表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パラリンメシア 「SABURO」  作者: 増田和崇
3/4

パラリンメシア 「SABURO」③

優しい女子高生くるみと再会したSABURO。しかし何か悩んでいる様子だ。聴きだすと意外な悩みが……くるみの悩みとは⁈

パラリンメシア「SABURO」③

桜の花も散り始めた春の朝、佐武朗は「障害者施設」で朝食を職員のケンちゃんに食べさせてもらっていた。

ケンちゃんはこの施設の中でも佐武朗と気が合い、いろいろと「特別に」面倒を見てくれるいい奴だ。


「や、やっぱケ、ケンちゃんにたぁべさせてもらうのが、一番いいわぁ! このまぁえ、ピン子ババァにたぁべさせて、も、もらったら死にかけたでぇ!」

「あー、ピン子さんはせっかちだからね。押し込まれた?」

「息が、で、で、できなかったよ〜ん‼︎グハッ」

「あの人、人はいい人だけど、仕事が雑で荒いからなぁ」

「お、俺の死んだかぁちゃんみてーだ!」


佐武朗の母タキは2年前に亡くなっていた。とにかくいつも急いでいて、セッカチで、喋るのが早く声がでかい典型的な「肝っ玉母ちゃん」だった。

障害者の佐武朗以外に夫の進一は46歳で脳梗塞で半身麻痺、それに高齢の義理の母ハツエも面倒見ながら食料品店を営んでいたパワフルな人だった。

タキは死ぬ間際まで働き、突然倒れて死んでしまった。死ぬときまで「セッカチ」だった。それから間も無く障害者施設の入居空きが出来たので、佐武朗は泣く泣く施設に入ったのだ。あれからもう2年弱になる。


職員の中でも古株のベテラン「ピン子さん」は何処となく母タキと似ていたので、佐武朗は最初からピン子さんには親しみがあった。セッカチに食事を済ませようとするので、無理やり口の中に食べ物を入れるところまでタキに似ていた。


ケンちゃんに食べさせてもらいながらテレビのニュースを見ていると、最近「リベンジポルノ」というものが問題になっているとキャスターが言っている。


「け、けんちゃん、な、な、なんだいリベンジなんとかってぇ?」と佐武郎はけんちゃんに質問した。

「あ、あれねぇ〜。カップルがラブラブの時に写真撮ったのを、別れた後に腹いせにネットにばらまくやつさ」

「ヘェ〜!」

「ネットでばら撒かれると、いろんなところに拡散して削除するのが難しくなるんだよ」

「た、たいへんだなぁ!」

「今の時代ならではの嫌がらせだよね」


そんな会話をしながら食事を終えた。ケンちゃんに、他の職員には「ナイショ」のタバコをもらい火をつけてもらって、口に咥えさせてもらい食後のドライブ(散歩)に出た。


「桜もだいぶ散ったなぁ...」

佐武朗は独り言をつぶやき川沿いを愛車「カリムダンサー(電動車椅子)」で流していた。

この前再会した女子高生「くるみ」の事を考えてみた。そして再会した時の場所のあたりに来た。期待をこめて周りを見渡すと……


「あ⁈ い、いた‼︎」


くるみは川沿いのベンチに一人で腰掛けていた。佐武朗はあくまでさりげなく車椅子で近くをわざとジャリの音がするように通った。

程なくすると、くるみは佐武朗に気がついた。


「あ、おじさ〜ん‼︎ 佐武朗おじさ〜ん!」


ヒットー‼︎‼︎‼︎‼︎ と、心の中で佐武朗は叫んだ。

「お⁈ おー‼︎く、く、くるみちゃんかー‼︎」

佐武朗の胸の鼓動はレッドゾーン(危険な回転数)に達していた。


くるみが座っているベンチ横まで電動車椅子「カリムダンサー」で来た佐武朗は終始ニタニタしている。


「ど、ど、どうしたんだ?た、たそがれて⁈」

「う〜ん…、あの……」

くるみはなかなか言い出せないで身体をもじもじしている。


「あの、ちょっと相談にのってくれますか?」とくるみは少しずつ言葉を発していったのだった。

「う⁈ど、ど、どうしたぁ〜?」

「私、最近彼氏と別れたの……それで…ね、…ちょっとらゴタゴタしていて困ってるんだぁ……」

「ど、ど、どうしたの?」

「彼は別れたくないみたいで…別れたら私とキスした時の写真を、ネットに載せるって……」

「な、な、なにー‼︎ ……と、と、とんでもね〜馬鹿たれだな‼︎」

「それで困ってるの……こんな事、親にも相談できないし、私どうしたらよいのか……」

「そ、そうかー!、か、か、彼氏の写真あ、あるかー?」

「あるよ。はい、こんな感じの人なんだけど……」

そう言うとくるみはスマートホンに保存してあった「元彼」の画像を見た。

サッカー部でキャプテンをしているというくるみの「元彼」は端正なマスクをしたできの良いおぼっちゃんだ。ぱっと見では「リベンジポルノ」をするようには見えなかった。


佐武朗は一瞬鋭い目になったが、すぐにくるみを見て元のデレデレした顔になった。

「じ、じ、じゃあ……お、おじさん用事があるからいくな〜!」

「え、もう行っちゃうの⁈もう少し話したかったのに……」

「ま、ま、また、す、すぐに、あ、会えるさぁぁ〜……」と言い残しくるみと別れた。


佐武朗の眼光は怪しく鋭く光った。その顔はもう身体障害者「佐武朗」ではなく「SABURO」になっていた。


ついに「SABURO」が動きだす‼︎闇夜に発進しろ、SABURO!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ