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六十四話『新たな顔ぶれ』

 それからまたしばらくが経った。闇の曲芸団の初期メンバーも大体決まった。空白の期間にレイにアジトとなる如月市外れの空きホテル一棟を見せて貰った。厳密には所有権トラブルで放置された建物らしく、まだ廃墟では無い。状態は綺麗で中々使えそうなものだった。SNSで募った人物に年内に顔合わせがしたいと強請ったら全員からオッケーの返事が貰えた。その顔合わせが今日だ。「サユリ。今日から暫くアジトで生活する。だからサユリも一緒に来てくれるか?」俺がサユリに問う。サユリから来た返事は、「もちろん」。良かった。これでサユリに拒否でもされたら大変だった。サユリからの許可も得た俺は、「じゃあサユリ。荷物の準備をしてくれ。暫くこの家を離れることになる。」とサユリに指示する。サユリは、「わかった」と頷き、荷物をまとめる為に自分の部屋へ向かう。俺もまとめるべき荷物はまとめた。ヒビキもホテルに住む件に関しては、自分の親と移住できるなら。と喜んでいた。ただヒビキの親は寝たきり状態なのでレイの秘書が特別な方法でアジトまで送迎するらしい。


 サユリの荷物の準備が終われば、玄関前に二人で立ってレイの車を待つ。レイの車がやってきては、車から出てきたレイを見て、「すごい…本物のレイ・テンダーさんだ…」とサユリが呟く。「さあ中に入って。」とレイに指示されるまま、二人で後部座席に座る。「なんか遠足みたい」と嬉しそうにするサユリ。「遠足と言うより、合宿に近いね。さあ、辿り着けば夢のホテルぐらしだよ。カガミくんが君には一番いい部屋に住んでもらいたいと言っていたんだ。だから一番綺麗な部屋をさらに良くなるようにレイアウトさせてもらったよ。まるで姫君のようだね」レイの言葉に、サユリは「姫君……」と感激する。「辞めてくださいレイさん、サユリは姫君よりも神聖な存在なんです。俺にとって何よりも大切なもの。それがサユリなんです」俺がレイに説明すると、サユリは、「やめてよッ!」と恥じらう。レイは、ふはッと笑った。「それだけ大切にされているってことさ。お嬢さん。」レイはそう言うと、アクセルを踏み車を走らせる。俺が選んだ道。結末へと続く最初の一歩。「どんな人が来るんだろう」と俺に問いかけるサユリ。「基本は希死念慮を持っていたり、立場が弱かったり。生きづらさを抱える人たちだよ。話しててそんな風には見えない人もいたけど。共通点は居場所を求めている事。これに尽きるかな」俺が言うとサユリは、「なんかいいことしてる気分になるね」と俺の行動を肯定する。「嗚呼、そうだな」俺が答えるとサユリは、「みんな、何かを悩んでる。それでも必死に生きようとしてるんだ。」と呟く。「だからそう言う人たちが報われるように俺は動かないといけない。」俺が言うとサユリは、「カガミってやっぱりかっこいい…」と惚れ直す。


 数分車を走らせていると、「そろそろ見えてきますよ。」とレイが車の正面いっぱいに広がる自然豊かな景色を見ながら言った。ホテルの一室に着くと、そこには既にたくさんの人がいた。サユリもロビーで待っている人を見て、「全員関係者…」と驚く。「嗚呼、この人たちは気にしないでくれて構わない。スタッフみたいな人たちさ」と説明する。サユリが「こんにちは、」と挨拶すると、俺がスタッフと称した大人たちがペコペコ挨拶した。エレベーターを上がり、それぞれの自室があるフロアへ向かう。「ここが私の部屋…」本人と一緒に、"サユリ♡"と記された小さなネームプレートがぶら下がっている部屋を開けると、そこはベッドにはカーテンが付いて、ドレッサーなどが全て備え付きのまさに"お姫様"の部屋のようだった。当然、サユリの部屋の隣は俺の部屋で、なぜかレイによって小学生の男の子の部屋のようにされている。俺のイメージはそんなに子供っぽいのだろうか?一度別れそれぞれの部屋に荷物を置いては、皆が集まる一室へ向かう。


 「闇の曲芸団…。やたらダサい名前ね~」週刊文〇を見ながら呟くヒビキ。「せやけど、女はん。俺たちここに来れば救われるんやろ!?ほんならなんでもやったるわ!」コッテコテの関西弁も聞こえる。SNSでやりとりしていたからだいたいの性格はわかるが、ヒビキとレイ以外、会うのは今日が初めてだ。俺が来ると冷静な雰囲気を纏った男が、「…お前が夜叉鏡の亡者か。思ってたより若いな」と静かに言った。「僕のデザイン、気に入ってくれた~??夜叉鏡くん」軽快な声も混ざれば、これで幹部は全員。「じゃあ、はじめましょうか」レイが言うと同時に、ホノカが浮遊しながら現れる。その姿は、全員視認出来るようになっていた。「おい…」女の子が空中から突然現れたものだから、何も知らない一同は困惑する。「あなたたちを救うのは、私」そう言うとホノカは、パンパン。と二回手拍子する。「…ッ…」クラっとしたのか、頭を抱える二人。「なんや、えらいぼーっとするわ」「…何をした」冷静な男に問われたホノカは、「私は死神。あなたたちの運命を書き換えた。」と説明する。「…だが。どうやら効果が無いやつもいるみたいだな」ホノカはギロッとデザイナーの男を睨む。「どういうことだ」ホノカが言うとデザイナーの男は、「やだなぁ…。同業者ですよ、同業者♡僕も君とお揃い♡」と口角を上げる。「勝手に話を進めないでくれ、俺はまだ理解ができていない」冷静な男が言うと、関西弁の男も、「せやで!その男の言う通りや!!お前らだけで勝手に盛り上がんなや!俺らは何も分かってへんねん!!救われるって言われたから来ただけや!!」と声を荒らげる。


 ヒビキは、はぁ、とため息をついて下を向く。「アンタたちはこれから人を殺さないと周りの人間が次々死ぬって事。つまり半死神状態にさせられたの。ちなみにこの緑の女は死神。多分同業者って言ってた白髪のお兄さんも死神ってこと!私も半死神状態なの、つまりアンタたちは救済とか騙されてこんな犯罪組織に…」ヒビキが二人の男に説明する。「私のセリフを全て横取りするな」ホノカがヒビキに言うが、ヒビキは「仕方ないじゃない、二人とも理解出来てなかったんだから。行き当たりばったりじゃなくてもっと事前に少しぐらい…」と呆れる。「なんや、なんや人を殺さないと周りの人間が死ぬって、俺の妹や親友も死んでまうって言いたいんか!?」関西弁の男の言葉に、俺はまた過去の情景がフラッシュバックしそうになる。「やってられん!!!犯罪に加担する気は無いで!!俺は貧乏家系から救われるって聞いたから来たんや!!!!帰ったる!!!」関西弁の男が叫びながら立ち上がる。冷静な男も、「俺も罪を犯すのは御免だ。大切な人を人質に取るなんてやり方も汚い。それにお前ら全員犯罪者か。付き合ってられん。」と関西弁の男の後に続く。「ダメ!!!!!」ヒビキは二人に向かって叫んだ。男二人はヒビキのほうへ振り返る。「周りの人間みんな死ぬのよ!!それでも平気な顔していられるの!?この緑髪の女は脅しでもなんでもない!!!本当の死神なんだから!!!」ヒビキの必死な訴えに、「それで犯罪が正当化されてたまるか!!!」と冷静な男も冷静さを欠けさせる。一方、関西弁の男は、「なに言うてんねん!アンタ、あの男に洗脳されてるんちゃうんか!?」と声を荒らげながらヒビキに言ったあと、まっすぐ俺を指差した。ヒビキは、「そんなッ…」と言葉を詰まらせる。「ほな帰るで、行こか兄ちゃん」関西弁の男が扉に手をかける。「ちょっと弐式…」ヒビキが心配そうにこちらを見てくるが、「想定内だ」と口角を上げる。関西弁の男が扉を開くと、一階にいたスタッフたちが待ち構えていた。関西弁の男と冷静な男をスタッフたちが強引に捕らえ、身動きが取れないようにする。「なんや!?!?なんやアンタら!?帰らせろや!」大暴れする関西弁の男。冷静な男は力無く掴まれて頭をガックリ下げていた。まずは暴れない冷静な男の首に、俺がR2を投与する。「ぅ゛ッ♡」冷静な男は甘い声を零し、崩れるようにその場に倒れる。大暴れする関西弁の男には、服を捲り上げ正面から腹にR2を投与する。「ぅ゛ぁぁあ───!!♡」絶叫しながら丸くなり悶える関西弁の男。「彼は君が見つけた男かい?かなり強引なやり方だね」デザイナーの男がホノカに言うと、ホノカは「なぜ私以外の死神が日本にいる」とデザイナーの男に目を合わせないまま問いかけた。デザイナーの男は、「興味♡地上でデザイナーやることになって偶然彼とマッチングしちゃったし」と答える。「私に干渉はするな。それと余計なことはするな」ホノカはそう言うと、ホテルの中の自分の部屋に帰って行った。「ふふッ、おもしろい」そんなホノカの後ろ姿を見て、デザイナーの男は静かに呟いた。

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新しい死神だ…。そしてついに愛の巣が…。ひえ…。
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