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倉田家の日々  作者: 堊慇
5/12

第5話:ヤバい薬

注意:ちょっと下ネタがあります。



 目覚めるとベッドにいた。消毒液の独特なにおいから、ここが保健室だとわかった。


 外を見るともう日が暮れかけていた。


「母さんの野郎…人の首を思いっきり蹴りやがって……」


 俺は首をさすりながら起き上がった。すると横から声が聞こえた。


「………起きた…」


 声のする方向を見ると、白衣の先生がいた。 


 白雪零先生である。無口でちょっと影のある先生。年齢不詳だか顔は幼く、可愛いらしい。赴任したての頃、休み時間には病気でもない男子共が保健室に集まっていた。

 しかし、今はそんな男子はいない。なぜなら、保健室に行った男子は全員、変な実験の材料にされるからだ。

 零先生の趣味は人に迷惑をかける実験。

 ある男は悪魔を呼ぶために右足を切断されそうになった。そして、ある男は怪しげな注射を打たれ、3日間ずっと壁に向かって話し掛けていた。他にもT-ウ○ルス投与されそうになった男もいた。


 そんなわけで、健康体で保健室に行こうとする者はいなくなった。(もちろん本当に具合が悪い人はちゃんと看病している)


「……ソウジ……カオル……付き合ってるの?」


「なっ、なんでですか?」


「……カオル…叫んでた…」


「叫んでたのか…」


 俺が叫んでいる薫先生を想像していると、


「…で……本当…なの?」


 と、零先生が真剣な顔で聞いてきた。


「まぁ、本当です。成り行きみたいなもんですけどね…」


「………カオル……殺す…」


 零先生がボソボソと何か言っているようだが、何を言っているかは聞こえない。

 なんか怖いな…


「じゃ、じゃあ帰ります」


 俺はベッドから出て、扉に向かった。すると、零先生が袖を掴んだ。


「…カオル……来る………」


 あぁ、薫先生が迎えに来るってことね。


 俺は頷いて、ベッドに腰掛けた。時計を見ると、5時半だった。部活がある生徒もそろそろ帰る時間である。


 ふと零先生の方を見ると、引き出しから何かのビンを出した。そして、それをこっちに持ってきた。 


「…ソウジ……これ飲むと元気」


 そうか…心配してくれてんだなぁ…


「ありがとうございます!頂きます!!」


 手渡されたビンには、なんとも形容し難い色の液体が入っていた。なんかボコボコしてるし………


「本当に元気になるのですか?」


「……絶対」


 零先生がそこまで言うなら、きっとすごい元気になるだろうな……でも、ちょっと心配。


「なんて名前の薬なんですか?」


「……【男のある部分が元気ハツラツになり過ぎて近くの女を襲う薬】……」


「名前長いよ!!だいたい、そんな元気必要ねぇし!」


「……いいから飲む」


 零先生は無理矢理に飲まそうと、ビンを俺の口に押し込もうとしてくる。


 俺が必死で抵抗していると、保健室の扉が開いた。


 多分、薫先生だ!そう思い叫んだ。


「薫先生助けて!!零先生に【男のあの部分が元気ハツラツで近くの女を襲う薬】だっけかな?まぁ、そんな感じの名前の薬を飲まされそうになってるんです!!」


 そう言いながら入って来る人を見ると、俺の姉だった…最悪だ。


「零先生。いい薬持ってますね。私も総くんを元気づけたいので手伝いますよ!!」


 そう言うと、姉ちゃんまで襲ってきた。二人がかりはキツい…


 もうダメだ……


 ガラガラと扉が開く音がする。そして人が入ってくる。


「待ちなさい!」



 救世主か?神様か?いや、薫先生だ!!!


「総ちゃんに何してるの?」


 と、思ったら母さんでした…この展開なら普通は薫先生だろ!!


「あっ、お母さん!今ねぇ、零先生の【男のアレが元気モリモリの野獣になり、この世にいるありとあらゆる女を襲い、奴隷にさす薬】を総くんに飲ましてるの!」


 名前が全然あってねぇよ!!凶悪過ぎるだろ!!そんな薬あってたまるか!


 と、一般人はそう思うかもしれないが、母さんは違う。


「それは凄いわ!総ちゃんはやっぱり若いんだから、元気モリモリがいいわよね?」


「よくねぇよ!元気モリモリにも程があるだろ!」


 母さんまで参加して、三人で襲ってくる。


 ヤバいぜ…このままじゃ、俺の一部がボブ・サップになっちまうぞ…


「母さん!頼む!!勘弁し、ゴクッ…」


 飲んじゃった…終わりだ……今から俺のアレが、どんどん徳川吉宗ばりの暴れん坊将軍になるのか……


 なんか体が火照ってきた。熱い……ヤバいな。俺は3人を見た。


「…ワクワク」


「じゅる」


「ハァハァ」


 みんな楽しそうだ。


「零先生なにワクワクしてんだよ!姉ちゃんよだれ汚い!!あと母さん!息子で欲情すんな!!」


「……ワクワク」


「じゅる」


「ハァハァ」


 聞いてない……仕方ないな……


「3人とも目つぶってくれ…」


 俺が真剣に言うと、みんな嬉しいそうに目をつぶった。母さんは鼻血を出している。


「……ワクワク…ドキドキ」


「じゅるる、じゅる」


「ハァハァ…フッフッフッ…」


 俺はそーっと扉に近付き、扉を開けた。

 その音に気付いた母さん達がこっちを向いた。


「じゃあなっ!!」


 俺は逃げた。

 後ろを見ると、3人が追いかけてきている。しかし、元気モリモリの俺に追いつけるはずはなく、どんどん引き離していく。


 通学路をいつもの3分の1の時間で駆け抜けた。そして、家に飛び込み、2階にある自分の部屋に向かった。


 部屋には厳重に鍵をかけた。これならルパ○三世でもこの部屋には入れない……はず


「俺の勝ちだ!!」


 そう叫び、俺はベッドに飛び込んだ。そして、悶々としながら眠った………





 そろそろ試験があるので、更新が遅れます。すいません。



今回もプロフィールを書きます。



若林薫

 24歳の数学の教師。普段は男勝りで乱暴な性格だが、意外と泣き虫で、趣味は料理という女の子らしい一面もある

 身長171cm、体重は秘密みたいだ。スラッとしているが、胸はそこそこある。髪は短い。

 好きなものは総次。嫌いなものは総次に近付く女。




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