第3話:ボクシングみたいなテニス
ジャージに着替えてグランドに行くと、数人が練習していた。
「よぉ総次!遅かったじゃねぇかよぉ〜!」
「そうだぞ!お前を待ってたんだぞ。」
最初に声を掛けてきたのが、津田勇太。コイツはバカだ!しかし、エースだ!
次に声を掛けてきた奴は橋本悟。真面目で責任感があるこの部活のキャプテンだ。
二人とも俺と同じ2年生だ。
なぜ2年の悟がキャプテンなのかというと、悟がサッカー部を作ったからだ。
俺たちが入学した時、この学校にはサッカー部がなかった。
昔、暴力事件があったらしく、サッカー部がなくなっていた。
そこで、悟が人を集めてサッカーを作ったのだ。俺も勇太も誘われてサッカー部に入った。
勇太は中学時代から有名なサッカー選手だったが、俺はサッカー経験がなかった。しかも、俺と悟は知り合いでもなかった。(勇太とは昔からの知り合いだったが…)
じゃあ、何故俺が誘われたかというと、俺が有名なキックボクシングの選手だったかららしい…
悟曰く、『お前のローキックとハイキックのコンビネーションは誰にも止められないぜ!!まさにお前はサッカーをやるために生まれてきた男だ!!』ということだ。悟はサッカーのこととなると少しアホになる。
というわけで、俺はサッカー部に入ったのだ。まぁ悟や勇太ほどじゃないが、俺もなかなか上手くなった。
「総次はなんで遅れたんだ?珍しいな?」
悟が聞いてきた。
「ちょっと、色々あってな…」
「そんなことより早く始めよう!早く始めればそれだけ長く練習できるぞ!」
勇太が言った。勇太は悟とは逆に、サッカーのこととなるとまともになる。
俺たちは急いで練習を始めた。
俺と悟がランニングをしている時、ちょうどテニスコートの前で悟が立ち止まった。
「どした?」
「紗織ちゃんが練習試合してるぞ。」
「へぇ〜。相手は誰だ?」
「千堂って子だろ。スマッシュが得意な。」
どっかで聞いたことあるな…気のせいだよな……
「あっ!千堂さんのスマッシュが紗織ちゃんのボディに入ったぞ!」
やっぱり!!これ、明らかにはじ○の一歩だろ!!
「これってテニスだよな?」
「当たり前だろ!あっ、紗織ちゃんの、えーと、右か?左か?うーん、まぁ、打った球が千堂さんのリバーに突き刺さったようだぞぉー!」
「お前の実況下手だな!!止めちまえよ!てゆーか、こんなんテニスじゃねぇよ!何でテニスでお互いの急所を狙ってんだよ!!」
「テニスはボールを相手の体に当てても得点になるんだぞ!」
「それぐらいは知ってるよ!でも、これは普通にボクシングだろ!!」「そんなわけないだろ!おおっーと、これは、またも千堂選手は得意なスマッシュの構えだーー!紗織選手、ガードが間に合わないかぁーー?これは危ないぞーー!」
「実況いきなりうまくなったな!!とゆーか、ガードって言った?ガードって言ったよね?テニスにガードはねぇよ!!明らかにボクシングだろっ!」「おおーっと、紗織選手、千堂選手のスマッシュを迎え打ったぁーー!スマッシュに合わせたカウンターがまたも千堂選手のリバーに突き刺さったぞぉーー!!紗織選手の勝ちだぁぁぁーー!!」
「無視すんな!!カウンターってなんだよ!!まぁ、なんにしても紗織のKO勝ちでよかったよ……」
「KO?テニスにKO勝ちなんてないぞ。まぁ、6ー3で紗織ちゃんの勝ちだけど」
「くそぉーー!なんで最後だけまともなんだよ!今まで明らかにボクシングだっただろ!!」
「お前何言ってんだ?どーでもいいけど練習に戻るぞ!」
「ちくしょー!」
俺は叫びながら走り始めた。
「それにしても、今日の試合は見応えあったなぁ。さすが両者とも国内屈指のハードパンチャーって言われてるだけのことはあるぜ!」
「いつから紗織にそんな称号が与えられたんだよ!!ハードパンチャーって明らかに、ボクシングだろ!!はじめの○歩だろ!!もう言い逃れはできねぇぞ!!!」
「……………」
「無視すんなーー!!!」
そんなことを言いながら、俺達は練習に戻った。
戻ると勇太怒っていた。
「遅いぞ!どこ行ってたんだ!!もう練習終わったぞ!!」
「悪いな。」
俺は素直に頭を下げて謝った。
「勇太、すまない!幕之内紗織の試合を見てたら遅れたよ」
「うぉーい!幕之内ってなんだよ!紗織の名字は岩城だぞ!その名前は明らかにデン○シー○ールが得意なボクサーだろ!」
「…………」
「また無視すんな!勇太!なんとか言ってやれ!!」
「幕之内紗織の試合か……じゃあ、仕方ないな」
「だから幕之内紗織って誰だよ!!仕方ないってどういうことだよ!紗織の試合はそんなに有名なのか?紗織の名字はそんなに幕之内で有名なのか?なんとか言えよ!!!!」
「「……………」」
「シンクロ無視キターーー!」
「何言ってるんだ?変な奴だな……そんなことより、早く着替えて教室行くぞ!」
「…………」
俺は黙って着替え、そして教室に向かった。
今回はじめ○一歩ネタが多かったです。もし不快に思われた方がいれば、すいません。
しかし、作者である私ははじ○の一歩が大好きなので、今後もちょこちょこネタに使っていきたいと思います。
次から、後書きにキャラクターのプロフィールを入れていきたいと思います。無理かもしれないけど……
今後ともよろしくお願いします。