パラリンメシア 「SABURO」②
少女との再会。
ある晴れた春の気持ちの良い日だった。
佐武朗は花見ついでに近所を散策していると、この前佐武朗を抱きかかえて「身体障害者である喜び」を心底味あわせてくれたJKを見かけた。
「お、あの可愛い子だ」
佐武朗は年甲斐もなく胸が高鳴った。
そんな佐武朗の浮かれた心情とは逆に、その子はどことなく寂しげな佇まいである。声をかけるべきか迷っていると、その子は佐武朗の存在に気がつき会釈した。
佐武朗は両手が使えないので、右足を少し上げて合図をした。その少女はこちらに歩いて来た。
「こんにちは!」
「おう!この前は〜、す、すまんね〜!」
「お身体、大丈夫でしたか?ケガしてませんか?」
「あはは!だいじょぶだよ。もともとこ、こんな、か、からだぁだからさー!あははー!」
「おじさん、かわいいー!」
「え⁈なななにがぁ〜⁉︎」
「だって凄く顔の表情が豊かだし、笑顔で一生懸命会話するし」
「そ、そうかなー!。そんなぁ風に言われたのはじぃめてぇだよ!」
「私、こういった方……身体の不自由な車椅子に乗っている人と話すの初めてだったから、少し怖かったんだ……」
「しょうがねぇーよ!世間の人間からは、け、敬遠されてるからな〜!」
「何でなんだろね。話すとこんなに楽しいのに……」
佐武朗は少女を見かけた時、話しかけるのをためらった。それはこんなに人通りが多い場所で車椅子の手足が利かない身体障害者に話しかけられて迷惑になるのではないかと思ったからだ。
「君は、ほ、本当に良い子だなぁ〜!」
「そ、そんな事全然ないです!さっきだってあんな事考えていたし……」
「ん⁈な、な、なにを?」
「私最近いろいろ嫌な事があって……もうほんと嫌になって皆んな死んじゃえ!って思っていたんです」
「そ、そうか〜!。まぁーな‼︎いろいろあ、あ、あるからなぁ〜!」
佐武朗は遠くの景色を見た。
「あの、こんな事聞いて良いか解らないんですけど……おじさん今幸せ?」
「がはははー‼︎し、幸せー‼︎」
「なんか私今、凄く胸がスッキリしました!おじさんと話せて本当に良かった‼︎ありがとうございます!じゃあ私帰ります!」
「おう‼︎がんばれよ〜!」
「あの、また会ったらこんな風に相談にのってくれますか?」
「おう!よろこんで〜‼︎」
「良かった〜!じゃあね!車椅子の叔父さん!」
少女は手を振りながら走っていったが、途中立ち止まった。
「あ!私の名前はくるみ!松田くるみ!おじさんの名前は⁈」
「サ、サ、サブロー‼︎」
「じゃあねーサブローおじさん!」
くるみと名乗った美少女はスカートをひるがえし爽やかな春の空気と共に駆けていった。
佐武朗の顔は終始緩みっぱなしなのであった。
普通のおじさんなら娘くらいの少女に淡い恋心を抱き、としごいもなくときめいてしまったSABURO。しかし、少女は心に「闇」を抱えているのだった。




