1000回目にしてチャンス到来!
「おめでとうございます。ついにマユカさんの積年の願いが叶う瞬間がやってきました!」
「なにいってんのこいつ」
気づけば何故か目の前に居る美女にいきなり変なことを言われてる。
自分より可愛い人美人な人には敵視するマユカにとっては完全に敵だ。
「というかなんで私の名前知ってんの? あんた誰?」
「私は超絶プリティエンジェル。シルバー天使よ!」
キャピと小さい声で付け加えながら舌をだし、ピースするシルバー天使。
「…………どの宗教の天使なの?」
イラッとしながらマユカは聞く。
マユカは別に天使に詳しいわけではないが、シルバー天使だなんてそんな天使聞いたこと無い。
「私は貴女のためだけの天使。そう、いわば唯一無二の存在……」
「そういうのいいから」
「わかりました。では致し方ありません。本題に入ります」
「どの宗教の天使なのはスルーなのね」
「秘密が多いほうがワクワクするじゃないですか」
「死んだほうが良いよ」
「天使に死ぬという概念はありません。消滅……ならありますが。そんなことはどうでもいいです、本題にいかせてください」
「うん、そうして」
「マユカさんはこの度、死んでしまったわけです」
「うん、それはなんとなく思ってた、なんでだろう初めてのことなのに既視感がある感じこれがデジャブってやつなんだね」
「実は初めてじゃないのです。マユカさんはこれまで999回の生まれ変わりを経験しています」
「999回!!!?」
生まれ変わりだとか死後の世界を信じてるわけでも信じてないわけでもなかったが、それだけ繰り返してるのは正直驚く。
「えぇ、その都度、マユカさんは私にポイントとして積立をしていたんです」
「積立……。私そんなことしてたの?」
「そうですよ、ずっと。こつこつと貯めてました」
「そうなんだ……。で、どんなポイントなの?」
「おっぱいポイントです」
「は?」
純粋に言葉が理解できなかった。
「なに、おっぱいポイントって……」
「その名前の通りですよ。その時生まれ変わるときにおっぱいポイントを貯めることにすると、次の生まれ変わりの時に胸がその分大きくなります。そのポイントをずっとマユカさんは貯めてきたんです」
「だから私は貧乳だったんだなこのクソ天使!!!!!!!!!! おかげで私の人生はクソみたいだったよ!!! 貧乳好きだと自称する変態とかにしか好かれなかったんだぞ!!! しかも顔も可愛くなかったから散々だよ!!! まともな彼氏できたことねーよ!!!」
「そうでしょう、そうでしょう。おっぱいポイントと美人ポイントをひたすら貯めてましたから」
「おっぱいポイントだけじゃなくて美人ポイントもかよ!!!! だからその手のマニアしか言い寄ってこなかったのかよ!!!!」
「マユカさん。女性がそのような言葉使いしちゃだめですよ」
「したくもなるわ!!! 自分から告白したら100%の確率で振られる辛さわかる!?」
「それはマユカさんがおっぱいポイントと美人ポイントを貯めてたからですよ」
「生まれ変わる前の自分を恨むわ……」
「けれど今までの我慢が報われる時が来たのですよ」
「そういえば願いが叶うとかそんなこと言ってた!」
「その通りです。おっぱいポイントが貯まったので好きなサイズのおっぱいを選ぶことがデキます。もちろん、美人ポイントも貯まってきているので合わせて使うことができます」
「美人でおっぱいが大きくできるのっ!!?」
希望の光が見えたかのようにマユカは食いつく。
「もちろんです。自分の好きな感じにすることができますね。おっぱいのサイズで言うならばA~Iカップまで選べますね!」
「シルバー大天使さま!」
「さっきまでなんか攻撃的だったのにすごい手のひら返しですね……」
「手のひらなんて返すためのもの!!! 早く! 早く!! 早く私におっぱいを!!」
「念願のおっぱいだからそんな感じになるのもわからなくないですが、すごいおっぱいへの執着ですね」
「美人でおっぱいとかもう最強じゃない! 私は人生をやり直す!!!」
「わかりました。ではそうですね。どんなおっぱいが良いですか? 例えばカップとか」
「それはもちろんできるだけ――。いや待てよ!!!! これはもしかしてちゃんと考えないとポイントを無駄に使ってしまうパターン!!?」
「たしかに、999回にかけて貯めたポイントですからちゃんと考えて使ったほうが良いかもしれないですね」
そこでマユカは考えた。
どんなおっぱいが一番素敵なのか。
大き過ぎず、小さすぎず。男に好かれるおっぱい。
「EカップとFカップ。どっちが良いと思う?」
「私に聞かれても……。私も胸無いですし……」
そう言われてシルバー天使の胸に目をやると。確かに貧乳だった。
これ以上ない貧乳だった。
「どんまい!」
とびっきりの笑顔で親指を立ててやった。
「Aカップですね。わかりました。そのように手配します」
「ブチ殺すぞ! この貧乳天使が!!!!!」
「モテなかったのは本当に胸と顔だけが原因なんですかね?」
「どういう意味かな? このクソ天使が」
なんとか笑顔を保ちながらマユカは言う。
「こうやってやり取りをしていても時間の無駄なのでそろそろ転生してもらいたいのですが……」
「もう、わかったよ、せっかくだからFカップにして、んで、乳首はピンク。乳輪は大きすぎず小さすぎず。それでいて美乳でお願い。垂れ乳とか嫌だし」
「わかりました。おっぱいについてはそのように設定致します。美人度についてはどうしましょう?」
「んーやっぱ顔は整ってないと話しにならないよね。あれ、でもまって、私的にはかわいい系の方が良いかもしれない」
「もちろん、かわいい系でもできます。美人ポイントはそういうのも含まれてますので。かわいい系で巨乳……。考えましたね」
「でしょう! 世の中は童顔巨乳がモテるのよ!」
「わかりました。ではそのように手配します。じゃあまた日本の現代に転生でいいですね?」
「ちょっとまって、それはやだ」
「あれ? そうなのですか? ずっと日本を所望していたのでこれまでずっと日本に送り届けてきたのですが」
「現代の日本は可愛くて巨乳な子には生きづらいと思うの。ネットが蔓延しすぎてる」
「というと?」
「隠し撮りでもなんでもだけど、一度でもネットに写真が載ってしまえばもう回収不可能。一生羞恥プレイをして生きていかないといけないわけよ。あぁ、童貞の嫉妬醜い」
「……女性のはずのマユカさんがなぜそれを知っているのですか?」
「それはもちろん私も率先してUPしてたからよ」
「最低だこの人」
「だって仕方ないじゃない。美しい奴は私の敵なの。チヤホヤされやがって……! 死ねばいいのに!!!」
「…………つまり、自分はそういう風に思われたくないと?」
「その通りよ!」
「……わかりました。では日本はやめておきます。どの国がいいですか?」
「いや、日本だからダメっていうんじゃないの。ネットというものがあるから嫌なの」
「ネットが無い世界をご所望と?」
「そうなんだけど……可能かな?」
自分で言ってみたは良いけれど、マユカは不安になった。そんな場所があるわけない。世界は確かに未開拓なところはあるけれど、いつネットが通うわかわからないし、そこが未開拓でもどこで見つかってネットに晒されるかわかったもんじゃない。
「可能ですよ。剣と魔法の世界なんてどうでしょう。そこだとネットなんてありませんし」
「それはいい! 剣と魔法の世界ってことは私も魔法使いになれるわけね。可愛くて巨乳な魔法使い。うん、良い!」
「ではそこで決まりですね。最後にですが、何歳の状態から人生を始めたいですか?」
「えっ……。それはどういう」
「えーっとですね、例えば今回マユカさんはおっぱいポイントを使うわけですが、赤ちゃんの時からおっぱいが大きい訳じゃないので、好きな年齢から人生を始められるわけです。もちろん最初から始めることも可能ですが」
「あー、なるほど、それは確かにあるかも。でも途中からだとそれまでの私はどうなるの?」
「それは責任持って私が操らせていただきます。もちろん要望があればその通りに動きますし」
「なるほどなるほど。ちなみになんですが、その世界の成人って何歳からですか?」
「14歳からですね。その歳から結婚できたりします」
「じゃあ13歳からで!」
「即決ですね……。まぁ、いいのですが。ではそれまでの生き方で要望とかありますか?」
「処女で居て」
「処女、ですねわかりました。記憶とかはマユカさんに代わってから、徐々に把握できるようになりますので。ご了承ください」
「わかりました。あー。新しい人生……ドキドキする」
「では、こんどこそ素敵な人生を! 行ってらっしゃいませ」
こうして私は異世界に転生した。