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Solanum lyratum  作者: モモンガもどき
番外編(という名の本番)
21/30

3-3 Liebe schwester

嶺緒編最終話です!

意外に短くなってしまった(-。-; けど、まぁいいでしょう 笑

時間軸は一気に鈴花たちの事故の後になります!

「…姉さん!?」


「どう?似合う?」


そう言った目の前の彼女は恥ずかしそうに笑った。

アイツを傷つけないようにとロングにはしない。そう言いつつも諦めがつかず、ずっと同じ長さを保っていた綺麗な黒髪…

それが今、顎のライン辺りまでしかない、ショートカットになっている。


「やっぱりおかしい?」


黙り込む俺を見て、困ったように姉さんは笑った。


「いや、おかしくないよ。似合ってる。でも…」


何か理由があるの?

俺の言葉を聞くと、安心したように彼女は笑った。


「そう、ならよかった。」


その笑顔はあのときと同じような、哀しげで美しい笑顔に見えた。


「あっ、そうだ。嶺緒。」


そこで彼女は俺と目をしっかりと合わせると優しく微笑んだ。


「イギリスに行くわ。」


驚きはしなかった。

なんとなく、俺にはわかっていた。

髪を切ったからってだけじゃなく、その前の…祥平さんたちの事故の後くらいから。

明らかに姉さんの中で何かが変わり始めていたから。


「そっか…」


そんな言葉しか口からは出てこない。


「ごめんね、1人にさせて。」


「気にしなくていいよ。」


「嶺緒ならそう言うと思ったわ。」


そう言うと彼女はくすりと笑った。

そんな仕草すらなんか大人に見えて、俺1人だけとり残されたような気分になる。

なにが彼女をそう決意させたのかは知らない。

でも、確実に彼女の中では様々な変化が起きているのだろう。


「…その話、他の人にはしたの?」


「してないわ。」


彼女は寂しげな笑顔ではっきりと答えた。


「なんだかんだ忙しくてね…やっぱり、あと1ヶ月弱で準備っていうのは大変なのよ。」


そう言うと、彼女はへらりと俺に笑いかける。


「えっ…」


彼女の言葉を上手く理解できず、動揺したように視線は彷徨う。


「9月から行くことにしたの。向こうの新学期に合わせて。」


「…そんな…急すぎでしょ。」


心の準備をするにしても、そんなの…短すぎるよ。


「…ごめんね。でも、決めたんだ。」


「……いくらなんでも勝手すぎ。」


「嶺緒が好き勝手しろって言ったのよ?」


そう言うと彼女は困ったように俺へと笑いかける。

わかってるよ…でも…


「ごめんね、自分勝手で。」


「……本当だよ。」


本当に。自由奔放、自分勝手、そのくせ誰よりも優しい…俺の大好きな人。


「まぁ、それでこそ姉さんなんでしょ?」


それでいい。何にも縛られない自由な人であってほしいから…








「瀬菜さん…やっぱり寂しいです。1ヶ月なんて短すぎですよ…」


鈴花はそう言うと空港の手荷物検査の前で、姉さんに抱きついたまま文句を言いまくってる。


「ごめんね、鈴花。」


「許しません…ぜったい、ぜったいぜっっったい……メールとかSkypeしてくれなきゃ許しませんから。」


そんなふうにしがみつく鈴花の頭を困った顔で姉さんは優しく撫でている。


「ほら、鈴花。瀬菜が困ってるだろ?」


そう言って祥平さんが鈴花に肩を叩いて促せば、今度は祥平さんへとしがみつく。


「ヒクッ…だって…寂しいっ、ですよ…」


そんな様子を祥平さんは愛おしそうに見ながら、姉さんと同じように頭を撫でている。


「でも、本当に。今回のことは唐突すぎだぞ。ちょっとは振り回される身にもなれよ。」


祥平さんはそう言うと呆れたように姉さんを見た。


「ごめん、ごめん。急だとは思ったんだけど…なんとなくね。」


そう言いつつも、姉さんの表情からは悪いと思っているようには見えない。


「まぁ、いいけど。……薫も誘ったんだけど、来ないってさ。」


そう言って祥平さんは申し訳なさそうな表情をした。


「知ってるわ。」


「…わるいな。」


「祥平のせいじゃないわよ。」


姉さんはとてもあっさりと言葉を返す。そして、ふふっと軽く笑う。


「まぁ、見送りに来なかったことを一生後悔させてやるわよ。」


そう言うと姉さんはとても楽しげな笑顔を作った。どこか吹っ切れたような晴れ晴れとした笑顔だった。


「そうだな。」


それをどこか安心したように祥平さんは微笑み返した。


「…そろそろ行かないと。」


腕時計に目をやり、ポツリと姉さんが呟く。

そして、黙って祥平さんたちの後ろに立っていた俺へと目を向ける。


「何も挨拶してくれないの?」


それは小さい頃よく見た、俺を諭すような表情で…


「何言ったらいいかわかんないんだよ…」


「そうね。」


不貞腐れたように、呟く俺に姉さんは優しく微笑みかける。


「覚悟はしてても、寂しいし。」


「うん。」


「文句とかもっといろいろ言ってやろうと思ってたのに…」


そう言いたいことは山ほどあった。

今このときを目の前にしても、行かないでと縋ってしまいたいくらいだ。

でも…


「嶺緒。」


大好きな優しい声が、俺の名前を呼ぶ。

俺は彼女のとこまで行くと、黙って彼女を抱き寄せた。


「行くからには…やりたいこと精一杯やりなよ。」


「うん。」


「正直、寂しいよ…」


「休みとか帰れるときは帰ってくるから。」


「……いや、帰ってこないで。」


その言葉に彼女はびっくりしたように「えっ…」と呟いた。

いつもではありえない、とても近い距離で彼女と向かい合う。


「俺が行くから。」


そう言うと、彼女は驚いたように目を見開いたあと、とても愛おしそうに俺に笑いかけた。


「わかった。待ってる。」


「うん……いってらっしゃい。」


俺はそう言うと、そのまま彼女の頬へとキスを落とした。


「んんーー!!」


「こらっ!」


後ろでなんだか騒がしい声がしたが、そんなことはどうでもいい。


「ふふ、嶺緒にキスしてもらうのは初めてね。」


「いつも姉さんがしてくれてたからね。」


ちょっぴり恥ずかしいのか、彼女の顔が心なしか赤い気がする。

そんな仕草がとても新鮮で、嬉しくなる。


「じゃあ、私からも…いってきます。」


そう言うと姉さんは俺の頬へとキスをした。

短くなった髪が俺の顔のラインを撫でるのが、こそばゆいのに心地よかった。




-瀬菜を見送った後の鈴花と祥平の会話-


鈴「びっくりした…まさか嶺緒があんなことするなんて…なんか見ててドキドキしちゃいました///」

祥「…そうか?最近見てなかったけど、ちっさい頃あの2人はいつもあんなんだったぞ?」

鈴「えっ…」

祥「(まぁ、今までの嶺緒にしては大胆なことしたけどな…)」

鈴「ほっぺにチューってそんなものなのかなぁ…」

祥「…俺意外にやるなよ?」

鈴「なっ!?わっわかってますよ!!」

祥「……」


しばらくは番外編で短いの書いてから、薫編いきます^_^

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