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Solanum lyratum  作者: モモンガもどき
番外編(という名の本番)
23/30

5 Vorbereitung (瀬菜)

今回はクリスマス直前の話です!

次話から薫編を始めて、終わったらクリスマスの話をあげる予定です^_^


「…で?今度はどうしたの?」


「…クリスマスどうしようかと。」


「まだ時間あるじゃない。」


私はそう言うと苦笑いを作った。

イギリスに来てもう3ヶ月。いろいろと忙しくしているものの、なんだかんだ週末時間のあるときに鈴花とSkypeするのが日課となっている。

今日もついこの間と全く同じように泣きついて来たと思ったら…今度はクリスマス。

全くと呆れつつも、そんな悩んでいる姿が可愛くて聞いてしまっている自分がいる。


「学校の子とかでこういう話聞いてくれる子いないの?」


「学校は…なんか前のカラオケのときに流れた噂のせいで、まともに話を聞いてもらえなくて…」


そう言うと鈴花は口籠る。

そういえば、なんか嶺緒がそんなことを言っていた気がする。

カラオケで1度、学校のメンバーの前でものすごいアッツアツぶりを見せつけたせいで、鈴花と祥平のカップル妄想するのが変なブームになっているとか…


「ミニスカサンタとか、自分にリボン巻きつけるとか…まともな意見が出ないし…しまいには変な寸劇始まるし…」


そうボソボソというと、鈴花は一気に顔を赤くさせる。

確かにクラスメイト達の気持ちはよくわかる。とくにミニスカサンタとか見てみたいかも…


「そういえば、2人ってどこまでいってるの?」


「へぇ!?」


鈴花の顔がさらに赤くなる。


「で?どうなの?」


「うう…えーっとぉ…」


「…まぁ、キスまでは確実かぁ。」


「なぁ!?」


「…ねぇ、そう言うガールズトーク的なのは俺いない時にやってくれない?」


「だって、嶺緒しゃべんないし。」


突然しゃべりだした嶺緒にそう返せば、嶺緒は呆れたようにため息を吐く。

実はこのSkype。最初嶺緒と話していて、そこに途中で鈴花が加わったもの。


「あっ、嶺緒ごめん…」


嶺緒のことをすっかり忘れてたらしい鈴花は真っ赤な顔で彼に謝る。


「別にいいけど…」


そう言ってそっぽを向く嶺緒が可愛くて、思わず笑ってしまう。


「なにさ、姉さん。」


「いやぁ〜、相変わらず子供だなって思って。」


「そうかなぁ…最近嶺緒大人っぽくなりましたよ?」


そんな姉弟のやりとりに鈴花の不思議そうな声が加わる。


「大人っぽい?嶺緒が?」


「はい。なんかうまく言えないんですけど…クラスでももっぱらの噂です。」


「ふぅーん…」


「1番の噂は鈴花と祥平さんだけどな。」


「な!?嶺緒!!」


そんな2人のじゃれ合いもとても久しく感じる。それぞれと話すことはあっても、こうやって2人が会話するのを見るのは空港の時以来だ。


「…あっという間な気がするけど。3ヶ月って長いのねぇ〜」


そんな呟きがポツリと漏れた。


「瀬菜さんはクリスマス、嶺緒とそっちですよね?」


「そうね。帰ってくんなって言われたし。」


「…別に。会いに行きたかったんだからいいでしょ?」


そう素直に口にする嶺緒に、どこか今までと違う感覚を覚え、これが鈴花の言ってたことかと少し納得する。


「いいなぁ〜、イギリス。」


「来たいなら来てもいいのよ?」


「…いえ、いいです。」


「だよな、来たら2人っきりじゃなくなっちゃうもんな。」


「うっ…」


そう言うと鈴花の顔がまた真っ赤に染まり始める。


「まぁ、大丈夫でしょ。祥平ならちゃんととびっきりのプランを考えるんだろうから。」


そう言って笑いながら、ちょうど1時間ほど前のことを思い出す。








「瀬菜、久しぶり。嶺緒も割り込んで悪いな。」


「いえ、気にしないで下さい。」


「…で?どうしたのよ、急に。」


「ちょっと相談なんだけどよ…」


「クリスマスのデートプランならやーよ。そんなの鈴花が知ったら嫌な思いするだろうし。」


「いや、プランは決まってる。ちょっとプレゼントの意見を聞きたかっただけなんだ。」


「珍しいですね。祥平さんがなんか意見を求めるなんて。」


「実はな……」


そう言って祥平から告げられた言葉に思わず私も目を見開く。

そして呆れたように口を開いた。


「私的な意見言ってもいい?」


「あぁ。」


「重い。」


その言葉にやっぱりなと言うように祥平は苦笑いを浮かべる。


「だって、あなたたち付き合ってまだギリギリ半年も経ってないくらいでしょ?…しかもそれって、祥平が牽制であげたいだけじゃないの?」


「ごもっともです。」


そんなことを話している間に、何か考えていた嶺緒が真面目な顔で口を開く。


「確かに普通じゃ、重いって言われるだろうねぇ…でも…鈴花なら喜ぶんじゃないですか?」


その言葉に私も少し想像してみる。


「…確かに。鈴花ならむしろ嬉し泣きするレベルかも。」


祥平はそれを聞いて驚いたように「えっ…」と呟いた。

そんな様子の祥平に私はニヤリと笑いかける。


「祥平がプレゼントをあげたいのは普通の女の子じゃなくて鈴花でしょ?あんたがあげたいと思ったものをあげればいいのよ。」










「あーもぉーどーしよう!!」


「そんなに迷うならミニスカサンタでいいじゃん。男だったら好きな子のそういう格好嫌いじゃないって!…どーせ、お泊まりでしょ?」


「なっ…何言ってるの!?」


私は目の前であわあわしている鈴花をじっと見つめる。

祥平とぎくしゃくしていた頃、ずっとどこか無理したような顔をしていたと嶺緒は言うけど、今は前なんかよりいっそう柔らかな表情をするようになった気がする。


「ねぇ、鈴花。…幸せ?」


なんとなくそんな言葉がついて出る。


「急にどうしたんですか?」


「まぁ、まぁ、いいから!ねぇ、幸せ?」


鈴花は焦った表情から一変して、柔らかな笑顔で微笑む。


「…幸せですよ。」


「…なら、良かった。」


そう言うと私もつられて笑い返す。


「瀬菜さんは幸せですか?」


「さぁ…私、欲張りだからねぇ〜」


「はは、なんですかそれ〜」


そんな様子を黙って嶺緒は見ている。


「プレゼントの話だけど。祥平が欲しそうな物って考えるんじゃなくて、鈴花があげたい物で考えてみたら?そしたらもう少し簡単なんじゃない?」


「でも…それがあんまり祥平さんの欲しい物じゃなかったら…」


「大丈夫よ。そんなことないって私が保証する。」


そういうと私はニヤリと鈴花に笑いかけた。










「姉さん、なんであんなこと言ったの?」


「ん?それはあの2人が似た者同士だからよ。」


「へぇ?」


鈴花がSkypeからいなくなった後、嶺緒が不思議そうに私に問いかけた。


「鈴花も祥平も、相手に求められたい人間なの。相手が自分に何かワガママを言ってくれる、甘えてくれるってのが嬉しい。だけど、そういうのを自分からしようとはしない。相手主体でいつも動いてる。」


「ふぅーん。で、それとなんの関係があるの?」


「つまり、今回2人ともに求める方の行動を取らせたの。つまり、相手にプレゼントしたい物を選ばせた。それは逆を返せば、受け取る相手にとって求められる行為ともなるわ。…もうわかるでしょ?それが2人にとって良いプレゼントでないはずがないのよ。」


そういうと私はニヤリと嶺緒に笑いかける。

嶺緒は「なるほどねぇ〜」といいながら、ちょっと呆れた顔をしている。


「それより、本当に空港まで迎えに行かなくていいの?」


「いいよ。どうせギリギリまで研究とかで忙しいんでしょ?」


「まぁ、そうだけど。」


「大丈夫だよ。もうそんな子供じゃないんだし。」


「そう…なら、楽しみに待ってるわ。」


私の言葉に嶺緒はふわりと笑い返した。




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