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厨二系飼育係の成り上がり -異世界で厨二病が最強だった件-  作者: どらぬこ
第一部 大騒動な大氾濫編 第二章 迷宮探索者
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第13話 はじめてのダンジョン。

夕食後すぐ寝たので日の出前には起きてしまった。

日本にいた頃には考えられない健康的な生活だ。


あの、朝の「あと五分」は魔性の魅力を持ってると思う。

至福の時間だよね?


えっ、学校はって?

後のことは当然考えないさ!

ははははっ!


早朝から元気な女将さんに挨拶して朝食をお願いすると、夕食と同じ硬めのパンと肉の入ってない塩味のスープだった。


サラダと目玉焼きでも付いてたらなぁとも考えたけど、まあ、朝食ならこんなもんだろう。


女将さんに探索者って昼食どうしてるか聞いてみたら、「あんたは落ちぶれた貴族様かなんかかい?」って言われた。


この世界かこの地方かは分からないが、一般的には一日二食が普通らしい。

王候貴族でも昼は軽いおやつを食べるくらいで、聞いた感じこれはお茶会っぽいイメージだった。


あんまり邪魔するのも悪いので女将さんとの雑談もそこそこにして宿を出ると、バックパックを背負った探索者シーカーらしき人達をチラホラと見かけた。


探索者って聞いて無法者アウトローなイメージだったけど、農民並みに朝に強いのはちょっと意外だったかも知れない。


というか、冒険者ならともかく迷宮専門の探索者に昼夜って関係あんのか?


夜には魔物が強くなるとか?

まあ、行けば分かるかな?


しばらく歩くと、町の中心から外れた所に迷宮の入り口はあった。

町中の少し拓けた場所に小さな遺跡みたいな崩れた建物があり、地下に向かって階段が伸びている。


入り口の左右には兵士が立っていたけど、こちらにチラッと視線を向けただけだった。

よく訓練されてるみたいだ。

元村人とかには見えないから王国の兵士だろうか?


「坊主、この迷宮は初めてか?」


何も言われないみたいなのでさっさと迷宮に入ろうとしたら、片方の兵士が声を掛けてきた。


流石に坊主って歳じゃないんだけど、こちらの世界でも日本人は童顔に見えるから、これは仕方ないのでスルーする。


「うむ。迷宮自体に入るのが初めてだ」


やべっ。

急に兵士に声掛けられたから、緊張してまた厨二スイッチ入っちゃったよ!

馭者のおっちゃんとか宿屋の女将さんは大丈夫だったから油断してた!


はぁ。

もう腹括はらくくって、コミュ障は仕方ないとしよう。

ころころ言葉使いが変わったら余計におかしいし、魔導師ロールプレイをデフォにするかな。


と、俺が間違った決意をしていると、兵士が話を続ける。


「そうか! 魔石は持ってるかい? 入り口は明るくなってるが、奥に進むと真っ暗だぜ! 光の魔石がないとすぐに困ることになるぞ! ポーションも色々と取り揃えてあるぜ! どっちも探索者なら必需品だ!」


カモを見つけたと思ったのか、マシンガントークを繰り広げて自分の着ている軽鎧を叩く。


「あっ、ソロで潜るなら、迷宮地図ダンジョンマップはいらないか? 一階層ならたったの銀貨一枚でお得だぞ? ああ、武器や防具もあるぞ。着け心地は保証するぞ!」


もう一人も加わってきた。

あんたら兵士じゃなくて商売人かよ!


それ商品!?



兵士もどきの商人?の相手はほどほどにして、さっさと迷宮に入ることにした。


学生を狙った悪質なキャッチセールスとかの話を元の世界でよく聞いたからな。

ダンジョンマップはあると便利そうだったけど、信憑性が分からなかったし、何よりふところが寂しいので。


そこそこ長い階段を降りると、大人が数人並んでも大丈夫なくらいの広さがある遺跡のような通路だった。


階段も通路も壁に小さな結晶が嵌め込んであり、薄暗いが視界はそれなりにある。


さっきの兵士もどきに奨められた光の魔石だ。

グロニゲンの街の雑貨屋で、探索者初心者セットを買っておいたので一応俺も持ってる。


雑貨屋のおば--お姉さんが、この町では割高だと言ってたので購入しておいた。

観光地で水やジュースが高いみたいなものなのだろう。


しばらく進むと、言ってた通りに壁に嵌め込まれた魔石はなくなって暗くなった。


バックパックから光の魔石を取り出して、雑貨屋で教えてもらった手順でくっついてる小さな器具のボタンっぽいのを押して明かりを灯す。


気分は百円ライターだ。

これで半日以上はもつらしい。


素晴らしきかな、ファンタジー。


便利なんだけど、松明みたいに持たないといけないので片手が塞がってしまうところが難点だ。

まあ、火が付いてる松明なんかより危なくなくて便利だし、仕方ないけど。


因みに、簡易だけどこれは魔道具らしく、魔石を付け替えれば何回も使える優れものだ。


照明としても想像してたよりも明るい。

ダンジョンRPGみたいだ。


『キュ?』


光る魔道具を見て、ピーちゃんが可愛いらしく小首を傾げる。

珍しいのかな?


「どうしたピーちゃん。光の魔石が珍しいのか?」


『キュキュ、キュイ!』


何言ってるか分からん。


俺も一緒になって首を傾げる。

もちろん俺は可愛くはない。


『キュ、キュイー!』


と、ピーちゃんが高く鳴いた。

オークたちを倒した時みたいな光の集束が起こる。


ん?

別に魔物とかいないよな?


念のため周囲を見回すが、何の気配も感じられない。

因みに、俺は凡人だから殺気とかは分からないよ?


すると、俺の頭上にぽわんとした光が生まれ、魔石の数倍の明かりが辺りを照らす。


「はあ!?」


『キュイ!』


ピーちゃんは自慢気に、いつかみたいに胸を反らす。


「えっ、何!? ピーちゃん、明かり? えっ、もしかして光魔法?」


『キュー!』


何これ?

光の魔石と魔道具なんか要らねぇじゃん!


そこそこいい値段したのに・・・


ガクッ


無双だけじゃなくて、便利機能も搭載か。

探索者パーティーに一匹、ピーちゃんだな。



気を取り直して、迷宮探索を続けることにした。

片手が空いたので、照明のご褒美にピーちゃんの喉をカリカリしてる。


うっとりとしたピーちゃんは、やっぱり猫みたいだ。

いや、元小鳥の現ドラゴンですけどね?


ピーちゃんのステータスを改めて見ると、スキル欄に【聖魔法】と書いてあった。


ゴブリンを蹴散らした【波動砲(仮)】みたいなブレスが聖魔法かと思っていたんだけど、違ったらしい。

もしかして色々出来るんだろうか?

後で検証しよう。


今のところ魔物の影はない。

探索者のパーティーには一度会ったけど、会釈しただけで通り過ぎていった。

基本的に迷宮内では不干渉なのかな?


とは言っても、壁の灯りが無くなってからまだ三十分くらいしか経ってない。

いつ魔物が襲ってくるか分かんないから、体感ではかなり長く感じるけど。


決して、びくびくしてて腰が引けてるから歩くのが遅いせいじゃないよ?


本当だよ?


さっきすれ違ったパーティーとかがやっつけた後なんだよ。

きっとさ。


『キュ!』


誰に対してなのか無意味な自己弁護をしていると、喉カリカリに目を細めていたピーちゃんがすっと首を上げた。


ああ、俺の癒しが!

せっかく気をまぎらわせてたのに!


ぐるるぅ


通路の先から、何かの唸り声が聞こえた。

無意識に背筋が伸び、頭が急速に冷えた。


何か、いる!


ブクマニウムの補充お願いしますw

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