第3話
壮絶な戦いでした。対象は化学兵器の使用により不確かながら撃破ないし退却しました。分からない方は前回の前置きをご覧ください、なお食事中の方、黒い虫が嫌いな方は無視してください。
さて今回も模擬授業です。はい、終わりませんでした。まだ戦術途中です。ごめんなさい。あと一回、あと一回私にチャンスを下さい。と、まあ 冗談はさておき、戦術も戦略もずぶの素人です、その為、読みにくいかと思います、自分で読んでも少し、しくじった感があります。軽く読みとばしてあげてください。
作者所用があるので次回は土曜日になる可能性があります。 楽しみにしていただいている方には大変ご迷惑をかけることを先にお詫びして文頭のご挨拶とします。
幾つかの連邦加盟国の戦史から凡例を説明しながらブラムは情報という物を説明していく。
情報の収集はしたが分析を間違い、奇襲を受けた例。
入手情報それ自体が欺瞞や偽情報であった例。
情報戦の概念も取り上げられた。
伝統的な情報戦は諜報、欺瞞や偽情報の流布で構成される謀略、情報の保全や自国や相手国での諜報網の監視からなる対情報活動(すなわち相手側の情報収集を妨げる行為)である。
さらにここから文明の発展度合いが増し、通信が発明されるとその通信が指揮連絡に活用される。
この時代でも新しい情報戦が行われるのだという事をタブレットを活用して親切丁寧に説明していく。
有線、無線通信とはなにか? これを使うと戦略は、または戦術はどのように変化しうるか? 等も交えながら。
そして有線や無線通信の妨害、またはこれ等を使用した早期警戒等も解説する。
日本人なら日露戦争中の旅順港を攻撃した際のロシア側の通信電波妨害や、日本海海戦における信濃丸の活躍を思い出すだろう。(信濃丸は元々商船であり、日露戦争開戦当初陸軍に輸送船として徴用されていたが輸送が一段落した為、一旦徴用解除、今度は海軍に徴用される。その際仮装巡洋艦として整備配属され、九州西方海域にてバルチック艦隊を発見、早期警戒に成功する。余談だがこの船、孫文の亡命の際乗り込んだ船である。その後、廃船一歩手前ながらも第二次世界大戦にて輸送船として活躍。無事に戦争を生き延び、戦後は引揚げ船として活躍する)
そしてさらに文明は進み、電算機器等を使用し、高度に通信電子技術を活用するようになる時代の情報戦についても説明していく。
例えば3人が使っているタブレットも電算機器である。元々は俺と一緒に跳ばされてきた物であるが、英語で表記されていた物を彼等の使っている文字にエルザが複製した時に変化させたのだ。そしてこれに適切な通信網を構築してやると、個人でも情報伝達が可能になり、C4Iになるのである。(C4IはCommand、指揮、Control,統制、Communication,通信、Computersコンピューター、そしてIntelligence、情報、またはInteroperability,相互運用性を足してC4I2、さらにSurveillance,監視、Reconnaissance、偵察を追加してC4ISR、さらにさらにTarget Acquisition、目標捕捉の頭文字であるTAが追加されてC4ISTAR等もある)
そして当然、便利な物は使ってしまえとばかりに民間でもこの電算機器を使い始めると、そこでも情報戦が開始される。そういわゆるサイバー戦争である。(サイバー戦争のサイバとは、古代ギリシア語の制御に由来するのだそうだ、ソ連が名付け親だとか)しかしこの概念を説明するのはこの時代の人間には適切なのかなと少し思ってしまったが、やっぱり3人は理解し難いようだ。
ブラムも理解したらしく
「そのようなものがあるとだけ御理解下さい。なお、情報の重要性は戦略に対してのみというわけではありません、当然戦術に対しても重要です。その点も理解いただけると現状においては完璧でありましょう」
「さて戦略は他にも、先程情報の時に言ったように技術という物に左右されます。例えばいくら優位な戦略、戦術を立てたとしても、一つの技術によってその差をひっくり返す、あるいはひっくり返される事があり得ます」
ここでシャムシが質問する。
「さっきこのタブレットで見た火薬とかいう物を使用した遠距離武器は凄かったね。それも戦略や戦術の優劣ひっくり返す事ができるかな?」
「可能でありしょう。技術的にもこれの製造技術を提供することはさすがに不可能でありますが、コウジ殿なら類する物を製作可能なのでは?」
銃砲を製作可能か? といわれても、可能かな?
「火薬は即座に製作するだけなら可能だろう、問題は大量生産が出来るか否かだ。さらに銃砲は金属加工の技術程度によるな」
火薬は黒色火薬なら硫黄、硝石、木炭を混ぜるだけで出来るし無縁火薬であるニトロセルロースやニトログリセリン、ニトログアニジンを生成することも可能だろう。
更にトリニトロトルエンやピクリン酸なども、硝石さえあれば、ハーバー・ボッシュ法が無い時代においても、生成だけは出来る。
まあ、窒素を、更に言えばこの窒素をニトロ基を使用しないで爆薬を作れないわけでは無いのだが。
一様知っている化学の知識のなかでは過酸化アセトンになる。
アセトン、過酸化水素、塩酸か硫酸があれば合成できる。
もっとも純度等の問題もあるので一概には言えないもののTNTの2割から7割程の威力があると言われている。
原料であるアセトンはフェノールを生成する為のクメン法、あるいはデンプンのアセトンブタノール発酵によって合成できるし、(ベンゼン、プロピレン、硫酸をどうするかは課題ではあるが)過酸化水素は過酸化バリウムに希リン酸を作用させることによって生成できる。(硫酸と硫酸アンモニウムの混合溶液の電気分解は、硫酸アンモニウムのアンモニア生成に硝石が必要になるので除外だ)これ等を色々と反応合成して過酸化アセトンが出来る。
((作者注:これ等日常的な物質から製造できるためテロによく使用されていますので製作には注意。怖いおじさん達が周囲に出始めても私は責任をとりません。また生成反応時、室温ですらよく爆発し、危険です、絶対に作らないで下さい。利点は爆薬探知犬が検知するべく、指標として使用しているニトロ系爆発物の臭いが無いため、犬に対して発見されにくいこと、と言われていますが、それに対する訓練もしているらしいです))
「火薬だけでも武器になるかい?」
火薬に対して少し考えていたら、シャムシから更なる質問がとんできた。
「火薬だけでも武器にはなるけど、火薬の運搬手段がいるよ。例えば、火薬を敵に対して投げるのなら人が運ばなくてはならないからな」
「じゃあ、青銅でも銃砲だっけ? 作れるのかい?」
青銅砲があるぐらいだから製作できるんじゃないかな。
「試行錯誤が必要だろうけど、初期の物なら作れるかな」
「なるほどね」
頷きながらブラムにも質問する。
「ブラム達の武器って何になるんだい?」
「一般的に歩兵が使用する武器は、銃と言われるものも、砲も、剣や槍も使用しますよ。お嬢様はああ見えてレーザーブレードがお上手ですし、私も嗜むレベルではありますが使えます」
ブラムがそれに答える。
「なにが嗜むレベルよ、私よりはるかに上手じゃないの」
エルザがボソっと聞こえるか聞こえないかの音量で言う。
「さてさて、技術は一日にしてならずといいますように、これの習得、そして応用にはある程度の時間が必要なことは理解いただけると思いますので、次にいきたいと思います。次は戦術です。この分野が生徒達に教える軍学のメインになろうかと考えます」
3人を見渡し更に続ける。
「イシュナさんにも関係のある事と思いますので、どうぞ積極的に御発言下さい。戦略の際には私が余計なことを言ったようで発言がなかったものですから」
イシュナが頷く。
「さて戦術とは何か? 我々はこう定義しています。ある特定の領域において敵、または相手側を撃破ないし抗戦意図または抵抗する意図を放棄させ勝利を得る為に持ちうるありとあらゆる力を効率的効果的に発揮するための術であります」
「つまり、戦場だけではなく商いに対しても有用であると?」
イシュナが即座に反応する。
「そうですね。当然全ての事柄において、戦術や戦略という概念は使用されうるものです。私が教えるのは戦争関係になりますが、ここから商いに対しても十分学べるところがあると思いますよ」
イシュナの目が輝き、更に真剣な顔になる。真剣な顔も可愛いものだ、決して惚気などではない。ないはずだ、ないと思いたい。
「さて例えから入りますが、我々の文明において、医師とは多数の医学書や医学教材で医学的な知識を学び、様々な電子情報を含む患者の情報を用いて、そこに知識を適用し対処すること、そしてそれの繰り返しで一人前の医師となります。技術者、商人、政治家も同じでありましょう。当然これは軍人にもあてはまることであります。軍人は軍学書や様々な戦史、技術的な本を読み基礎知識を身に付け訓練や、実践、または実戦を通じて軍人となります。それを繰り返すことで一人前の軍人、将軍になりうるのです」
一旦ここで話をきり3人を見渡す。
「私は私の軍学の先生とも言える人からこう言われたことがあります。戦術とは生涯を通じ学ぶもので、そうしてやっと常識の範疇になると、最初は言っている意味がよくわかりませんでした。軍務について、辞め、お嬢様のところに来て、暫くしてようやく戦術とは基礎であり到達点であると理解したものです」
ブラムは退役軍人だったんだな、初めて知ったわ。
「さて前置きが長くなりましたが戦術に必要な事はまず管理でありましょうか、管理がなければ何もなりません、例えば都市を作る、管理しなければ出来ないことですね、統治機構も同じく管理というものなくしては成り立ちません。では管理とはなにか? 簡単です。皆考えずに実際にしているのですから。まずは何をどのように行うかを計画する。そして計画に沿って実際に行動する。最後にその結果を検証するです」
「つまり、これ等は日々我々がしているけど、理論化されてないだけだと? それが軍隊にも関係するのかい?」
シャムシが質問する。
「そうです。我々は一般生活でも、軍事的状況下でも意思決定を行わなければなりません。管理とはある意味、意思決定の過程でもあります。この管理は軍隊を適切に運用する際にも、また商家を経営する際にも有益であります。ここまでは大丈夫でしょうか?」
「よくわかりません」
ニムロデが疑問だらけだと言う顔で答える。シャムシも理解できてないようだ。戦術からマネジメントの話に飛んでいるからかして、よく分からないのだろう。おそらく2人は戦闘関連の授業だと思ったのだろう。
「そうですね、管理の原則を聞いてもらうと何となく理解してもらい始めるかと思います。まあそんなこともあるのだなと言う具合に覚えておいてください。さてその原則の定義にも色々と種類があるのですが一番有名な定義から。先ずは分業の原則、権限と責任の原則、規律の原則、命令の一元化の原則、指揮の一元化の原則、個人利益の全体利への従属の原則、従事者の報酬の原則、権限の集中の原則、秩序の原則、公正の原則、従事者の安定の原則、創意工夫の原則、団結の原則です。どうですか? 良い軍隊、強い軍隊の必要不可欠なことが散りばめられいると思いませんか?」
3人ともうなずいている。
「例えば商家において、支店はその職責に応じて、与えられた任務・職務に応じる責任、それに見合った権限を付与され、同時に現状に対して達成の度合いを組織の上下、または左右に報告、説明する義務がありましょう。これと同じことは軍隊でも同様に実施されることであります」
これはいわゆるマネジメントの教科書にいう三面等価の原則だな。アメリカでは非常に経営者にも重要視される。
なお普通、日本語で三面等価の原則は経済学では国民所得勘定のことになる。意味が違うので注意しなければならない。
訳を変えてほしいものだが……。
ついでに現実ではこの義務、権限、責任の三面等価の原則が上手くいかない事が日本では良くあるが、この原則を中途半端に、かつ上が都合よく利用しているからであるような気がする。権限より職務の方が上だったり、権限より責任の方が異様に大きかったりと、決してこの原則が悪いわけではない。
「さて戦術にも、あるいは戦闘そのものにも原則というものがあります。これについて話していきたいと思います」
書いてから調べ、失敗したと感じたことがあります。この過酸化アセトン、パリ、ブリュッセルのテロに使用されていました。削除の必要があれば速攻で削除します。なお犠牲になった方にはご冥福をお祈りするとともに、本作はいかなるテロ、それに類する活動を肯定するものではありません。




