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太陽系興亡史  作者: 双頭龍
第2章 回り始める運命の歯車(旧第名 始動)
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第8話

 ようやく明日からお休みな不幸な? 人間であります。皆様はもう休みは終わったのでしょうか? 

 さてギリギリ金曜日に投稿、前書きを書いている段階で、と相成りました。ちょっと投稿のペース配分が甘いことお許しいただきますようお願い致します。

 次の日の朝、待ち合わせ通り市場でイシュナとシャムシ達と合流する。

 「おはようございます。エルザさん、コウジ」

 久しぶりにあったイシュナが俺達二人に華麗に挨拶をしてくる。まさしくお手本のような上品な挨拶だ。普段、俺に会った時は絶対軽くしか挨拶しないがエルザがいるから丁寧に挨拶したようだ。

 「ああ、おはようイシュナ」

 「久し振りねイシュナ、おはよう」

 俺達も挨拶を返し、エルザがイシュナの横に行き、二人で話し始める。

 少し離れたところにいたシャムシが、エルザに軽く挨拶して、俺の方に来て、エルザに聞こえないように挨拶してくる。

 「おはようコウジ、エルザさんもついてきたのかい?」

 「ああ、昨日エルザの所に行ったときに口を滑らしてしまったんだ。ついでに手伝わされもしたが」

 「それはご愁傷さま」

 二人で足を早め、エルザ達から少し離れ、朝のラアリの町の喧騒の中を人馬を避けながら、それでいて二人を気遣いながら歩いていく。

 ラアリの町の中央にある十字路を東から中心部に向けて護衛達に守られながら4人で、少し離れて、歩いていく。

 女性は女性同士会話を楽しみながら、時おり気になった店に立ち寄り、歩いている。

 俺達はそれに付き合い、時折立ち止まり色々と情報交換している。

 「それで専門分野の学校の話しは諸事万端整ったんだね」

 「俺が受け持った用地、講師、資金は十二分に。後はそっちの生徒の問題だけだな」

 「色々と話しはつけているよ、分野は最終的にどうなったんだい?」

 「エルザが天文学、俺が数学、化学、物理学、コールが農学、ブラムが工学と軍学と言った所になるだろうと思う」

 「最初より増えてるじゃないか。これはもう少し声をかける幅を広げた方がいいかな」

 シャムシは誰に声をかけようか、と考え顔になる。

 「任せるよ、広がったと言ってもここから細分化された分野には広げてないから、まだ楽な方だと思うけどな」

 人脈の方面ではシャムシに完全に任せてるので口を出すつもりはない。

 「そうだ、工学って何?あと細分化ってどう言うこと?」

 突然、気付いたかのように聞いてくる。

 「工学は自然科学の応用で、これをどのように使えば人に役に立つか、またどうすれば技術として確立できるかを研究する学問だよ。化学や物理の応用のような学問さ。ついでにブラムは金属、機械、航空宇宙が専門だそうだよ。細分化は、今言ったみたいにどの分野が得意かだね、例えば金属工学ならば金属の製錬と加工、合金の製造とその処理法と言った技術面と金属、合金の力学的、物理的、化学的な性質を研究する理論面がある、と言った具合に別れてるんだよ」

 頭で一生懸命理解しようとしながらシャムシが質問してくる。

 「つまり鍛冶屋の分野と、さっきコウジが教えるって言ってた化学、物理学の立場から見た金属の本質とは何かが融合した分野なんだよね?」

 「ああ、まあ、大体正解だな」

 実際、金属工学を専攻してた人が研究チームのなかにいて、よく一緒に飲んで話を聞かせてもらってたから色々な分野のことを知ってるだけだけどね。でもこの色々な分野のことを知る、というのは結構重要である。悪い例えであるが何か問題が出た時にも役に立つことがあるし、さらに言えばその問題解決に手こずった時、その分野外の人間からしたら、たとえ説明されたとしても、何でそんなことになってるんだよ、仕事しろよ、となる可能性もあるわけで、ここにこの分野のことを知ってる人間がいたら、専攻してる人間じゃなくても、その動きを宥めることが出来る、さらに言えばその逆もまたしかり、というリチャード・チャールズ両主任教授の教えから始めた習慣である。まあ、ただ単に二人が酒を飲みたいが酒代は浮かしたい為に皆にそう言って経費で落としてるだけかもしれないが……。事実二人は良く飲み食いするから。まあ、実際こうして色々な分野の人間と話している時に問題が解決することも多いので有益には違いない。

 「でも、それぐらいなら最初からその分野だけでも細分化してもいいんじゃない?」

 「まあ、軽くなら細分化可能だ。一様、本格的に細分化すると金属工学なら、金属製錬学、金属加工学、金属材料学、金属組織学、金属化学、金属物理学に分けれるし、さらに1分野に特化した技術・理論では、鋳造工学、粉末冶金学、溶接工学、半導体工学、金属物性論、金属電子論といった具合に分けられることもと、まあ、あまり詳しくないけどな」

 っと、一気に捲し立てたけど、話しに付いてこれてない顔してるな。

 「最後の方がよく分からないけど、まあ大体細分化しすぎるのは早い、ということが分かったよ。で、鋳造って鋳型の事だよね、じゃあ冶金ってなに? あと溶接と半導体ってなんなのさ? あ、でも電子は前説明してもらったから大丈夫かな」

 おっと、逆に質問攻めにあってしまった。頭の回転は、この子含めて三人ともいい方だからな。

 「冶金は製錬と精製と加工、合金製造に理論分野を合体させた学問技術領域だね。製錬は知ってると思うけど金以外、自然に産出する金属は、酸化物、錆びてるか、硫化物、硫黄が付っついてるか、それ以外もあるけど、そんな感じで純粋じゃないんだよ、これを純粋な目的の金属にすることを製錬っていうんだよ。で、精製はさらにこの純度を高めること。加工、合金はまあ説明するまでもないかな? 青銅が錫と銅の合金だね。で、溶接が2体の金属を熱で溶かして1体に接着する方法のこと。半導体が……、説明しにくいな、うーんと、何て説明しようかな、ある特殊な金属の電気的性質を利用して色々なことが出来るんだけど、それの元となる金属のことさ」

 「そこまで行けるかな? いや、いかないと追い付けないんだよね。どころで、金属ってどれくらいあるの?」

 まあ、俺達の目的からしたらそうなるわな。

 ん? 金属類の数のことか、それとも金属元素の数のことか? 元素数なら何個だったけ? まあいいや、質問の意味を聞いてみよう。

 「そうなるね。質問に質問で返して悪いんだけど、何種類知ってる?」

 「金、銀、銅、錫、鉛、青銅、ぐらいかな。水銀と鉄はみたことないけど」

 おっと、元素数じゃないようだ。合金含めちゃうと答えは合金の各成分の含有量によって無限になっちゃうんだぜ。どこから説明しようか、完全に高校化学の領域だな、もう8年ほど前になるが一様、これでも家庭教もしてたけど、覚えてるんだろうか?

 「前に話した単体と化合物、純物質と混合物って覚えてる?」

 「覚えてるよ。たしか1種類の元素、原子からなる物質だっけ、で構成された物質のことだよね、銅とか金とか。で、2種類以上になると化合物、例えば水とかだったっけ。今一、水が化合物なのは納得いかないけど。純物質が他の物質が混ざってない単一の物質で、混合物が2種類以上の物質の混じりあった状態のことだよね」

 良く覚えてるな。さすが。

 「で、青銅とかの合金はこの内、なんだと思う?」

 「わかったよ、そういうことか最初の問題、答え多すぎて答えられないんだね」

 少し考えて閃いたようだ。質問から類推したようだ。

 「まあ、そういうことだね。元素的にはたしか、えーっとアルミニウムとケイ素の間で斜めに別れてたはずだから、えーっと元素番号全部でピューッコの拡張周期表ならば172あったかな、それ引くヘリウムと2族の13から18までの周期の6個の元素とそこから6周期まで一個ずつ減って合計21個、あと7、8、9の各周期の希ガスを念頭にいれていいのかわからないけど、まあ念頭にいれて3だから、全部引いて148かね? たぶん。で、ついでに半金属元素なんてのもあるからこれに±6~7されるけど、まあ、これについては何とも言えないか。ああ、そうそう、ついでに合金は混合物だよ。錫と銅の単体が混じりあってるからね」

 「金属工学だけでこれほどの説明が必要だなんて、全部理解しようと思うとどれだけかかるか」

 ちょっと落ち込んだようにシャムシがため息混じりに呟く。

 「全部一人でする必要はないよ。専門化された仲間と更なる社会の深化をめざしてやっていけばいいんだよ」

 「そうだね、そうだよね。みんなで頑張ればいいんだよね。最近ちょっと忙しかったから何でも一人で抱え込みすぎてたんだよね。そうか、そうかコウジも手伝ってくれるもんね」

 あ、あれ、薮蛇だったか。

 「手伝える範囲で手伝わせていただきます、お代官様」

 「へりくだってもだめだよー。じゃあ、まずはイシュナの立ち位置をコウジの横に置いてもらおうかな。いやー、結構、親族一同どうしようかと悩んでたんだよね。無駄に面倒臭い立ち位置だからねイシュナも、いやよかった、よかった。コウジなら父上も安心してくれるだろうし、これで肩の荷がひとつ降りた気持ちだよ」

 にやけながらシャムシが退路を絶ってくる。

 お、おい。まさか、嫁に、ん? この場合婿か? いやイシュナ本人の気持ちも重要なのではないだろうかと思う次第でありますですよ、ってテンパってもしょうがない。状況を確認しよう。

 「ど、どう、どうしろと、お兄様と仰げと」

 「ふふふ、さあどうしようかな。まあ、その話しは今度バビロンで父上にあったときにでもしてもらえばいいとして。お願いしたいのは、鍛冶屋とかと話をつけてきてほしいかな。まあ別に僕がやってもだぶん大丈夫だとおもうけど、やっぱり弟子や子弟を生徒として最初は入れたいでしょ、だったら説得は色々と貢献しているコウジにしてもらった方がいいんじゃないかな」

 まあそれぐらいなら、イラ・カブカブ王と話すよりハードルは低いか。

 「まあそれぐらいならやってみるよ。他に俺がやれることないかい?」

 「そうだね、あと神殿関係も天文学の絡みでお願いしたいけど、やっぱりこれは僕がやるよ」

 「わかった」

 その後4人で中央通りを散策して、他にも色々とたわい無い話をするのだった。

 ええい、恥ずかしくてイシュナと目を合わせれないじゃないかシャムシめ、30近くになって10以上離れた子供の言葉に、こんなにどきまきさせれるるとは……

 

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