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厨二系飼育係の成り上がり -異世界で厨二病が最強だった件-  作者: どらぬこ
第二部 大迷惑な大迷宮編(前)第三章 大迷惑英雄
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第92話 双剣と地竜王と大魔導師。

びしぃ!


なんとなく格好を付けて、伝説級《レジェンダリー》の大杖を前に掲げて魔力を貯めたのはいいのだけれど・・・。


街中で攻撃魔法は野次馬を巻き込んじゃうからNGだよな?

クジマ倒した時みたいに【思考加速】と【隠密】のコンボか、【透明化】の魔法か?


いや、それだと俺の活躍が皆に分からないか。

でも、せっかくの主人公っぽいイベントだ。

英雄を倒して格好いい二つ名を付けて貰いたいです!


とすると、派手だけど威力は限定的で、殺さない程度の魔法か・・・。


それって超難しくね?

この人って、英雄扱いされてる方ですよね?


「待ちなさい!」


野次馬に囲まれて対峙《たいじ》するステファンさんと俺の間に、中心人物であるクロが割り込みました。


「クロティルド殿!?」

「クロ?」


「だから貴方は一体誰なのです? マイマスターと私を巡って争うなど・・・争うなど・・・むっ、なかなか良いシチュエーションですね。そのまま続けてください」


おい!


「マイマスター、頑張ってくださいね」


こら!


「マイマスター・・・いや、く、クロティルド殿、さっきからのその発言は、冗談なの、ですよね?」


悲壮感が漂うステファンさんがクロに問いかけました。


「何がですか?」


「その、私を覚えてないという・・・」


「覚えてませんが? そもそも会った事があるのですか?」


ががくぅ


「そ、そんな・・・」


うっわぁ


もの凄い勢いで崩れ落ちましたね?

野次馬の皆さんも、ちょっと情けない英雄の姿に若干引いてますよ?


パーティーメンバーさんは目を白黒させてます。

余程普段とはかけ離れた様子なんですかね?


「クロ、やっぱり知り合いなのではないか? 少し不憫《ふびん》になってきたのだが」


さっきから、クロが言葉で精神攻撃《マインド・アタック》がクリティカルしまくってますよね?

彼の心のHPは、もうかなり減ってるんじゃないですか?

MP扱いだったら死にはしないのかな?


「クロティルド殿! 貴女とのあの運命の出逢いから、私は心を入れ替えて自らを鍛え直しました! すべては貴女と再び合間見《あいまみ》えんがためにこの迷宮都市で研鑽《けんさん》を積んできたのです!」


涙ながらに語る壮年の英雄さん。

惚れた女に袖にされてる様な場面《シーン》なのに、絵になっててちょっとムカつきます。

おっさんでもイケメンはお得ですね。


「そして、十数年を経て大迷宮の竜《ドラゴン》を倒す事を成し、ようやくウィンテンの迷宮に再挑戦する準備が整った矢先に、この様な・・・この様な少年に従魔《ファミリア》にされているなどと! 一体、一体何があったのですか!?」


きっ!


いや、そこで俺を睨まれてもね?


「一体何が、と言われても、遥か高みにいらっしゃる至玉なる御方に出逢い、腹を見せて従っただけですが?」


「りゅ、竜種《ドラクル》であるクロティルド殿が腹を見せて従った!? この少年に?」


あっ、今クロが言ってるのは多分ピーちゃんの事ですよ?

クロは俺のことを至高って言うし。


「えっ、竜種? あの娘さん竜の、化身なのか?」


「じゃあ、あの少年は竜を従魔にしてるってこと?」


「し、信じられねぇ。そんなの歴代の勇者ですらそうそういねぇぜ?」


「後ろの従魔たちも相当なもんだと思うんだが?」


さっきから、野次馬の中で貴方だけ目の付けどころがいいですね?

もしかして、魔獣使い(テイマー)さんですか?


「カルマ様! 申し訳ありませんがこちらへお越し頂けますか!」


『キュイ? キュ!』


ぱたぱた


クロに呼ばれて飛んで来たピーちゃんは、そのまま俺の右肩に止まった。

最近は仲魔たちと一緒の事が多かったので、そんな場面じゃないんだけどつい久々に喉をかりかりします。


ごろごろ


『キュウゥ』


うむ、やはりもふもふは至福です。


「さあ、貴方も名のある探索者《シーカー》というのであれば、この御方の素晴らしさが解るはずです!」


いや、あのね、クロさん?

この和み系小動物(もふもふさん)のどこを見て驚くと?


「ま、まさか!? 聖竜の幼体《インファント・ドラゴン》!?」


えっ、驚くの!?

というか、ステータスも見ないで解るんですか!?


「ふっ、尊《とうと》き聖竜たるカルマ様と、それを従えるマイマスターの偉大さの一端が少しは理解出来ましたか? 決闘などしていたら、貴方は今頃この世に存在していませんよ?」


「クロティルド殿! まさか私の身を案じて!」


えっ、そんな流れだったっけ?

恋愛補正?ってすげーな。


っていうかこの人、クロが竜って知ってて惚れてんの?

十数年掛けて倒して、でもって従魔にしようとしてたの?

どんだけマジなの!?


「感動してるところですまぬのだが、あー、英雄殿?」


「ステファンかステフで構わぬ。で、貴様は一体何者なのだ? クロティルド殿ばかりか聖竜を従えるなど、並みの探索者ではないのだろう?」


そういやお互いに自己紹介してませんでしたね。

探索者としては一ヶ月ちょっとの並み以下なんですけどね?


そういえば、ギルドとかないのに中位とか上位ってどうやってなるんだろう?


「我は孤高にして万象を司る大魔導師アルス・マグナである! 心してこの名を刻め! ふはははははっ!」


大魔導師ロールプレイで高らかに名乗りを上げます。


さあ、野次馬さんたち、格好いい二つ名を付けるがいい!

いや、付けてくださいお願いします!


「あ、アルス・マグナですって!?」


と、ステファンさんの後ろで茫然《ぼうぜん》としていた彼のパーティーメンバーの女性のひとりが目を見開きました。


眼鏡をかけたクール系のかなりの美人エルフさんです。

胸部はやっぱり残念(失礼)ですが、美人秘書みたいでこれはこれでいいですね。

スーツとか着てみてもらいたいタイプです。


「むっ、知っているのであるか?」


同じくパーティーメンバーのでかい盾を携えた大男が反応しました。

額に角あるし、オーガかな?


「知っているもなにも、つい数日前に私たちも聞いた名じゃない!」


「数日前?」

「何かありましたか?」


狩人風のスレンダーなダークエルフの女性に、小柄な魔法士風の優男の疑問が続きました。


ん?

何かあったっけ?


その頃って樹海かリンの迷宮にいたような?


あっ!

そういえば俺の活躍の場面がぐだぐだで無くなってないですか!?


またかっ!


マグナの名声が静かに浸透中?

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