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厨二系飼育係の成り上がり -異世界で厨二病が最強だった件-  作者: どらぬこ
第一部 大騒動な大氾濫編 第二章 迷宮探索者
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第19話 はじめての酒場、はじめてのお酒、はじめての・・・。

初感想頂きました! ありがとうございます!

想像以上に嬉しいものですね!

「予想はしていたけど、すごい金額になったわねぇ」


「ん、ぱない」


「一攫千金とはこのことだな。ヒュージ・スライムは普通は四、五人のパーティーで狩るから、人数で割ったとしても一月分の収入になるな」


「第三階層までの安い魔石でも、あれだけ数があるといい稼ぎですしね」


ピーちゃんから視線を外さなかったヴィタを置いて魔石商を後にしたところで、三人組が口々に言う。


「マグっちは単独ソロ。つまり総取り(ひとりじめ)。うはうは」


まったくです。

フィロメナのダメになるって発言が、今まさに実感を持って感じてます。


でかスライムにはそうそう遭遇しないみたいだから除外したとしても、一日で半年分の生活費を稼いだことになる。

しかも、俺はただ魔石とドロップアイテムを拾ってただけ。


異世界でピーちゃん(メス)のヒモかよ!

稼げたのになんかやるせねぇな!


「ふむ。ひとつ相談なのだが、フィロメナに魔法を教えて貰う約束もあることであるし、ヒュージ・スライムとも闘っている訳であるから、皆には金貨1枚づつを受け取って貰いたい」


流石にそれくらいしないとね?


「いいのか?」


「わぁ!」


「マグっち、太っ腹。いい男」


あっ、遠慮はしないんだ。

流石は探索者プロ

いや、日本人が遠慮し過ぎる民族なんだっけ?


でも、フィロメナは露骨ろこつ過ぎないか?


「構わん。色々と情報も得たし、夕食も奢ろう。何処か良い店はないか?」


「マグっち、いい男。抱かれても、いい。ぽっ」


そう言って、頬を染めてしなを作るお年頃のドワーフ娘。


うわぁ。

驚くほどに色気の欠片もねぇ。

これはスルーに限るな。


「マグっち、いけず」


とか小声で呟いてるけど、前のセリフも含めて聞こえないフリをする。


「それなら、私たちの馴染みの酒場があるぞ」


「あの店なら外れはないですね」


どうやら二人も無視を決め込むようだ。


「では、その店にしよう。案内を頼む」


「ああ、あちらだ」


ユスティナに先導されて、馴染みの酒場とやらに向かう。


フィロメナはちょっと拗ねてるが、気にしない。



魔石商を出た時には陽が暮れかかっていたので、酒場に着いた頃には結構暗かった。

案内された酒場は既に魔石の明かりと喧騒に包まれていた。


「よう! 三美姫ビューティー・スリーのねーちゃんたち! 今日は珍しく男連れかい! 難攻不落おとせずって有名なキレイどころを三人ともはべらすなんざぁ、新しい兄ちゃんもやるなぁ! 」


酒場に入ると、カウンターから筋骨隆々《マッチョ》のおっさんが威勢良く声を掛けてきた。

モロに荒くれ者の集まる酒場のマスターって感じだ。


ぎん!


えっ、何?

客の視線が突き刺さるよ?

背筋が寒いよ?


なんか注目浴びるって感じじゃねぇ。

殺気か?

これが世に言う殺気というやつなのか?


しかも、男性客だけじゃなくて、女性客の視線もあるって何でですか?


「あー、マスターは余計な事言うんじゃないよ。奥の席空いてるか?」


「おうっ! 遠慮なく使ってくんな!」


無数の視線が突き刺さって肩身が狭い中、奥のテーブルに座る。

ほどなくして、小柄な女性の給仕ウェイトレスがとてとてと近付いてきた。


「いらっしゃい。今日は何にするのかな?」


少女のようにも見えるけど、何となく女性っぽさがあるから、ドワーフかな?


「肉! いっぱい! あと、一番、高いお酒!」


フィロメナさん?

人間関係に遠慮って大事らしいよ?

ぼっちの俺が言うことじゃないけどさ。


「私はいつもの麦酒エールとお薦めの料理を適当に見繕ってくれ」


「私も彼女と同じで。マグナはどうしますか?」


「我はよく分からんからな。同じものを頂こうか」


「おう! 肉はどんくらいだ!?」


筋肉マスターがカウンター越しに聞いてきた。


「食べきれないくらい、いっぱい!」


はっ!?

まさかさっきスルーした報復か?


フィロメナ、恐ろしい子!!(白目の下に効果線)


いや、ここは乗っておこう。

孤独ぼっち力は封印して、マンガやラノベで鍛えられたお約束(テンプレ)力を見せつけるシチュエーション!


俺はおもむろに立ち上がってマスターの元に向かう。

相変わらずに殺気の籠った視線に注目されてちょっと緊張してるけど、ここは魔導師ロールプレイ最大出力だ!


「マスター殿! 今日は大魔導師である我が探索者シーカーになった記念だ! 皆に馳走しよう! 皆も遠慮せずに飲んで食ってくれ!」


と、金貨が数枚入った小袋をカウンターに置く。

理由は適当だ。

これも【詐術】スキルのお陰か?


マスターは袋の中を見て、目を見開く。


「おいおい、あんた何処の御大尽おだいじん様だ? 新米探索者が持ってる額じゃねぇぜ?」


「もし足りなければ追加しよう。皆に景気よく酒と料理を振る舞ってくれ」


「かー、格好いいな、兄ちゃん! おい、オマエら! 聞いた通りだ! ここにいる客だけじゃ、朝まで騒いでも食いきれねぇし倒れるまで飲ませられんぞ! ガンガン行け!」


うおおおお!!!


俺の行動に呆気に取られて静まり返っていた客連中が、さっきの殺気もどこ吹く風で騒ぎだす。


客の兄ちゃんおっちゃん姉ちゃんに肩を叩かれ勢いで抱きつかれ、揉みくちゃになりながら三人組の席に戻る。

可愛い女の子ならともかく、おっさんに抱きつかれても嬉しくない。


「マグナ、すごいな」


「思い切りますねぇ」


「ぽっ、惚れそう」


あっ、フィロメナのそれ、まだ続いているのか。

俺は苦笑して席に座る。


まだ酔っぱらってはないよな?

酒豪といわれてるドワーフだし。


「こういうのは最初が大事だからな。皆も好きにやってくれ」


上手くいったと、内心でほっとする。

あの雰囲気じゃあ、今日だけじゃなく今後やりにくいからな。

中途半端じゃ効果はあんまりないだろうし、こういう時は思い切りやるしかない。


厨二知識万歳!



「「「「乾杯!!」」」」


揉みくちゃにされている間に三人は既に飲んでいたけど、改めて四人で乾杯する。


初めて飲む異世界産のエールは、ビールとは違った味わいだった。

ぶっちゃけるとビールの方が美味いけど、そこは場の雰囲気と異世界補正だ。


えっ、未成年のくせになんでビールの味が分かるかって?

それは酔った父親に飲まされたことが何度かあるからさ!


まあ、そんなことはよくあるよね?

因みに、この世界では14才で成人だから無問題モーマンタイだ。

飲酒を制限する法律なんて元々無さそうだけどな!


「カルマも今日は大活躍だったからな。思う存分食べるといい」


ピーちゃんしか活躍してないとも言う。

俺を含めた探索者四人の戦闘シーンが、フィロメナの火炎魔法のみだったしな。


『キュイ!』


床に皿ごと肉の塊を置くと、ガブッとかじりつく。

野生、ちゃんとあるんだね。

そんな姿も可愛いらしいから、どうしても愛玩動物ペットっぽいけど。


両手に骨付き肉を持って、交互に齧るフィロメナには敵わないだろうな。

第一印象は無口で大人しそうだったけど、何気に一番キャラ濃いよね。


「今日のスペシャルだ! 魔獣豚馬(とんま)の丸焼きだ! 香草ハーブ揉み込んで炙ってるから旨いぜ!」


マッチョマスターがそう言って、両手で持ったでかい皿をテーブルに置いた。


豚馬!?

とんまって駄洒落だじゃれかよ!


いや、それよりも魔獣!?

魔獣って食えるのか!?


「ご馳走、じゅるり」


「豚馬といえば、高級肉だな。一切れでもご馳走だぞ」


「ふわぁ、丸焼きなんて初めてですぅ」


高級な魔獣肉に感嘆するユスティナはともかく、エマニュエルの目がとろんとなって、若干呂律(ろれつ)も怪しい。

褐色の肌も僅かに上気していて、そこはかとなくエロチックだ。


存在感のある双丘--いや、霊峰がたゆんと揺れて素晴らしい目の保養だ。

吸い寄せられる視線を外すのに苦労する。


くっ、煩悩はれんち退散!


「マグっち、食べる」


豚馬の丸焼きから切り分けた骨付き肉を差し出してくるフィロメナ。


骨付き肉、好き過ぎね?


魔物肉--いや、魔獣肉か。

さっき聞いたら、魔獣は強力な個体が多いので、中々出回らないから普通の家畜より高級で旨いらしい。


憧れのマンガ肉然としたその肉の塊に、意を決してガブッといってみる。


何これ、旨っ!


香草に彩られたふくよかな薫りが鼻腔びこうくすぐり、口に含めば繊維質が感じられないくらい柔らかな食感に舌と思考をとろけさせ、噛めば噛むほどに肉汁が口の中を縦横無尽に駆け巡る。


こ、これこそは、至高にして究極の味!

きっとメッシュ髪のおっさんとその息子も唸るだろう。


肉料理の異世界革命レボリューションやぁ!!


いや、どこのお笑いコメンテーターだよ!


でも、名前はともかく、マジで旨ぁ。


ブクマ、感想を頂くと作者の執筆モチベーションが上がるコン!


※狐耳っ娘に語尾付けなかったのでなんとなく。

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