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太陽系興亡史  作者: 双頭龍
第2章 回り始める運命の歯車(旧第名 始動)
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セフィルト Side その2

 前後2話に分けた後編です。辻褄が合わなければ改編する可能性もありますが、たぶん大丈夫でしょう、たぶんですが。さてさてここ暫く暑い日が続き始めております。私は少し夏バテぎみで胃が荒れています。いや、べ、別にお酒の飲み過ぎとか、また賞味期限の切れたカップ麺を食べて、とかでは無いですよ。単純に暑さだと思います。皆様も、ますます夏の暑さも厳しくなってきますので、お身体崩されませぬようご自愛専一の上、ご活躍ください。まあ、すでに私は無理ですが。

 「少しいいですか?」

 植物のような安全保障担当の補佐官が、議会進行役の補佐官に目配せして質問する。


 「なんですかにゃ?」

 ユーリャンが聞く。 


 「彼らは捕虜を取らず、捕虜にもならず、自爆していったと記憶しているのですが、その辺りは、当時どうだったのですか?」

 皆、それも聞きたいと顔に書いてあるように見える。


 「センダワル奪還の最終段階、掃討に移行した際、確かに彼らは此方の降伏勧告を受け入れず自爆したのは確かですにゃ。その、確かこれって機密に当たってたと思うんだけど、これって言っていいのか、にゃ?」

 ユーリャン統合参謀本部議長が首をかしげている。


 「構わないわ。以後の経過を知っている者なら推測は出来る話だから、此処だけの事って言うことにしておけばいいわ」

 セフィルトがユーリャンに助言する。大統領もそれを承認して、一時議事録の記録を機密とする手続きを取る。

 

 「じゃあ、改めて。彼らは一般的に意思の疎通が出来ない、と言われているけど、そんな事はないにゃ。彼らにも意思は存在するにゃ。確かにこの耳で聞いたにゃ、降伏勧告を断固として拒否するって感じの音が入電したのを。その後に自爆したから、そういう意味だ、と今でも思っているのにゃ。確か学者連中もそう考えているとその当時、その事を聞きに来た者に直接聞いたのにゃ」

 

 この発言に納得した顔の者と、首を傾げた者に別れてしまった。

 

 「少し、補足してもいいですかな? 腑に落ちていない者が散見されるようですからね」

 内務大臣が補足してくれた。

 

 「彼ら外宇宙からの侵略者がセンダワル星系に侵攻したのが、この年の終わり頃。ユーリャンが所属する艦隊が奪還を成功させたのが明けて2の月頃。この後、皆知っての通り宇宙緒勢力合同艦隊が結成されます。さて、どういう名目だったでしょうか? そう、外宇宙からの意思の疎通が出来ない侵略者に対し、各勢力が合同でこれに対処する為のという名目が正式の物だすね。実際、こうなったのは幾つかの要因の為です。我々、いや同盟以外にとって、大きかったのは、先程ユーリャンが話していた、このままでは局部超銀河団が危ない、という話でした。奪還に成功したのに、このまま行けばセンダワル星系の放棄もやむ無し、それどころか、ほんの数ヵ月で局部超銀河団すら、さらに時間を費やすと連邦加盟各国のある大規模構造、それ自体にも危険が迫ってくる、と。そうなると、また政治的な、その彼らに開けられるであろう穴に、他の緒勢力が足を引っ張られて結束してこれに対処できないのではないか、と皆、危惧しました。そうなると我々この宇宙にいる者は遅かれ、早かれ滅亡のみ、それはセンダワルだけでなくネエリックを見ると予測される最悪の事態であると。そうなると各勢力代表は合同軍を結成するときに、この情報の機密を固く保持する事を決定したというのが事実です」


 それに続けてセフィルト局長が同盟側の意図を説明した。


 「同盟側にはそれに加えて、更なる意図が介在したわ。最悪な事に、先にその宇宙に侵攻したのは同盟のセセミンターに種族的に近いって言っていた、その部族よ。その事を同盟が、我々同盟以外の国民や軍に大っぴらに知られると士気にも関わる自体になると思ったのね。実際考えすぎではないでしょうね、その時代では、まだ同盟側の動きは活発だったから。合理的に正しいと人は解っていても心情的に解りたくない物ってのも有るものよ。個人的には負けた同盟側のプライドも有ったとも思っているけど、ね」


 さらにそれに続けてユーリャンが発言する。


 「まあ、結局は、色々とそうせざるを得ない事があったのにゃ。後600年は機密のままにゃ。皆、黙っておくんだにゃ。さて話を元に戻すのにゃ」

 

 議事録を一般に戻し、皆が一息つく。

 

 「さてさて、そんにゃ訳で合同艦隊が編成されることになったのにゃ。連合は即座に援軍を出してくれたのにゃ、まあ、地理的に一番近いしにゃ。正確な情報を伝えると、すぐ飛んで来てくれたのにゃ。同じワープリングを使っているのも大きな要因だのにゃ。それより問題は協商と、帝国だにゃ。協商は宇宙の端に敵対する勢力を封じ込め、包囲している、まだしているけど、都合上、大規模に、なおかつ即座に、艦隊を動かすのは大変なことにゃ。それでもその包囲している艦隊を含めて大規模に援軍を派遣してくれたのにゃ。帝国は少々厄介だったのにゃ。その何代か前の皇帝の時代は我々とも激しく争っていた都合上、その当時においても仮想敵国上、大きな力点を閉めていたのは事実なのにゃ。彼らの勢力圏でもある大規模構造とのボイドとボイドとの間の通路に点在する銀河には、その当時、今ではみる影もにゃいけど、お互いの一大要塞地帯があったのにゃ。その当時はだいたい2年に一回は申し合わせたように両者、動員をかけて、その要塞地帯に艦隊を集める訓練をしたものにゃ、たまに小競り合いもしたしにゃ。しかし事態はそこに置いてある艦隊の戦力さえも、無駄に出来なくなってくるのは自明の理に成りつつあったのにゃ。そうであるなら援軍を求めている以上、おっかなびっくりの態ではあるが、艦隊を子持ち連星銀河に向けて出発させたのにゃ。それに帝国もこの事態の緊急性を理解したようなのにゃ、即座に留守部隊の、移動できる要塞もつれていったもんだからほとんど居にゃかったけど、案内を受けて、先行した駐留艦隊の後を追いかけたのにゃ。帝国の戦乱の時代を経験した長命種の中にはこの銀河地帯を抜けるために我々含め両軍どれ程の労力と、人名を失ったものか、と涙したと聞いているにゃ。各勢力の艦隊が終結するまでの間、主に数ヵ月だけどにゃ、同盟も大変だったのにゃ、数次にわたるネエリック星系攻略戦の失敗とそこから出てくる奴等の防衛、終結の時間稼ぎの為の死を省みらないネエリック星系へのさらなる突撃。各勢力の艦隊が子持ち連星銀河に終結できた頃には、同盟の実働可能艦艇数は約Ⅰ万まで減っていたと記憶しているのにゃ。彼らのその直向きな突撃は、有る意味自業自得でもあるのだけれど、同じ武に、国民の平和と、安定に奉じる者として鬼気迫る物を感じたのも事実なのにゃ。我々も加盟国の艦隊の増援と統合軍艦隊の全力でセンダワル星系と、その周辺の防衛に努めていたのにゃ。そして終にその年の半ば、各勢力ごとに艦隊を再編してネエリック星系に、その周辺の彼らに制圧された同盟側星系に侵攻を開始するのにゃ。主力は疲弊していないこの宇宙の最強とも言われる帝国艦隊と、協商艦隊。防衛戦で疲弊した我々はこのような大規模な戦闘経験のない連合と一緒に艦隊を編成して主力の一翼をようやく担えることになったのにゃ。もっとも誰も宇宙対宇宙の規模の戦闘など経験した事がないのは事実なんだけどにゃ。帝国艦隊、協商艦隊、連邦と連合の合同艦隊は三方から包囲するようにネエリック星系の奪還に向け同時に侵攻し始めたのにゃ。まあ、気勢を取った、簡単に言うと、主導権を握ったと、もいうがにゃ。数の上で、質はほとんど同じと思うんだけど、優位にたったのも大きかったのにゃ。ここでも同盟は我々を驚愕させてくれるのにゃ、なんと民間船も廃船一歩手前の放置されていた船や、記念艦までも徴用して各艦隊の水先案内をしてくれたのにゃ。まあ戦闘になったら水先案内の船を残し、大半は即座に突撃していったけどにゃ。どうせなら連携してほしい、とあきれたものにゃ。戦いはその年の終わり頃までかかったのにゃ。ようやく明けて1つ目の月、我々は穴に到着したのにゃ。ここからは交渉、あるいは防衛になると思っていたのにゃ。各艦隊の司令官は知っていたみたいだけど穴に水先案内の同盟の船が、少なくなった同盟の正規軍の艦隊と、半分ボロボロの船もいたけど、一緒に入っていったみたいなのにゃ。そして穴の奥から衝撃が来るのにゃ。後は歴史の教科書通り、同盟のその特攻艦隊の銀河級戦略殲滅兵器の使用で穴を塞いだのにゃ。おそらく向こう側の宇宙の銀河はめちゃくちゃになっていると思うのにゃ。これが私の知っている事の全てなのにゃ」

 その長い話を話終えたユーリャン統合参謀本部議長は、置かれていた水をペロペロと飲んだ。

 

 「そしてそれ以降、連邦は正式に帝国と平和条約を結び、帝国と協商間や、新興勢力である連合との間とにも、各種条約を斡旋、締結することになるわ。加えてその時以来、同盟は闘争というものを原則していないわ。でも、当然何事にも反対する者はいるものね、闘争それ自体彼らの本能みたいな物だから、ね。最近では一番強く反対しているのが、皆知っての通りセセミンターね。同盟内の反対派を糾合し始めたのが、3年前、総統に就任した新総統ベセミナーよ。そしてこれが二つ目の大きな報告です。同盟は今回のセセミンターのこの一連の植民地戦争に一切関与しないとの姿勢を同盟緒勢力会議で決定しました。セセミンターの意図がさらに読めなくなりました」

 セフィルト局長が報告して、皆大いにざわざわし始める、大統領が発言するまで、ではあるが。

 

 「つまり、想定されうる範囲が広がったと言うことかな? それでは単に闘争のための戦闘目的もありうる、と?」

  

 「ええ、可能性はゼロでは無いです。しかしそれを言うなら、そうでもない可能性もありますから、なんとも断言できません。現状出来る全ての事はして損はないかと思います」

 セフィルトが、ある意味当たり障りの無い言葉で発言を締め括る。

 

 「ふむ、セフィルト統合情報局局長に命令す。これまで通りセセミンターの意図に対する情報収集、それの解析をあらゆる角度から、全力をあげて行うこと。また各省庁はこれを全力で支援すること。ああ、あまりにもこれらの情報が大きかったから忘れるところだったが、エルザ・シュタインマーの捜索、救助は、是非、時期含めて、セフィルト局長に手段をも含めて一任する。この件に関しては以上かな」 

 各省庁含め出席している各関係者は頷いていく。以後、安全保障会議はこの件に関連する諸問題を討議し始めた。


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