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パラリンメシア 「SABURO」  作者: 増田和崇
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闇を蹴散らす障害者ダークヒーロー。

障害者がヒーロー⁈おいおい、勝手に差別するなよお嬢さん。俺は普通のに生きてるだけだぜ‼︎

エピローグ


薄暗い警察署の留置所で「彼」は満足気にタバコを咥えていた。

「てみゃ〜、もう悪さすんじゃねぇぞ!」SABUROは昨日の騒動で一緒に檻のなかに入った不良少年に言った。

「グフッ、うごぉけるからぁだがぁ〜あるんだぁからぁ〜、だぁいじぃにつかえよ!」

少年は少しふてくされながらも、障害者で爺さんで車椅子のSABUROに蹴られた顎の辺りをさすっている。

「こんな事皆に言えないっすよ……」

「は、はははー!」SABUROは満足気に笑った。


昨晩SABUROは、なじみのラーメン屋に飲みに行こうと電動車椅子を走らせていた。

ビルの間の路地で、チンピラが中学生くらいの少年に何か言っている。

「おい、ちょっと金貸してよ。すぐに返すからさ〜」

SABUROは近ずくと「てみゃ、おれにぃもかしてぇくれよ!」

「何だよ、ていうか車椅子?障害者?!」チンピラは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている。

「何だよ、気持ち悪りぃからあっちに行ってろ。バケモンが!」

「グァははは!バケモンとぉきたぁかぁ〜!」

SABUROは愛車カリムダンサー(電動車椅子)をダッシュさせ同時に前蹴りを放った。

チンピラ小僧は顎の先端に蹴りをくらったので脳しんとうを起こしダウンしてしまった。


騒ぎに駆けつけた警官がSABUROを現行犯逮捕した。警官は「またあんたか…」と呆れ顔だ。

「フン!テメーらがもたもたすぃてたから、オレェがたすくぇたんじゃネェ〜か!バーロー」

カリムダンサーは、通常の電動車椅子の3倍の出力があるのだ。太った警官の足より速い。

しかし、ほどなくして警官複数に囲まれて逮捕されてしまったのだった。


 留置所で一夜を明かして、ようやく身元引き受け人として、甥っ子のタカカズが迎えに来た。

「SABUやんまたやらかしたのかよ。昨日飲みすぎて頭痛いところに朝っぱらから警察から電話なんて勘弁してくれよ」

「てみゃ、おじ様と言えっていってんだろ!」

「はいはい、帰りにスミノフ買ってくれよ」

「グエッガハハ!しょうがねえな」

「おい!カズ!綺麗なJK (女子高生)のパンチラ見えるあの公園の階段いこうぜぇ!!」

「わかったよ、お·じ·さ·ん」


夜の街に現れるSABURO とは違うかっこうでSABURO ではない佐武郎として昼間は行動する。

地味な「障害者ルック」で行動するのだ。こうすることでまるで目立たない、というより誰もよく見ようとしない。一瞬「障害者」という奇異な目で見られるが、よく見ようとする人はいない。まるでそこに人間は居ない如く振る舞うのだ。


 世論は障害者という存在にデリケートになりすぎて、なるべくコメントなどはしない。政治家もニュースキャスターも、お笑い芸人でさえも。

 何か言ってしまうと、必ず過剰反応する一部の人間が何かと文句を言ってくる。コメントをすればするほどぼろが出るので、テレビ番組でタレント達も障害者などの話題に口をつぐむ。


 差別や偏見などより、存在を「無」にされたり、腫れ物にさわるように養護される事のほうが障害者達からすれば嫌な事なのに。


 当の本人達は自分のことを「かわいそう」だとは思っていないし、ただ現実を受けとめているだけだ。


「カズ!あそこのJK に軽く当てろ!」

「はいはい、佐武郎おじさん……」


カズは段差で車イスがよろけるふりをしながらJK 達が立ち話している所に突っ込んだ。


「危ない!危ない!ごめんね~ごめんね~!!」

「キャアー!」


JK達は驚きながら避けたせいで段差に躓き転んで真っ白いパンツが丸見えになった。「大丈夫かい?ごめんね身体が不自由なおじさんなんだよ、かをにんしてな〜」

カズがJKを起き上がらせるときのタイミングを待ってました!!とばかりに佐武郎は自分で車イスからわざと落ちた。


「いでー!!いでーよ!(痛いよ)」

「あ!!叔父さん大丈夫!!ちょっとそこの君、起こしてやってくれないかな!」

「は、はい!!」


佐武郎の目が光った。このときの芝居はまさにアカデミー賞でオスカーを狙える渾身の芝居だった。

佐武郎をしっかりと抱きかかえ起き上がらせてくれたJKはその場にいた5人のJKの中でも一番可愛く、そして巨乳だった。


「グゥオ!!!ウップププ………」

「大丈夫ですか?おじさん!しっかりして‼」

「死んでまう….息が、息が……」

「君!その~君のオッパ……いや胸がおじさんの鼻と口を塞いでいるんだよ!!」

「あ!!ごめんなさい!」


 大丈夫ではなかった。佐武郎は今人生のピークに在るということを確信した。もう死んでもいいと真剣に思うのだった。まさに50年以上生きてきてこんなによい日もあるんだと思い「障害者に生まれて良かった」と生まれて初めて神様に感謝したのであった。



「偽善者達の薄汚い皮を剥がすのが俺の趣味なのさ」社会の固定概念、偏見や差別……そんな物まとめてぺちゃんこさ……

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