻弄してぶちのめす。
犬くらいのサイズなのになんであんな威力あんの?
【麒麟】とかいう不明スキルのせいかな?
ビール会社と無関係なのは分かってたけど、謎だ。
ステータスの説明がマジで欲しい。
俺の【運命確変】や【遊戯支配】って謎スキルもわけわからんしな。
そんなこんなで、俺とピーちゃんはぼーっと見てただけで戦闘は直ぐに終了した。
瞬殺というほどではないけれど、一方的だった。
魔石はゴーレムのより少し大きかった。
ドロップアイテムは霊酒だった。
鑑定してみたら、効果は滋養強壮に育毛だと。
育毛ってなんやねん!?
キメラだったら転移の翼でも落とせや!
と、理不尽な怒りを持つも、これはこれで需要がありそうだよね!
主に中年以降の男性の一部にさ!
あっ、第十階層のドロップアイテムはミスリルのインゴットでした。
この世界でのミスリルの価値は分からんけど、ミスリル・ゴーレムってことはむっちゃ堅かったんじゃね?
それを一撃て。
ピーちゃん、お主というやつはどこまでチートなのか。(遠い目)
それを言ったらハム太もか。
そんな階層主のことより、耳を垂れさせ尻尾をふりふりして、撫でて撫でてとねだるハム太の可愛さが凄く凶悪でした。
もちろん、撫でまくり、抱きしめてもふりまくりました。
ついでにピーちゃんも。
幸せやね。
階層主のいるフロアは他の魔物が湧かないみたいなので、第二十階層でキャンプした。
途中でドロップした魔物肉を焼いて食べましたよ。
第十七階層で倒した野牛っぽいやつ。
名前は知らん。
酒場で丸焼きで食べた魔獣の豚馬の肉も旨かったけど、これはまた別格で、至高のおじさまでも美食コメンテーターでもなく、味の皇が俺にご降臨あそばされましたよ。
口からビームみたいの吐いちゃう感じで。
うーまーいーぞーー!
ってな。
はじめての魔物肉に舌包みを打ったこの日は、ピーちゃんとハム太と一緒に、だだっ広い階層の片隅で寝袋もどきにくるまれて寝ました。
もふもふサイコー!
ぐぅ
†
とりあえず翌朝。
持ってきていた干し肉や固形の野菜っぽい携帯食を食べて、ダンジョン攻略を再開する。
ウィンテンの町の長老が気にしてた下層はあった。
多分、おじいちゃん喜ぶんじゃないかな。
ダークエルフで長生きしてると思われる(未確認)エマニュエルが、この規模だと第三十階層より下はまずないだろうと言ってたから、第十階層までが上層、第二十階層までが中層、そして第三十階層までが下層ということになる。
もしあったら深層かな。
ああ、攻略が速すぎてあんまり気にしてなかったけど、十階層毎に階層の雰囲気は違ってる。
ただ、地下なのに森になったり溶岩が流れてたり、凍ってたりはなかった。
あくまでも普通の石壁っぽいんだけど、なんとなく違う感じ?
上手く言えないけど。
第二十一階層を過ぎても、ピーちゃんとハム太の無双は変わらず。
ちょっと思ったんだけどさ?
子どものピーちゃんとかハム太がこんだけ強いと、成体のドラゴンとかになったら、強さがまったく想像出来ないんだけど。
十メートル級の巨体になって、例え強さが倍になるくらいで済んだとしても、上位探索者とやらのパーティーでも一蹴されるんじゃないか?
過去に挑んだ上位探索者パーティー、第二十階層のキメラ倒せなかったらしいしな。
冒険者ギルドとかないから、魔物がどんくらい強いとか、探索者がどれくらいの実力なのかが分かんないってのは思っていた以上に不便だ。
情報が氾濫している現代社会に生きてた身としては、知識の蓄積が大事なのが殊更理解できるよ。
ステータス見れるけど、レベルとかHPとか書いてなかったしな。
ゲームやラノベのご都合設定が今、無性に欲しいです。
まてよ?
これってフラグじゃないよな?
俺が頭の中で考えてるだけだし。
昨日からずっとダンジョンの中だから、ちょっと過敏になってるのかな。
ははっ、まさかこのダンジョンの最下層にドラゴンなんているわけないよな?
よし、考えるのはやめよう。
なんか危険な気がする。
†
やっぱり荷物持ちな俺と従魔の二匹は、それからも着々と階層攻略を続けて行く。
立ち塞がる名前も分からない魔物をばったばったと打ち倒し、最短距離と思われる経路を進んで階層を踏破する。
情けなし、容赦なし、圧倒して、蹂躙して、粉砕して進むピーちゃんとハム太。
その後ろを、魔石とドロップアイテムをせこせこと拾いながら着いていく俺。
だって、魔法使ってる暇ないんだもんよ!
稼ぎは大事だからね!
俺も無双してえ!!
とか心で叫んでいたら、もう第二十九階層も後半です。
もう、階層主のいる三階層だけでいいんじゃね?
残りの二十七階層は、「ピーちゃんとハム太が無双しました。まる」で。
とか、思ったとですよ。
さっきまでは。
で、遂に来ました第三十階層。
もう打ち合わせとかなしで、無警戒に、無造作に扉を開け放って中に入ります。
なんか、巨大で円らな瞳と目が合いました。
どこかで見た感じがします。
あっ、ピーちゃんの瞳だ!
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
ド、ラ、ゴ、ン、キター!!
やっぱりさっきのアレってフラグか!
壮大なデスマーチ!!
俺が!!!
フラグでした(笑)




