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太陽系興亡史  作者: 双頭龍
第3章目的のためには教育だ
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第22話

 お待たせいたしました。親戚の葬儀の関係で色々と忙しい時にさらに忙しくなった作者です。まあ葬儀が忙しかった、というより遺産の関係がものすごくややこしかったのが忙しい理由ではありますが。遺産も億単位であるならまだしも、数百万を超えるか超えないか程度の小額であーだこーだ、こっちに言ってくるもんだから故人の妹である祖母がダウン。その娘である母が変わりに喪主したり何かあったときのために弁護士に相談したり、いざと言うときのため、脅迫まがいのことを言われたもんだから、それどころか自宅にまで押しかけてきた、警察にも相談し、ようやく葬儀だけは終わりました。大正生まれの大叔母、祖母に聞くに色々と波乱万丈の人生を送られたようで、聞いていて自分のルーツを再度思い至ったわけであります。そのうち江戸時代物を書きたいなと思っているところに乗せるつもりですが母方の母方の父、つまり曽祖父ですね、は塩飽諸島佐柳島(猫の島として有名ですね、探せば島内の神社に名前があるのだそうです)出身で、今私が住んでいる所に出てきて発動機の工場をしておりました。当然戦争ですべて燃えてはおりますが、色々と聞くに面白い人だったようです。一方の母方の父方の父方はなんと九州は福岡県の柳川藩士(立花宗茂の藩ですね)をしていたようです。聞くところによると家老を輩出したこともあるのだとか。維新後は代々警察に奉職していましたが、最後が特高警察だったため公職追放、その後の逆コースも戦時中の出征での罹病で辞退、その後興信所に勤め、そしてお亡くなりになられたそうです。祖父方の曾祖母には幼稚園ぐらいのときにお見舞いに行った記憶がございます。同じく柳川出身で従姉婚だったようです。まあそれを言うなら母方の母方も曽祖父の姉の旦那の妹が曾祖母ですが。ついでに大正生まれの大叔母は戸籍上曾祖母13のときの子になってはいます(その点が波乱万丈たるゆえんですね。あ、けして曽祖父ロ○コンだとかではないですよ、たぶん。曾祖母の兄に遊びにいっといでといわれ、そのまま結婚したとかを聞いたことがあります。この曾祖母の兄も戦前ハーレーを乗り回し、事故で亡くなったそうです)。一方父方は少々複雑であり、単純に一緒に住んでないから知らないとも言う、北海道なので維新前の歴史を遡り難いのです、逆に言うと維新後の歴史を書いてしまうと場所や職業が特定出来てしまうから書けないとも、まあそんな感じです(笑)。

 さて、5000丁の小銃生産はいかほどのものか? そして車は作れるのか、てか作るのか? 期待せずにお待ちください。


 仁王の予約を完全に頭の中から忘却しておりました。とはいえ忙しすぎてまだバイオ7開けてすらないのですが、どうなんでしょうかね。まあ怖いのはご遠慮したいが買ってしまうこの心理、どうにかしてほしい。

 「で火薬の話に戻るが、アンモニア高圧合成法を発見したからと言って、すぐに工業化して大規模的に生産出来るわけではない。その前段階として、いったいこの高圧合成に必要な気圧と温度は現在の工業技術に合致しうるのか、を調査しなくてはならなかった。当時の状況として物理化学や熱力学が急速な進歩を遂げ、それと並行して反応速度における理論、ならびに化学平衡の理論の研究も進み、それに伴って化学反応の基礎理論が体系化され、そして実際のアンモニア合成に応用されたていた。ハーバーは実験室的規模とはいえ、オスミウム触媒を使って 175気圧、550℃で毎時80gの液体アンモニアを得た。しかしこれはあくまで実験室での生産の成功、つまり工業的採算性の枠外にある出来事でしかなかった。最初ボッシュを伴いハーバーの実験室を訪問したバーデンアニリン炭酸製造所の社長は合成に必要な圧力が100から200気圧と聞き驚いたそうだ。その当時工業的に高圧と言えばせいぜい20から30気圧が一般的でそれ以上の気圧は前人未到の領域だったからだ。しかも悪いことに温度も500℃を要求され実現を危ぶんだそうだ。まあ結局ボッシュの大丈夫やれますと言う言葉に力を得、以前のインディゴ染料の工業化の成功体験から、うん、あの植物から取れる染料だよ、この時代には工業的に作り始めていたんだ、アンモニア高圧合成の工業化に取り組む事を決断した。このバーデンアニリン炭酸製造所(BASF Badische Anilin und Soda-Fabrik 独語です)は俺のいた時代でもでも世界最大の総合化学企業だな」

 100気圧って水深1000mの圧力だったかな、たしかそれを装置の中で再現するのは大変そうだなあ。


 「1hPaが1cmの時の水圧でしたっけ」

 

 「物理的には有っている。言いたいことを正確に計算すると1013(hPa)×100(気圧)-1(大気圧の分)だから1012mだな水圧で言うと。違うこと考えてたらごめんだが」

 

 「いえいえ、同じ事を考えてましたから。計算ありがとうございます」

 危ない、危ない。問題としてだされていたら1000mと躊躇無く言ってしまうところだった。

  

 「まあ。なんか怪しいが続けよう。工業化には主に原料である窒素と水素の製造、合成触媒、反応容器の構造や材質、費用と利益等、難問は山積みだった。特に問題であったのは反応を促進するための触媒の研究と開発だ。この最も困難な研究をしたミタッシュは昼夜連続して触媒2g入りの小型反応器を30台並べ、3年間に2500種類の各種金属触媒について100気圧550℃で6500回という気の遠くなるような合成実験を繰り返したそうだ。俺のいた時代でも劣化的な似たようなことをしたことがあるから解るが、これは本当にきつい。まあその時は3ヶ月で終了できたから良かったけどな。結果、四三酸化鉄(Fe3O4)に2から6%のアルミナ(Al2O3)と0.2から0.6%の酸化カリウム(K2O)を加えた二重促進触媒が最も活性が高く、かつ寿命も長いことを発見する。正確に言うと酸化鉄を触媒として装填はするが、実際に反応しているのは水素によって還元されて生じた単体の鉄であり、酸化アルミニウムは還元されず担体として鉄の単体が焼結するのを防ぎ、酸化カリウムは塩基として鉄に電子を供与して触媒能力を高めているらしい。開発してるときは二重促進触媒の構造を理解してはいなかっただろうがな。触媒は鉄だけなら出てくるアンモニア濃度は3~5%、鉄にアルミナを加えても8~9%、鉄+酸化カリウムで5%、全部足すと13~14%だったかな、たしか。装置の設計試作には冶金技術者のボッシュが自ら当たった。初めの間、合成管や鋼管が数日で破裂して使えなくなったりしていた。運転条件の200気圧、500~600℃では、高圧の水素が鋼鉄中の炭素をメタンの形で引き抜いて脱炭素し、脆弱な水素化鉄を生成(水素脆性)して亀裂を生じるためだ。合成管の内側に炭素の少ない軟鉄を内張りするとか、外側から支える鋼鉄に強度に影響のない小さな孔をあける等の試行錯誤の末、合成管の壁に水素脆化によるガス漏れ防止と耐圧の2つの機能を分けて対応させることとして、つまり低炭素の軟鉄を内張りにして水素脆化を防止し、外側を普通鋼とし圧力を持たせることにした解決していった。合成管だけでなく圧縮機、配管や計器、高圧弁やポンプ等々、高圧付属装置および部品の破損も多かった。その甲斐あって世界で初めて日産 100kg のアンモニア合成工業化試験工場を建設することが出来た。もっとも事故のために運転が 2日以上続くことはなく、1kgのアンモニア生産に1kg以上の鉄鋼がだめになったほどだったんだそうだが。それでもくじけずにボッシュは部下とともにアンモニア合成技術を完成させていき、更なる効率化を導く。そして翌年、日産1㌧の試験工場を、さらに翌年工業化試験で自信を得て、日産10t(10t×3基で日産30t年産8700t)の本格的な工場建設に着手する。その4年後には唯一ドイツだけがアンモニアを独占的に生産することになる。もっとも第一次世界大戦のドイツの敗戦によってこの技術は戦勝国に公開され独占体制は崩れることになるが」


 結局技術的に独占状態を膨大な努力の上に作っても戦争と言う出来事一つでそれらは失われるものなのか、戦争に負けることは解ってはいるが大変なことなんだな。

 「大変な苦労があったんですねえ」


 「まあな大戦中は工場も空爆を受けたりもしてたからなあ」

 空爆か、空に対しての防衛ってのもこれから考えないといけない時代になるんだろうな。まあまだ誰も空を飛んだことは無いけど、このまま行けば誰かが空を飛びそうな、と言うより宇宙にまで行きそうな気がする。

 

 「でアンモニアを二重酸化して、と言って簡単に説明しているが、これも工業化にはそれなりの苦労があった。が、まあ一酸化窒素を合成する際800℃もの高温にするぐらいで、高圧合成ほどではないな。せいぜい最後の水と反応させるときに亜硝酸にならないように熱水の利用、最後の反応で出てくる一酸化窒素の再利用が工業化に取り入れられたぐらいだろう」

 工業化の難解な部分はこの利益を最大にし労力を最小にするところにあるのかも知れないなあ。まあ、だからこそ、その化学反応の反応速度を速める触媒の開発や、化学平衡を生産側の矢印に進ませる温度や圧力にこれほどまでに力を懸けるんだろうなあ。しかし触媒は実験では希少金属が多いと聞いたことがあるけど工業的にはそんな希少で高価な物は大量に使えないからそれの代替品の開発は大変だろう。希少金属自体総量としては鉄や銅の金属類の総量より多い、とのことだけど、鉱石に含まれる割合が非常に少ないために、精錬による濃縮に大きな手間がかかるって授業で言ってたなあ。でも使うことになるんだろうな。僕が知ってるだけでも合金、電池、工作機械の加工部分等有るからなあ。


 「なるほど。長かったですね」

 聞くのも大変だったなあ。 


 「そうだな。少しつかれた」

 校長も話し疲れたようだ。


 「実際の銃と火薬の関係性は大きく影響するものになるなら、少しはその火薬の原材料について知っておいたほうがいいかと思ったんですが」

 ちょっと長くなりすぎたようだ外が暗くなり始めている。まあ、半分ぐらい話の脱線の所為とも言えるが。


 「いや、悪い考えじゃないさ。火薬や銃の口径等が変わると威力も、また個々人が携帯所持できる弾薬総量も完全に異なることになるからな」


 火薬が強力になると、威力が上がると言うのは理解できるが口径の差って影響するのだろうか?

 「口径の差って、そこまでの差になるんでしょうか?」


 「なるぞ。実際に見たことがあるのがサエルが作った一種類じゃそう思うのも無理は無いか。俺のいた時代は銃器の口径は大量に種類があったんだ。小さいほうから22口径、mmじゃなくて、他の長さの単位だな。大体0.254mmかければいい、この場合は5.588mmか。次に25口径、順に30、32、38、40、44、45、50口径等が有名だろうかな、当然威力も違うし、それにあわせて用途も違う。さらには弾頭部分の加工の仕方によっても威力や用途が違う」

 まあ弾の大きさが二倍以上違うと、さすがに威力も重さも違うか。でも弾頭の加工って何だろう?

 「口径はなんとか理解できそうですが弾頭の加工によっても、ですか?」


 「ああ、そうだ。例えば単純に鉛で弾頭を作るより、鉛を銅等で覆ったりメッキ加工をした方が貫通力に優れることがある。もちろん単純に殺傷力をあげるために鉛の弾丸を覆わずにさらに弾頭に特殊な加工を施す場合もある。鉛が柔らかいから体内に入ったときに形が変形して殺傷力が上がるからな。加工はその効力をさらに引き上げるようなものだな。逆に貫通力を極端に引き上げる加工も当然ある」


 「いかにして相手の戦闘員を無力化するかの試行錯誤の結果と言う感じですね」


 「まあな、ある意味矛と盾の関係性だな」

 

 「矛と盾の関係性ですか」


 「そうだ。攻撃手段と防御手段の関係性ということだ。もちろん攻撃手段はこの場合は銃器、防御手段はそれを防ぐための装甲や防弾防具と言うことになるか」


 「それらの生産や準備も同時にしていく必要がありますかね?」


 「どうだろうな、相手が銃を持っているわけではないからな。そういう意味において猶予があるかもしれないが」


 「そういえばそうですね。ん、それはともかく銃や弾薬等の必要量を推定する前に編成を考える、というか教えて貰えれば生産に際して支障がでるのではないでしょうか?」

 

 「ああ、考えてはいるよ、既に。あとは実際に兵員数がいかほどなものか、によるさ」


 「どれくらいの規模なんですか千丁の調達規模との話でしたが」


 「おそらく、兵員数3千から7千規模だそうだ、最終的ではないもののな」


 「それじゃ全然足りないんじゃあないですか。増産考えないといけませんね」


 「実はそうなんだよ。しかし全員に銃を持たせる必要も無いと言えば無いかもしれないからな。まあ最終的には全員に持たせるつもりだが」

 うわーサエルさん達も大変だ。


 「それじゃあ中間を取って5千ぐらいの調達になりますか? 編成は旅団ではあまるが、師団なら少し足らない感じですね」


 「現在の技術や人員の段階や仮想敵等を総合的に踏まえて規模を考えた方がいいな。と、それと最終目標を5千程にすることは俺がサエルに直接言うから大丈夫だぞ」

 ああ、校長はやっぱりカウルさんとは違うなあ。色々と人使い荒いんだよなあ、あの人。いつも断ろうとしているのに、いつの間にかする事になってるし。


 「了解です、ありがとうございます。規模の話に戻しますが、相手の軍の戦闘規模からこちらも多いほうがいいので連隊を複数作るより旅団規模のほうがよさそうですね。逆に師団規模となると火力が過剰な気もします」


 「うん。つまり、この時代の常識で言うと万人長が率いる軍が基盤単位になることが多い、だから最悪その軍と正面から当たると連隊規模では負ける可能性があるから駄目、逆に師団規模にすると火力的にも過剰になるからもったいない。で、その中間の旅団規模か」


 「はい」


 「逆に編成規模を柔軟にして、連隊を中隊で編成するということも出来るがその点はどう考える?」

 

 「悪くないのではないか、とは思いますが、あまり基盤規模を小規模にしても集中の原則から言って意味が無いのでは。逆に何らかの機械的移動手段さえあれば、機動性によってその欠点を補えるとは思いますけど、やはり危険性を考えますと」


 「機械的移動手段? 車でもつくるつもりか?」


 「電気モーターぐらいなら作れるって前にサエルさんが言ってましたよ」

 あ、さらにサエルさん達を忙しくしてしまったかも。言ってから気がついてしまった。 


 「さらに忙しくするつもりか? 鬼だな。しかしそれを除けば考えは悪くない気もするが、やはり優先順位は武器や防具の方が上だな」


 「ですよね」

 当然と言えば当然か。


 「だな。まあ色々と話も出来たし、それのおかげで考えを纏める事も出来た。また報告や聞きたいことがあれば来るといい。ああ、忘れるところだったカウルにあとでこい(・・・・・)と伝えておいてくれ」

 

 「了解です。失礼しました」

 一礼して校長室を出て、食堂に行く。その後カウルさんを捕まえ、なかなか捕まらなかったが、校長の伝言を伝えて自分の部屋に戻った。

 

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