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太陽系興亡史  作者: 双頭龍
第3章目的のためには教育だ
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第14話

きりがよかったので投稿します。

また解説長い。解説集じゃないんだから、さっさと話はよ、って言われないうちに本格的に軍備を書いていきたいなー、と思っています。

前回と同じく私の不確かな記憶を元に、一応調べながら書いてはおりますが学のない私の事、間違いがあると思いますので見つけたら一報お願い致します。

 「とまあ、こんなところかな俺の知識では」

 ついでに言うと叔母の義父が代々軍人・自衛官一族でよく従弟いとこと一緒に可愛がってもらい、よく退官後話を聞かせてもらっていた。

 最も叔父の兄弟は皆幹部自衛官なのに、叔母の旦那である叔父は財務官僚で、まったく畑違いの方面に行ってはいたが。

 従弟の家庭教師もしたことがあるが、歳もそんなに離れていなかったからよく遊んだものだ。本人はどうしていることやら。


 「なるほど。内戦作戦と外線作戦、技術の利用、固定概念の払拭。いろいろと教訓は見出せそうだね。現状においては軍備からドクトリンを考え出すのが一番いいのかな? それともドクトリンを作ってから軍備を考える方がいいのかな?」

 

 「難しい質問だな。ただ両者はお互いに多大な影響を受けることもある、と言うところが実情だろうな。どちらが先かというのは、鶏が先か、卵が先か、と言う議論に似るかもしれない。確かに軍備にドクトリンが影響することも、逆にドクトリンが軍備に影響することもあるだろう。

 例えば海軍ドクトリンである艦隊決戦ドクトリンが大艦巨砲の戦艦を中心とする海軍主力艦艇を作ったように、逆にコンピューターや高次元の情報ネットワークがなどの発展がネットワーク中心の戦いといわれるドクトリンを作ったように、どちらもありえるということでもあるわな。そして大艦巨砲主義が航空機の活用を謳った航空主兵論に敗れたように、これらもまた国家の浮沈に影響する事もいうまでも無い事実なんだ。ドクトリンに影響を与える考え方、や技術、政治状況や国際関係等が、ドクトリンを通じて実際の戦闘や戦争に影響を与え、またその勝利や敗北がドクトリンやそれに影響を与える考え方や技術等に跳ね返ってくる。世の中は互いに影響しあっているのはいうまでも無いからな」

 このお互いに影響すると言うくだりば例えばケネディ政権で国防長官に就任したマクナマラの影響が挙げられるだろう。ロバート・マクナマラはカリフォルニア大学で経営学を専攻し、ハーバードビジネススクールでMBAを取得、同大学で陸軍航空隊の将校にも分析的アプローチを教えていた。第二次世界大戦勃発後、陸軍航空隊に入隊、おもに戦略爆撃の作戦立案と効果解析に従事、統計学を用いB-17とB-29の費用対効果を分析、B-29の対日戦略爆撃使用を主張して決定させた人物でもある。無差別爆撃に対する倫理性については、のちのキューバ危機で大統領の弱腰を非難していた上官に抗議していたりもする。戦後中佐で除隊、当時大戦後の軍需需要の落ち込み、一族経営であるが故の伝統的経営に苦しめられ、さらにはGMゼネラルモーターズとの不利な立場におかれていたフォード自動車に重役として入社、大胆な改革に乗り出し業績を回復させる。ついでにいまだにフォードは株式の4割を一族が持っていたりする。

 その功績によって社長に就任、創業以来はじめて一族以外の社長、したのだが5週間もたたないうちにケネディ大統領に請われ、国防長官に就任、当初国防に関する最新知識をあまり持ち合わせていなかったが、直ぐにそれらの勉強を始め、自身の役割を把握し積極的な活動を始めた。

 彼はシステム分析などの科学的な意思決定方法を軍事の世界に持ち込み始めた。もともと軍事の影響を多大に受けたマネジメントと言うものがついに軍事の世界に大きく、また根本に影響を与え始めた瞬間でもあった。

 代表的な例がPPBSであろうか。PPBSとはPlanning programming budgeting system、効用計算予算運用法である。この概念は軍事力とコストの両面から分析を通し、戦術や戦略、軍備計画、軍事予算の効率化を目指すものであった。

 XB-70の開発中止や空中発射弾道ミサイルの開発中止、二ミットマン、ポラリスの配備、軍人任せにすると費用の意識が希薄になり、アフォーダビリテイの欠落により結局必要数すら配備出来なくなりがちな軍事組織において、既に膨張し始めていた戦闘機、その機体いったい何に使うんだろうか、大体実験せんでも使えないのはわかるだろうというものまで有った、の開発費用と調達コストを空軍・海軍共同開発によって削減・抑制しようとしたコンセプトの元、艦載機であるF-4の空海両軍での使用、失敗したがF-111の空海軍共同使用を目指した。実際に今でもF-35等その流れの中にあるのは事実である。実際失敗作であるといわれているF-111であるが、初期型は散々にいわれているものの、以後様々な作戦に従事し、高い信頼性と低空侵攻能力、弾薬搭載能力を有し、湾岸戦争においても破壊したいものがあるならF-111に任せろとか、F-16、F-18を飛ばすなF-111の邪魔だとか言われたほどである。


 もっともどのようなすばらしい概念にも負の側面があるのはいうまでも無いところであろう。

 例えば戦術面で言えば、この概念はベトナム戦争に介入するアメリカ軍にも大きく影響する。

 戦場における様々な事案を過度に定数化したり、事前に決定した計画を過度に重視したり、前線のどちらでもいいような事まで介入したりと、中央集権的なきらいが出てき始める。といっても厭戦感情の国内情勢の中、選抜徴兵された兵士の質が下がってきたのだからしょうがないことでもあるのだが。分権指揮と集権指揮こんなところでも出てくるのである。

 さて特に象徴的な出来事が定数化の過度な重視であろうか。

 軍事作戦の進捗状況を客観的に測定、分析するために、ボディカウント、つまり敵の死体を利用しようとしたのだ。この手法はある意味戦術面においてすら必要条件であって十分条件でなかった。ベトナムでアメリカ軍が行ったサーチアンドデストロイ戦術、戦術かどうかは議論があるかも知れないが、は南ベトナム民族解放戦線、通称ベトコン部隊との接触を目的として、南ベトナム各地に小兵力のパトロール隊を巡回させ、ある意味囮として、喰いついて来た敵部隊を味方本隊のヘリコプターを中心としたヘリボーン、ヘリコプターを使った空中機動ジャングルなどの地形において当時発展してきたヘリは有用な輸送、攻撃手段であった、によって展開、敵の捕捉と殲滅を目的とした。そしてその戦果確認に多用されたのが敵の死体の数、捕虜の数、鹵獲武器や破壊した地下トンネル、などであった。この手法は一見有効であるかに思われたが、作戦や戦略面から見て重要な一要素であって、十分ではなかったのだ。はっきりいってしまえば敵の士気などの無形戦闘力を軽視、ないし完全に無視していた。クラウゼヴィッツのいうところの5要素のうちの精神的要素である。無形戦闘力は定数化が難しいのはいうまでも無いが、無視してしまうとは思い切ったことをするものである。しかも更に悪いことにこの戦術は南ベトナムの民間人にも多大な犠牲者をだし、折り重なった死体の写真はベトコンの敵愾心と士気をあげ、アメリカにおいては厭戦、反戦感情を燎原の火のごとく燃え上がらせてしまう。

 火力や兵站能力の優位性により確かに戦術面においては勝利を重ねているつもりなのに、このような戦略面での目に見えない敗北によって、戦争全体で勝利することの出来ない戦いに直面するのである。この敗北からも彼らはドクトリンに戦術と戦略の統合性のための作戦術の導入を決定する一要因にもなるのである。ちなみに敗北した陣営が戦略や戦術を研究するのは当然の流れであるが、翻ってうちの国はなー、とよく溜息をついておられたのもこの話をしてくれた叔母の義父である。


 そしてこのベトナム戦争の戦費の影響もあり、近代化の送れた各種軍装備はワルシャワ条約機構軍と対峙していた欧州にて大きな影響としてドクトリンに跳ね返ってくる。

 大規模な正規戦が予想される欧州主戦場においてワルシャワ条約機構軍に打ち勝つための軍装備、ならびドクトリンの開発、研究が開始される。TRADOC、37の学校や教育訓練施設を指揮統括し、ドクトリンの開発や編成、装備の研究、訓練、人材の育成を一元管理、強力に推し進める訓練教義司令部を新設したアメリカ陸軍は同じ年に勃発した第4次中東戦争に注目する。ソ連のドクトリンに影響を受けたソ連製軍備を持つアラブ軍と、アメリカ製欧州製の兵器が多数存在するイスラエル軍の対決とその影響を色濃く受けるドクトリンの完成であった。このドクトリンはアクティブディフェンスドクトリンといわれている。

 すでに大きく兵力的に優位であるワルシャワ条約機構軍の攻勢に対して、迅速に主攻正面に集中することによって、たとえ他の戦線が手薄になろうとも、兵力の集中によって反撃に出るというものであった。

 これは当時発展してきた長距離の対戦車ミサイルと戦車砲等の遠距離火力を集中させて敵を殲滅しようと試みるものであった。しかしマクナマラの定数化等を引きずり、悪いと入ってないが、やっぱり欧州の気候、季節によっては濃霧で視界不良この中で長距離対戦車ミサイル撃てるの、てか当たるの、等の摩擦や科学技術に偏るきらいのあるこのドクトリンは、消耗前提のつまり主攻正面以外は防勢という、さらには主攻の特定すぐに出来るのかよ、とか、敵の全縦深同時攻撃によって集中を妨害されないのとか、大体予備兵力もおかないのは云々、不評のオンパレードであった。

 そしてやっぱり、不評不満を無視できず、さらにはこのドクトリンを見たワルシャワ条約機構軍に全縦深同時攻撃を作戦機動グループ構想、全縦深同時攻撃の際、師団単位以下の軽快な機動部隊やスペツナズをもって、味方主力から離れ、敵の防御線の間隙を通り抜け一挙に敵陣の後方深くまで進撃し、防御軍の中核や敵重要拠点を撃破して、その一撃によって戦場の主導権を獲得しようとする、やっぱり第4時中東戦争の影響を受けている、に深化させられてしまったアメリカ軍は、それどころか前線部隊司令部が勝手にドクトリンによって定められている戦略を改定していたりもしたぐらいである、ついにこのドクトリンを見直すことになるのである。


 これが、これこそが有名なエアランド・バトルである。


 エアランド・バトルとは別に航空兵力と陸上兵力の協調が柱ではない、むしろその目的は今までの受動的防衛的な戦略から積極攻撃的戦略への転換である。空間的、攻撃を受けている戦線だけでなくその後ろにいる敵勢力圏まで、さらに時間的、急速に発展してきた電子技術によって瞬時に敵情報を取得できるしたり連携を容易ならしめたり、に拡大された戦場において的確かつ敵を凌駕する速さで戦場のひいては戦争の主導権を握り、敵の意思決定機構すら混乱させることによって組織的抵抗能力を奪い去るのである。

 このドクトリンの重要な側面はこうした実際に起こすであろう戦略だけでなく、この戦略や行動の根底にある、時間的空間的に戦場を拡大するという概念そのものでもある。

 具体例を挙げるのは難しいが、しいてあげるとするならば敵主力と戦線正面の戦力が交戦しているとしよう、その時その敵部隊に他の部隊が攻撃するすることも、更にいえばすでに他の部隊に攻撃されている事も考慮に入れましょうよ、と言うことである。つまり時間を越えてとなるのだが、簡単に言うと過去に受けた攻撃が未来にどのように影響するか等も考慮に入れるのだと思う。(まちがっていたらごめんなさい)


 まあここまで求めるのはさすがに酷な話ではあるが。


 おっと長いこと考えていると、シャムシまで考え込み始めてしまった。影響を強調しすぎたかな?

 

 「だからと言って考えすぎることは無いわよ、大半のことは何とかしてあげるから早く軍備の骨格だけでもいいから決めてしまいなさいな」

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