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太陽系興亡史  作者: 双頭龍
第1章 始まりは何時も唐突に (旧第名 転位)
13/63

第1章 転移 第9話

 誤字脱字は追い追い訂正していきたいと思います。なんと言うか、お前の話は会話中心か、って言うほど会話だらけですが、そして読みにくいと思いますが、ごめんなさい頑張ります。(何を頑張る?)

 「ただいま」

 シャムシがニムロデを寝かしつけて帰ってきた。

 「ああ、お帰り」

 「続きをよろしく」手に黒ビールの壺をもちながら入ってきた。

 一様俺の時代は酒類は二十歳からですがね。

 「はいはい、まず始めにこの時代の基本的な社会情勢ならびに国際情勢から説明していこうかな。産業革命の御蔭で、と言うか所為せいで、労働者と工場の所有者との対立が生まれる。同じ頃に科学の進歩による無神論、個人主義、えーと個人の意義とか、価値に重点を置く理論ね、自由主義理論、個人の自由を尊重して封建的共同体の束縛から解放しようと言う考え方ね、も生まれてきた。この時代は丁度政治体制の大きな変革もあった。フランス、そうイギリスの下のこの国、で王政が打ち倒され共和制、この時代では君主制を取らない政治体制、になる。ただこの革命は二転三転して最後には独裁制になる。当然、回りの国家がこの革命に干渉するし、終わったあとにおいてもこの革命の影響はヨーロッパならび世界に色濃く残る。その時代の影響を受けたこの考えの最初の発案者はスペンサーなんだけど、その考え方の根底には数多くの哲学者ならび政治学者がいる、ただこれを統計的に説明するのが難しいんだ。まあ、スペンサーから説明するかな。基本的に彼は種と同じように社会も高度な物に進化すると言う進化論に影響を受けた概念を考え出す。ここら辺までならまだ自由主義的概念なんだ、ただ進化における適者生存、優勝劣敗を当て嵌めると話は唯の強者の理論になる」

 「なるほどね。これを利用して植民地、あるいは列強による侵略の正当化になるんだね」

 「そういうこと。さらに社会主義的考えや人種主義的差別のための概念になるんだよね」

 「社会主義?」

 「社会主義と資本主義を説明しようか。社会主義とは、資本主義の矛盾を解決して新しい社会を作ろうって言う考え方だね。平たく言えば貧富の差なき平等かつ自由な世界だね。一方資本主義は労働力を商品化して余剰な労働力を売って資本を増やす事に重きをなす経済の考え方だね。これが社会に、社会その物に大きな影響をもたらしていたんだ」

 「なるほどね。平等を目的とするか、お金を目的とするかかい? でもさっきもいっていたけど自由の定義ってなんだい」

 「自由、平等ね。この場合の自由は他者や宗教、その他の仕組みからの自由かな。簡単に言うと信仰、思想、良心の自由、良心って言うのはここでは自己の行為、心情の元は自分の心で、それが自由じゃなくちゃ意味ないでしょって言う考えね。平等はさらに難しいね。何を以て平等とするか、一様こう教えられたけどね、人種、信条、性別、身分等の違いにかかわらず差はない、といったところだとね。」

 「そして初期社会主義、空想的だとあとに出てきたマルクスから批判されたんだけどね、基本的に資本家が労働者の生活水準を改善するべきだといった考えね。でマルクスが考えたのが、自分でそれとの対比を込めて科学的だって言ってるだけなんだけど、基本的に社会の状況を解釈するより変革しようって言う考えでね。まあ用は、社会の根底に労働者と資本家の対立があって、その対立から資本主義は淘汰されるって言う考えを持っていたんだよ。ここまでいい?」

 「ふうん、なんとか基本的には理解できるよ。そこまで人類が発達して余裕ができたんだろうか? 今なら人は働くのが、いや働かないと暮らしていけないよ」

 「ふふ、そう言う訳じゃないよ、ただ単に働いても暮らしていけないから、こんな考えが出てきたとも言えるね」

 ちょっと皮肉的に答えた。

 「おや、この考えには否定的なのかい」

 「まさか、社会主義的考え方は俺も持っているし、重要性は理解しているよ。ただ資本主義的な面の重要性も知ってるんだよ。」

 「飛躍し過ぎかもしれないけど、平等ゆえに意欲が低下するってことかい?」

 「人はそこまで立派にはできていないといったところかな。で、話の続きを聞けば理解できるよ。マルクスは遂に社会主義を共産主義に行き着く、共産主義とは私有財産を否定して全財産を社会全体に共有しようといった思想あるいは運動だよ。この思想が人類を何人殺したと思う?」

 「え? ちょっと待ってくれ、どう言うことだい? 思想の話だよね」

 シャムシは驚いて聞いてくる。

 「簡単だよ、これ実際に行った者達、この後出てくるレーニン、ロシア、ここら辺からここら辺まで、うん広いね、で革命を起こす、ロシア革命だ。革命で死んだ人間は人数に入れていないよ、基本ね。彼等は最初資本主義に因る経済競争が戦争を産み出すと考えていたんだけどね。だがどんどん独裁的、全体主義的体制になっていく、全体主義ってのは個人の利益より全体の利益を優先する体制ね。そして結局自国民を大量に虐殺していく」

 「なんで? 自分の国の国民だよね、意味あるの? てか非経済的だよ、勿体ない」

 共産主義者に経済の事はわからないかもね。

 「いや全体主義は反対する者には厳しいんだよ。反対者は死が身近にある者になってしまう」

 「あ、あれ自由と平等を求めて革命までして、結局自由と平等を制限して全体主義になっちゃ、意味ないんじゃない」

 普通はね、そう考えるよね。

 「人はそこまで立派じゃないんだよ、結局ね。で、レーニンとその後継者のスターリンは国民を粛清して粛清しまくる。でも逆に言うと自由と平等を追い求めた社会であるからこそ、そうでない社会で大量虐殺が起こるといっても間違いではないかもしれない」

 「なるほど、これが王政とか自由を唱う社会じゃないのならば自由のない状態が普通だし、別に正そうと思わない。けどなまじ理想を掲げちゃったもんだから引くに引けないのかな」

 「結局権力闘争だって言う考え方もあるけどね、それにしては殺した数が異様かな。レーニンが興したロシアとその周辺をソビエト社会主義共和国連邦って言うんだけどね、ここだけで2000万人位死んでるんじゃないかって言う説もある」

 「え、2000万人!」

 「大丈夫、まだあるから。次、中国、この大陸の東のここら辺、そう広いよねここも。で、ここの共産主義の指導者が毛沢東、まあ毛沢東だけが指示を出している訳じゃないんだけど、この国正式名称は中華人民共和国まだ俺が生きた時代にも延命している、ソ連の方は滅んだけど。これもまたすごい数殺してるよ。その数なんと6500万人とも言われているし、いまだに占領地で人を殺しているてのも言われているね」

 「もう言葉がないね。でも宇宙ではどうなんだろうか」

 呆れたように、しかし今から起こることに想像力を働かせながらシャムシは声をだす。

 「そうだね、宇宙でも同じかもしれないし、今まだこう言ったことをしている星も有るかもしれない。さて次は人種に優劣があるとした差別主義の概念だ、名を国家社会主義ドイツ労働者党と言う、まあナチスと言う名が有名だけどね、ドイツそうフランスの右上、ここら辺ね。これは社会主義なんていってるけど、唯の全体主義で党名はなにが主張したいか解らない政党だね。コイツらはドイツ人最強、最高。我が民族こそが人の進化の頂点でありその他の民族は全て我々に平伏すべしって考えだね」

 「はは、最後には戦争になりそうだね、そんな考えを国民全てに押し付けると」

 「なったさ、第2次世界大戦。で、滅んだ。そんでもってコイツらが殺したのは自国民だけじゃなかった。優生学に基づき、そんなもんは幻想だけどね、障害者、ユダヤ人を大量に殺した。その数なんとユダヤ人だけで600万」

 「あ、あれ少ない。い、いや多いのか! 最初に共産主義の犠牲者数聞いたら麻痺してしまうね」

 「まあね。で、ようやく最初の質問の答えに戻れるよ、何故地域によってこれ程の格差が出来てしまったのかにね。この事の最初の答えに成ろうとしたものは完全に否定された。まあ、実際人種による差が知性の差を生み出す何て言う確証は全然ない。」

 「うん、それは実体験としても、僕の一族の話だけど、知ってることだよ。でも宇宙ならどうなるの宇宙には僕たち人類以外もいるんだよね。僕達以上の知性を持つ生き物が居てもおかしくないような気がするけど」

 不安そうにシャムシが聞く。

 「大丈夫、そんな奴いたら戦争してないんじゃないか、とも思うがね」

 居てもおかしくない、いや居るものとして想定だけはしておくか? まあ後で相談しよう、宇宙についてはエルザに聞いてみないとなにも解らないが、教えてくれるかが問題だな。

 「そこら辺はエルザに探りを入れてみないとなんとも言えないな」

 「そうだね、解らないことを考えすぎるのも意味がないね」

 「うん、何事も極端は危ないな、さっきの例にも見るように。さて遺伝的理由を出さない答えに地理的要因てのもあるけど、これもまた答えとしてはあり得ない。北の寒冷な地域に住んでいる人は創造力を刺激されるが一方温暖な地域に住んでいる人は違うと言う考えなんだけどな。これは北アメリカ大陸の寒冷地に住んでいる人間は技術の発展において後進的だと言う事実によって否定される。だいたいだ、ヨーロッパが技術の先進地域になるのは最後の1000年ほどで、それまでは先進地域と言うのには少々憚られたのは事実だよ」

 ちょっと希望に満ちた目でシャムシがこちらを見る。

 「それ以外にも後進的だと、ヨーロッパが勝手にいってるだけだけど、言われていた地域から、加えて既にヨーロッパ列強が植民地獲得に邁進している時代に、ヨーロッパ以外の地域が、ヨーロッパ列強に追い付き肩を並べた国があるよ」

 「え、こんな考えががあった時代にかい、危険じゃないのかい」

 「まあ、なんとかなった。で、問題の答えに戻すけど三つ目の回答は灌漑設備との関連によって答えとする、と言う考えだね。でもこれもまた間違いだ。この地方の歴史では王が出来る、てのは変か、王が出てきてから王が王の力で灌漑を整備したって事だったよね。我々の研究でも集権的統治機構が大規模かつ複雑な灌漑設備を作ったと言う答えにたどり着いている。最後の答えは征服を為した物に直接的な回答を持っていく考え方に由来する。ある意味当たりであるが、まだたりない。鉄器や、銃、銃てのは火薬と言う薬品の力を利用する遠距離武器ね、鉄? 鉄はその内教えるよ、青銅より丈夫な金属だよ。つまりね、何故ヨーロッパの人々が鉄の道具や銃を以って、その他の地域の国々を植民地に出来たのかの答えとしては少々不十分だと思うんだよ。もっと簡単に言うと何故インドや中国といった国々が鉄や銃を使ってヨーロッパを植民地に出来なかったのか、だよ。あ、インドは東の方のこの辺りの地域ね、たまにウルからこっちに来る人の出身地だよ。たぶん海路で来てると思うんだけど」

 「ふーん、前、通訳介して話していた人だね。質問の答えに戻るけど、地理的な要因なんじゃないかな、もしくは歴史的要因か」

 「うん、じゃあ歴史的要因から見ていこうか。まず始めにさっきも言った通りスタートラインからだね。基本的に俺の生きていた時代から約1万3000年~1万年前に最後の氷河期が終わる。氷河期って言うのは地球の気候が長期間にわたって寒冷化する時代のことで、まだ原因や仕組みははっきりと理解されている訳じゃないんだけどね。これが終わったときには基本的に人類は世界中に、俺が生きた時代に住んでいる所にはもう住んでいたんだ。で、だいたいこの時から人口は徐々に増え始める。主に狩猟採集しながらね。そしてついに約1万年前、ここら辺で農業、そう食料の生産が開始される。で、ほとんど同時に家畜の飼育も開始されている。これが文明の始まりに繋がるものになるわけだね」

 「へー、ここら辺が農業の最初の地だったのか。でも、じゃあなんでこの地域が世界を植民地にしなかったんだろう? 農業だけじゃ条件が足りなかったのかな」

 「うん、ついでに言うと中国でもだいたい同じ頃に農業と畜産が開始されているんだよ。畜産は結構重要でね、例えば疫病の内どれぐらいが家畜由来だと思う? 人が数多く死ぬ疫病の元は大抵他の動物由来、いやそれどころか家畜を経由して人にうつることが多いんだよ。そしてこの疫病、これもやっぱり違う地域の人に出会う、いや征服するときには武器となり得るものなのさ、病気に対しての知識がなければ更にね。これ等疫病の元ってなにかわかる? 前僕が風邪引いたときに言った小さな生き物、細菌。そしてこれに加えてヴィルスがあるんだ。細菌は顕微鏡を作れれば見えるよ、でもねヴィルスは普通の顕微鏡でもちょっと見えないんだよね」

 「どうやって見つけたんだい? 見えないならあるかどうかわからないんじゃないかい?」

 「いやいや、電子顕微鏡と言うものがありまして磁場の電子線を使って電子レンズによって拡大像を得るものなのさ。顕微鏡が光を当ててガラスをある一定の角度で屈折させて拡大像を見るのに対して、電子を当てて磁場のレンズ似よって拡大像を得るんだよ。電子は素粒子なんだけど、えーっと、全ての物の基本単位である原子の構成単位である原子核と電子の、その電子のことだよ。まあとにかく説明が難しいわ。で、話を戻すと農耕は政治体制を生み出し大規模化し、そして更なる発展を遂げる。この間、記録を残す為に文字が考え出され、計算の為に数学が発展し、さらに文明が発展する。車輪、弓等の発明品を作り、遂には月まで人類は到達するんだけど、それはこっちにおいといて。そしてついに文明が自分の生存可能範囲を広げていくわけだ」

 「なるほど、文明の衝突に競り勝った者が勝者として植民地を持ったわけだ」

 「文明の衝突か、言い得て妙だね。で、結局なにがヨーロッパをその衝突の勝者としたかなんだけど、ヨーロッパって国の数が多いんだよね」

 「え? もしかして国が多いから自分の所の文明の外に出ていくしかなかったとかなのかい?」

 「ああ、うん、まあね。もちろんヨーロッパの国同士でも戦争もしたし、ちっさい所は滅んだりもしてるよ。でもね中国はほとんどの一つの国家体だったんだよ。つまり、中国においては運の良いことに平和がそれなりに長く続いたんだ。平和が長く続くと武器や技術が廃れちゃうんだよね。そして両者が出会うと、どうなるか? 答えは簡単、一方は戦争に慣れている、てか慣れてないと滅ぶ、対してもう一方は言うまでもなく戦争に慣れてない。こんな両軍が出会うと一方的に殺られること間違いなし。見ていてかわいそうなもんだよ、麻薬、人をダメにする薬ね、中毒性があって吸わないと正気を保てなくなる、を売り付けられて中国が薬を取り締まるとイギリスは軍隊使って首都に進行しようとするもんだから中国の皇帝はビビって講和しちゃったんだ。まあ一様イギリスの名誉の為にこの戦争に対する議会の反応は賛成271、反対262だとだけ言っておうこう。ま、中国も講和結ぶって言っておいて、イギリス軍が撤収するとやっぱ講和やめたなんて言うこともしたから完全な不平等条約結ばされたりするんだけどね、ついでにフランスも出兵してたりする」

 「つまり答えは、適度の緊張と文明の外に出ていくまでに滅亡せずに発展したことかい? しかしイギリスもひどいことするもんだね」

 「そうだね。実ははっきりとした答えが有るわけではないとも言えるんだけどね。さて、ようやく追い付いた文明の話にうつれるわけだ」

 「ああ、さっき言ってたヨーロッパが植民地を拡大していた時期に技術等が遅れていた文明の話かい? 今の我々の状況下では特に役に立ちそうだね」

 「地理的要因から見ていこうか。日本、僕の生まれたところでもあるけど、中国の更に東、この島のことだ。この時代の日本は封建的社会だった。ただ、ちょっと理解できないところが封建社会下において識字率は非常に高かったりするんだけどね。完全に技術力で劣っていたのかは疑問だね、その当時のヨーロッパの識字率より高いからね。総合的に劣っていたけど、人材は結構不利では無かったんじゃないかな。元々戦国時代、この時から約250年前、の勢力の名残が残っていたこの当時の日本において、深刻化する国内問題、そして西洋列強の侵略の脅威、例えば横で有った中国とイギリスの戦争、に影響を受けた若者やこの封建社会の支配階級である武士の若者、それも250年前負けた側の若者達が、幕府、勝った側ね、に対して挑戦していくんだよ。彼等は革命を起こして幕府と対抗、そしてついに結局幕府を倒しちゃう。」

 「ここでも結局革命なんだね」

 「まあね。イギリスもフランスも革命は起こしているよ。話を戻して彼等新政府、名を明治政府と言うんだけど、はヨーロッパ列強の東アジアの急速な進出という国際環境下において、急速な資本主義化と近代的軍事力創設を目指した。まあ既に幕末にも同じことしてた勢力は有ったんだけどね、それを全国規模でやりますよってことかな。で結局この政策は中国と日中の間にある半島の支配権を巡る争いに発展する。地図を見ればわかるけどこの半島にヨーロッパ勢力の手が、主にロシアなんだけど、来るとすぐに北九州が侵略の脅威に曝されることになる。それは日本としては絶対に避けたい。でも一方、中国はこの半島は俺の植民地だから手を出すな、何? この半島の王朝がロシアの南下政策の下で接近してる? 知らん。来るならかかってこいやって所かな簡単に言うと。ロシアはロシアでアナトリア方面で南下しようとしたらイギリス、フランスに阻止されアジアで南下するしか手が無くなってたんだよね。で、結局この時の日中戦争は近代化した日本軍が近代軍としての体裁を整えられていなかった中国軍に終始優勢に立ち回り、半島と半島に続く中国本土の一部を占領してここで講和が結ばれる。ただこの講和に干渉してきた勢力が有った。ロシア、フランス、ドイツの3ヵ国はこの講和の条件に入っていた中国本土の遼東半島の占領を放棄させ、結局この遼東半島はロシアが租借、ドイツも他の中国の本土を租借、フランスもイギリスも別の中国本土を租借、結局中国は崩壊へ向かうことになる」

 「なんというか、ヨーロッパって。でも日本もそんなことされて黙って見てただけってことはないでしょ?」

 「まあね、日本は更なる軍備の拡張に走り、半島の保全の確立を目的についにロシアとの戦争に突入する」

 「大きな国ばっかりと戦争してるね」

 「まあね、この時代の後発国の悲しい所だね。戦力比聞いたら怖いよ、陸軍は歩兵66万対13万、騎兵13万対1万、砲兵16万対1万5千、後方支援部隊4万4千対1万5千、予備部隊なんて400万対46万、海軍は51万トン戦艦15に対して23万トン戦艦6。まあ、すべてがアジアに動員される訳じゃあないけどね」

 「何その戦力比。国の大きさ全然違うとここまで違うものなのかい。でも勝ったんでしょう? なんとかなったって言ってたから」

 「まずイギリスと同盟を組み、ロシアを牽制してもらい海軍のアジアへの動員を阻害。陸上は陸上で半島南部に上陸、北上する。既に北部中国はロシアに租借されていたのでここで陸上戦闘が発生する。一方遼東半島を租借していたロシアにも半島付け根に一軍が上陸この半島の軍事基地を攻略していく、そしてついにヨーロッパにいるロシア海軍主力がアジアに向けて動き出す。この遼東半島の軍事拠点、旅順って言うんだけどこれの攻略に陸海軍は手こずる。多大な犠牲を払いこれを攻略、すぐさま陸軍は陸上での雌雄を決する大会戦を開始する。結局、ロシア軍は撤退、日本軍はロシア軍の撃破には失敗するものの戦略目標は一様達成する。そしてついにロシア海軍ヨーロッパ主力艦隊が日本近海に到着、対馬海峡にて両海軍主力は激突する。対馬海峡はここね、この半島と北九州の間のこの海峡のこと。で、ロシア艦隊を完膚なきまでに叩き潰し、日本艦隊の被害軽微、完全に完勝してしまった」

 「海軍の戦いはよくわからないけど凄いね」

 「で、この戦争に勝って日本は国際社会の主要な一国になるんだけど、結局色々有って最後の大きな戦争でアメリカ、イギリス、フランス、終わる間際にソ連、一様革命を成した中国等々に負けて国が占領されちゃうんだけどね」

 「駄目じゃん、なんとかなってないじゃん。何でそんなに大きな所とばかり戦争するのよ。ま、まあいいや結局、今僕達が何をすればいいのか、朧気ながらもだんだん見えてきた気がするよ」

 ほう、ようやく長い話が終わって、何をすればいいのかわからない状態から脱却できたようだな。話すのに疲れたわ。

 「どうするんだ? まず始めに何をする?」

 「まずニムロデを使って情報の収集、僕は国を奪還するためにニムロデと一緒にこの国を経済的にも、軍事力的にも、教育的にも強くしていくよ、コウジは技術面から助言をして欲しいんだ。そして目標は取り敢えずメソポタミヤの統一。同盟側と対立するにせよ、連邦側に協力を求めるにせよ、国力を高め、抵抗力をちょっとでも高めて、来るべき時に備えるよ」

 自信満々に答えやがったな。まあ、しゃあない乗り掛かった船だ、手伝うとしますか。

 「わかった。詳しい話はまた明日にでも詰めるとして、やることは多くなりそうだな」

 「鉄と銃のことは教えてね、絶対だよ」

 「火薬作れるかな。大体鉄の作り方どうするんだっけかな」

 「え? ツクレナインデスカ? 自信満々に仰りましたよね、あとで教えてやるって」

 「うーん、鉄なあ、たたらかな、普通に燃やして製鉄するかな? 手に入れれる鉄の鉱石によって変わるからな。大体俺専門外だぞ」

 頭を掻きながら少しぼやいてみる。

 「まあ、いざとなったら聞けばいいしね」

 悪い顔をしながらシャムシが呟く。

 「ふむ、分からなければ聞けばいいか」

 同じく悪い顔をしながら頷く。

 「ところで火薬は作れるの? 他に火薬の使い道ある?」

 使い道? 使い道なあ。

 「花火、爆薬、照明弾、うーんあと他になんか有ったか、発電何て言う下手物もあったな。黒色火薬は作れるよ木炭と硫黄と硝石だったかな、1対1対3だったかな。無鉛火薬もなんとかなるかも、その他はさすがに無理かも」

 ダブルベースぐらいなら大丈夫かも。高校化学レベルだから大量生産できないかもしれないけど。

 「よくわからないけどなんとかなるんだね」

 不思議そうにこちらをみながら言う。

 「なんとかする」

 「資金面とかも詰めていこう」

 おうおう、楽しそうだね。俺眠いんだけど。


 こうしてこれからのことを相談しながら夜がふけていった。

 俺が途中で寝てしまうまでだったけれど。

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