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太陽系興亡史  作者: 双頭龍
第1章 始まりは何時も唐突に (旧第名 転位)
8/63

第一章 転移 第5話

ブックマーク有難うございます。頑張ります。

 三日目 夕方

 色々と教えてもらった。

 食べ物は「ニンダ」

 と言った具合に、色々と指し示し、言葉を教えてもらった。


 そしてなんと、イシュナは文字もかけるようだ。

 象形文字というのか、楔方文字というのか、

 なんかそう言われていた文字を、地面にすらすらと書き始めたきは、驚いた。

 夜になって空を指し示したら、言葉と一緒に絵文字を棒で書き始めたのだ。

 ちょっと自慢げな様子だった。

 この文字は夜を表すらしい。


 お返しに持ってきた紙の余白に英語と漢字、カタカナ、ひらがなを教えてあげた。

 すごく驚いてた。

 特に紙に。

 紙、無いのか?

 と、思っていたら

 「パピルス」


 「コウジ パピルス マス コンテ」

 顔を輝かせながらいってきた。

 お、また文章が来たな。

 この時代の文法はSOV式なのかな?

 

 ためしに「コンテ」といいながら身に付けているものを見せると、「コンテ」といいながら、うなずいてくれた。

 

 こういう風に教えてもらっていたけれど、夜も更けてくると、

イシュナは、うつらうつらしながらまだ教えようとしてくれる。

 いや、寝なさいって。

 教えてあげようって気持ちが先行してるんだろうな。

 頭を撫で

 「ありがとう、でももう寝ようね」

 そう言いながら、イシュナのほうを向きながら横になった。


 イシュナも諦めたように横になって寝た。

 


 次の日の朝

 朝起きるとまだイシュナは寝ていた。


 イシュナ、目に涙浮かべてるよ。

 よっぽど狼に襲われてこわかったんだろうな。

 涙を拭ってあげているとイシュナは目を覚ました。

 そしてこちらを見ると抱きついて大泣きし始めた。

 

 ついついもらい泣きしそうになってしまった。

 危ない、危ない。

 年上の威厳台無しじゃないか!


 しばらくすると腕の中で泣いていたイシュナが、腕の中から落ち着いたように抜け出してきた。

 まだギュッと俺の服つかんでいるけれどね。

 

 もうちょっとお兄さんの胸の中で泣いとってもいいんやでー

 胸ぐらいいくらでもかしたるでー

 ちょっと汗くさいけど我慢したってやー

 

 とか思いながらハンドタオルを取りだし・・・

 イヤダメ、これえげつないほどくさ

 ウエットティッシュにしよう。

 ウエットティッシュをとりだし、一枚渡してあげる。

 

 更にしばらくすると、イシュナは完全に落ち着いて、手を僕の服から離してくれた。

 


 とりあえずご飯を作ってあげよう。

 あと4個になったレーションの内、2個を取りだし用意し始める。


 その時遠くから馬のいななきと、なにかを叫ぶ人の声が聞こえる。

 それを聞いたイシュナが、テントから駆け出していく。

 多分、相手の名前を呼びながら

 うん親か、兄弟がイシュナを探しに来たんだろう。


 まあ、顔だけでも拝むとしますか。

 

 するとそこには、馬に乗って鎧兜を着けた男8人と、ロバ4頭

がこっちに向かってくる。

 イシュナは真ん中いる男のもとに駆け出していった。

 男は馬から降りイシュナを男が抱きしめる。

 

 うん、よかったよかった


 あれ、他の男が剣を抜きながらこっちを囲むようにやって来たぞ。


 イシュナさん、助けて。

 俺、勘違いされてるよ。

 確かに目を赤く腫らした女の子と一緒にテントから出てくるとそういう反応をとりたくなるのは、理解できるところではあるんだけど。

 勘違いです。

 やましいことはしてないよ、イヤ、ホント。

 え、信用できないって。

 いやいや、イヤだなー、信用してくださいって、

 

 周りを囲んだ男達と、そんな感じの、目で会話するという高等コミュニケーションをとっていると、イシュナに抱きつかれていた男が周りを取り囲んでる男達に何か命令し始める。

 そうすると男達は睨み付けながら剣を納め、周囲を警戒し始める。

 イシュナと一緒に男が、こっちにやって来る。

 兜を脱ぎ膝をつきお礼らしき文言をいってくる。

 イシュナが2、3なにかを言って、男は困ったように頭をかく。

 ふむ、食事でもご馳走してみようか?

 テントから用意し終わったレーションをその男とイシュナに渡す。

 イシュナはお腹がすいていたのかすぐに受け取り、食べ始める。

 そんなイシュナの様子に驚きながらその男もレーションを受け取り、食べ始める。

 最初は恐る恐る、一口食べて驚き、更にスプーンが進む。

 ふははは、悪くない味だろう、ただ俺はもっと美味しいもの食べなれてるけどな。


 なんて思っていた時期があった、とだけいっておこう。


 この時代の食事も結構美味しかったりしたのは、まだこのときの俺は知らなかったのだ。

 

 さて、二人とも食べ終わりペットボトルから水を取りだし二人にあげていると、やっぱり男は驚いた。

 ふふふ、その反応は、イシュナにそっくりだぞ、しかし男がしても可愛くないぞ、なんて思いながらレーションを片付ける。

 男は改めてお礼らしきものをいってくれた。

 俺がニコニコしていると、困ったようにイシュナとなにかを相談しはじめた。

 イシュナが俺のほうを見て、手を繋ぎテントから外に引っ張り出した。

 多分一緒に行こうといっているのだと思う。

 うーん、願ってもないんだけど。

 荷物がな、結構あるからな。

 と、思いながら荷物のほうを見ていると、イシュナがまた男になにかを言った。

 男は回りの男達に命令してロバを連れてこさせた。

 イシュナがロバを指差し荷物をこれに乗っけろとジェスチャーしてくれた、言葉に出しながら。

 こんな事態でも言葉を教えてくれる、いい先生だ。

 俺は頷きながらテントを解体して、ビニールシートを折り畳み始めた。

 ビニールシートを折り畳みレーションが入っていた箱にしまい、ロバに積み込もうとするとイシュナが手伝ってくれた。

 それを見た男がイシュナを手伝い、水のペットボトルが入った段ボールを、俺が積み込もうとしていたロバの反対側に布を噛まして紐で括ってくれた

 紙が一杯入った箱は重かったのか、ロバ1頭の背中に括っていた水と食料をどけ、回りの男達に背負わせ、乗っけてくれた。

 残りのがらくたはマウンテンバイクの後ろに固定して、残りの壊れ物、望遠鏡とか、タブレットとか、ラップトップ等は鞄の中にいれ持ち運ぼうとした。

 マウンテンバイクを見て回りの男達は、首をかしげたり、笑ったりしていたけどね、動いたらぜったい驚くぞ、お前ら、先にいっといてやる。

 笑われて く、悔しいんじゃないんだからね。

 え、こんな野郎のツンは見てもしゃあないって。

 うん、知ってた。


 さて、そんなこんなで出発。

 イシュナは男の背中に乗った。

 俺もマウンテンバイクで追走する、

 回りの男達もロバを囲みながら後ろからゆっくりと進んでくる

 うん、これくらいのスピードならついていけるよ、

 しかも、お前ら驚いてるだろう、さっきからこっち指差したり首かしげたり話し合ったりしてるよ。

 えっへっへ、どうだ参ったかー

 さて、溜飲も下がったところで何処に向かっているんだろう?

 イシュナの馬に近付き、前を指差してみる

 イシュナは男に行き先を聞いているのか、会話している。


 「バビロニア、 バビロン」

 え、バビロニア?

 あのバビロニアのバビロンか、

 たしかバグダットの南に有ったはずだな

 バビロンといえばハンブラビだな。

 「目には目を歯には歯を」で有名なハンムラビ法典を制定した王様の都市か。

 楽しみだなー。

  しばらくすると灌漑された畑、多分麦だろう、が見えてきて

小さい、といってもそれなりの規模の村を通りすぎ、街道に出た。

 近くに大きな川が見える。

 たしかユーフラテス川?

 あれチブリス川?、え、チグリス川?

 忘れた、中学のときに覚えた記憶がうっすらと残ってるけど。

 ふーん、船も浮かんでるんだ、ん、帆がついてるよ。

 案外進んでるね、この時代いったいいつ頃か判んないけどねー。


 道中なんのハプニングもなく、バビロン市中心部に入ったのは日もくれかけた夕方のことだった。 

バビロン市は10メートルは有ると思われる城壁に囲まれており

 中心の道は小高い丘にむかって伸びていた。

 丘には宮殿らしき建物があった。


 中心の道には夕方にも拘わらず、結構人出があり、賑わっていた。

 周りを見て思ったんだけど、

 結構、皆体格がいい、女性も男性も笑いながら杯でなにかを飲んでいる。

 なにのんでるのかな?と思いながら見ていると、イシュナの前にいる男が笑いながら一軒の人だかりのある、多分飯屋、に立ち寄り、黒い液体、中になにか麦の殻ような物が浮いている、が入った杯を持ってきて渡してくれた。

 なんとそれはストローがついていて、

 イシュナが、その飲み物を指差しながら「カシュ」と教えてくれた。

 俺は恐る恐るストローに口をつけ飲みはじめた。


 !!!

 え、黒ビールじゃね?

 いや黒ビールだよ、

 黒ビールってこの時代にはあったんだ。

 これは食事も期待できるんじゃないかなんて顔にも出ていたのだろう。

 食べ物を表す「ニンダ?」とイシュナに笑いながら言われてしまった。

 黒ビールを飲み干し杯を男に返し、更に男達についていくと

宮殿の前の坂まできた。

 この坂昇るんですか、はい、頑張ります。

 そしてついに宮殿前の厩舎まできた

 え、宮殿に入るんですか?

 確かにイシュナ、貴族っぽいというか高貴な感じはしているけど、どっちかっていうと商人ぽいんだけど。

 まさか、お姫様、だったりして


 馬を降り、俺はマウンテンバイクだが、厩舎に預け、宮殿に入ると、一室で待つように言われた。

 

 その部屋は石でできた椅子があり、そして床がタイル張りであった。

 あ、俺、スニーカはいたままだわ。

 部屋の前を通る人も皆、サンダルみたいなのをはいてるからこのままでいいのかなんて考えていると

 大きな声を出しながら立派な編み髭を蓄えたオッサンがイシュナや、イシュナを迎えにきた男、その他知らない男達をしたがえ入ってきて抱きついてきた。

 多分、感謝されているんだろう、

 色々と聞いてくるんだけど、何一つ答えれない。

 代わりにイシュナが全部答えてくれているような気がする。

 オッサンは頷き俺の肩を叩き、何かを命令した。

 しばらくイシュナが回りの男達と話していると、食事の用意ができたのか、違う部屋につれていかれた。

 やったー飯だ、美味しそう~

 さすがにがっつくとマナー違反かな?

 なんだろうパイ?かな。

 こっちは何かの骨付き肉。

 皿も模様がちゃんとある。

 この皿は魚が野菜と一緒に盛り付けられている、川魚かな?

 おおー、これはオートミールではないか、何かの乳がかけてある、上に何かの葉っぱまで置いてあるよ。

 横にイシュナが座り一つ、一つ名前を教えてくれる。

 杯にはさっき飲んだビールと違い、何か紫色のワインみたいな飲み物が入っている。

 イシュナも飲むの?

 え、飲まないって、ですよねー

 という風に説明を受けていると上座に座ったオッサンが大声で何かをいいはじめた。

 そして俺のほうを指差し、更に何かをいい杯を目の前に掲げた。

 それを見た回りの男達も杯を掲げた。

 イシュナに掲げろって腕を引っ張られたので俺も掲げた。

 そうするとオッサンが杯の中身を一気に飲み干し、それを合図に皆、飲み食べはじめた。

 俺は杯を半分ぐらいまでのんだ。

 うん、赤ワインです。

 現代とそんなに遜色無い出来映えであるような気がする。

 さっさと飯くうぞー、腹へった。

 先ずはあのパイだー、トッツゲキー、ワオー

 パク モグモグ

 おおー、一口噛むごとに溢れる肉汁これは牛さんのお肉か、いとうまし。

 ペロリと完食。

 よこでイシュナが笑っている。

 次はあの骨付き肉、塩がかかっている、なんのお肉かな?

 うん、これは羊だな柔らかーい

 イシュナも食べてる。

 あ、食べてるところ見られたって顔しないの、十分かわいいから。

 更に次、野菜炒めにどう見てもハムが乗っている皿にいきます。

 豚肉のハムだね、野菜はなんだろう、チンゲン菜のようだけど著と違うな、油菜かな?食べたこと無いな~。

 次、オートミール。

 烏麦に牛乳か、何かの乳がかかってるんだけど、塩味が絶妙な味わい

 おパンもあるのか、あの人何か挟んでるぞ、野菜炒め挟んでるのか。

 美味しそうー、俺もしてみようって、イシュナがすでに作って渡してくれた。

 ありがとうっていいながら、食べるてみる、

 うん、野菜とハムのほどよい塩加減がこのパンによく合う。


 あれワインなくなちゃった。


 そうしているとオッサンがやって来て、空になった杯にワインを注いでくれた。

 おおー、ありがとう イシュナに通訳してもらう。

 肩をポンポンたたかれた。


 ゴクゴク プハー オイチー

 

 そんなこんなで宴も終わり、俺は寝に入った。

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