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旅立ち~初めての戦闘~

「本当に旅立つんだね……」


 祖母が寂しそうな目で見つめてくる。


 確かに、祖母はもう高齢なので旅に出るということは今生の別れになってしまう可能性が高い。


「おばあちゃん。元気でね。私が帰ってくるまで死んじゃダメだよ」


 少しセンチメンタルになってしまう。


 これまでの人生はシルバー天使が代わりになっていたとはいえ、記憶はあるのだから、当然といえば当然だ。


「何を言ってるんだいこの子は、マユカが帰ってくるまで死ぬわけないじゃないか」


 強がりを言っている祖母だが、目に涙を浮かべている。


「おねーちゃん、頑張ってね!」


「マユカ、体には気をつけるんだよ」


「うん、わかってる。じゃあ、みんな元気で!」


 それだけ言って、振り返らないように家を出た。


 目指すはエルクトンの街。


 まずはここでパーティーを見つけようと思う。

 もちろん、イケメンでめちゃくちゃ強い人を狙って。


 幸い、今のマユカには可愛い顔と、大きくて美しい胸がある。

 すぐに男は釣れると踏んでいる。


 もちろんだけれど、家で自分の姿を鏡で確かめた。

 

とても綺麗な金髪でサラサラとした髪質。

その髪は自分の胸より少し下まで長く、マユカにとって程よい長さだった。


 この世界ではどうかわからないが、日本ではストレートロングというのは定番中の定番なので、この髪も武器になるのではないかと思う。


 眉はシュッと細く、二重まぶたの大きな目。

 瞳の色は青がかかっている。


 鼻も小さく綺麗な形をしていて、唇は薄く、綺麗な薄紅色。

 さらに、そばかすひとつない透き通るような綺麗な肌。


 そんな整っている顔にかかわらず幼い感じがする。

 不完全さからくる幼さではなく、完全に仕上がっていると思われるのに幼い。と言った感じだ。


 まさに望んだ通りの顔と言っていいだろう。


 前世の自分は人間だったのだろうか、と思ってしまうほどだ。


 次に体。

 身長は低く、幼い顔に合った背丈だ。


 メジャーなどがなかったために何センチかは定かではないが、他の人とくらべてもだいぶ小さい。成人女性の頭一つと半分ほど違うのではないだろうか。


 胸は本当に望んだ通り、大きくて美しい。


 完全なる美少女ロリ巨乳。


 それがマユカである。


「馬車の乗り合いは隣の村から出るんだったよね」


 メモを開いて確かめる。

 となり村は森を抜けた先だと書かれている。


「森にはモンスターが居るんだよね」


 記憶ではモンスターを倒したことがあるマユカだが、実際に自分が戦ったことはないので不安だ。


 ちなみに、記憶によると、マユカはクレリック。

 つまりヒーラーだ。


 一人での戦闘に不安が残る。


「覚えてる魔法は、回復魔法に身体強化、肉体強化、持久力UP…………」


 なにかがおかしい……。

 少し違和感を覚える魔法の覚え方だ。


「あっ! あのクソ天使ぃぃぃぃぃ。次あった時は絶対に消滅させてやる!」


 マユカは気がついた。

 それらの魔法は自分以外にもかけられる。


 あの天使のことだ。どう考えてもエロ目的でこれらの魔法を覚え、実際に使ったに違いない。


「なんの経験値を上げてるのよあの天使は!」


 怒りで可愛い顔が台無しになっているのだが、今は誰も居ないのでセーフ。


 踏み出す足も心なしか乱暴に進んでいった。




 森の中は薄暗く、いつモンスターが現れてもおかしくはない。


 だんだんその空気を感じて始めるマユカ。


「ちょっとなんか、一人だと心細い」


 とは言っても、この辺のモンスターは雑魚モンスターしかいない。


 なので怖いとかではなく、本当に心細い。なのだ。


「お金はいっぱいあるから誰か適当にとなり村まで行く人雇えばよかった」


 そう金はいっぱいある。

 クソ天使がエロいことをして男たちから金を取っていたからだ。


「本当にあの天使は余計なことしかしない。というか人生の汚点を作るなんてホント最悪……。あいつ天使なんかじゃない。悪魔だよ!」


 その時だった。


 不自然に草が揺れる音がした。


「えっ! なになに!? 風……じゃないよね?」


 普通に考えるとモンスターだろう。


「…………」


 身構えるマユカ。

 モンスターが現れたら初戦闘だ。


 じっとこらえて出てくるのを待つ。


「がるううううううううううう」


「きゃああああ!!!!!!」


 見ていた方向と違うところからルーガルーが出てきた。


 狼のモンスターだ。


 とっさにロッドを振り回し、ルーガルーの突進を防ごうとする。

 しかし、そんなものは焼け石に水だ。


 いくら弱いモンスターとはいえど、モンスターなのだ。


 ロッドを振り回すだけでは引き下がらない。


 あっという間に腕を噛みつかれ、引きちぎろうと頭を振られる。


「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいたあああああああああい」


 泣き叫ぶマユカ。


 どうにかならないかとマユカ自身も暴れ、無意識のうちにルーガルーのお腹を思いっきり蹴飛ばした。


 すると、ルーガルーが腕から離れたので、その隙を逃さず、立ち上がり走った。


「ヒール! ヒール!! ひぃぃぃぃぃるぅぅぅぅぅ!!!」


 何度も何度も腕にヒールをかけながら逃げるマユカ。


 当然ルーガルーも追ってくるわけで、マユカに何度も飛びかかろうとしてくる。


 マユカは走りながらなんとか交わすものの、服が破かれていく。


 せっかく可愛いのだからと調子に乗ってひらひらした服を着ているのが悪い。

 ちょうどそのひらひらを噛みちぎられ、なんとも哀れな姿になっていく。


 そして、ルーガルーが思いっきり跳びかかり、マユカを巻き込んで転がった。


 その拍子に胸元が破れ、谷間が顕になる。


 この世界にはブラジャーというものがないため、ヘタしたら乳輪さえ見えてしまいそうだ。


「もうやだああああああああああ。誰か助けてええええええ」


 破れた服を抑え、泣きながら森を走る姿はとてつもなく、エロかった――。



 必死に逃げた甲斐あって、森の出口が見える。


 マユカは最後の力を振り絞って森を出ると。

 そこには一人の農夫がいた。


「だずげでぐだざああああああああああああああああい」


 顔を涙と汗でぐしょぐしょにして、サラサラだった髪が乱れ、着ている服はズタズタ。


「なんだなんだ!!!! レイプが!!!?」


「だずげで。おねがいだがらあああああああああ」


 泣き叫ぶマユカは農夫のズボンを握りしめる。


「女を穢ぞうとするやずば、ゆるざねー。おらの鍬でぶったぎってやるだ!」


 農夫は鍬を握っている手に力を込める。


 そして森から飛び出して来たルーガルーの脳天に思いっきり鍬を振り落とした。


 ギャヒンと叫び声を上げながら、ルーガルーは倒れ、動かなくなった。


 農夫はレベルが上がった!


「なんでぇ。ルーガルーじゃねーべが」


「ありがとうございます。ありがとうございます」


「大したことねーべや。ルーガルーじゃねーが」


 そう、ルーガルーは農夫も倒せてしまうほどのモンスターなのだ。


 マユカは圧倒的に戦闘力が足りない。

 クレリックだから仕方ないのかもしれないが。


「ところでおんめー。すんげー胸してんなー」


 そう言われて、マユカは自分の胸元を抑える。


「ちょっと触らせてくんねーべか?」


「この変態!!!!」


 盛大に平手打ちを食らわせてやった。

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