第5話:ヤバい薬
注意:ちょっと下ネタがあります。
目覚めるとベッドにいた。消毒液の独特なにおいから、ここが保健室だとわかった。
外を見るともう日が暮れかけていた。
「母さんの野郎…人の首を思いっきり蹴りやがって……」
俺は首をさすりながら起き上がった。すると横から声が聞こえた。
「………起きた…」
声のする方向を見ると、白衣の先生がいた。
白雪零先生である。無口でちょっと影のある先生。年齢不詳だか顔は幼く、可愛いらしい。赴任したての頃、休み時間には病気でもない男子共が保健室に集まっていた。
しかし、今はそんな男子はいない。なぜなら、保健室に行った男子は全員、変な実験の材料にされるからだ。
零先生の趣味は人に迷惑をかける実験。
ある男は悪魔を呼ぶために右足を切断されそうになった。そして、ある男は怪しげな注射を打たれ、3日間ずっと壁に向かって話し掛けていた。他にもT-ウ○ルス投与されそうになった男もいた。
そんなわけで、健康体で保健室に行こうとする者はいなくなった。(もちろん本当に具合が悪い人はちゃんと看病している)
「……ソウジ……カオル……付き合ってるの?」
「なっ、なんでですか?」
「……カオル…叫んでた…」
「叫んでたのか…」
俺が叫んでいる薫先生を想像していると、
「…で……本当…なの?」
と、零先生が真剣な顔で聞いてきた。
「まぁ、本当です。成り行きみたいなもんですけどね…」
「………カオル……殺す…」
零先生がボソボソと何か言っているようだが、何を言っているかは聞こえない。
なんか怖いな…
「じゃ、じゃあ帰ります」
俺はベッドから出て、扉に向かった。すると、零先生が袖を掴んだ。
「…カオル……来る………」
あぁ、薫先生が迎えに来るってことね。
俺は頷いて、ベッドに腰掛けた。時計を見ると、5時半だった。部活がある生徒もそろそろ帰る時間である。
ふと零先生の方を見ると、引き出しから何かのビンを出した。そして、それをこっちに持ってきた。
「…ソウジ……これ飲むと元気」
そうか…心配してくれてんだなぁ…
「ありがとうございます!頂きます!!」
手渡されたビンには、なんとも形容し難い色の液体が入っていた。なんかボコボコしてるし………
「本当に元気になるのですか?」
「……絶対」
零先生がそこまで言うなら、きっとすごい元気になるだろうな……でも、ちょっと心配。
「なんて名前の薬なんですか?」
「……【男のある部分が元気ハツラツになり過ぎて近くの女を襲う薬】……」
「名前長いよ!!だいたい、そんな元気必要ねぇし!」
「……いいから飲む」
零先生は無理矢理に飲まそうと、ビンを俺の口に押し込もうとしてくる。
俺が必死で抵抗していると、保健室の扉が開いた。
多分、薫先生だ!そう思い叫んだ。
「薫先生助けて!!零先生に【男のあの部分が元気ハツラツで近くの女を襲う薬】だっけかな?まぁ、そんな感じの名前の薬を飲まされそうになってるんです!!」
そう言いながら入って来る人を見ると、俺の姉だった…最悪だ。
「零先生。いい薬持ってますね。私も総くんを元気づけたいので手伝いますよ!!」
そう言うと、姉ちゃんまで襲ってきた。二人がかりはキツい…
もうダメだ……
ガラガラと扉が開く音がする。そして人が入ってくる。
「待ちなさい!」
救世主か?神様か?いや、薫先生だ!!!
「総ちゃんに何してるの?」
と、思ったら母さんでした…この展開なら普通は薫先生だろ!!
「あっ、お母さん!今ねぇ、零先生の【男のアレが元気モリモリの野獣になり、この世にいるありとあらゆる女を襲い、奴隷にさす薬】を総くんに飲ましてるの!」
名前が全然あってねぇよ!!凶悪過ぎるだろ!!そんな薬あってたまるか!
と、一般人はそう思うかもしれないが、母さんは違う。
「それは凄いわ!総ちゃんはやっぱり若いんだから、元気モリモリがいいわよね?」
「よくねぇよ!元気モリモリにも程があるだろ!」
母さんまで参加して、三人で襲ってくる。
ヤバいぜ…このままじゃ、俺の一部がボブ・サップになっちまうぞ…
「母さん!頼む!!勘弁し、ゴクッ…」
飲んじゃった…終わりだ……今から俺のアレが、どんどん徳川吉宗ばりの暴れん坊将軍になるのか……
なんか体が火照ってきた。熱い……ヤバいな。俺は3人を見た。
「…ワクワク」
「じゅる」
「ハァハァ」
みんな楽しそうだ。
「零先生なにワクワクしてんだよ!姉ちゃんよだれ汚い!!あと母さん!息子で欲情すんな!!」
「……ワクワク」
「じゅる」
「ハァハァ」
聞いてない……仕方ないな……
「3人とも目つぶってくれ…」
俺が真剣に言うと、みんな嬉しいそうに目をつぶった。母さんは鼻血を出している。
「……ワクワク…ドキドキ」
「じゅるる、じゅる」
「ハァハァ…フッフッフッ…」
俺はそーっと扉に近付き、扉を開けた。
その音に気付いた母さん達がこっちを向いた。
「じゃあなっ!!」
俺は逃げた。
後ろを見ると、3人が追いかけてきている。しかし、元気モリモリの俺に追いつけるはずはなく、どんどん引き離していく。
通学路をいつもの3分の1の時間で駆け抜けた。そして、家に飛び込み、2階にある自分の部屋に向かった。
部屋には厳重に鍵をかけた。これならルパ○三世でもこの部屋には入れない……はず
「俺の勝ちだ!!」
そう叫び、俺はベッドに飛び込んだ。そして、悶々としながら眠った………
そろそろ試験があるので、更新が遅れます。すいません。
今回もプロフィールを書きます。
若林薫
24歳の数学の教師。普段は男勝りで乱暴な性格だが、意外と泣き虫で、趣味は料理という女の子らしい一面もある
身長171cm、体重は秘密みたいだ。スラッとしているが、胸はそこそこある。髪は短い。
好きなものは総次。嫌いなものは総次に近付く女。