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厨二系飼育係の成り上がり -異世界で厨二病が最強だった件-  作者: どらぬこ
第一部 大騒動な大氾濫編 第二章 迷宮探索者
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第18話 看板娘は狐耳っ娘でした。

「いらっしゃい! 魔石商妖狐(ヨーコ)にようこそ! 初めての探索者のお客さん!」


ドアを開けて店に入るなり、狐耳の娘さんが元気な声が俺たちを迎えた。


狐耳の娘さん(ケモミミっこ)、キター!!


狐なんて動物でも触ったことない!

耳をもふもふしたい!

尻尾をふぉっくすしたい!


「--と、〝三美姫ビューティー・スリー〟の皆さんじゃないですか!」


三人を視界に入れるなり、瞳をキラキラさせて迎える狐っ娘。


えっ、こいつら有名人なの?

っていうか、ビューティー・スリーって!


「その呼び方はやめてくれ」

「恥ずかしい」


「ん、パーティー名、〝黒銀紅こくぎんこ〟」


えっと、厨二仲間?


髪の色並べただけじゃん!

って、突っ込んだら負けかな。


「そんな! みなさんかっこよくて、かわいくて、強くて、探索者として一流なんですよ! 三拍子揃って、三美姫でも足りないくらいです! いっそのこと、〝三美神トライ・ゴッデス〟にしませんか!」


と、自信があるのか尻尾を勢いよくふりふりしながら新ネームを提案しはじめる。


ぶはっ


やべぇ。

もう我慢できなくて吹いちゃったよ!


うっわぁ、三人ともスゲー睨んでるよ。

俺は思わず顔を背ける。

だって怖いから!


「なっ、なんですか! 新しいお客さん! いい二つ名だと思いませんか!?」


何、この娘のセンス!

思わず厨二的共感シンパシーしそうになったよ!


そういやこの狐耳っ娘、俺より少し年下っぽいな。

ガチで中二世代か?


「うむ。素晴らしいのではないか?」


くくっ


笑いを堪えながら同意する。


「ですよね! お客さんわかってますね!」


含み笑いには気付かず、嬉しそうだ。

あっ、ちょっと罪悪感。


「却下だ」

「却下です」

「却下、する」


当の三人には不評だ。

そうだろうな。


厨二ネームは、自分で付けるから格好よく感じるのであって、他人から呼ばれれば即黒歴史ギルティだ。


俺もクラウディアさんからしたら、孤高の大魔導師(ノーブル・ウィザード)だからな!

経験者は語るってやつだね。


まあ、黒銀紅も大概だけど。

はっきり言って、どっちもどっち?


こいつらそれぞれにも二つ名ありそうだよな。

機会があったら狐耳っ娘に聞いてみよう。

いじられた時の反撃ネタになるかも知れない。


「狐の娘。魔石を買い取って貰いたいのだが、構わないか?」


このまま続けるとマズそうなので、本来の目的を優先する。

後ろから漂う彼女たちの殺気しせんに日和った訳じゃないよ?

ホントだよ?


「あっ、すみません! もちろんです! このトレイに並べてください! 私は魔石商ヨーコのロスヴィータっていいます。ヴィタって呼んでください!」


狐耳っ娘(ヴィタ)はカウンターの上の木製のトレイをこちらに押し出す。


「うむ。我はアルス・マグナだ。しばらく滞在するつもりなので、よろしく頼む」


「はい! マグナさんですね! よろしくお願いします!」


狐耳っ娘は元気いっぱいだな。

感情に合わせてぴくぴく動く耳が素晴らしい。


俺はバックパックから魔石を取り出して並べていく。


「マグっち、これも並べる?」


と、フィロメナが預けている魔石を差し出してきた。


「ああ、頼む。すべて買い取って貰うつもりだ」


「ん」

「ではこれも」


エマニュエルたちも隣の木製トレイに並べはじめる。


「わぁ、いっぱいですね! さすがは三美神です!」


やっぱりそれを推すのか。

探索者三人組は微妙な表情をしつつ、黙々と作業を続ける。

新しい二つ名については諦めたのかな。


「いや、これはすべてマグナのものだ」


「へっ?」


ヴィタの目が点になる。


「えっと、マグナさんは当店は初めてだと思いますけど、別の町で探索者してた方ですか? あっ、いえ。初心者に見えたので・・・」


「彼は初心者ですよー」


「初心者じゃありえないがな」


「かなり、常識外れ」


その評価は俺じゃなくてピーちゃんの事ですよね?


「はあ、みなさんがパーティー組むくらいでしたら、そうなんですね」


「臨時だがな」


「ん、いつも組んだら、ダメになる」


フィロメナの言葉に、ユスティナとエマニュエルが苦笑している。

俺も何ともいえない表情をしているんじゃないかな。


話している間も魔石並べは続いている。

だんだんとヴィタの顔が引き攣ってきた。


「何日分なんですか?」


「うむ? 今日の分だが? これで最後だな」


最後にでかスライムが残した、青みがかった大きめの魔石を置く。


「こ、これって、まさかヒュージ・スライムの!?」


「ヒュージ・スライムの魔石ですわ」


エマニュエルはなんで遠い目をしてる?


「超レアじゃないですか! 初めて見ました!」


「そうだろうな」

「ん」


二人もか。


「私たちは第十五階層まで攻略してますが、遭遇したのは初めてでしたわ」


「第十五階層以降にしか生息していないレアモンスターからな。まさか上層で遭遇するとは思わなかった」


「えっと、三美神のみなさんが倒したんじゃない、んですか?」


「マグっち、というか、カルっち」


フィロメナが俺の右肩で器用に丸まって、うとうとしてるカルマを見る。


「さっきから気にはなってたんですが、それ、猫ちゃんじゃないですよ、ね?」


竜種の幼体インファント・ドラゴンだな。信じられないが」


「未だに信じがたいですが」

「ん、夢でも、驚かない」


「嘘っ! 本物ですか!? ええっ!」


三人もそうだったけど、驚き過ぎじゃないかな?


この世界の竜の扱いってホントにレアなんだなぁ。

俺も巨大なドラゴンだったら驚くだろうけど、それこそ猫サイズだしな。


『キュ?』


あっ、大騒ぎになってピーちゃんが起きたみたいだ。

丸めてた首を上げる。


「ほ、ホントにドラゴンだ! で、伝説が、今ここに!!」


瞳のキラキラがマックスになってるよ。

ノリのいい子だ。


「はあぁ、ドラゴンって可愛いんですねぇ。マグナさんが従えてるんですか。すごい魔獣使い(テイマー)さんなんですね!」


「そうだ、な」


何とも微妙だ。

厨二設定上は魔導師なんだけどね?

まだ魔法使えないけど。


「して、買い取りの方は問題ないか?」


興味津々でまだ色々聞きたそうだったけど、話が進まないのでぶったぎる。


「あっ、はい、すみません。ちょっとお待ちください」


ヴィタはトレイから魔石を摘まんでひとつづつ査定を始めた。

魔石を種類と大きさで分類しているようだ。


よかった。

後ろ髪を引かれてるみたいだけど、若くても流石はプロだな。

仕事はちゃんとこなしてくれそうだ。


真剣な表情で魔石とにらめっこしていたが、しばらくすると彼女が買い取り金額を提示してきた。


コモン・スライム 帝国銀貨2枚

ブラッド・バット 帝国銀貨3枚

ウィル・オ・ウィスプ 帝国銀貨3枚

レッサー・スケルトン 帝国銀貨4枚

バブル・クラブ 帝国銀貨4枚

アース・リザード 帝国銀貨5枚

ヒュージ・スライム 帝国真銀貨1枚


それぞれこんな感じだった。


レアモンスターのでかスライムの魔石は、純度が高いらしく真銀貨だった。


真銀貨はほんのり青みがかった白銀色をしてる。

稀少鉱石で出来てるのかな?


因みに、銀貨10枚で小金貨1枚、小金貨10枚で金貨1枚、金貨10枚で真銀貨1枚らしい。

つまり、真銀貨は銀貨1000枚だ。


締めて真銀貨1枚と金貨7枚になった。

正確には金貨1枚と小金貨8枚だったんだけど、大量納品したので追加してくれた。

ヴィタは年下っぽいけど、商売上手だね。


三人組はでかスライムの金額に驚いている。

俺はこの国の相場がまだよく分かってないので驚きづらい。

日本円に換算するとどれくらいなんだろう?


クラウディアさんに貰った報酬から考えるとそれなりの額なのは理解できるけど、ファンタジーな服や道具じゃ比較がね?


あっ、宿代が確か一泊二食付きで銀貨4枚だったな。

あの宿だと、民宿くらいの感じか?


とすると、真銀貨1枚と金貨7枚だから銀貨1700枚で、宿代銀貨4枚で割ると・・・


425?


えっ、計算間違えてないよな?


今日一日の稼ぎで一年間は衣食住には困らないってことか?


リアリィ!?


でかスライム、マジパネェ!


いや、ピーちゃんパネェ!!


魔石商の名前のネタが判る読者、いるんだろうか?

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