第0話 飼育係は厨二病。
初投稿です。
よろしくお願いします。
「ふははははっ! 我が眷族よ! 古えの盟約に従い顕現せよ! 我が称は万象! 真名はアルス・マグナ。汝、カルマが朋友にして主なり!」
突然ですが、放課後の教室で高笑いしてる生徒がいたら、みなさんはどう思うだろうか。
普通は引くよね?
まあ、それって俺なんですけどね?
はい、みなさんもうお分かりですね?
厨二病を絶賛こじらせ中の痛い高校生です。
黒歴史?
なにそれ美味しいの?
情操教育とやらの一環で、ヅラ校長の方針でこの学校では各クラスにふたりの飼育係がいる。
今時、他校では存在しているかすら怪しいですよね。
小学生かっ!
因みに、女生徒の片割れは手伝ってくれない。
ちょっと可愛い子だったので、飼育係で一緒になった当初は脳内ロマンス(妄想)を展開したりしたのだけど、まあ何もなかった。
というよりも、三次元耐性のスキルがない俺にクラスで一、二を争う可愛い子というのはハードルが高過ぎました。
緊張し過ぎて厨二病を全開にした会話を繰り広げてしまい、活動初日にキモイ言われましたとです。
以降、手伝ってくれません。
当然ですよね!(キラリ)
反省も後悔もしてないですよ?
ちょっと心が寒いだけです。
と、俺の召喚に応じたのか、飼育カゴの巣箱から緑掛かった黄色い小鳥が顔をだす。
小首を傾げた感じが愛らしい。
ピーちゃ--いや、我が友カルマだ。
飼育係なんて前時代的な役職があるとは知らず、入学式の日に路上で怪我をしてたこの子を拾ってきたのが運の尽き。
担任が「責任持って世話してあげなさい」って。
いや、小動物とか好きですよ?
特に犬猫や鳥のもふもふ大好きですしね?
拾ったんだから世話するのも別にいいですよ?
でもさ、ちょっと言っていいかな?
教室の後ろの壁いっぱいに積まれた飼育カゴって何だよ!
哺乳類や爬虫類は当たり前として、虫さんもいればお魚さんも元気に泳いでます。
明らかに情操教育ってレベルじゃないよね!?
他のクラスは精々数匹ってとこだから、ここのクラス担任(女性)が非常識なだけだった。
異常に小動物なんかが好きらしく、ことある毎に拾ったり買ったりして持ってくるらしい。
でも、クラス担任の自宅はペット禁止なんだと・・・
おい
ああ、流れで飼育係に選ばれた時の、クラスの奴等の同情を通り越した憐れみの目が正直キツかったな。
そういえば、片割れ女の子はくじ引きでハズレて選ばれたんだったっけ。
ふんっ、別にツラくなんかないんだからねっ!
誰得だよ・・・
小鳥にエサをあげながらそんなことを考えてると、我が同胞たち--飼育中の小動物たちが騒ぎだした。
地震でもくるのか?
地震の前には動物が騒いだりするってのは、よく聞くからな。
「ふっ、地震大国である日本で生まれ育った我に、いまさら『大地の鳴動』などが通じるものか! 片腹痛いわっ!」
誰もいない教室で、ひとり悦に入って咆哮する俺。
寂しくなんかないですよ?
『ふふっ。頼もしい、ですね』
えっ?
空耳? アワードか?
『貴方こそ、勇者に、相応しい・・・』
また聞こえた。
きょろきょろと教室を見渡すが、誰もいない。
『勇者、よ。--の世界を、救うのです』
あー、厨二病を拗らせ過ぎて、幻聴が聞こえるくらい末期症状ですか?
よし!
ここで素で、一般ピープル的な台詞で「何?」とか「誰だ!?」などと返しては厨二の名折れ。
「いいだろう! 汝が真なる嘆きに我、万象のアルス・マグナが答えようではないか!」
大魔導師アルス・マグナは、文字通り中学生時代から愛用している厨二設定だ。
オンラインゲームとかで魔法職系のハンドルネームにもよく使ってる。
痛いですが何か?
肯定した途端、足下が消失したかのような浮遊感に包まれ、下からは吹き荒ぶ風が身体を打つ。
『感謝、します・・・。勇者、アルス・マグナよ』
教室の床に魔方陣が展開され、不思議な光に包まれる。
何だか意識が朦朧としてきた。
あっ、なんだろう。
これは失敗したかもしんない。
俺の意識はそこでプツリと途切れた。
しばらくは毎日投稿する予定です。