3-2 Entschließung
2話の予定が過去の話が膨らみすぎて1話増えました(-。-;
今回恋愛要素薄い上に、話の内容が暗いです。
できるだけ次話早くあげるつもりですが…
家が近所なこと、年が近かったこと、そして両親がみんな忙しかったこと。
そんなこともあり俺と姉さん、そしてあの幼馴染2人は小さい頃からほとんど一緒にいるのが当たり前だった。
物心つくころから家では姉さんと2人だけで過ごすことが多かった俺は、気がついた時には姉さんにべったりの子供となっていた。
「嶺緒!そんな不貞腐れないの!」
「だって…わかってるけど、さみしいもん。」
そう言って俺はぷいっとそっぽを向く。
同じ小学校にいるといえど学年が違えばずっと一緒というわけにはいかない。この年から姉さんたち4年生はクラブや委員会活動というものが始まり、帰る時間が俺と食い違うことがほとんどとなってきた。
祥平さんやアイツは一緒にいられるのに、俺は姉さんとはいられない。
そんな現状に俺はどうしようもなくイラついていた。
姉さんと同い年だったらよかった…
そんなことを思いながら、どうにもならない現状にますます腹がたつ。
「しょうがないなぁ…」
姉さんはそう言うと、俺のことをギュッと抱きしめた。
「さみしいかもしれないけど、お利口さんにしててくれたら、日曜に嶺緒の見たがってた映画借りに行こ?」
「ほんとに!?」
「うん。」
その言葉に俺は一気にご機嫌になる。
「じゃあ、お利口さんにお家で待ってる!」
「ふふ、嶺緒はいい子ね。」
そう言うと姉さんは俺の頬にキスをする。
それを俺はくすぐったそうに受けると、恥ずかしそうに少し微笑んだ。
「じゃあ、まっすぐお家に帰るのよ!」
そう言うと姉さんは俺から離れて、パタパタとかけていく。その先には祥平さんとアイツが…
「嶺緒、大丈夫だった?」
「うん、日曜に映画借りに行こうって約束したらわかってくれた。」
「おまえさ、そんな弟甘やかしてっと後で大変な目にあうぞ。」
「嶺緒はかわいいからいいの!」
そんなどこか気の知れた会話が彼らから聞こえてくる。
小さい頃からずっと一緒ということもあり、彼らには友情とはまた違う絆のようなものが生まれていた。
クラスメイトやただの友達とは明らかに違うなにかが…
そしてそれは俺と姉さん、俺とあの2人の間にはない、特別な繋がりだった。
双子だったら俺もあの中に混ざれたかな?
そんなことを思いつつ、俺はおとなしく1人家へと歩いていった。
そんな穏やかな日常が崩れ去ったのは突然の出来事だった。
「祥平さんのお父さんが警察に捕まった」というニュースが学校中に広まったのだ。
祥平さんは精神的ショックのため、1週間学校を休むことになった。
そんな間にも勝手な憶測でどんどん話は膨れ上がっていく。
「なによ!!何度言われても私祥平たちと一緒にいるもん!!」
珍しく一緒に帰ることになった帰り道。姉さんは怒りのあまりわなわなと体を震わせながら、その相手に怒鳴りつけた。
その相手というのは途中絡んできた姉さんのクラスメイトたちで、祥平さんたちと一緒にいるのをやめろという内容だった。
「だって、あの目つきからしてアイツだって絶対問題あるじゃん!それに一緒にいるのが柏木薫だぜ?なぁ、瀬菜ちゃんあんな奴らやめたほうがいいって!」
「そうだよ!アイツの親も無駄に若いし、夜にいけない仕事してるってもっぱらの噂だよ!」
姉さんの態度にビクつきながらも仕切りに説得しようとそんなことを言い続ける。
姉さんはこの頃から賢く、顔がかわいいこともあって、クラスでは人気者だった。
彼ら的に、そんな自分たちのアイドルのような存在が祥平さんたちと関わるのが気に入らないのだろう。
「うるさい!!私が誰といようと私の勝手でしょ!?放っておいて!」
姉さんはそう言うと、俺の手を掴み彼らを押しのけてズンズンと歩いていく。
「なによ、勝手なことばっかり…」
そう呟きながら、悔しそうに顔を歪ませていた…
祥平さんが登校し始めてからも、そんなことは続いていった。
毎日のようにクラスメイトに説得され、時には陰口を叩かれ、それでも姉さんは祥平さんたちから離れることはなかった。
そんな様子に、次第にクラスメイトたちは苛立ちを覚えていく。
そして、その矛先はまだ小さい俺へと向けられたのだ。
「れおくん、ごめんね。でも、れおくんと仲良くすると怒られちゃうの…」
俺はクラスの中で1人孤立するようになった。
「犯罪者」たちと仲良くしてる姉の弟。
そんな理由で避けられ、嫌がらせをされるようになったのだ。
「なんで「はい」って言わねぇーんだよ!おまえが姉ちゃんに言ってアイツらから引き離せばなんも問題ないんだよ!」
そう言って俺のことを思い切り、突き飛ばす。
その人はもともと姉さんのことが好きな上級生で、これを期に姉さんと祥平さんたちを引き離したかったのに上手くいかず、俺を利用しようとしたらしい。
「おい!「わかりました」って言いやがれこのガキ!」
そう言って俺の髪を掴むその男をただ黙って睨みつける。周りの奴らは面白そうにニヤニヤと笑っているだけで、誰も助けようとはしない。
確かにアイツのことは嫌いだ。初対面で姉さんの手を叩くし、いつも姉さんに憎まれ口言うし。祥平さんだって、正直いつも姉さんと一緒にいて、妬ましいと思ってる。でも…
「…やだ。おまえらなんかの言うことは聞かない。」
姉さんの気持ちを考えない。こんな奴らの頼みを聞くのはもっとやだ。
「このガキっ」
ムカついたのかその男は俺に向かって拳を振り上げる。
殴られる。そう思い、咄嗟に身構え目を固く閉じる。
パシッ。
「そこまでだ。」
恐れていた衝撃はこなかった。変わりに、低く固い声が俺の耳に響く。
「っな…」
男のものであろう、まぬけな声がそれに続いて聞こえてくる。
恐る恐る目を開ければ、恐ろしく鋭い目でそいつを睨む祥平さんの姿が。その隣にはアイツがその男の手を掴んだまま無表情で立っている。
「嶺緒!!」
さらにその後ろから、姉さんが飛び出すように俺に駆け寄り抱きしめた。
祥平さんはそのまま周りをぐるりと一瞥すると、小さく「消えろ。」と呟いた。その一言で恐怖を感じたのか周りにいた奴らは一斉にそれぞれ散っていく。
「おい!離せ!この犯罪者!!」
アイツはというと、その男を掴んだまま「ちょっと掃除してくるわ。」と言ってそのままそいつを引っ張ってどこかへと消えてしまった。
その場にはなにも出来ず固まっている俺と、俺を抱きしめすすり泣く姉さん。異様に静かな祥平さんだけが取り残された。
「ごめんね、ごめんね、嶺緒…」
ひたすらに泣きながら姉さんは謝る。
「なんでごめんなの?姉さん悪くないよ?」
そう言って、いつもとは反対に俺が姉さんの頭を撫でる。
「でも…でも、こんなのあんまりよ…」
姉さんはそう言うとしばらくの間、ずっと泣き続けた。
夕焼けに染まる帰り道。
祥平さんやアイツと別れたおれたちは、そのまま黙って家まであるいていた。
そのとき、急に姉さんが足を止めた。
俺もどうしたのか不思議に思い、立ち止まる。
「嶺緒。私決めた。」
その小さな背中は夕日に照らされる中、小刻みに震えながらもしっかりと佇んでいる。
「嶺緒…私、強くなるから。嶺緒を…薫を、祥平を、守れるようになるから…」
そう言って振り返った顔には、一筋の涙が浮かんでいた。
それからというもの、姉さんはありとあらゆる面で「完璧」を求めるようになった。
絶対に誰からも指図や文句を言わせない。そんな人になるために、常に「完璧」であり続けた。
そして、その得た力を俺や祥平さん、アイツを守るために使っていったのだ。
「私が間違ってるって言いたいの?」
気がついたときには、姉さんは逆らう者はねじ伏せる、「女帝」と呼ばれるようになっていた。
俺たちを守る代償として彼女は、俺たち以外の何者も寄せ付けない、孤独を受け入れたのだ。
決して逆らうことは許さない、冷徹の少女。
そんな姉さんの姿に俺は言いようもない不安を覚えた。
常に気を張り、誰にも弱味を見せない。1人ですべてを抱え込んで…
そんな彼女に救いはあるのだろうかと。
支えになりたい。
そんな強がる彼女を守りたい。
それが俺のすべてとなっていった。
ちょっとした補足解説です。鈴花にはそんな姿をあまり見せてませんが、瀬菜は高校生くらいまでは「女帝」と呼ばれるくらい自分に楯突く相手に容赦しない女の子でした。 汗 大学入ってからはそこまでではありませんが。




