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太陽系興亡史  作者: 双頭龍
第3章目的のためには教育だ
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第9話

 はい、ようやくものすごく忙しいからまあまあ忙しいにグレードダウンしました。いやー忙しかったです、まあ今もそれなりに忙しいですが。 

 久しぶりに納戸を整理していたら賞味期限の切れたファンタ、グレープ味を発掘しました。なんと賞味期限13年4月13日。開けて皆で飲んでみたのですが炭酸は抜け、味も違和感があるといえばあるのですが、僕にはどうもただのグレープ味のような気がするのです。あと数本どうしようかな。まあ、まだお腹は痛くなってませんが、いたくなったら廃棄決定です。

 さて本編も火器が登場出来るようになりました。ここまで長かった。まあ、ファンタジーもので銃を作るという話が書きたくなる作者なのでリアリティーの方はどうかとも思いますが。ついでにあの外伝の続きはファンタジーもので魔法(ゴーレムとか魔法を利用した外骨格とか)と科学の融合+銃砲、車両、飛行機、艦船(出来ればロボットも書きたいなーなんて)とかの開発、製作、生産とかと思って書きたいなー、書く時間が欲しいなー、って所で止まっています。そのうち日の目を見ればいいなー

 

「すなわち、情報の取り扱いそれ自体を失敗して敗北した例、情報の伝達、解析、要求自体を失敗して敗北した例等、情報戦と言われる一連の流れの中で敗北要因を作ってしまった者達は歴史上に数多くいます。そのうちの一例を私が提示しますので何がいけなかったの、どのようにすべきであったか、を課題として出しておきますので次回までに提出してください。では授業を終わりたいと思います」

 

 「起立、礼」

 

 ちょうど予鈴が鳴り、隣とこの教室がざわめきだし、先生が教室から出て行く。

 今日の授業もこの軍学の授業で終わり、皆思い思いの場所に行く。開校以来半年ほどしたある日、寮の向かい側に新しい棟が建ち、その中に図書館や医務室等の施設が開設、または移動している。


 僕も最近は図書館に入り浸っている。もっとも大半の生徒が図書館を利用しているのではあるのだが。


 図書館を利用する最大の目的はなんといってもその蔵書だろう。まあ本の形として蔵書されているわけではないのに蔵書の数と言うのもおかしなものだが、内容数は膨大だ。つまり情報として内容だけが収められているが、図書館でその本の情報を教科書が入っているタブレットに読み込ませ、そのタブレットで見る、というか読むと言う形をとっているのだ。この図書館の蔵書の分野はさまざまで、専門的な学科が詳しく解説されている技術系の本から法律や行政関連、どこから仕入れてきたのかわからない小説や物語などの文学系、この宇宙や世界の情報、成り立ち、構造を説明している本まで、まあ多種多様である。


 「で、なんで僕にそのことを聞くんですか」


 同じクラスの木工職人のドリャノさんに声をかけられた。

 「いやな、最近鍛冶屋から来た連中は新しく炉を建てようとしてるじゃないか。君は確かサエル兄弟と仲がよかっただろ。だから何か新しい炉について知っているんじゃないかって思ってな」


 いえ全然まったく知りません。

 てか、初耳です。


 確かにこの棟の裏に新しい建物を作っているのは知っているけどその中身までは知らないですよ。


 でも確かに何を作っているのだろう? 

 たまにカウルさん達軍からの生徒達も鍛冶屋の生徒達と相談していたから武具系等製作のための新しい炉なんだろうか?

 

 「あまり知らないんですが、何なら聞きに行きませんか?」


 「いや、それはちょっとな」

 渋るドリャノ。まあ、技術者として渋る気持ちも理解できなきなくもない。


 「じゃあ僕が見に行ってきましょうか?」

 

 「お願いできるか?」

 拝むように見てくるドリャノさんに見送られて僕は裏の作業場に回った。




 と、いうわけで図書館棟の裏の新しい建物や炉が建てられている場所にやってきた。建築系の職人からの生徒や鍛冶屋から来た生徒がいろいろとレンガを焼いて作ったり、土を捏ねたり、土や粘土、レンガを盛ったりしている。


 「で、なにを作っているのですか?」


 作業している人たちの中心からちょっと離れたところで土を混ぜているエキエルに聞いてみる。


 「なんでも反射炉っていうらしいぜ。どこから説明すればいいのか。えーっとだな、鉄って知ってるか?」

 エキエルが作業しながら丁寧に説明してくれるようだ。


 「鉄ですか。知ってますよ」

 化学の授業で習った、青銅より強いらしい事ぐらいは知ってるし鉄製の武器も製作していることは知っている。逆に知らない生徒はいないだろう。

 

 「そうか化学受けてるもんな。それぐらいは知ってるよな。少し前から鉄製の武器とかも作ってるしな。となるとどう説明しようか? うーんと」

 説明の段取りが狂ったらしい。手に持ったシャベルで土を混ぜる手を止め少し考えているエキエル。

 

 「よし、ここから説明しよう。今までの鉄製品の武具や農具は鉄を製作するときに青銅用の窯で鉄を作っていたんだけど、青銅と違ってそれじゃ鉄の持ち味を最大限引き出せていないことが図書館の資料からわかったんだ。で、その持ち味を最大限引き出すために何をすればいいか資料を読み漁った結果、炉を作り直すしかないという結論に至ったって訳さ」

 

 「で、その炉がこれ?」

 新しく作っている炉を横目に見ながら更なる説明を聞く。


 「そうさ、反射炉っていうらしい。本当はもっと高効率の炉があるんだけど、作るのはもっと大変で、よしんば作ったとしてもずっとそばで炉の調子を見ていれるわけでもないし、俺達には勿体無いからな。それでこの反射炉っていう炉を作ることにしたのさ、ついでにこれで他の金属も精錬できるから青銅鍛冶にも使えるって優れものさ」

 

 「へー、すごいんですね」

 

 「耐熱煉瓦を大量に使うから作るのも、設置するのも大変なんだよ。でも、たぶん炉の性能は折り紙つきだと思うってさ」

 なるほど、もっと高効率の炉があるとしても、反射炉は鉄以外にも使えてその分有用なのかな。それにしても鉄って青銅よりいいものなのだろうか? 確かに硬いけど、錆などのせいで手入れが面倒だとも聞く、特に農具においては。専門家もいることだし聞いてみよう

 「ふと思ったんですが、何が鉄の利点になるんですか」

 

 「そりゃ、お前、鉄はまずはじめに硬いだろ。次に結構簡単に原材料が手に入るらしいぜ。あとはえーっと、鉄の合金にはさらに使える金属があるらしい、兄貴がそう言ってた、その合金の名前を忘れたけど」


 つまり硬く、作り安く、さらに青銅のような合金で有用な金属があるみたいだ。


 「ついでに言うと、何でもまったく新しい武具をこの炉を使って作ろうとしているとかも聞いてるぜ。ほら前大きな音がしたことがあったじゃないか、それをも使って武器にするらしい」


 数週間前、図書館ができて数日後、化学実験が好きな生徒達が図書館の情報を片手に、とある実験をしたらしい。その実験は失敗したのか、大きな音が学校中に鳴り響き、あとでその生徒はこっぴどくオントスさんにしかられたと言う話だ。それ以後、実験は寮監の立会いの下でどのような実験をするか校長に申請の上、許可が降りたらしてもいいと規則が変わってしまった。もっともそれ以後も実験に失敗して異臭騒ぎや、生成した気体を吸ってしまった毒ガス騒ぎやらが発生しているが、校長は自己責任といって実験を規制してはいない。もっともその同じ学生達の一団は現在化学実験棟を建設しようと頑張っているということも聞こえてくる。たしかに化学の実験は授業でもしたことがなかったから面白そうだと思ってはいる。しかしそのために建物まで建ててしまおうとする、その入れ込みようというか情熱には少し引いてしまうところもある。その彼らの情熱をも利用して武器を製作するつもりなのかな? 




 「なるほどそんなことを考えていたのか。これは俺達木工職人も何か考えないといけないかもな」

 作業場から帰ってきてドリャノさんに説明する。ドリャノさんも鍛冶の技術だけが進んでいくことに危機感を抱いているようだ。


 「それも気になるが、どんな武器になるかも気になるな。いったいどんな武器を作るつもりだろうか? あの音と関係がある? なんだどんな武器を作ろうと思っているんだ? 負けれないな」

  首をひねりながらも好奇心が湧いてきたのだろう。ついでにドリャノさんも図書館の資料から自転車なる馬の代わりになる物を木で作っていたりもする。僕は乗れないけど自転車は馬よりは遅いが、人間が走るよりは早い。

 

 「調べてみますか?」

 僕もそれを聞くと知りたいと思ってしまった。


 「どう調べる?」

 ドリャノさんが聞いてくる。

 

 「今日の軍学の授業の情報要求みたいですね。まあ、そうですねー、武具なんでカウルさん達、軍人の生徒に聞いて見ましょうか。炉の近くで相談しているのを見ましたしね」

 情報要求とは指揮官の最初の情報に対する要求で、俺はこれこれが知りたいのだ、といった明確かつ具体的な物である。もっとも実際はこの情報要求に基づき部下なり専門的な組織が主動的に情報を収集して、指揮官が直接動くことはない。また情報要求は情報主要素とその他情報要求要素に区分されたりもする。つまり情報主要素の精選によって持ちうる情報収集戦力、または活動を集中して収集努力を明確化するのだ。さらにそれを評価、分析、配布したりもするのだが二人でやる事だからあまりそこまでしなくてもいいかもしれない。


 「名前呼んだかい? どうかしたのかい?」

 後ろからカウルさんの声が聞こえた。

  

 「ああ、カウルさんいいところに。後ろの反射炉で新しい武器を作るって話を聞いたんですけど、どんな武器なんですか?」

 少し、いきなり声をかけられてびっくりしたがおくびにもださず尋ねる。

 

 「ああ、新しい武器、ね。確かに鍛冶の生徒達と相談していたけど、あまり詳しくは知らないんだけどね、なんでも火薬とか言う薬品を使った弓矢みたいな飛び道具らしいよ。元々は鉄で作るつもりだったらしいけど強度不足で青銅で作ろうとしていたんだけど、どうせならって事で炉から新しくして鉄で作るつもりらしい。もっとも小さい物なら今の鉄や青銅でも作れるらしいけどね」


 火薬か、少し調べてみよう。

 「火薬ですね。そこから調べてみます。ありがとうございました」

 

 「詳しくわかったら教えてよ。楽しみに待ってるから」




 カウルさんと別れて僕達は図書館の中にある資料を調べ始めた。

「火薬、火薬。うーんと薬品便覧、武器に関する記載なし。えーっと危険薬品の取り扱いについて、違う。火薬から調べていくのは適合数が多すぎて大変ですね、ってなに見てるんですか?」

 ドリャノさんが飛び道具の歴史という本の弓矢の欄を食い入るように見ている。

 

 「いや、この弩というのは有用そうだなと思ってな。これなら簡単に作れそうだな。同じ飛び道具だし、うーん」 

 対抗心をだしてそんなもん作ろうとしなくてもいいですから探すの手伝ってくださいよ、という目でドリャノさんを見つめる。


 「し、しかしこれは最後の方は凄いぞ。まあ、映像まで見れるんだから本などはもう廃れるかもしれんな」

 ちょっと言い訳がましく、てか言い訳をしながらドリャノさんが次の本の目次を開こうとする。ジト目の効果は絶大のようだ。ジト目はエルザ先生が教えてくれた、ある意味必殺技らしい目付きの事だ。


 「うん? 飛び道具の歴史? 飛び道具……、それにのってなかったんですか?」 


 「あ、そうそう、ついつい忘れるところだった。自分の興味に妨げられて、えーっと目次でいうなら投石や投槍、弓矢、火器、誘導火器、ロケット、誘導ロケット、エネルギー兵器、ふむ火薬はなさそうだが火器とかロケット、エネルギー兵器とは何だ?」

 

 「えーっと辞書で調べます」

 辞書をタブレットで出して調べる。

 「火器。火薬の力等を利用して弾丸等を発射する武器の種類の名前」

 辞書で最初から調べたらよかったんじゃないかと思うんです、僕。ついでだ火薬も調べてやる。火薬、燃焼を利用して加えられた熱、あるいは衝撃により急速な化学反応を引き起こし多量の熱またはガスを発生させる。用途は主に火器等の武器またはロケットの推進薬として、あるいは工業用途等様々。一般的に危険なので取り扱いに注意すること。


 書いてあったし。


 辞書万能じゃないか。


 これじゃ調べていた僕はいったい、ま、まあいいさ、過ぎたことだ。

  

 「おお、それだな。案外早く見つかったな」

 あっけらかんとドリャノさんが言う。

 

 「とりあえず火器についてはわかりましたねあとは辞書とこの本で調べてください。この本の情報をカウルさんに教えにいってきますのでこれで失礼します、では」

 そういうと図書館を後にして寮にある自分の部屋に帰っていった。

 

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