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太陽系興亡史  作者: 双頭龍
第3章目的のためには教育だ
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第20話

 何とか時間的余裕を見つけて投稿に成功。まあ既に前回投稿したときには7割がた書いていたんですけどね。さてさて今回もシュラク君の鋭い質問によって本筋には入っていません。本筋に復帰するのは何時になるのやら作者も一切判らない不思議小説となっておりますが、どうぞお楽しみください。

 あ、そうそう、先に書いておきますが本作品はいかなる宗教、個人の信仰、政治的信条、を冒涜する意図はございません。あくまでフィクションです。あしからず。



 「人口問題等の社会問題はその最たる例であるな、例えば人口問題で言えば俺の時代では世界の人口は70億を突破していて、世界的に見ると人口増加とそれに伴う問題が中心になっているけれども、一部先進国においては急速な高齢化こそが、つまりそれに伴う少子化と人口の減少こそが問題の中心になっている」

 どういうことだ? 高齢化と少子化がつながってるように聞こえるが?


 「何故、先進国において高齢化が問題になるんですか? それに高齢化しても少子化にはならないような気がしますが?」


 「高齢化、すなわち平均寿命の増加は本来祝うべきものであるし、それと少子化は基本的に直結していない。しかしだ、先進国の社会情勢下ということになると、問題は複雑かつ複合的になる。先進国において、先進国と言われるからには社会は発展し成熟している。ということはその産業も高度に、さらに深化し、それらに伴って、それらを十二分に扱える技術を持った人材が求められるようになる。それに対応するために社会は高学歴の人材を供給しようとし、高学歴化は子どもの教育費の増大と、子どもが成長してから社会的に自立できる年齢を遅らせる効果をもたらす。子どもの教育費増大は親にとって負担になるため、夫婦は子供の数を減らし、高学歴化による社会的自立可能年齢上昇は晩婚化につながり、こちらも少子化の原因となる。さらにだ高齢者を扶養すると言うことは、高齢者が自分で自分を扶養していない限り、同じ家族なり親族の負担になる。そしてこの段階で少子化が進んでいると兄弟が少なく、扶養する高齢者が兄弟の多い場合より多くなることにより、子供の扶養にまわす費用がさらに減少し、また少子化に拍車がかかることにもなりかねない。さらにだ社会と経済に与える影響も大きいものがあるのは言うまでも無いだろう」


 つまり社会が高度になると求められるものも高度になるから大人になるまでの時間が延びてさらに子供が出来なくなるのか? 確かに校長達が進めている、子供を生むことの出来る女性の教育まで促進するとさらに少子化が進むような気もするんだけど。でも、女性だけ教育をつけない、というのは自分の母親や姉妹を見ていると、絶対に賛成できない。教育さえ受けていると扱いはまったく違うものになるから。


 「わかったような、わからないような」

 

 「簡単に理解できる問題ではないさ、人口増加の問題も同じだ。人口の増えすぎは何が問題かわかるだろう。実際今ですら問題となっているだろう」

 これならすぐ答えることが出来る。


 「食料、住居、燃料、水、ですね」


 「それだけか?」

 原因と結果まで聞いているのかな?


 「それに伴う政治的混乱、衝突、紛争、戦争ですかね」

 

 「そうだな。さらに悪いことに今現在メソポタミヤの大地の気候は確実に乾燥化、砂漠化し始めている。塩害による農地の被害が多くなっているのはそのためでもあるし、それに端を発する人口の移動、その為の衝突が増えてきているのも確かだ。まさしく激動の時代になりつつある。この構図は未来も基本的に同じでもある。大体この時代の人口はもっと少ないはずだった。俺の教わった人口数はバビロンでも2万いればいいほうだろうと思われていたが、実際は城壁内だけで軽く凌駕する、ましてや城壁外も含めると正確には判らないが5乃至6万はいるだろう、難民をラルクからの難民をラリアに連れてきた後でさえだ」


 4000年後も同じ構図で争っているんだな。人ってなんなんだろう………

 「人は進歩してないんですかね」


 「まあな、言いたい事は解る。しかし少し言い分けさせてくれ。人口問題は政治の問題でもある。これは理解できるだろう?」


 「ええ、もちろん。人口は国家の基本的情報になりますから。これが分からない限り、税もどれくらい入るか分からないし、軍の動員も分からないし大変なことになりますからね」

 

 「政治を考えればそうだし、もちろんある時代までは政治はこの問題に真剣に取り組んできた。例えば古代の、といってもまだ生まれてもいないが、思想家プラトンやその弟子であるアリストテレスは自身の著書の中で人口政策は国家の基本をなすものであると言ってる。彼らは人口秩序の維持に賛成であり、人口過多は国家秩序の維持を困難にすると考え、出生数が多くなりすぎないように、堕胎も含めた出産調整を躊躇すべきではないと主張していた。その後、ローマが地中海沿岸部とヨーロッパ、メソポタミヤ、エジプトを征服した時には人口政策はその広大な領土を維持するために人口拡大に舵を切ることになる。子どもを育てやすい政策の実現に努めローマ帝政を確立したアウグストゥス、あ、アウグストゥスは皇帝としての称号な、ガイウス・ユリウス・カエサル・オクタウィアヌス(カエサルの暗殺後に後継者に指名された人です。何と当時18歳、その後もクレオパトラの敵としても有名ですかね。結構長生きしたみたいですよその当時の人としては)等が有名である。しかし人口問題が政治から切り離される時代がくる。何だと思う?」


 「何でしょう? 政治に口出しする存在ですか。考えられるとしたら宗教ぐらいですかね。まあ無視すればすむだけだとも思いますが」


 「正解、当時帝国領内のユダヤ属州で創始されたキリスト教だな。出産の問題はもっぱら道徳規範の問題とされ、人口政策的な観点からこれを取り上げることは封印された。同じことが科学に対しても行われてしまうことにもなる。科学も政治も自由を信仰という名の元に一方的に制限されることになる。もちろんこれを破るとどうなるかは時代によって異なるが、最悪異端審問という名の社会的私刑が、状況によっては火あぶりによる死刑が待っている。近代になって、さらに現代になってようやく宗教は科学を隷属させることを半分やめ、科学は信仰を補完する存在だと言い始める。自分達のしてきたことを棚に上げて、な。例えばガリレオ・ガリレイと言う天文学者は、地動説地球が太陽の周りを回っていると言う考え方なんだけど、いや解ってる今の時代だと常識でもあるからな、この異端審問にかけられ自説を撤回させられている。」


 「最悪死刑ですか、しかし何故地動説じゃ駄目なんですか? それのほうが疑問なんですけど」


 「複数の理由があるとされる。聖書には神のおかげで大地が動かなくなったと書いちゃった。キリスト教の聖職者は、大地が動くことが可能だと主張するのは神の偉大さを証明できるので、まだ問題がない。しかし大地が動いていると主張し、証明することは神の偉大さを否定することになると考えたとされる。もちろんいまだにこの宗教裁判の結果をガリレオを有罪にした裁判を公正だったと発言した最近の教皇がいるぐらいだからまあ何をかいわんやだな。しかも抗議されてからあわてて説教で、ガリレオらの業績を称え、地動説を改めて公式に認めていると言うおまけつきだ。例えば宗教的奇跡と科学を対立関係とするなとか、具体的には例えば『奇蹟とは、神がこの自然界を治めるために定めた法則を越えた働きなのです』とか、『キリスト教は科学に反する立場であると考えるのは、科学そのものを誤解しており、神は自然界を科学的探求の対象として創造され、世界を法則が支配する場として創造された。もし世界が法則にしたがってではなく、気まぐれに動いているならば、科学は成立しません』とかな。こんなことを言われて、宗教と科学は立場は同等であり対立していないと言われても信用ないわな。最初この説法を聞いたとき、俺の未熟な英語のせいで神父の言っていることが理解できていないのかと思ったが、横にいている留学生も意味不明というジェスチャーしていたから間違いではないはずだ。しまいには聞き終わった後で教授に話すと深い溜息をつきながら口汚く罵っていたからな。このように宗教、つまりこの場合ではキリスト教のことだが、は規模と政治力が巨大になると、しばしば致命的な問題に発展することも多い。この裁判が科学的検証に宗教が口出しをする悪しき慣行の前例になったとの見方もある」

 鼻で笑いながら説明してくれた。まあたまに神官は自分こそが絶対だという態度をとることは珍しくない。やっぱり人間進歩してないような気がするが。


 「もちろん物事はそんなに単純なものではない。科学者でありキリスト教徒でもある人格的にすばらしい先生方を私は知っているし、逆に神父、ああ神官のようなものだ、であり優秀な科学者である人も知っている。人口政策に話を戻すが、政治が宗教からの隷属を脱し始めたのは16世紀になってからだ。イタリア北部のの国の外交官であるマキャベリが政治は宗教・道徳から切り離して考えるべきであるという現実主義的な政治理論を強く主張する。もちろんこの考え方は既に存在したものではあるが、堂々と著書にしたのは彼が初めてだ。まあ彼も膨大な人口を養うために移住政策を採用すべきことを主張したにすぎないのではあるが、その当時としては画期的出来事であった。そしてやっぱりキリスト教に弾圧されそうになって亡命した聖職者であるトマソ・カンパネッラは人口政策の必要性を主張し、人類の再生産は個人や宗教ではなく、彼自身が目指した共和国全体に関する問題であると述べた。彼は同時に腐敗したローマ教会や修道会の改革を目指したが、裏切りにより露見、28年も投獄される。釈放したのはガリレオを宗教裁判にかけたのと同じ教皇で自身はキリスト教の教義から逸脱しまくった魔術的儀式を彼に行なわせている。さっきの事とあわせても独特な人だろう。政治的には非常に有能でキリスト教と政治が混ざっていた時代において、最盛期を築いたの傑物だな」

 

 「複雑な人なんですね」


 「まあ単純に物事を是か非かに分けれないのはいうまでもない、な。その後、人口政策は重商主義と結びつく。重商主義とは輸出超過による富の流入が国富の増大の為に不可欠でその結果を得るためには国家による統制が必要であると言う考え方だ。特に有名なのがフランスの重商主義、コルベールティスムだ。これはフランスのジャン・バティスト・コルベールが中心となって推し進めた重商政策だ。外国製品の輸入制限と自国製品の輸出促進を信条とし、各種独占商社の設立と保護関税を設定しての貿易の振興、それの基礎となる国内産業の育成等である。この当時のフランスの置かれた状況を克服するための政策でもあった。すなわち30年戦争とその後のブロンドの乱の多額の戦費によって破産の崖っぷちにあるフランスの国家財政の改善が目的であった。ブロンドの乱も貴族や民衆が30年戦争によって重税を課せられたのが原因の反乱であるしな」


 「30年も戦争してるんですか! 長期間戦争しすぎですよ。何でそんなにも長引くんですか」


 「キリスト教が腐敗していると言っていただろう。腐敗した旧教に対して反対を表明したキリスト教徒、これをプロテスタントと言う、が反乱を企てるたことを契機として小国家同士のカトリックとプロテスタントの戦争がヨーロッパ中を巻き込む国際戦争へと発展したんだ。戦争はカトリックの国であるフランス王国がプロテスタント側につくなど、次第に宗教とは関係のない争いに突き進んだ。スウェーデンが参戦した1630年以降は、フランスとオーストリアのヨーロッパにおける覇権をかけた戦いともなった。この戦争は全ヨーロッパの情勢に多大な影響を与え、その後のしばらくして形骸化するものの、フランス革命に至るまでのヨーロッパの国際情勢を規定することになる、ヴェストファーレン体制(所謂ウェストファリア講和条約の後の世界のことです。ウェストファリアはラテン語読みです)の確立となった。で実際のコルベールティスムにおける人口政策だが、第一に移出民の制限と移入民の誘致だ、違反者を死刑にするほど徹底していたとも言われるが実際は知らん。第二に植民地の人口増加策、第三は宗教の反対により実行に移せなかったが独身者の制限と教会の財産の制限だ。段階的に法令を発布していったのでこれ以外にも色々とあるのだが、まあコルベールの人口政策の具体例としては十分だろう」


 「人口の増加の為に移民まで受け入れるんですね、移民と言うといい印象は持たないことが多いのに、政治的目的のためには実利第一で行くというのは参考になります」


 「まあそれもその人が置かれている政治的な立場によるな。俺の世界ではシリア、ああアレッポやマリと言った地域を基盤とする国な、の内戦で出た難民やアフガン、エラムのさらに東だ、の戦争の難民がヨーロッパに逃げて行っている。ヨーロッパ各国はさっき言ったような先進国で、なおかつ少子高齢化に苦しんでいる。その場合即効性があり、頼れる人口増加政策は移民の受け入れだ。国家の中枢にいる人間にとっては移民や難民の受け入れによる人口の増加とそれに伴う経済的、また政治的利点は大きいものがある。しかし一方その国の国民にとっては難しい問題となる。移民や難民とて馬鹿ではない、それどころか出身国では高度な技術を持った労働者かもしれない。そうすると移民によって移民受け入れ国の国民の雇用が圧迫されるつまり雇用の奪い合いが発生する。これについても受け入れ賛成派の経済学者や彼らの意見を参考にする政治家や経営者と、受け入れに反対する政治家や国民には立場の隔たりが存在する」

 へー面白いなあ~。一つの事柄に見方や立場を変えると結論が違うのか。しかし良くこれで国が纏まるものなんだなあ。こんなに意見の隔たりが有ると今なら殺し合いとか権力闘争に発展するかも。そういう意味においてちょっと人間見直したかも。


 「両者の意見をぜひ聞きたいです。そして何故こんなにも意見が違うのに国が纏まるのかも知りたいです」

 


 会話中心はみにくいような気もするんですがどうなんでしょう。でも下手に相槌とか間に文をを入れるのも悩むし、難しいですね。

 しかし物を書く作業は色々と調べられて楽しい部分もあり基本楽しいものです^^   

 まあ表現に悩むこともありますが………

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