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太陽系興亡史  作者: 双頭龍
第1章 始まりは何時も唐突に (旧第名 転位)
12/63

第一章 転移 第8話

 急いで投稿したのでサブタイトルつけ忘れた、ごめんなさい。

 ようやく投稿できました。

 こつこつと時間の合間を縫って書き上げたので、読みにくいところが多々あります、ご容赦のほどを。

「つまり、どう言うことなんだ?」シン・ムバリド王が聞いてくる。

あ、あれこの会話、昨日もしたような。

「つまりですね、この女性が船の事故で助けを求めていたと言うところでしょうか」

 エルザの方を指し示しながら、丁寧かつ簡潔に説明する。

 「ふむ、つまり難船したと言うことか?」

 シン・ムバリド王が難しい顔をしながら答えた。

 「はい、そういうことです。父上」ニムロデが応じる。

 「いや、星の海とか、星のを航行する船だとか、用心のために怪物を見せた、とか言われてもな、どう判断すればいいのか困るのだ」


 「いや、あなたの判断はたいてい当たらないからね、他人に判断任せたほうがまだましだよね」

 小声で辛辣に溜息をつきながらシャムシが俺にささやく。


 「それで、彼女をここに逗留とうりゅうさせても問題ないでしょうか?」

 俺はどうしようかと考えている王に尋ねた。

 「いえ、お待ちください王様。彼女は怪物を操れるのですぞ、そのような得体の知れない者をこの都市に入れるおつもりでございますか? 不用心にもほどがありましょう」重臣の一人が異議を唱えた。

 「いや、もし我々が逗留を拒んで、彼女が別の都市に行ったりしたらどうするのだ」別の重臣が反論し他の臣下も相槌を打った。

 この一言をきっかけに臣下達は活発に議論し始めた。シン・ムバリド王は臣下達の意見に耳を傾けながらいまだに結論を出せないようだ。逗留反対派が3割り、賛成あるいは容認派が6割り、何方付どっちつかずが1割といった所か。

 思案していた王が大声で場を静めた。

 「静まれ! コウジ殿に2、3尋ねたいが、よろしいかなイラ・カブカブ王よ」

 イラ・カブカブ王が頷く。

 こういうときの両王の迫力には驚かされる。まあそれがあるからシャムシもちょっとは敬意を持っているのだろう……、たぶん。

 「はい、なんでしょうか」


 「まず最初に皆が心配していた怪物の件であるが、彼女は我々に害を為すと思うか?」

 「ありえません、もし彼女が我々に害を為そうと言うのであれば、何故彼女は船の近寄らない者に怪物をけしかけなかったのでしょうか。さらに言うならば、霧の中に入り、船からある一定の範囲に入らない限り、怪物の姿を見せることはあっても、怪物に襲わせることがなかったのは彼女にその意志がなかったことの証であると考えます」自信満々の顔だけして答える。実際もし彼女がこっちに敵意があったら我々は即死していると思うけどね。


 「なるほど。では次の質問だ。逗留期間は船が直るまで、といっていたがその間わが都市に対しての不利益はあると思うか」

 ああ、なるほどさっき臣下の一人が言っていた宗教絡みか。

 「基本的にないと思います。それにもし心配であるのであれば、都市の外に住んでもらうという選択肢もあります」

 まあさっきの臣下の話、神が怪物を使役する彼女の逗留に怒って洪水や伝染病、農地の塩害等の天罰をくだすのではないか、という憶測なら基本的に何とかなるけどな。

 「よし、わかった逗留を認めよう。ただし我々の指示には従ってもらう事を強調しておいてほしい」

 「はい、必ずお伝えしましょう」

うん、基本的に一件落着か。

 


「と言うわけで滞在は認められました」王宮内のイシュナ達女性や子供がいる区画の一室にいるエルザに説明する。

 「ありがとう、ニムロデ君」エルザはニムロデに近付き手を取って彼にのみお礼した。

 「いえいえ、エルザさん」ニムロデがちょっと引き気味に答える。


 「おい、俺らには礼もなしかい」

 「え、あなたにお礼して、何か得なことあるの」エルザがとぼける。

 「調査に協力するとか、話し相手になるとか?」シャムシが提案する。

 「調査に協力ってどういう調査するか、シャムシ君解るの」

 エルザがシャムシに尋ねる。

 一瞬シャムシは考えて

 「解らない、でも教えてもらえればコウジ(・・・)が手伝ってくれるはずだよ」

 シャムシがしてやったり顔でこっちを見てくる。

 え、俺に振るの?てか最初から俺に回すつもりだったのね。

 溜息をつきながら

 「手伝うのは別に構わないけど、大体なにを調べるんだ」


 「いや、手伝ってもらわなくてもいいわよ」

 エルザがにべもなく断る。

 「調査内容、ついでに活動内容位は教えろよ。大体お前居候だろうに」

 「お願いします、エルザさん。シャムシさんやコウジ殿協力してください」

 えらいニムロデ、ナイスタイミングで割り込んだ。

 「まあ、いっか。ニムロデ君の頼みもあるし、特別に、ほんとーに特別に手伝わせてあげるわ、コウジ」

 えーい、憎たらしいな。

 「俺とて暇じゃあないから毎日は無理だがな」

 俺とて商売とか、新しい商品の開発に忙しいんだけどな。

 「ああ、それよりブラムはどこに行ったんだ?」

 「宇宙船の修理と通信筒の準備のために異空間に居るわ」

 通信筒って、そんなローテクな。

 「ん? ちょっと聞きたいんだが双方向同時通信とかできないのか?量子通信とか使って」

 「量子通信? なんで相手側にも察知されるかもしれない通信手段使うのよ」

 「え、察知出来るのか?」

 ほう、まじか! 俺の知ってる常識では、理論上量子通信は盗聴出来ないんだけど。

 「出来るわよ。たとえ暗号をかけたとしても、そのうち解除されてしまうわ。ローテクが一番安全なのよ、ワープインする物体は宇宙上に、この銀河に、一秒毎に何体あると思ってるの。しかもその全てを調べようと思ったら、ほぼ不可能よ」

 「そんなにあるのか?」

 なるほどねそれに紛れ込ませるわけね。 

 「あるわ、連邦だけがこの宇宙にある唯一の政治集団ではないのよ。協商、連合、帝国、その他いろいろあるわ。同盟は大概と敵対しているけどね」

 え、結構いろいろ勢力あるんだな。

 「大体と交流がある?」

 「ほどほどにね」

 「なるほどね」

 「ちょっと質問してもいいかい。通信ってなんだい?」

 シャムシが聞いてきた。

 「ああ、そこから教えないといけないか」

 いろいろな話しを聞いて、解らないところを理解しようとする彼らの考え方は共感できるものがあるな。

 「通信とは、離れた所にいる相手にある種の手段を使って意思や情報を渡すことだよ」

 「たとえば狼煙みたいに?」

 うん、そうそう。

 「狼煙も通信っちゃあ通信だな。それを双方向、基本的に同時に行えるようにしたものだよ」

 「今出来る?」

 で、出来るかだと。出来るか?出来るけど、出来るのか? 

 「どの範囲で?」

 「出来るだけ遠くまで」

 「簡単なら有線通信ちょっと手間取ってもいいなら無線通信かな。簡単に作れるとはいわないけど」

 有線位ならどうにかなるかも。無線は鉱石ラジオを受信機、発信機を何にしよう、空中に電波が送れれば基本いいはずだが。 

 「まあ何にしても電気がいるな。これなしには基本的に動かない」

 まあ電気なしでも腕木式なんてのもあったっけ、これなら簡単に作れるけどな。

 「電気って、あの前言ってた電気かい?」

 そう、前言った静電気、摩擦電気の説明をしたのだ。通信で次に使うなんて思わなかったけど。

 「そう、前言ってた電気だよ」

 俺の知っている機械にしろ、道具にしろ、大概電気使ってるからな。それどころか体だって電気使っている。

 「まあ、だからこそ前言ってたように教育が重要になってくるんだよ」

 「じゃあ量子通信ってなんですか? コウジ殿」ニムロデが聞いてきた。

 説明すると時間がいくらあっても足りないような気が。

 「エルザさんに聞きなさい、俺より上手に説明してくれると思うから」

 えーい、丸投げだーい。

 「私にふらないでよ」

 「エルザさん、教えて下さい」

 ニムロデが追い討ちをかける。

 「量子から説明しないとダメじゃない。子供向けの教材どっかにあったと思うけど、データベースにアクセスしてって異空間か、またそのうちね。宇宙船の中から探しておくわ」

 「とりあえず物凄い通信手段だと思っておけばいいんだよ、たぶん」

 シャムシがフォローする。

 「まあ、とりあえず手伝いが必要になったら前日位までに声掛けてくれ。あ、あと何するか確実に報告してくれ、よろしくたのむよ」

 「まあ、わかったわ」

 「うん、じゃ失礼した」

 難癖つけられないうちにさっさと出ていこう。

 「おじゃましました」

 お辞儀しながらシャムシも挨拶して出ていく。

 「ではまた、エルザさん」

 手を振りニムロデも出ていく。



 俺の部屋に着いてシャムシが難しい顔をしながら切り出した。 「ひとつ聞きたいんだけどいいかな?」

 「どうぞ」

 「通信を相手側、つまり同盟側に知られるってことがありうるって感じだったんだけど、どう思う?」

 「ふむ、通信の傍受のことか。通信筒のほぼ不可能のほぼ(・・)が気になった、といったところか?」

 「うん」

 「可能性は幾らでも有りうるさ。例えば連邦内にスパイ、ああ間諜のことだが、が居るかもしれない。あるいはその筒が事故で同盟の手にわたるかもしれない。それらの可能性もあるってことじゃないかな。まあ、俺としては絶対安全だって言わなかったところが逆に信用できる気がするけどな」

 「あくまで絶対はないって言う考え方?」

 これも前に商売の時に話した内容ではあるが。

 「ああ、前と同様、哲学の話しにもなりうるが、ね」

 「それで、もし、もしもだよ、同盟が来たらどうなる?」

 「心配なのは其処か、難しいな」

 類似する例をあげれなくもない、しかし話さないわけにもいくまい。今は彼らの時代でもあるのだから。

 「話が長くなるけどいいか?」

 「いいよまだ夜も更けてないしね、眠くもない」

 「ニムロデも聞くかい?」シャムシが尋ねる。

 「聞きます。いえ、聞かせてください」

 おお、一丁前に宣ったな。

 「うん。これは長い長いこの星の歴史から来た教訓というか、疑問だ。我々も確実な答えを知らない。ただこの今我々が考えていることに通じると思う。その問いは我々人類は今現在異なった場所において異なった発展を遂げているが、それに差があるのは何故か、だ」

 「つまり文字を持ち剣や槍、弓矢を作り貨幣を考え商売をしている我々のような者とそれらを持たない野蛮人がいるのは何故かと言うことかい?」

 おお、シャムシ君えらい。

 「理解が早くて助かるよ。厳密に言うと農耕をし、文字を作り、金属を使い、産業を発展させた文明と、そうでない文明との差異はなにか。まあついでに言うとそれは俺が生きた、いや、生きていた時代にも影を投げ掛けていたんだよ。それらを持っている者が持たざる者を征服、あるいは絶滅させると言う形でね」

 二人とも息を飲む

 「まあ、だからと言って、俺達が只で滅ぼされたり征服されたりするかどうかってのはちょっと違うと思うけどね。まあ話しをもとに戻すと、俺の住んでいた未来ってのは地域によって格差、あるいは不均衡があったんだよ。つまりこの質問はこうも言える、なぜこのような形、つまり持っている者に有利に富や権力が分配されたのか、だ」

 「なるほど、歴史学から政治学になるんだね」

 そう、驚くべきことにこの時代には歴史学も、政治学も、経済学すらある。またこれら学問は結構鋭く政治に関与してもいる。

 「まあ、そういうことだね」

 「前、世界地図描いて教えたよね、そうこれね。これを見て言っていくよ。俺が生きた時代より約500年程前、ヨーロッパ諸国、えーっとアナトリアの西、そうそこの端の南の2国ここら辺が境かなたぶん、とその上とその島が世界の各地を植民地化し始める。まあ今でも都市国家間の格差は存在するけど、例えばうちの都市国家弱いとかね、その時代にも同じように、ただ違うのは技術的あるいは政治的、経済的格差が存在した。ヨーロッパ、アジア、アジアってのはアナトリアから東、北アフリカ、エジプトから西、そう、ここら辺ね、には国家は存在したし、まあ産業革命の黎明期ってのも有ったといえば有った。あ、産業革命ってのは手工業的作業場から機械装備の大工場に変換していきそれにより社会構造が変わることね。そう、この時代にはもう不均衡が決定的だったんだよ」

 一旦区切って二人の反応を見る。

 「基本的には始まりは皆同じだった、皆狩猟採集生活をしていたんだ。でもこの今の場合、宇宙に関しては違う、始まりは皆バラバラだ。そして我々は追いかける者だ」

 「決定的差異だね。非常に厳しくないかい?」

 シャムシが苦い顔をする。

 「まあ、ちょっと聞いてほしいんだよ、この件だけでなく学問と言うものの有り様も含むから。そしてそこからこの件に対する答えを見出だせなくても、手がかり位にはなるかもしれないから」

 「この問題は言い換えが多い。人類史とは発明、それによる発展、そしてその差異による征服、そして疫病や殺戮の血塗られた歴史なんだ。特にこの問題を議論するときに現れるのがこう反対する奴だ、それを考えるのは意味がない。なぜならどうして差異が生まれるかを考える、あるいは説明できるなら、その事はある民族が他の民族の支配を正当化する。ある民族が他の民族を支配するのを不可避なことであると決めつけ、さらには不均衡を解消すること、それ自体が間違いであると言うことを主張するものである、とね」

 「意味不明だね。でもいるよねたまに、今でも宗教者に多いよ」シャムシが溜め息をつきながら答える。

 そういるんだよこの時代にも、もとの時代にもいてたけど、隣の国とか隣の国の影響でも受けたかって奴とか。

 「まあ、そんなややこしい奴もいるんだこれが。さて、これに対する反論を述べよ、ニムロデ君」

 うむ、理解しているかわからないニムロデきゅんに聞いてみよう。

 「え、え、えーっと、ごっちゃ混ぜにしている。て言うか屁理屈こねてるだけですか? 道理にあわないですか?」

 うーんまあ正解? かな一様。

 「うーん、60点ぐらい100満点で」

 実はこの時代60進法+10進法。めんどくさいことこの上ない。よって10進法のみの計算を教えた。まあ、イシュナがすでに知っていたり、10進法だけのほうが早いのだとかいっていたのは内緒だが。

 「模範解答は、シャムシ君」

 「原因と結果の混同だね、しかも結果の清濁、それに正当化まで御負おまけについてくる」

 「うん、完璧」

 シャムシ君、頭いいからな。

 「まあこういう政治的議論になると、した側、つまり植民地化した側が研究することが多いから、された側は気が気でないと言うのもわからなくもないのだけど、された側こそがこの研究をするべきだ、とも思わなくもないね。つまり、経緯を調べ解明する事は、その結果得られた答えをどう役立てるかとは全く完全に別問題だからね。大概これらの理解による答えは、同じ過ちを繰り返したり続けるために利用されるよりも、ことなる結果を得ることに繋がるあるいは利用される事のほうが多いんだ。医者が病のもとを考えるのと同じ事だよ。医者は病を正当化しようとしてるわけではないからね。因果、えーっと今からたぶん1,500から2,000年ほど後の宗教の考えが元で原因と結果のことだよ、を断ち切るために因果を研究するのだから」

 いいこと言ったよ俺、たぶん。

 「さて、これに対する答えだが主に2通りある。歴史的に古い概念から見ていこうか。初めの答えは唯の幻想だ。俺が生きいていた時代にもまだこう考えている、認めはしないけど心のどこかでそう思っている者達はこう言う答えを無意識に、特に西洋系は、持っていてもおかしくない。そう人種による差つまり優劣があると言う考えだ。言うまでもないけど、こんなバカなことはない。それは唯の人種差別で誤りであるし、自分自身を含む人類自体への冒涜にも等しい。この概念が広まった当時の世界情勢、科学情勢を見ていきたいと思う」

 ここまで着いてきているかな?

 「よし、解らない所があったら質問してくれよ。さて時は西暦、そうあの前に言ったユダヤ人イエス・キリストの誕生を紀元とする暦、19世紀後半イギリス、そうこの島、にダーウィンと言う学者がいた。彼は太平洋、大西洋の島々、南アフリカ沿岸等で動植物の観察や化石の採集、地質調査など行い、それら観察から種と言うものが変化する可能性を考えた。そしてそれが進化論として世に発表されたんだよ」

 「そう言う考えはすでにあるよね。例えば牛や羊に山羊、馬立ってそうだって聞いたことがあるよ」

 そう、この時代にはこの概念はすでにある。ただこうでないかと言う素朴な考えにすぎないが。

 「違いは科学的考察と豊富な実例に基づくことにあるんだ。これは強い説得力を生み出した。環境への生物の適応を扱ったことにより生態学の基礎あるいは出発点でもあるんだよ。ただ問題があった、これにキリスト教が噛みついたんだ。いやこれがなくてもこの概念を人間の起源まで拡張したかもしれない」

 「宗教はやっかいだね。でも聞いていると人間の起源まで拡張することは別に生物学だっけ、そこにおいては問題ないと思うけど」

 そうこれが社会に適応されない限りにおいては、問題ないどころか、有益であったさ。遺伝学がもう少し進んでいると言う条件下ならば、さらに言うことなしだろうね。

 「そうだね。宗教は科学の発展を阻害した時や、人の営みを阻害した時において恐い存在になるよね。彼等いろいろな理由を反対のために言ってくるけど、科学の目的はさっきも言った通り探求による人類の発展にある。宗教の目的は、行き着くところ人の幸せであるはずなのにね。確かに宗派によって救いだとか解脱だとかいろいろな言葉はあるにせよだ。さてそう生物学上これを考えるのは問題ない。まあ欲張ると、もう少し遺伝学が進んでいたら更に有益であっただろう。問題なのは、此処から激動の時代の精神的また社会的支柱を見いだそうとする者達が現れ始めることなんだよ」

 「なるほどね、言っていることがわかったかもしれない。もしかして政治的な科学を政治に関与させることは危険なことなのかい?」

 うん、そっちに流れるか。

 「難しい話だね、ある程度の指針、あるいは目的は政治にも有って然る可きであるだろうね。まあ重要なのは踊るな、踊らされるなと言ったところか。まあただ、これだけは言える。有益なものはなんでも使うんだよ、人は。それが悪魔のような理論でも、自分にとって有利になるのなら。そして学ぶんだ。その失敗からそれはそれでいいんだと思う。まあ俺の生きた時代、大半の民主主義といわれる国の政治は国民に選ばれた代表者にのみ許される権利であるから、そう言えるのかもしれないね」

 「民主主義以外の国もある? そう例えばこの国や僕達の元の国みたいに」

 「ああ、有るよ王政や独裁制、そしてさっき言おうとしていた精神的支柱を基にした社会主義、それら複合体国家」

 「どうやってそんなに多くの主義主張が平和を維持、いや戦争をせずにすんでいるんだい。たしか戦争は主要な国同士ならあまりないっていっていたよね」

 「今と変わらないよ。力による均衡さ。同盟を組み敵と同じ兵器を作り武力を整備し警戒する。やってることは、たぶん宇宙でも同じであるはずだ。全く違うのであれば戦争なんて非経済的かつ意味不明なことはやらないだろうね。まあ闘争こそが種の進化を促すなんて奴もいるけど、それはさっきの原因と結果の混同と同じだよ」

 ニムロデ、話しに着いてきているか?

 「どうだニムロデ、言っていることは理解できるか?」

 「た、たぶんです。コウジ殿」

 「その歳なら半分でも理解できたら良い方だと思うがな。無理ならもっと砕いて教えてやるよ。後で言えよ」

 「はい」

 うん? エルザに教えさせるのはどうだろうか。ついでに宇宙の歴史と政治も聞けるんじゃないか? まあ良いこれは後だ。

 「さて進化論の社会への応用に戻るが、この名を社会ダーウィニズムと言う、またの名を社会進化論ともね。この論の原義は、社会そのものの進歩を当時急速に発展してきた生物学、遺伝学的概念を使って論じていたんだ、最初はね。でもいつのまにか当時の産業革命以後の不安定な政治状況、国際関係に引きずられて迷走するんだよ。簡単に言うと、種は普遍でない、進化と言う名の変化をするんだ、と言う考えと、政治体制も古いものから新しいもの、封建制、王政、共和制の流れみたいにね、に変わっていくんだと言う歴史的かつ政治的考えと合体するんだ。この考えを説明すると、有名な、俺の生きた時代にも通じる人々の思想が顔を出す。ついでに言うとこれは高校と言う教育機関、早く言えば学校だけど、の倫理、政治経済と言う科目に出てくる」

 「へー、すごい科目なんだね。一般の人間が通える学校なんだよね。やっぱり教育は重要だね」

 シャムシ君、今それを気付きますか。

 「ああ、まあ人名多数出てくるから説明しにくいんだけど、それに俺も全部覚えている訳じゃないし。説明していくけど、適度に休憩を挟もうか」

 特にニムロデ君が脱落しそうに寝かけだ。あ、シャムシも気づいたか。

 「ニムロデを寝かせてくるよ、帰ってきたら話しの続きをたのむよ」立ち上がりニムロデを抱っこして部屋から出ていく。

 「う、先に抱っこされてしまった」

 ああ、寝かしといで。

 「声出てるよ」

 「あれ?」

 本音と建前が逆に。

 なお、この社会進化論の話しまだ続きます、ご容赦のほどを。

 実はこの系統の話しじゃなければ時間の合間を縫ってもっと早く投稿できたのではないかと考えておりますが、言っても詮無き事ではありあますが(笑)

 

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