表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
太陽系興亡史  作者: 双頭龍
第1章 始まりは何時も唐突に (旧第名 転位)
9/63

第一章 転移 イシュナSide その2

ーーーーイシュナside

 ご飯を「ご飯」とか指し示しながら、そんな感じで言葉をおしえていってたんだけど、とうとう夕方になった。

 コウジが空を指し示しながら「よる」といってきたので、文字も使いながら、色々な言葉を教えた。

 文字がかけることを知ったコウジは驚いたようすだった。

 えへへ、私は女だけど文字もかけるのよ

 どう?こんな女の子、コウジの知り合いにいるの?と言った具合にちょっと自慢げに。

 私達の町や他の都市国家にも多分、あんまりいないわよ。

 そうするとコウジはパピルスを箱の中からとりだし持ってきて、胸のポケットの中にあった棒でパピルスに文字を書き始めた。

 なんとその棒でパピルスをなぞると、線がパピルスに書かれるのだった、しかし私はパピルスの入っていた箱にまだ大量のパピルスが入ってることにも驚いた。

 え、パピルスがあんなにたくさん。もしかしてコウジって商人?

 私はパピルスを指差し

 「パピルス」


 「コウジはパピルスをいっぱい持ってるのね」

 と目を輝かせながら言った。

 だって、これほどの商品を持てる商人が、すごくないはず無いじゃない。

 そうしたらコウジが身に付けていたものみせながら

 「持つ」

 といってきた。

 うんうん、それが持つということよ、と思いながらうなずいた。


 最後の方私は、疲れていたのか教えながらうつらうつらし始めた。

 コウジは困ったように知らない言葉でなにかを話しかけてきて、横になった。

 多分もう寝なさいっていってるんだろうけど、まだ起きてれるもん、まだ教えれるもん、と言おうと思ったけど諦め、コウジの横で体を横たえた。

 すぐに横になると眠ってしまった。

 

 その日の夢は怖かった。

 そう、ただただ恐ろしかったのだ。


 ヤギトの軍勢がお父様や、お兄様達、お母様達、を捕まえ、殺していくのだった。

 私はなにもできず、悲鳴をあげてばかりいたが、ついに剣が私に降り下ろされた。

 でも、コウジが私を突き飛ばし、代わりに切られた。

 「生きろー、にげろー」とコウジは叫んでいた。

 私は怖くなって大声で叫んだ。

 


 そこで目を覚ました。

 コウジが頬を流れ落ちる涙を拭ってくれていたのだ。

 私はコウジにしがみつき年甲斐もなく、泣きじゃくった。


 しばらくして、私は気を落ち着かせ、コウジの心地よい腕の中から這い出た。

 コウジはポケットから手拭いのようなものを取り出そうとして固まった。

 しばらくして別のポケットから濡れた布を取りだし私に渡してくれた。

 その布は濡れていたが、その心遣いに私は嬉しく思った。

 

 更にしばらくすると、私は完全に平常心に戻りコウジの服から手を離した。

 コウジちょっと服、汗の匂いきついよ。

 なんて思っていたのはコウジには内緒。

  

 そうするとコウジは食事の用意をし始めた


 食事の用意をしている途中、遠くから馬の足音と私を呼ぶシャムシ兄様の声が聞こえた。

 「シャムシ兄様」

 と言いながら、テントから飛び出し、兄様めがけて駆け出していく。

 シャムシ兄様は馬から飛び降り、私を抱き締めてくれる。

 こういう行動が出きる男を母様は甲斐性がある男だと言っていた。私もそう思う。

 もっとも兄様はちょっと照れ臭そうだけど。



 気づくとコウジを兄様の部下が剣を抜き、囲んでいる。

 自分の状態とこの場の状況に思いがいたった。

 「兄様、違うの。あの人に危ないところを助けてもらったの」

 「そうなのかい?僕達、早とちりをしたみたいだね。」


 「おい、剣を下ろせ!その男に妹は助けられたそうだ」

 「周りを警戒しておいてくれ。私はその男に話がある」

 そう言いながら兄様はコウジに近付いていった。

 兜を取ってコウジにお礼を言い始める。

 あ、忘れてた

 「兄様、コウジは言葉がわからないの」

 「え?言葉を持ってないような人間には思えないぞ?」

 「ええ、他の言葉を話してるわ。」

 「何語かわかるか?」

 「判らないわ」

 「そうかお前でもわからないなら、僕には更に判らないな」

 困りながら頭をかく。

 そんなやり取りを見ていたコウジが、テントの中から昨日くれた食事を持ってきてくれた。

 それを私と兄様に手渡し、頷いている。

 あ、昨日食べた美味しいだわ。

 いただきまーす、テントに入り食べ始める。

 そんな私のようすに驚きながら兄様もそれを受け取り食べ始める。

 最初は私より慎重に、しかし一口食べてからは大胆に口に頬張り始める。

 

 食べ終わるとコウジはやっぱり昨日と同じように、再利用した杯に水をいれて私と兄様に差し出してくれる。

 兄様は水が入っていた壺らしき容器に驚いていた。

 ああ、私もあんな風に驚いていたのか、と思いながら兄様を見ていると、兄様と視線が逢う。

 兄様がごまかしながら視線をそらす。

 いつも冷静でどこかずれているでもたまに勇猛な兄様がごまかす表情を久しぶりに見た気がする。

 こないだ見たときは、私が叔母様の所で穀物相場の話を一緒に聞いていた時が最後だ。

 私の母様の兄は、父様の重臣でその奥方様、つまり私の叔母様、は商家を切り盛りしている。

 そこでは普通のものを運び商いをするだけでなく銀や錫、銅の相場や大麦、燕麦等の穀物の相場、木材や石と言った相場の話もしてくれていた、そのときの話だ。

 照れ隠しのつもりか、兄様はコウジにもう一度お礼を言い始める。

 「この度は本当にありがとうございます。」

 しかし、コウジはニコニコしているだけでよくわかってないらしい。

 兄様は困って助けを求め始めた。

 「イシュナ、コウジは商人なのか?」

 「たぶんそうだと思うんだけど、連れていきたいのね?」

 「ふふ、やっぱりイシュナには勝てないなー、兄としての自信なくすよ、そんな簡単に考えてることを答えられると」

 「兄様の自信の話は置いとくとして、あの箱の中身パピルスよ、しかも出回ってるものより丈夫、且つきれいよ。」

 「なんだって、さらに我々のもとに来てもらわないとだめだね」

 兄様はたまにする怖い顔になりかけている。

 「ちょっと兄様、顔。」

 「ああこれはごめんよ、ちょっと考え込んじゃった。」

 「まあつれていくのは簡単だと思うよわよ」

 「ほう、じゃあ自慢の妹のお手並み拝見と行こうかな」

 私の考えではコウジの手持ちのあの食料はもう残り2個、ここにとどまるのは無理、しかもこんなところで大量のパピルスや、こんな不思議な壺を持って立ち往生していても無意味ね。

 たぶん通訳に裏切られたか、通訳とはぐれたか、恐らく狼を簡単に倒したあの手際のよさから考えて、裏切られたってのは考えにくいわね。

 はぐれたのなら、もう一度私達が通訳を見つけて、私達に味方するように頼み込むだけね。

 もし見つからなくても、私が教えてあげたらいいわけだし。

 よしそうと決まれば実行あるのみよ。

 意を決してコウジの手をとり、テントの外に連れていった。

 コウジはテントの中の箱を見て困った顔をした。

 「兄様ちょっとロバ、かしてくださらない?」

 「ああ勿論だ。」

 「おい、そのロバの荷物を各自背負って、ロバをこっちに持ってきてくれ」

 周囲を警戒中の部下達に命じた。

 私はやって来たロバに荷物をのせる真似をして、ついでにその行動も口にだしてコウジに教えていく。

 コウジは頷きながらテントを解体して、テントに使っていた布を折り畳み始めた。

 十分に小さくしたら食事が入ってる箱に布を詰め込み、ロバの近くまで持っていき積み込もうとしている。

 

 あれ固定できないの?

 しょうがないな、手伝ってあげるわ。


 手伝おうとすると兄様もすぐに来て手伝い始めた。

 次は反対側に水の入った透明な壺をのせようとしている。

 私は布を間に挟んで、紐でしばってあげた。

 パピルスの入った箱は重いのかロバ1頭を占有してしまった。

 残りの何に使うかわからない筒とか、折り畳める椅子とかはコウジがテントに立て掛けていたまっすぐな筒に車輪のついた物の後ろに乗せていった。

 コウジ自身も鞄らしき物を背中に担ぎ、中に大事そうに動物の皮や見たこともない物をいれていった。

 兄様の護衛達はそんなコウジの姿を見ておかしそうに笑っている。

 たぶん私も色々と見てなかったら、笑うかもしれないけど。

 さすがにコウジもムスっとしていた。

 よかったコウジも人間ってことよね。

 そうしている内にコウジが車輪のついた物に股がり頷き始めた。

 ?まあコウジのことだから、たぶんそれが馬の代わりなんだろうけど?それ本当に大丈夫なの?

 私も兄様と一緒に馬に乗り出発し始めた。

 コウジのはうを出発してから見るとコウジのその乗り物はコウジが足を動かしてる間、前に進んでるようだった。

 護衛達は驚いていた。

 えへん、私のコウジはすごいのよ。

 ちょっと兄様まで驚いているの?

 少しいくとコウジが私達の乗っている馬に近づいてきた、行き先が知りたいのか前を指差してきた。

 「バビロンに行くのよね、兄様?」

 「ああ、そこに皆いるよ。」

 

 「バビロニア バビロン」

 とコウジに教えてあげた

 途中村を抜けユーフラテス川の近くの街道に出て、しばらくするとバビロン市の城壁が見えてきた。

 今のバビロニアの統治者はシン・ムバリト、恐らく彼は父様を使いユーフラテス川上流のマリを牽制し、あわよくばマリ、あるいわ下流のウルに対して影響力を拡大したいのだろう。

 彼は昔ウルの軍勢と戦い敗れ一時期領地を奪われた時があった。

 その時、父様が軍1万を率いて援軍に駆けつけたのだ

 父様の活躍もあったのか、これでも父様は戦だけは弱くないらしい。

 簡単に奇襲を受けた戦しか知らない私には信じられないけど。

 バビロン市内に入り王宮に向かう中央通りの途中で、コウジは飯屋に入っている男達の飲んでいる物に目を奪われていた。

 知ってるわ、男の人も女の人も大人は大概ビールや、ぶどう酒、ナツメヤシ酒とか好きだって叔母様も母様達も言ってたわ。

 あなたにはまだ早いわね~、もし一緒に飲めるのならいいはなしができそうなのにね~ですって。

 まあこんなこと言うのは叔母様だけだけど。

 そんなこと考えていると兄様が馬から降り一軒の飯屋に入っていった。

 出てきたときには手に杯をもっていて、それをコウジに手渡した。

 「ビール」

 私は名前を教えてあげた。

 お酒ぐらいでどうこうできる人は楽でいいわ~、叔母様談より。

 まあコウジはそんな簡単な人じゃないと思うけど。

 コウジがビールを飲み干し杯を返しあと私達一団は王宮前の坂まできた。

 コウジが坂を見て嫌そうな顔をしているもしかしてその乗り物坂、苦手なのかしら?

 結局途中まで頑張ってこいでいたコウジは坂の半分ぐらいで降りて手で押し始めた。


 王宮前の厩舎に馬とコウジの乗り物を預け私達は王宮の中に入っていった。

 コウジを一室に通し待っていてもらうようにお願いした。

 コウジは頷きながら椅子に座っていた。

 私と兄様は父様の元に行った。

 部屋にはいると父様と重臣の人達がいた。

 父様が私に気づき抱き抱えてくれた。

 「おおー、イシュナ無事だったか、よかった、本当によかった」 

 「はい父様、他の皆様は無事ですか?」

 「はは、残り安否不明だったのはお前だけだったんだよ、なにせヤギドに狙われていたのはお前だったから、心配したんだぞ」

 「はい。ありがとうございます父様」

 ようやく父様の腕の中から解放された。

 それから途中有った出来事を話し、コウジのことを紹介した。

 「そうか、イシュナがそんなに言う奴を一目みたいな、おいシャシム!」

 「はい、父上 一室で待ってもらっております。」

 「そうかまいどながら手際が良いな」

 「よし、挨拶しにいこう」

 「その父様コウジはさっき話したように言葉がわかりません。それで、失礼があるといけないので私も一緒にいってもよろしいですか?」

 「うーん、まあよい。あまりでしゃばるなよ、此処は家ではないのだぞ、まあ賢いお前ならわかっていようが」

 「はい父様、ありがとうございます。」

 「ほう、これはいつにもまして素直ですな。」

 サイード叔父様がからかう

 「その素直でない責任の一端がお前にもあると思わんのか、サイード?」

 父様がにらみながら聞く

 「賢く育てよ、と言ったのは王様ですぞ。」

 「そうであった。これほどまでに後悔するとは思わなんだわ」

 シャムシ兄様に案内させ笑いながら部屋を出ていった。

 

 父様はコウジが待っている部屋に入りながらコウジを抱き締め

色々とれお礼をいっている。

 たぶんついでに体についている筋肉とかも触って調べているのだろう。

 コウジに色々と父様や回りの重臣達が聞いている。

 代わりに私が答える。

 しばらく父様はコウジの肩を叩いたり重臣と話したりしていたが食事の用意ができたので移動していった。

 コウジの手を引き、食事が用意してある部屋につれていって私の横に座らせる。

 私はお皿に乗っている物を一つ一つ丁寧に教えていく。

 父様はコウジを称賛して杯を掲げさせ、私が腕を引っ張って持ち上げさせただけだが、父様の音頭で皆が杯を掲げた。

 ようやく食事が始まった。

 コウジはミートパイを食べはじめた。

 すぐに全部食べ、私を見てきた。

 よくたべるの、ねお腹すいてたのかしら?確かにミートパイ美味しいもんね、私は微笑み返した。

 次に骨付きの羊の肉にてを伸ばしかぶりついた。

これは私も好物なの、食べてる途中にこっち向かないで、恥ずかしい。

 今度は油菜と豚肉を炒めた皿に手を伸ばし満足したようにたべている。

 私は油菜苦手なのは内緒。

 途中野菜炒めをパンに挟んでいる人をコウジが見ていたので、先にパンに包んであでておく、案の定パンをとろうとしたから包んだパンを渡してあげた。

 美味しそうにたべている。

 杯の中身がなくなったのかキョロキョロしているコウジに父様が近づき、ぶどう酒を注いでいる。

 コウジはありがとうと父様に言っているので通訳してあげる

 「ありがとうですって」 


 「おお、そうかそうか」

 肩を叩きながら自分の席に戻る。


 こうして食事は終わっていった。 

 

ようやく次話に運命を左右する人?を登場させれそうです。

キーワードに先に書いてしまっていますが、キーワード詐欺にならずに済みそうです。


ただ宇宙にいくのはまだまだ、の予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ