第6話
はい、またもやこの時間に投稿です。あんまり二つ名考えるのは得意ではないのですが、まあ勢いで書いちゃいました。
勢い8割、計算1割、その他1割で提供しております。
さて授業どうなるのでしょうか? そして彼らの運命やいかに! 自分でもわかりません(おい!) ま、まあ頑張ります、としかいえない作者をお笑いください。 一様おおまかな、本当におおまかなプロットはあるのですが、何せこの特段文才のない作者のこと、はてさてどうなることやら。一様、目標は目指せ完結! です。
「ふー、大体の整理はついたな」
しばらく持ってきた自分の持ち物、といっても大半は服だけだが、を整理しながら時間を潰していると、
トントン。
誰かが扉を叩く音がした。
「はい、空いてますよ、どうぞ」
1人のすらっとして背の高い、鎧を着た男の人が部屋に入ってきた。
「うむ、ここが7ー3かな? はじめまして。同室になるカウルだ。よろしく」
彼はこの部屋の同居人のようだ。
「は、はじめまして。シュラクです」
少し緊張しながら挨拶する。いったいどんな人なんだろう? 軍人なのは見た目からもわかるんだけど。
「ああ、そんなに固くならなくてもいいよ。これから同じ授業をうける仲間じゃないか」
さらに彼は少し笑いながら続けた。
「それにね、君とは以前、ネヘミア将軍の自宅で会ったことがあるよ」
え、会ったことあったかな? うーん、覚えてないや
「父をご存じなのですか?」
その質問にカウルさんは笑いながらも答えてくれた。
「あはは。いや、ごめん。笑うつもりはなかったんだけど。うん、ご存じもなにも、部下だよ。一様、彼の下で100人隊の隊長をしていたよ」
100人隊の隊長だって! 全然そんな重要な役職に付いている人には見えないけど。
鎧を着ないで、神官の服装をしていると貧乏神官といっても通用しそうな線の細そうな人なんだけどな。
「ふふ、見かけによらないって言いたいんだろう。わかるよ。初見の人は、皆、そう思うものさ。よく部下にも、上司にも、実際そう言われるしね」
部屋の棚に鎧を置きながら彼はそう言った。
ま、まあ人は見かけによらないことがあるんだな。一つ勉強になった。
カウルさんは自分の荷物の整理が終わると机の上の小冊子を手に取り椅子に座った。
「フム、それにしても、なんでこの部屋は明かりもないのに明るいんだ?」
机の上の小冊子を片手に椅子に座りながら壁と天井を見渡している。
僕もわかりません。
「なになに、ん? こんなに細かく時間を決める必要があるのか? 大体、どうやってこんなに細かい時間を知れって言うんだろうか?」
そしてやっぱり、僕と同じ疑問にぶち当たったようだ。
「えーっと、このページにある時計がそこの壁にかかっています」
壁にかかっている時計を指差しながら
「ほう、時計か。どういう原理なんだ? 太陽の影の長さで時間を図れるというのは知っているがそれを基準にしているのか? さすが異星人の技術だけはあるんだな」
ん? 異星人? なにやら想像を絶する語彙がきこえたような
「異星人、ですか?」
「あれ? 知らなかったかい。8ヶ月ほど前、ここの近くに星の船が落ちたそうだ。そして色々あってその乗組員が技術を教授するためにこの学校を作ったっていう噂だよ。本来、開校、入学はまだ先の話だったはずだろ。俺達、入学式に間に合わなかった連中は、予定が変わった所為で色々と忙しかったんだよ。で、なんでこんなに忙しいのかと調べてみた結果、この異星人が校舎と寮を一晩にして建造してしまったっていう噂を耳にはさんだのさ」
全然知らなかった。そんな噂というか背景があっただなんて。
「そ、そうなのですか?」
「うん、考えても見ろ。明かり取り用の窓なし、明かりなし、なのにこんなに明るいのはどう考えても説明がつかないじゃないか」
「たしかにそうですね」
実は、同じこと考えてました。ただし、分からなかったから考えるのをやめたけど。
「しかもこの時計だってそうだ。仕組みが全くわからない。となるとこの噂も信憑性があるんじゃないか、と思ってしまったのさ」
うーん、ちょっと嘘のような気もするし、噂に惑わされているような気もするんだけど。
「バビロン市の北門の警備に当たっている奴にここに来るついでに聞いてきたんだ、実は。だから結構確証は高いのではないかって思ってたりするんだな、これが。まあ、自分の配属先の情報ぐらい調べるよ」
前言撤回。やっぱりこの人100人隊の隊長かもしれない。
「すごいですね、そこまで調べてくるなんて」
「そうかい? まあ、それほどでもあるけどね。ま、所詮、5男だからね、これぐらいできないとご飯食べていけないんだよ」
少しおどけながら、そしてほんの少し寂しそうにカウルさんが答えてくれた。
うーん、同じなんだな、どこでも。長男、次男ぐらいまでは家が面倒見てくれるけど、それ以降は予備としてみられることも多い。まあ実家では、そんなに厳しい待遇は受けてきていないつもりだけど、全くないわけではなかった、5男ともなると苦労は僕以上なんだろう。
「僕も3男だから、少しは解りますよ」
「まあ、そんな暗い話題はともかく、そろそろ晩飯だね。これは期待できるのかな?」
どうなんだろう? 異星人の食事でも出てくるんだろうか? そういえば軍の食事はおいしいのかな?
「軍の食事は美味しいんですかね?」
「不吉なこというね、君。おいしいわけないだろう。パンと干し肉、運が良くて豆のスープがついてくる、だけさ」
それと同じものが出てきたらどうしようか? しかし父の奇行の一つである、謎がとけた気がする。
「それはまた悲惨ですね。父が家でご飯にたいして執着する意味がわかった気がします」
「まあ、そうだろうね。将軍も兵士と同じ飯、食ってるからねおっと、そろそろ食堂に移動してもいいんじゃないかな」
立ち上がって食堂に行こうとする、よほどお腹がすいてるみたいだ。
「そうですね、行きましょう」
扉を開けて部屋からでると、すでに廊下には食堂に行くための生徒達が三々五々食堂棟に向かって歩き始めている。
「それにしてもシュラク君、歳いくつだい? やけに若いような」
廊下を歩きながらカウルさんが質問してくる。
「14です。予定では本来の入校時には15のはずでした」
「14か! 大分若いんだね、自分より。自分なんか24だよ10才も若いのか。はー、なんというか軍事教練とかもあるらしけど、体力大丈夫かい? もうちょっと筋肉つけた方がいいと思うよ」
うぐ、僕も気にしている所をずばっと切り込んできた。でも、それを言ったらカウルさんも筋肉あんまりついてないような。
うーん、悩むな、触ってみようか。少しいたずら心がわいてくる。
結局誘惑には勝てず、ちょっと、ほんのちょっとだけ、僕は笑いながらカウルさんの二の腕を触ってみる。
ちょんちょん、プニ。やっぱり柔らかいんじゃないかな?
「いや自分はいいから、これでも剣は握れるし、一様強いんだよ」
腕を胸の前で組んでカウルさんが反論してくる。
何て言い訳しようか。
「カウルさんの筋肉をお手本にしようかと」
よし決まった。
「そうきたか」
笑いながらカウルさんが頭を撫でてくる。ついでに背中の肉付きも確認されたようだ。
そのあと頭を撫でられた。ついでに背中や肩も肉付きを確認されたみたいだ。
うーん、案外父に僕の面倒を見ろって言われているのかも、まあないと思うけどね。
食堂にはいるとオントスさんが声を張り上げていた。
「そこにある盆を1人1枚とって配膳棚の前に一列にならべ! 担当者から皿を貰ったものから着席して自由に食べてよし! 飲み物はポットが各机に用意されている、もしそれがなくなったら予備と交換せよ! 列を乱すな、きびきび動け! 前を見ろ! 食べ終わったやつは皿ごと盆をもって回収棚に置いていけ」
うわー、大変だな声を張り上げて。
サウルさんの後ろに立って配膳の担当者から晩御飯が盛り付けられた皿を盆の上に置いてもらう。
麦粥、少し小さめのパイ、野菜炒めに魚の切り身が今日の夕食みたいだ。
「結構、豪勢でしたね、ってどうしたんですか?」
カウルさんが夕食を見て涙ぐんでいる。
「うん、ああ、久しぶりに文明の食事が食べれるからさ、つい。暖かいものを暖かいままに食べれるなんて何たる贅沢」
え、軍隊の食事ってそんなにひどいの?
「おーい、シュラクこっちだこっち! こっち空いてるぞ! 一緒に食べないか?」
話し声で充満している食堂の中、向こうからサエル達4人が手をふって一緒に食事を取ろうと誘ってくる。
サウルさんの方を見ると、
「よし、シュラク君、せっかく誘ってくれているんだから行こうか」
と、カウルさんが先にいってしまった。
僕も盆をこぼさないように気を付けながら追いかける。
僕たちは席について挨拶する。
「はじめましてシュラク君と同室のカウルだ。よろしく」
「ああ、これはご丁寧に。はじめましてサエルです。鍛冶職人です。で、こっちが弟のエキエルです」
サエルが挨拶し返し、エキエルの頭を無理矢理下げる。
「よろしくおねがいします」
エキエルは頭を下げられながら挨拶する。
「俺はコリン、石灰職人です。はじめまして、よろしくおねがいします」
「僕はエレミヤ、食堂で働いてました。よろしくおねがいします」
すでに4人ともそれなりに食事は進んでるようだ。
「食べながらなになりますけど、部屋すごいですね、やっぱり。さすが異星人が作っただけありますよ」
楽しそうにエキエルがすごいものを見たんだぞ、と興奮しながら話しかけてきた。
「そうだな。今でも何で出来ているのか考えただけでも興奮するな」
コリンも同意する。サエルも頷いている。
「どうどう、落ち着きなよ、3人とも。2人がついていけてないよ」
エレミヤが3人を落ち着かせる。
しかし、やっぱり異星人が作ったのか、この建物。ということは星の船の噂も本当なのかな。
「ほう、いや自分達は東の方から着たからバビロン市内の情報には疎くてね、詳しく聞かせてもらえないかい?」
カウルもその言葉には反応したようだ。目付きが少し鋭くなる。もっとも顔はわらったままだが。
「ああ、あれは去年の終わりに近づいた頃の話だったかな、西の空に北東から、何か燃える火の玉が落ちてきたんだ。その後、ここの校長のコウジっていう人がその落ちてきた火の玉の調査に行ったらしい、そこで出会ったのが他の星からきた異星人達だったって話だ。まあ、ここの先生でもあるエルザ、ブラム両先生のことだそうだが。訳あってラアリで生活していたんだが、今回コウジさんの依頼でここの先生になってくれることになったそうだ」
サエルさんが手短に説明してくれる。
すごい、噂は本当だったんだ。
「その技術を少しでも学べたら、と思ってここに来てる人も多いですからね、彼らみたいに。それよりカウルさんはシュラク君のお父さんの部下かなにかですか?」
エレミヤが補足説明をして、カウルさんの身分を聞いてくる。
「うん? どうしてわかったんだい? シュラク君がいってたのかい?」
カウルさんが尋ねる。
いえいえ、僕はそんなこと入ってません。大体会うまで僕の父の部下だって知らなかったぐらいですから。
「いえ、東からという件と、その雰囲気、そしてカウルという名前、もしかしてかの盗賊団の事件で有名になった100人隊の隊長、人よんで、人食いカウルかと思いましてね」
へえ、あの鬼のように強くて狡猾な、って噂されている人食いカウルが、カウルさん? うっそだー!
狂暴だって有名な盗賊団を全員皆殺しにしたと言われる、あの? まさか、ね、どこにでもいる気さくなお兄さんって感じのする人なのに。
「そんな大層な人間じゃありませんよ、自分は。結局盗賊団は壊滅させれたけど、襲われて死んだ人たちは帰ってくることはないんですからね」
笑いながらもどこか寂しげにカウルさんは語った。
やっぱり噂は当てにならないなー。
「そんなことより異星人の技術で、なにか面白い発見でもできましたか?」
僕は話題を変えるために3人に技術のことを尋ねた。
「ああ、色々とわかったぜ。例えば時計」
エキエルが楽しそうに教えてくれた。
「どんなんですか?」
僕も重たい空気を払拭するかのように聞く。
「あの時計って道具な、なかで何かが回ってるんだよ、そしてここからが驚きだ、歯が沢山ある、水車とかに使っている歯車って知ってくるか?」
「歯車ですか、脱穀に使っているところを見たことがありますよ」
脱穀等に使われているけど歯が一杯?
「そうそれだ、あんま鍛冶とは関係ないと思っていたけど、その歯車が回転している何かに歯車で動かされているんだ、それが一回転することに長針が動く、そして長針が一回転するごとに短針が動く。これは凄いぜ、たとえばよ歯車があれば回転する効果を他のものに伝えれるってことになるんだから、もー楽しくって楽しくって。早く授業も受けてみたいぜ」
一気に捲し立てるエキエル。たしか同じ歳だったはずだ。すごいな、ここまで技術に情熱的になれるのか。しかし、言葉使いが地に戻っているのに気がついてないみたいだ。
「ふーん、面白そうな話ですね。投石機作るのに役立ちそうですね。まあ、例えばですが」
夕食を平らげたカウルさんが考えながら呟く。
食べるのはや! 僕も夕食を口に掻き込む。
「役立て型は色々と考えれますが例えばハンマーを振るという動作代わりにしてもいいでしょうしね。ほかにも探せば色々とありそうです」
すでに食事が終わっているサエルも続ける。
「さて、そろそろ部屋に戻りますか。いやー美味しい食事でした。申し訳ありませんね、詮索したみたいで」
エレミヤがカウルさんに謝る。
「気にしてないよ、慣れたから。普段通りに接してほしいな」
カウルさんもあまり気にはしていないみたいだ、表面上は。
「あ、待ってくださいカウルさんすぐ食べ終わりますから。ああ、皆さん、じゃあ、また明日」
僕は3人に挨拶して残っていた粥を飲み込みにかかる。
さて明日から授業だけど、どんな授業が僕達を待っているのだろうか?




