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マユカの目指すクレリックとは

「資金源の確保が必要ね」


 マユカの身を守るための組織を設立したが、その資金源が全然足りない。


 性的な欲求を解消させるだけでは限度があるし、現金目的の人も居る。


 それに何かと金は必要だ。


「んー、でもどうしたらいいかしら。優秀な盗賊を口説いて貢がせるのもいいのかな?」


 しかし、そういった方法を取るためには慎重にならざるをえない。


 何故かと言うと、この組織には幹部という存在がない。

 マユカが唯一無二の存在であり、マユカこそが全てなのだ。


 そのマユカが誰かを口説く、ということになれば、下手をすれば逆に襲われる可能性だってある。


「んー。私もずっとクエストしてきたから、レベルは一気に15上げれるのよね」


 何かと、レベル1の方が都合良かったからレベルを上げないでいたのだけれど、今後そういった自衛をする場面があるかもしれない。


 ちなみに、どう都合がよかったかというと、自分がレベル1だから守って欲しいという口実に使いやすかったのだ。


 回復や身体補助系魔法以外では格闘スキルしかない。


 レベルを上げていないからステータスも上昇していない。


「ステータスを、攻撃力に全ブリしよう!」


 レベルを上げる際、ステータスは上昇するのだが、実は全部自動で上がるわけではない。

 元々の素質によって自動で上がるステータスは決まっているが、三分の一は自分でどのステータスを上げるか選ぶことが出来る。


 レベルUPはスキルポイントとは違い、ギルドの認定のようなものだ。


 スキルポイントはモンスターを倒す度に上がるけれど、レベルアップにおける能力向上はギルド会館で行う必要がある。


「私がどういうクレリックを目指すか決まった!」


「1人、つまりソロプレイでも戦えるクレリック。殴りクレよ!!」


 殴りクレ。


 名称そのものは存在するけれど、そんなクレリックは正直存在しない。


 クレリックの特性を全無視だし、そもそもクレリックはパーティーに重宝されるので無理に1人で冒険する必要がないためだ。


 一応格闘スキルの初歩はスキル取得可能で、現在そのスキルは持っているが、中級・上級といった格闘スキルは取得できない。


 ならどういう攻撃方法なのかというと。


 殴りクレという名称通り、杖で殴るのだ!


「あと覚える必要のあるスキルといえば、いざと行くときのための逃走スキル。隠れ身のスキル。足音を立てないスキル。うん。盗賊の初歩段階のスキルの取得は結構重要かも」


「先見のスキルは欲しいけれどこれは覚えられないし」


 先見のスキルとは相手の動き(初期微動等)からその先どういう行動を取るのかというのがわかるスキルだ。


 これがあればどういう攻撃をどこにしようとしているのかわかる上に動きも読めるので攻撃を確実に当てれる。


「クズのところに居た、クレリックのお姉さんに意見を問いたいところだけれど。その後どこに居るのかわからないのよね」


 もしかしたら力になってくれるかもしれない。というのと知り合いの盗賊を教えてもらえるかなという淡い期待が合った。


 スキルは勝手に覚える事はできなくて、相手がこちらに教える意思を持ってスキルを使わなければスキルを取得することができない。


 格闘スキルに関してはクレリックのお姉さんが教えてくれたので問題はなかったのだが。


 ここで重要なのが、組織の人間以外の人に教えてもらわなければならないということ。


 スキルの所持は人にはわからない。


 だからこそ有効なのであって、組織の人に教わると組織の人たちに取得スキルがバレてしまう。


 そうなってくると、対策もされるため、いざという時に使えない。


「んー。割りと課題が多いなー」


 スキルに関してはすぐ覚えれるわけではなさそうだ。


「だとしたら、魔法を覚えておかないといけないかな」


 魔法に関しては職業ごとにレベルとステータスによって覚えることが可能。


「今使える魔法の上位互換は当然覚えるとして、あと覚えておきたいクレリックの魔法といえば……。リジェネ。とリセッシュ。かな」


 リジェネは時間内ずっと回復し続けるという魔法。

 どのぐらい回復するのか、どのぐらい時間がかかるのか。

 というのは能力やらによるが、今のマユカなら、一回のリジェネで5分かけてヒール2回分の回復量といったところだろう。


 だったらヒールを二回かければいいと思うかもしれないが、リジェネに関しては色々と応用が効くというか特性があるのだ。


 まず一つ、ヒールよりも発動させる時間が短いということ。

 手慣れだとまさに一瞬でリジェネをかけることができる。


 そして、もう一つの特徴は、リジェネの効果中でも他の回復魔法をかけることができ、更に他の回復魔法の分はリジェネの効果時間や回復量には干渉しないということだ。


 これが地味に大きい。


 上手く使えば常に回復している状態にすることが出来る。


 しかし、リジェネはヒール二回分よりも魔力消費が大きい。


 それが最大のネックではある。


 そして、マユカが言ったもう一つの魔法、リセッシュ。


 これはヒールの逆バージョンと言ったらわかりやすいだろうか。


 魔力を回復させる魔法だ。


 しかしこれも永久機関となるわけではない。


 なぜなら、リセッシュ一度での体力の消費で得られる魔力は。

 ヒールの2回分の体力回復量の差でヒール1回分の魔力しか回復しない。


 つまり、ヒールを使いたくてリセッシュを仮にした場合、どんどん体力がなくなるというわけだ。


 しかし、本当にどうしても魔力が必要な場合というのはかならずある。

 魔法使い系の職業で魔力切れというのはとんでもなく危険なのだ。


「持てるアイテムも限度があるからし、それに攻撃力全ブリなら、体力は増えても魔力の上昇は少ない。だからリセッシュは必要」


 そうと決まれば、早速ギルド会館に行こうとした。


「よう、じょーちゃん。今日は1人なのか?」


 今まで一度も見たこと無い男三人組が声をかけてきた。


 明らかにガラの悪そうな、不良と言った感じだ。


「私になにか用? 私は忙しいんだけど」


「いやいや、いつもは誰かしら連れてて守られてるからな。だから今まで声かけれなかったんだが、今日は1人みたいだから、お近づきになる絶好のチャンスだと思ってな」


「あー……。なに、アンタ達も私の体が目的なの?」


「なんだ、察しがいいじゃねーか。こりゃあれだな。相当男を食ってるな」


 三人でガハハと不愉快な笑い声を高らかに上げる。


「だったら話は早い。俺たちも楽しませてくれよ。お前のその可愛い顔ときれいな体と大きくて美しい胸でな。全く、男を愉しませるために生まれてきたような存在だな」


「褒めていただいてありがとう。でも私はそんな暇人じゃないので――」


 そこでマユカは気がついた。


 三人の内1人が盗賊だったのだ。


 これは盗賊スキルを覚えるチャンスだと……。


「気が変わったわ、相手にしてあげようじゃない。ただし、私に勝ったらね。さっ、場所を移しましょう」


「ガハハハ。こいつレベル1のクレリックのくせに俺たちに勝つ気らしいぜ。いつもは守られてるくせによ!」


「いやいや、そうじゃないだろ。こいつは建前ではそういうことにしてるけど、結局こいつも遊びたいのさ。いつもは見張りが居るから自由にそういう遊びができないんだろ」


「はっは! なんていう淫乱だ。楽しみだなまったく」


「着いてくればわかるんじゃないの? いいわ、約束しましょう。今回は本当に私一人、そして助けも呼ばないわ。更に三対一で良い。これでも私と戦わないというのであれば、そのまま家に帰っていただきたいのだけど」


「はっ! 聞いたかこの条件。笑いとよだれしかでねーぜ。もちろんその条件でいいだろう」


「場所はこの先にある街外れの広場にしましょう。そこなら魔法が使えるわ」


「おっと、念のため言っておくが、逃げれるとは思わないことだなこっちには――」


「盗賊が居るんでしょ? 安心して、逃げないわ」


 マユカは本当に助けを呼ばないつもりだ。


 組織の人間に助けられたら元も子もない。


 そしてこの三人を組織に入れるつもりもない。


 大事な、盗賊スキルを手に入れるための道具なのだから。


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