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厨二系飼育係の成り上がり -異世界で厨二病が最強だった件-  作者: どらぬこ
第一部 大騒動な大氾濫編 第二章 迷宮探索者
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第12話 迷宮の町に着きました。

荷ー馬ー車ーが、ごーとごーと♪


こーうーしーを、乗ーせーてー♪


はい、おひさしぶり?です。

現在、仔牛のように荷馬車に揺られている異世界名アルス・マグナ、探索者志望の15才です。


昨日まで違う世界でなんの変哲もない高校生やってました。

厨二病を拗らせてましたが、ヲタク大国日本の現代っ子としては特に珍しい事ではありません。

それくらいは個性の範疇はんちゅうです。


異論は認めますよ?


だって、エルフの姫騎士さんに緊張して魔導師ロールプレイをやっちまったのは、まだ昨日の事だからです。


異世界に来て早々の黒歴史です。

美味しくないです。


さて、グロニゲンの街から迷宮のある南東のウィンテンの町まで出ていた乗り合い馬車は、馬車は馬車でも荷馬車でした。

大量の荷物に挟まれ、身を縮めて乗っています。


想像以上にお尻と背中が痛いです。

揺れまくるトラックの荷台に乗ってるのを想像してください。


想像しましたか?


それよりもっとヒドイです。


買い物をして昼前には街を出ましたが、まだ半分も来てないみたいです。


馬車の旅に憧れていましたが、ちょっと後悔しています。

はっきりいって中世風ファンタジー世界を舐めてました。


サスペンションの素晴らしさを文字通り痛感しています。

文明って偉大ですね。


たかがバネ。

されどバネ。


バネを発明した誰かさん。

名前は知りませんが、電話を発明したテルさんみたいにバネさんとかいうのでしょうか?


とりあえずバネさん(仮)。

今、貴方は僕の中で一番尊敬できる方です。


いつかこの世界に、僕の手でバネとサスペンションを普及させてみせます。


主に移動がツラい自分の為にですが・・・



「あー、辛かったー。疲れたー!」


目的地に着いた俺は、力の限り伸びをする。

芸風せいかく変わるくらい、現代人にはマジキツイんだって。


「あんちゃん、馬車の旅は初めてだったんだろ?」


ここまで乗せて来てくれた荷馬車の馭者ぎょしゃのおっちゃんが話掛けてきた。


「はい。思ってた以上に辛かったです」


「かかっ! まあ、こんなんは慣れだかんな。なんどか乗ってりゃ気になんなくなるさ」


「そんなもんですかー」


「そんなもんさ。あんちゃん探索者シーカーになんだろ! 有名んなったら俺っちの馬車に最初に乗ったんだって自慢すっからな。頑張れや! また縁があったら使ってくれ! じゃあな!」


「あはは。どうもー」


そう駆け足に別れの言葉を言って、馭者のおっちゃんは荷馬車に乗ったまま町に入っていった。

俺と一緒に運ばれてきた荷物を商店かどこかに荷を下ろしに行ったのだろう。


あーいうおっちゃん相手になら緊張しないから、魔導師ロールプレイになんなくていいから楽だなぁ。


まあ、アルス・マグナは中学時代からのキャラクターだから今更ではあるけど、基本ぼっち仕様だからな。

あのキャラ付けのまま、まともに会話した記憶がない。

オンラインゲーム以外ではね。


実は異世界に来て一番驚いているのは、魔導師ロールプレイが違和感ない事かも知れない。

またクラウディアさんに会うことあったらどうしよう。

変えるとおかしいだろうなぁ。


こうなったらアルス・マグナを貫くしかないか。

考えるとちょっとうつだ。

こういう時は忘れるのが一番だよね!


先送りじゃないよ?

人生なるようになるってことさ!(暴投)


でも、対人スキルってこの世界にないのかな?

【交渉】とか【話術】とか。


そんなんあったら都合良すぎるか。


はぁ。

まともに美少女(ここ大事)と話してぇ。



馭者のおっちゃんと別れた俺は、グロニゲンの守備隊の詰め所で貰った通行証を門番に見せてウィンテンの町に入った。

俺が困ると思って用意してくれたらしく、クラウディアさんから朝に受け取っていたものだ。

クラウディアさん様々だ。


迷宮の存在以外は、長閑のどかな田園の風景だった。

この町は元々は小さな村で、迷宮が見つかってから村人総出で探索者を呼び込み、彼ら向けの宿屋なんかを建てて村起こしをしたらしい。


そもそも貧しい村であったから今でも迷宮くらいしか産業がないので、施設の多くは元村人が営んでいるとのことだ。


村起こしが成功したとはいえ小さな町になっただけなので、町を囲う石壁も2メートルくらいしかない。


魔物とかこんなん飛び越えられるんじゃね?


とか思ったら、迷宮や遺跡、大樹海や広い森、山岳地帯など以外で魔物や魔獣が出ることはあまりないらしく、いるとしたら大体ははぐれとのこと。


ただ、稀に〝大氾濫モンスター・パレード〟というものがあり、魔物が大群となって町や村を蹂躙じゅうりんするらしい。


これが起こったら、王都や大都市クラスの街壁じゃなきゃ役に立たないから逃げるしかないんだってさ。


つまり、この町の壁は人同士の戦争用だ。

まあ、それでも手を掛ければ登れる程度の高さなので、どれだけ役に立つのかは疑問だけどね。

崩れたままのとこもあるしな。


因みに、魔物の巣窟である迷宮は探索者がちょくちょく間引いてるので、町に魔物があふれたりは滅多にしないそうだ。


滅多に、ってとこが不安だよな?

まさかフラグじゃないよな?


魔物の大群なんてチート無しには無理だからね?

巻き込まれそうになったら当然逃げるよ?


ガクガクブルブル


ここらヘンの情報源はヒマそうにしてた門番さんだ。

小一時間は喋ってたので流石に邪魔したかなと思ったんだけど、いい暇潰しになったと逆に軽くお礼された。


町の中はこじんまりとしていて、大きな建物はない。

探索者が集まる割には宿屋も大きなものはなく、小振りな建物が数件並んでいる。


商店も大きな建物はなく、いくつかの小さい店がある以外は屋根付きの露店っぽいのが広場にぽつぽつ開いてるくらいだ。

魔石や素材の買い取りをしているお店や酒場の外観は比較的まともだった。

後はほとんど民家。


んー、町というより大きめの村?


いや、中世くらいの世界観だとすると、大きめの都市でも数万人くらいだったらしいからこんなもんなのかな。


神々の恩恵を受けて攻略していく某迷宮都市みたいなのを想像して期待してたんだけど、こじんまりとしていて拍子抜けした。


やっぱり三大迷宮とやらに行くべきかな。

そっちは街も大きそうだ。


そう言う意味では、クラウディアさんに連れていってもらったグロニゲンはちゃんと街って感じだったな。

守備隊の詰め所とかもあったし武具屋や雑貨屋もまともだったから、この辺りじゃ比較的大きな都市だったのかも知れない。


しかし、いい加減に情報過多だな。

心のメモ帳じゃなく、ちゃんとした紙のメモ帳が欲しくななってきた。


そーいや紙って高いのか?

羊皮紙とかのレベルだったら諦めよう。

絶対に高いだろうし。


もしそうだったらバネと一緒に知識チートか商売チートの候補だな。


さっきのノリはともかく、バネとサスペンションの普及はマジでやるつもりですよ?

馬車だけじゃなく、ベッドとかにも使えるからね。


知識チート系なら技術者のおっさんとかの転生が定番だよな!

所詮、高校生の知識で出来るチートなんてたかが知れてるよね!


マヨネーズの作り方すら知らねーや。

あれはスーパーで買うもんだ!


さて、と。


もうすぐ陽も落ちるし宿屋で休もう。

荷馬車からは解放されたけど、お尻の痛みと疲れはまだ回復してない。


因みに、ピーちゃんは俺が抱き抱えてたので元気だ。


うっ、羨ましくなんかないんだからね!


だから、誰得だよ?



泊まる事にした宿屋は〝竜の尻尾しっぽ亭〟といった。


はい。

ご想像通り名前で選びました。

だって、宿屋の良し悪しなんてよく分かんないもんね!


看板がまんま竜の尻尾だった。

ピーちゃんの尻尾みたいにふさふさな感じじゃなく、鱗っぽいやつだ。


恰幅のいいおばちゃんの女将さんに宿代を支払って、朝夕二食付きで一泊する事にした。


宿屋の主人が元冒険者か探索者で竜殺し--とかの小話を期待したんだけど、昔食べた下位竜の尻尾肉が旨かったから名付けただけらしい。


ドラゴン、食えるのか。

魔物肉は食用デフォか。

ドラゴンステーキとかあんのかな?


ああ、そうそう。

残念なことに看板娘はいませんでした。

おばちゃんな女将さんと料理担当のおっちゃんの夫妻だけです。


子供はとうに一人立ちしてるってさ。

心底どうでもいい情報だよね!


指定された部屋は大体八畳くらいで、探索者向けだから装飾の類いはなく、シンプルな設計だ。

木製の寝台ベッドは、干し草を敷いて厚手の布がシーツっぽく掛けてあった。


夕食。

食堂で出された兎のシチューが柔らかくて美味しかった。

日本じゃ兎なんて食べたことなかったし。

硬めのパンはそのままだと食べ難かったから、シチューに浸して食べた。


ピーちゃんは床でパンの欠片を小鳥みたいについばんでいる。


いや、みたいじゃなくて元鳥類か。

元鳥類で、現ドラゴンで、仕草は猫みたいって、ファンタジー補正かよくわからん生物になってる。

可愛いからいいけど。


この宿は竜の尻尾亭と言うだけあって、チビドラゴンのピーちゃんには優しかった。

通常だと従魔は別料金が掛かるんだけど、無料にしてくれた上にピーちゃんが食べてるパンもサービスで振る舞ってくれたものだ。


女将さん曰く、


「ちんまくても本物の竜が泊まったっちゃあ、ウチも良い宣伝になるからね!」


とのことだった。

至極しごく納得だ。


もう少し味付けは濃い方が好みだったけど、やっぱり香辛料は高価なのかな?

料理チートの出番があるかも知れん。


そういや、料理なんかしたことほとんどないな。

出来上がりのイメージと食材くらいは分かるけど、レシピを知らない。


コンビニ弁当やカップラーメンは料理にならないよな。

流石に。


うん。

ここは潔く諦めよう。


そんなとりとめもない事を考えながら部屋に戻ってベッドに身を沈めると、昨日と同じですぐに眠りに誘われる。


異世界に浮かれてテンションは高めだけど、はじめてばかりで疲れているんだろう。


クラウディアさんから報奨金たすけたおれいとしてもらった路銀も、装備や雑貨代、馬車代、宿代なんかでそろそろ心許ない。


明日は早速、迷宮を探索、してみよう。

稼げ、るといい、な・・・


すぅ


徒歩、馬車で1日20キロから30キロくらいを移動の目安としています。

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