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八十五話『俺にラブコメはまだ早かった!!』

 ルルがリビングまで駆け上がる。機動隊員、捜査本部の刑事たちもリビングまでやってきた。ヒビキ、トウマ、イズミ、レイも身体の至る所から血を流し、手錠をかけられながらも生還。ロイが、「お客さんかな??」と笑うが、警察たちは切羽詰まった表情でこちらを見つめていた。堂上が、「僕はR2で君を洗脳している。僕が命令さえすれば君は────!」と語るが、彼が語っているうちに「黙っていろ!!!」と堂上に命令する。堂上は、「ッ!!ッ!!」と喋れなくなり、こちらに銃を向ける。「これが今いる機動隊員と捜査本部の刑事か」俺が言うと機動隊の一人が、「弐式火神!お前を殺人容疑で逮捕する!!!」と叫んだ。「逮捕!?!?お前らには出来ない!」俺はハッキリ言い返した。精神干渉能力をかけたいところだが、一人一人頭を押さえる訳には行かない。俺は考えた後、ホノカが手拍子を二回鳴らして能力を発動しているのを思い出した。ロイも身構える。「俺から最後の一言だ。お前ら警察は正義なんかじゃない!!!俺からしたらただの邪魔者だ、部外者だ、粗探しだ!!!」俺は涙を流しながら訴える。「お前らは何か守ったのかよ!!!俺たちを追い詰めてるだけじゃないか!何も救済しようとしない、犯罪者の心情に耳を傾けようとしない、そんなの…!!」俺が涙ながらに訴えると、捜査本部の一人が、「殺人犯の気持ちなんてわかっちゃいけないんだ。」と渋い顔で言った。「もうやめてくれないか、火神くん。これ以上やっても何も生まない、悲劇しか生まれない。」捜査本部の一人が発した言葉に俺は、「ッ…何もわかってない、!!!俺だってこんなに…こんなに…こんなに辛い思いして!!」と今までを振り返る。ロクな事が無かったこの数ヶ月間を。「……末代まで呪ってやる……こんな組織に憧れた俺が馬鹿だった……!!!死ぬよりも苦しい地獄を味わえ!!!」俺は手拍子を二回鳴らした後、「俺の信者になれ!!!!!」と捜査本部と機動隊たちに命令する。『はい、弐式様』警察官たちは一斉に声を揃えた。ヒビキ、トウマ、イズミ、レイは『すごい…』と声を揃える。俺は四人の手錠を外した。俺はロイと顔を見合わせる。「私たち…警察に勝っちゃった…」浮かれるヒビキたちに、R2の洗脳よりも効果を強めるため、手拍子を二回鳴らし、精神干渉能力で、「俺を何よりも崇めよ!」と命令する。ヒビキ、トウマ、イズミ、レイは虚ろな目を向けながら、『はい…』と声を揃える。俺は五階に行き、サユリを迎える。「サユリ」俺が話しかけると、サユリは「カガミ…」と俺に嬉しそうな表情を向けた。「これでずっと俺と一緒だよ」俺が言うとサユリは、「うん…」と頷き、俺の手を取った。リビングに戻ると、レイに「ここも退かなきゃいけなくなっちゃいましたね」と言った後、「新しいアジト、一から建てませんか?もちろん、レイさんのお金で」と提案する。レイは、「わかった」と頷いた。「これで勝ったつもりですか。また警察は現れます。あなたを捕まえに。警察はここにいる人たちだけじゃないんですよ」と返り血を浴びた服を着ながら静かに呟いた。「何度でも同じことをすればいいだけさ、わかっただろ?勝ち目は無いって。」俺が言うとルルは、「はい。お手上げです。」と答えた。ルルは背中を向ける。「でも、覚えておいてください。必ずあなたにも報いが来ると言うことを」ルルはそう言うと、廃ホテルのリビングからスタスタと歩いて降りていった。一月三日の夜、俺たちは廃ホテルを後にした。暫くはレイの会社が所有している広めのマンションでみんなで過ごした。廃ホテルには火を放った。三日三晩燃えた。本来なら重症で助かった命も巻き込んで。それから警察にも追われないまま殺しを重ね、一年ほどの月日が経った。俺は精神干渉の反動で、ただでさえない体力がボロボロになった。精神も最初より酷く弱った。俺とサユリ、ヒビキは十八歳になった。立派な宗教施設(アジト)が出来た。仲間たちは俺を崇拝した。サユリは俺の思い通りになった。新しい組織の名前は光道教だ。俺が創り上げた虚構。全て俺のために動く組織。嗚呼…。俺が最初に望んだのはなんだったっけ。俺が最初に望んだのは…。


 アジトの庭の焚き火を囲みながら、信者たちが同じ服を着て、同じ踊りで、同じ歌を歌う。『ヒーラヤセンナイダールー トゥルティーヤ サンバラーディア センマー♪ロスーミィヤーヒーラマケラドゥンチィチーマースティヤリトワルヤラヒガラパラジャホンマトゥーイ♪』その音楽に首を揺らしながら、信者よりも高貴な服に身を包んだサユリにお茶を注いでもらう俺。これが俺が見たかった景色なのだろうか。俺がお茶を飲んでいると、パチ、パチ、パチと曲に合わせて手拍子を鳴らしながら、ロイがやってきた。「素晴らしい。君の物語は大成功に終わったね。」ロイはそう言うと、「邪魔者を全部排除して、サユリちゃんとは思い通りになって。君が描いた通りの世界が出来上がった。」と俺を賞賛した。「代わりに君は一番必要だったものを失った。何かわかる?」と問いかけた。俺は、「わかりたくもない。」と答えた。「どこまでも真っ直ぐだった君の心だよ」ロイはそう言うと、楽しげに笑い、「僕も混ぜて♡」と踊る信者たちの中に割り込んだ。「いい歌だね、カガミ!」と目に光がないこと以外は当時と変わらない笑顔をこちらに向けるサユリを見て、俺は心の中で、(嗚呼…俺にラブコメはまだ早かった)と呟いた。


俺にラブコメはまだ早かった!!~END~

2025.11.27~2026.2.28

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― 新着の感想 ―
俺にラブコメはまだ早かった!!!完結おめでとうございます!!!面白かったです!
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