第22話 続・教えて! フィロメナ先生!
前半読み飛ばしてOKです。
「じゃあ、基礎から、教える」
「うむ。お願いする」
待ちに待ったフィロメナ先生の魔法の授業だ。
気合い入れていこう。
そして、空気から脱却だ!
「魔法は大気中にある見えない魔素という力の源を操るもの。大気中だけじゃなく、世界のあらゆるものにも魔素は含まれる。人種にも、草木や岩にも欠かせない力の源。ある程度はないと身体が不調になったりする。ただ、高濃度の魔素を浴び続けたりすると危険。普通の動物が高濃度の魔素を浴び続けると魔獣になるし、人種がその人の魔力容量を超えた一定量の魔素を取り込むと魔人化したりもする。不死人のリッチなんかもそう。高位のリッチは不死王とも呼ばれている。理性が証明されてるから今は魔人族として人種に数えられてるけど、昔は魔物だと思われてた」
あっ、饒舌モード来た!
こういう時は普段みたいに途切れずに話せるんだよなぁ。
俺の心のメモ帳大丈夫か?
「魔人族とは初めて聞くな」
悪魔っぽい人類の天敵ってやつか?
でも、さっきリッチが人種って言ってたよな?
「魔人族は魔素を浴び過ぎた人種が変異したものが祖先と言われている。不死人族だけじゃなく、夜魔族 《ナイトメア》や蛇女族 《ラミア》、骸骨族 《スケルトン》もそう」
えっ。
一昨日、ダンジョンでスケルトン倒しちゃったよね?
「あれは違う。魔物。魔物は高濃度の魔素が集まって、核となって形造られた疑似生命体。先日集めてた魔石がその核。強力な魔物ほど魔石の純度が高いのもそのせい。なぜ魔素が集まると魔物になるかは分かってない。世界中の魔導師が研究してるから諸説あるけど、真実はまだ解明されてない。でも、総じて生き物ではない。倒すと魔石と身体の一部を残して消滅するのが証拠。人種も魔獣も死んで消えたりしない」
そうか。
だから魔物は魔石と身体の一部がドロップアイテムになって、魔獣は素材として剥ぎ取りをするわけか。
あの旨かった豚馬の肉とか。
「話を戻す。魔法は大気中の魔素と体内を廻っている魔素を反応させることで扱う。制御可能な魔素量を魔力と言う。大気中の魔素はほぼ無限だけど、体内の魔素は個人差があるから魔力容量は人それぞれ。容量の最大は使ってると少しづつ上がる。無限じゃないけど。この魔力を制御して、具象化するのが魔法と言う。誰でも魔力は持っていて、簡単な魔法は使えない人はほとんどいない。魔力の使い手で、ある程度の実力があると魔法士」
ふむふむ。
厨二的にはありがちな設定なので覚えやすいな。
「魔力そのものには属性はない。魔素は無色。魔法の燃料と思えばいい。つまり、魔力に属性を与えて利用するのが魔法。代表的な属性は火、水、風、土と、光、闇の六属性。この六つのどれかを掛け合わせてすべての魔法は構成されていると言われている。一属性だと欠片、二属性だと線、三属性だと角、四属性だと方、五属性以上は円と分類されてる。ただ、三属性以上の使い手は極端に少ない。因みに、カルっちの神聖魔法は属性も構成も不明」
ううっ、フィロメナ先生は詰め込み型教育か。
ピーちゃんはチートだから不思議魔法でいいや。
いや、好きな話題だからただ饒舌なだけかな。
厨二知識があるから話には何とかついていけてるけど、成績が平凡な学生にはちょっと辛くなってきたな。
「師匠はどこまで使えるのだ?」
「三属性、のトライアングル、まで使える。中位魔法士でも、上の方」
あっ、口調がもどった。
しかも自慢気だ。
ここは乗っておこう。
「ほう、それはすごいのだな」
「ん、弟子は、師匠を敬って、いい」
完全に調子に乗っちゃったよ。
小柄な体型と相まって、ちょっと可愛いかも知れん。
「う、うむ。そうしよう」
†
それからしばらく補足説明が入り、小休憩の後にようやく実技の授業になった。
「魔素を、感じて魔力の、制御をやってみる。召喚術が、出来るなら、難しくない、はず」
えと、適当に厨二フレーズな呪文を即興で唱えたらできちゃったんですけど。
魔素を感じるとか魔力制御とか何も考えてなかったよ?
「理屈は理解したが、感覚が分からぬな。師匠、手本を見せて貰えぬか?」
「ん? 分かった。師匠、お手本に、なる」
フィロメナが頷いて集中を始めると、ピーちゃんが魔法使う時みたいに小さな光が煌めき、集まっていく。
あれ?
ピーちゃんの波動砲は白っぽいけど、今のフィロメナの光は色に赤みがかかってる?
ということは、
「火炎!」
ごうっ!
拳大の炎が勢いよく飛んで、大きめの岩にぶつかる。
炎は岩に当たって飛散する。
あの部分に触ったら熱そうだ。
「おお!」
ばちぱちぱち
『キュ!』
『ガゥ!』
ぽふぽふぽふ
ぽんぽんぽん
俺の拍手に合わせて、ついさっきまで切り株の上で二匹で丸まって寝てたピーちゃんとハム太が起き出して拍手する。
でも、これで中位魔法なんだよな。
確かに対人戦と考えたらそれなりに威力はあるけど、魔物相手だと物足りないというか、微妙というか・・・
はっきり言ってしょぼい。
当のフィロメナは鼻高々だ。
実際は低いけど。
「マグっちも、やる」
「うむ。やってみよう」
今のでなんとなく感触が掴めた気はする。
そういえば、フィロメナの魔法は呪文唱えてないな?
魔法名だけでいいのか?
無詠唱?
それとも詠唱破棄か?
ということは、イメージ系の魔法?
さっきのフィロメナみたいに集中して、魔素を魔力に昇華させるようなイメージでと。
んー、なんか掌がむずむずしてきた。
召喚術の時とはちょっと違うかな。
それで、属性は火だからやっぱり酸素が燃焼する感じだよな。
空気の中の酸素を集めて、凝縮する感じに。
最初だし、大きさは拳大でいいか。
あっ、そのまま火を付けると手元で暴発しかねないな。
それは怖い。
どうしようか。
フィロメナは炎を松明の強化版みたいに燃やしてたけど、ちょっとアレンジしてみよう。
手元が熱そうだったし。
圧縮酸素と周囲の大気の間に魔力の膜で被う。
ファンタジーの定番、結界のイメージだ。
念のための安全策は取っとくべきだよね?
なんか余計な事をしてる気もするけど。
こうして使ってみると、思い通りになる魔素、魔力ってすげぇな。
魔素を練り上げて魔力に変換する感じかな。
これ、そのまま圧縮していったら魔石になんじゃね?
それは置いておいて。
よし、これで酸素に小さい火種のイメージをして着火だ。
おっ、炎が暴れ出した!
成功成功、と。
でも、気は抜かない。
フィロメナ先生がさっきの座学で、「当たるまでが攻撃魔法です」って言ってたからな。
師匠の言い付けは守らねば。
因みに、現在は【思考加速】のスキルを使ってます。
魔法の授業が待ちきれなくて、午前中に練習してました。
「青い、炎?」
フィロメナが呟く。
集中しているので、表情は見えない。
このまま野球みたいに投げてもいいんだけど、それはなんかカッコ悪いよね?
ここはやっぱり風魔法だよな。
このまま空気鉄砲みたいに、押し出すように指向性を持たせて、と。
よし、出来た!
「火炎!」
魔法名を叫びながら、掌と火炎玉の間の圧縮空気を解放する。
・・・・・・
あれ?
飛んでったか?
どがぁああああぁん!!!
おおぅ!
岩が木っ端微塵になった!?
あっ、当たった!
良かった、【思考加速】してたから遅く感じただけだったよ。
魔法の発動時にはスキル切らないと不味いかもな。
「軌道が、見えな、かった?」
目を見張るフィロメナ。
「なんで、フランマで、岩が爆砕、する?」
はい?
なんかそのままだと熱そうだったからちょっとアレンジしただけですが。
まあ、想像以上の威力で内心でちょっとはビビったけど。
「・・・・・・」
あれ?
フィロメナ先生?
なんかピーちゃんが波動砲撃ったの見た最初に時みたいな顔してね?
威力がちょっぴり強かったからかな?
「マグっち、もう卒業で、いい。免許、皆伝」
なんかフィロメナ先生が落ち込んでる?
昨日の俺みたいに、ORZ状態になってるよ?
えっ?
えっ、何で?
ホワイ?
主人公が空気読めない鈍感お馬鹿であることが発覚しました。
えっ、知ってた?




