2.練習と言わないで
あたしの幼馴染みはイケメンだ。
小麦色の髪に、湖を閉じ込めた青い瞳。
シュッとした鼻すじと、薄い唇。目は若干釣り目だけど、それがまた似合っている。
柔らかく目を細めて笑えば、黄色い声が舞い。眉を寄せれば、相手は一歩後ずさる。
優しいおじさまと、怒らせると怖いおばさまの、そんな両親の姿を受け継いだ彼は、ちょっぴり意地悪だけど、本当は優しい。
その彼は、今日もあたしの料理を食べ――……眉を、顰める。
「……どうして見た目と味は連動しないんだ?」
「どうして、でしょうねぇ?」
「聞いてんのは俺だよ」
そんな事言ったって、あたしだって疑問なのだ。
目の前では幼馴染みのウォルトが二口目を口にし、首を傾げている。
その仕草もカッコ良いが、それよりも料理の味である。
「おっかしいなあ……」
「作った本人が言ったら終わりだろ」
そうだよね。
あたしは返事をする代わりに、机に突っ伏したのだった。
◇◆◇◆◇
あたし達が住むマグナンティは『料理の国』と呼ばれている島国である。
この国で一心に憧れを集めるのは『料理人』。
そして、同じだけ食に対してシビアな国である。
この国でお客様に料理を出すという行為は、王様の御膳にお出しするのと同義。
生半可な事ではしてはならないし、ましてやお客様が残してしまうような料理を出すなどという事は絶対にあり得ない。
マグナンティで料理人になるには、様々な事に精通した高い技能を要するのである。
「――……で。どうしてまた、菓子作りなんて始めたんだ?」
今までは食事の練習ばかりだったじゃないか。
そう続けるウォルトにあたしは簡潔に理由を告げる。
この間、お店に来たお客さんから『くりすます』という文化を聞いた事。
それは、ごちそうとケーキを囲んで、大切な人と過ごす事なのだと。
素敵だな。と思った。
だから、あたしもごちそうとケーキを作ろうと思って。と。
話を聞いたウォルトは顎に手を当て、「ふうん」と、声を上げる。
「なるほどな。それで菓子作りってわけか」
「そ! 分かってくれた?」
これは協力的だと思ったあたしは、『くりすます』にやりたい事を話す。
お客さんから聞いた話の発展版だが、月明かりとキャンドルでごちそうを囲み、歌を歌い、笑い合いながら食事をしたいと。あとは部屋も飾り付けして……などなど。
そう熱心に伝えれば、ウォルトはチラリとこちらを見て。
「――で。それは誰と過ごす為なんだ?」
「え? そりゃあ、お店のお客さん?」
「……客には料理出せねえだろ」
うっ。と、言葉に詰まる。
確かにあたしの料理はまだまだお客様に出せるところまで到達していない。
だから日々ウォルトに食べてもらい、精進しているところで……。
「その『くりすます』とやらは、三日後だろ? それまでに客に出せる料理が出来るとは思えない」
「そ、そんなのやってみないと……!!」
「『分からない』じゃなくて、『分かってる』だろ? リズ?」
愛称という、名を足りなくした呼び名を強調されれば、『半人前』だと指摘されている事ぐらいあたしでも分かる。それに、こんな諭す様に言われれば、これ以上ごねる事は出来ず。
楽しい気持ちはしゅるしゅる萎んでゆき、あたしはしゅんと頭を垂れる。
そう、分かっていた。
今のあたしにそんな力がない事ぐらい。
「――まあ、だからといって練習を止める必要はないけどな」
ぽつり、と呟かれた言葉にあたしは顔を上げる。
つまらなさそうに頬杖をついたウォルトが、ちらり、とこちらを見た。
「……当日一回。それだけだったら付き合ってやる」
「え!? ほんと!?」
「ああ。ただし、一回だけだ。だから今日明日はつき合わねえからな」
「やったぁ!!」
嬉しい!!
ついつい舞いあがり、その場でくるくる回る。
それを呆れ顔で見ているウォルトが「一回だけだぞ」と念押ししてくる。
料理の味はちっとも認めてくれないけれど、こういう所は本当に優しい!
「ありがとう!! ウォルト!!」
「別の日に作るんじゃねえぞ。当日一回だけだからな!!」
「うんうん。わかってるって!」
「ホントかよ……」
呆れ顔に加え、不安げな声も聞こえてくるが、今のあたしを止める事はできない。
「楽しみにしててね! ウォルト!!」
――こうして、人生初の『くりすます』は本番を迎える。
◇◆◇◆◇
飾り付け良し。
キャンドル良し。
ごちそうとケーキ良し。
うん。準備万端だ。
部屋に入った時、すぐ目に入るようにとか。飾りが曲がっていないかとか。
そわそわと、発表会の出番待ちのような気持ちで、何度もセットを確認する。
日時は『くりすます』の前日の夕方。
そう。『くりすます』当日ではない。
あたしとしては『くりすます』っていう名前が付いているぐらいだから、てっきりその当日の催し物だと思い込んでいたけれど、よくよく聞いてみれば、前日と当日どちらにパーティーをするかは国によって違うらしい。
どちらでも。というのであれば、あたしは早い方がいい。
食材探しに出ているお父さんが何時帰って来るか分からないって理由もあるけれど、あたしは早くウォルトに食べて欲しかったのだ。
「あ、そろそろ食堂に降りとかないと」
お父さんのいない間、お店は休み。
二階に居るとウォルトが来た事に気付けない為、あたしは部屋から出て階段を降りる。
食堂でしばらく待っていると、扉をノックする音が聞こえた。
寒いと機嫌を損ねる前に扉を開ければ、普段着よりも少し上等な服装に身を包んだ幼馴染みが立っている。
「いらっしゃい、ウォルト!」
「ああ……?」
不思議そうな声を上げるウォルト。
珍しい間の抜けた声を疑問に思い、その視線を追うと。
すぐ、その理由に気がついた。
がらんとした食堂内。
お店は休みだから、お客さんがいないのは当然だけど。
いつも料理を出す時は食堂を使っていたから、何の準備もされていない事を不思議に思ったのだろう。
「今日は食堂を使わないの」
「……食堂を使わない?」
「うん。用意は上にしてある」
さすがに店全体を飾り付けしたり、キャンドルを設置したりするには時間もお金もかかる。
来てくれるのはウォルトだけだし、それなら小さくまとめて精度を上げようと考えたのだ。
「……『くりすます』はリズの部屋でするのか?」
「うん。そうだよ!」
二階の方が月明かりも取り入れやすいし、小さな部屋だから暖まるのも早いしね。
「……他に、誰か来るわけじゃないよな?」
「? 当たり前じゃない。ウォルトだけよ?」
何故か確認が多いウォルト。
彼は口元に手を当てたまま、何かを考えているようだ。
ウォルトは物知り。
交易という商売をしている父を持つ彼は、あたしより何倍もの事を知っていて。
伝え聞いた異国の話をしてくれたり、たまに異国の食材をお土産にくれたりする。
そんな彼も『くりすます』は初めてだから、色々気になるのだろうか。
「早く行こうよ、ウォルト」
「……ああ」
あたしは先導して階段を駆け上がる。
「ん? 早くおいでよ!」
何故か階段を登り始めていない彼を呼び付け、あたしはドアノブを掴む。
そうして彼が二階へと上がって来たのを確認し、扉を開けた。
いつもは本棚と机、ぬいぐるみの沢山乗ったベッドがあるだけのあたしの部屋。
今日はローテーブルを部屋の真ん中に置き、その下には楕円の絨毯を敷いて、クッションを設置。壁にはキラキラ光るモールで飾り付けし、所々に七色に光る星型の発光玉をつけてある。
ローテーブルにはクリスマス色の赤と緑を意識したサラダに、作り置き出来るオードブル。少し大きめのパンは、上部を切り取って中をくり抜いて器にした。
くり抜いた中身はスライスにし、器に入れるシチューと共に食べる。メインであるチキンはもも肉の骨付きにして、豪快に齧り付いてもらうつもりだ。もちろん、粉砂糖をたっぷりかけたチョコレートケーキもある。
「明かりを消して、ウォルト」
あたしは窓へと近づき、カーテンを開ける。
冬の、夕方である為、陽の光はない。
けれども部屋を照らすキャンドルと、窓から射す月明かりで十分に食事をする事は出来る。
あたしは料理にかぶせてあったガラスを取り、パンの器にシチューを入れる。
「さあ、召し上がれ」
ウォルトが手を合わせる。
「いただきます」
彼はパンを取り、一口食べる。
そして次はシチューを掬いつつ、オードブルにも手を伸ばす。
「いただきます」
彼に続いてあたしも一口食べてみる。
……うん。味についてのコメントは差し控えさせていただきます。
オードブルにハーブチキン。パンにシチュー。チョコレートケーキ。
ウォルトは目の前の料理を平らげてゆく。
いつもの『見た目と味が連動しない』という文句すら言わず、かと言って『美味い』とも言わず。
ただ事実として、この料理はお客様に出せるものではない。
それは食べた自分が良く分かっている。
「今日は来てくれてありがとう、ウォルト」
「……約束、したからな」
ウチの店は休みが多い。
それは料理長であるお父さんが良くふらりと仕入れの旅に出てしまうからなのだが、ウォルトはそんな時程よく食堂に訪れ、あたしの料理を食べてくれる。
あたしは『半人前』。
まだお客様にお料理を出せないから、食べてくれるのはウォルトだけ。
作った料理を『美味しい』と言われた事なんてない。それでも、幼馴染みでしかないあたしを気遣って、毎日食事に付き合ってくれている。
『料理の国』であるマグナンティでは、何処に行っても極上の料理を味わえるというのに。
「……うん」
少し、情けない声が出て。ウォルトがこちらを見た。
ああダメ。
こんな沈んでいる時の姿を見せたくない。
あたしは潤んだ瞳を隠す様に顔をそむける。
「どうした、リズ?」
「ううん、なんでもないよ」
「『なんでもない』なら、何故こちらを見ない?」
どうして見逃してくれないかな。
誤魔化そうとしてるんだから、気付かないフリをしてくれればいいのに。
「――俺が『美味い』と言わないから。そんな顔、しているのか?」
「違う、よ」
「本当か?」
「当たり前じゃない!!」
『半人前』である事を、一番気にしているのはあたし。
本気で作って、それでも美味しくなくて。ウォルトの『美味しい』を聞きたいのに、出来ない自分が悔しくて。なのに。
「お世辞なんて、いらないよ……」
拳を握りしめ、堪らず俯いた。
こんな、湿っぽい姿を見せたくて料理を作っている訳じゃないのに。
美味しいと、皆を笑顔にしたくて、料理をしているのに。
あたしがこんなんじゃ……ダメダメだ。
「リズ……」
温かい手が頬に触れた。
俯いていた顔をそっと上げられ、隠していた瞳がウォルトの前に晒される。
「見た目は文句なしだ。盛り付けに色どり。どちらを取っても、食欲をそそる。……だが、味は遠く及ばない」
「……うん」
「しかし。いつか俺に、『美味い』と言わせてくれるんだろ?」
「……うん」
短い返事を繰り返すあたしに、ウォルトがフッと笑った。
「だったら、作り続ければいい。俺が『美味い』と言うまで、ずっとずっとずっと」
でも。と、言葉を続けようとして、あたしはそれを呑みこんだ。
彼の瞳は真剣だった。
それ以上言うなと、あたしが、美味しい食事の機会を奪っている事を、言葉にしないで済むように。
「うん……」
ウォルトは優しい。
上辺だけの言葉であたしを慰めようとはせず、実のところでしっかり支えてくれている。
頼りになる、大切な幼馴染み。
「リズ」
短く名を呼ばれ、あたしは俯きかけていた顔を上げる。
ウォルトの瞳が再びあたしを射ぬく。
真剣な顔つきのまま、もう一方の手をゆっくりと伸ばして来て。
そっと、あたしの髪を梳いた。
「リズ、あのな……」
「たっだいまーーー!!」
バンと開いた扉。
聞き慣れた底抜けに明るい声。
暖まった部屋に外気を送りつつ。
両手を上げて現れたのは、我が食事処の主。
「お父さん!!」
「おうよ! ただいま! 我が愛娘よ!!」
再会の喜びを全身から垂れ流しつつ、慌てて立ち上がったあたしを大げさに抱きしめる。
「痛い、痛いってば! お父さん!!」
「一カ月ぶりなんだ!! いいじゃないか!!」
「短い方じゃない! 前回は三カ月だったんだから!」
「一日でも、三カ月でも離れていた時の寂しさは同じさ!!」
お父さんはひとしきりあたしをぎゅうぎゅう抱きしめた後、「……おや、ウォルト。来てたのかい?」と、間の抜けた声を上げた。
「……お久しぶりです、カイルおじさん」
「おう! 相変わらず、行儀のいい奴だな~」
「ありがとうございます」と、返事をするウォルトの声がいつもより低い。
それは機嫌の悪い時である事を知っているあたしは、首を傾げる。
「ウォーレンスも元気か?」
「……ええ。例え元気がなくても、おじさんの料理にありつけると知ったら、すぐに元気になりますよ」
「そうか! じゃあ早速明日うちに来てくれ! 当然貸し切りだ!!」
よおし。そうと決まれば、下ごしらえだ!
自身に気合を入れるように叫び、お父さんは部屋から出て行った。
相変わらず嵐というか、なんというか。
我が父ながら、旅先で皆に迷惑をかけていないか心配である。
お父さんの抱擁から解放されたあたしは、ウォルトの方を振り返った。
「あ。そういえばウォルト。さっき、何か言いかけてなかった?」
「……なんでもない」
やっぱりいつもより低い声を発する幼馴染みに、あたしは疑問符を浮かべる。
ウォルトはお父さんの性格を知っているし、料理の事ではないとするならば。
この冷気を漂わせる不機嫌は一体どこからやってくるのだろう?
「そろそろ、俺も帰る」
「うん。今日は練習に付き合ってくれてありがとう!」
ニッコリと笑って返せば、何故かウォルトの眉間にしわが寄った。
……なんで?
まさか、あたしの笑顔が不機嫌の元なの?
いつも笑っていたって不機嫌にならないのに……、と思いつつも、席を立った彼を送ろうとあたしも扉へと向かう。
ハンガーに掛けてあったマフラーを手渡しし、続いてジャケットを渡す。
なんとなく部屋の主としてやってみたが、この行動は夫婦みたいと思うと笑みが零れる。
「――リズ?」
ニヤけるあたしを彼が呼んだが、思った内容は秘密。
だって伝えた事を想像しただけで、呆れ声が聞こえてくるんだもの。
「ん、なんでもないよ」
あたしも手短にあった上着を羽織り、準備万端と彼を見上げる。
トン、と。額に何かが当たった。
「え? 何??」
「『くりすます』のプレゼントだ」
「プレゼント?? 『くりすます』ってプレゼントがあるの??」
やだ、あたし用意していない!
そう言って慌てれば、「リズはご馳走作ってくれたじゃないか」と、彼は言う。
「ご馳走だけど、ご馳走になってないでしょ!? だって、れん……」
「リズ」
あたしの言葉を遮ったウォルトは、眉間にしわを寄せている。
「このご馳走を。リズが、心をこめて作ってくれた事は分かっている」
だから、それ以上言うな。
彼はそう言うと「ごちそうさん、リズ」と、部屋から出て行った。
あたしは少しの間、動けなかった。
『リズが、心をこめて作ってくれた事は分かっている』
こんな風に言われたのは初めてで。
喜んで欲しい、笑って欲しいと、込めた気持ちはちゃんと伝わっていて。
それはどうしようもなく嬉しくて、自然と顔が緩んでくるのが分かる。
「待ってよ! ウォルト!!」
あたしはプレゼントをポケットにねじ込んで、慌てて階段を降りる。
一階からは「あれ、もう帰るのか?」と、お父さんの声が聞こえてくる。
「リズ! ちゃんと見送りしろよ~」
「分かってる!」
もう玄関扉を開けているウォルトに近づき、「待ってよ!」ともう一度声をかける。
ウォルトとあたしは一緒に外に出た。
そして。
あたしは、暫し呆然とする。
家の外は一面銀世界だった。
道も、街灯も、家々の屋根も。
目に見える景色は薄らと白く染まり、それは妖精や女神様が、空から粉砂糖を振り撒いたのではないかと思ってしまうほどに。
「――雪が降るなんて珍しいな」
ウォルトの感想はそんな一言。
たしかに絵本やお客さんからは伝え聞いていたけれど、こんな景色が突然現れて、平然としていられる彼が信じられない。
あたしはウォルトのマフラーを掴み、「何普通の感想いってんのよ!!」と、ガクガク揺さぶった。
「『ゆき』よ! 『ユキ』!! 信じられない!!」
マグナンティで『ゆき』は降らない。
なのに、街の景色を変えるほど降り積もるなんて!!
「ねえねえ、ウォルト! 『ゆきだるま』作ろうよ!!」
「は?」
「それか、『ゆきがっせん』!! あ、『ゆきそり』も良いね!!」
次々と伝え聞いた遊びを挙げれば、ウォルトは溜息をついた。
だけどそのまま帰ったりせず、『ゆきだるま』を一緒に作ってくれる。
触った傍らか溶けてゆく『ゆき』が、段々と塊になって。そして、丸くなってゆく。
あまり大きなモノは作れなかったけれど、ウォルトが落ちていた木の小枝で手を作り、あたしは花壇に敷いていた赤い小石で鼻を、黒い小石で目を作った。
そうして満足したあたしはニコリと笑う。
「来年も『ゆき』が降るといいね!」
「その前に。来年もご馳走作ってくれよ」
もちろん、当日だけだ。
そう言ったウォルトも、ニヤリと笑ってくれている。
ウォルトは約束を守ってくれる。
だからきっと来年も、あたしの料理を食べてくれるに違いない。
「もちろん! ウォルトの為だけに作ってあげるから!」
満面の笑みを浮かべて言い切れば、急に彼がそっぽを向いた。
機嫌を損ねた? と、一瞬ビックリしたけれど。
あたしは見てしまった。
その顔が、冷え切った指先の様に赤くなって、その後、目を柔らかく細めた姿を。
「ウォルト?」
「……リズ、そろそろ部屋に入れ」
「え?」
「慣れない天気だ。風邪をひく」
明日から忙しくなるだろう?
そう言った彼の表情はいつも通りだった。
大人びている彼はあまり感情を表に出さない。
怒鳴り散らす様な事もしなければ、泣く事もない。ましてや、照れているなんて記憶になかった。
と、なればさっきの、あの嬉しそうな顔は見間違えかもしれない。
(そもそも『嬉しい』要因がないしね……)
――いや、ひょっとして。
あたしの料理が飛躍的に美味しくなると信じてくれているのかも!?
あたしは力強く頷き、ウォルトを見送る。
景色に彼の姿が溶け、世界はまた真っ白に変わり。
あたしはブルリと身を震わせ、扉のノブに手をかける。
「おやすみなさい、ウォルト」
優しい幼馴染みに。あたしは、ニコリと微笑んだ。
【2.練習と言わないで 〈料理王国の半人前編〉 おしまい】
お読みいただきましてありがとうございました!!
引き続き、本日中に次話を投稿いたします(*^_^*)